環境工学①のポイント(30秒で押さえる)
- 日照:太陽の位置(方位角・高度角)と日影の関係。日影規制の計算
- 採光:昼光率の定義と計算方法。居室の採光基準
- 換気:自然換気と機械換気の違い。必要換気量・換気回数の計算
- 1級の特徴:2級より計算問題が増加。昼光率・換気量の計算は必出
- 出題頻度:毎年1〜2問。確実に取れる「得点源」にしたい分野
環境工学は1級建築施工管理技士の第一次検定で毎年出題される重要分野です。日照・採光・換気は建物を使う人の快適性と健康に直結するテーマ。建築基準法にも関連する基準が多いため、試験でも頻出です。
この記事では、日照・採光・換気の基礎知識から試験で問われるポイントまでを解説します。
第一次検定の全体像は「第一次検定の出題傾向と攻略法」で解説しています。
日照 — 太陽の動きと日影の関係
太陽の位置を表す2つの角度
建物の日当たりを考えるには、太陽がどの方向に、どの高さにあるかを知る必要があります。これを表すのが以下の2つの角度です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 太陽高度(h) | 地平線から太陽までの角度(仰角)。高いほど影が短くなる |
| 太陽方位角(A) | 真南を0°として、太陽の方位を表す角度。東が−、西が+ |
現場でのイメージ
マンションの設計で「南向きの部屋は日当たりが良い」と言われる理由は、太陽高度が最も高くなる南中時に、太陽が真南(方位角0°)にあるから。冬至の南中時でも太陽高度は約30°(東京)なので、前方に高い建物があると日影の影響を受けやすい。これが日影規制の根拠です。
日照に関する重要ポイント
- 冬至:1年で最も太陽高度が低く、日影が最も長くなる日。日影規制の基準日
- 夏至:太陽高度が最も高い。日影は短いが、東西方向からの日射が強いため、西日対策が必要
- 南中高度の計算:南中高度 = 90° − 緯度 ± 23.4°(+は夏至、−は冬至)
- 日影曲線:建物が地面に落とす影の軌跡。1級では日影曲線図の読み取り問題が出る
試験で問われるポイント
1級では「日影時間の計算」「日影図の読み取り」が出題されます。たとえば「ある建物の北側にできる日影が、冬至の日に何時間以上続くか」を日影曲線から読み取る問題。日影規制は建築基準法第56条の2に規定されており、用途地域ごとに日影時間の上限が決まっています。
採光 — 室内に自然光を取り入れる技術
昼光率とは
昼光率とは、室内のある点の照度÷屋外の全天空照度×100(%)で表される値です。室内にどれだけ自然光が入っているかの指標です。
昼光率のイメージ
外が1万ルクスで、室内のデスク上が200ルクスなら、昼光率は200÷10,000×100=2%。
事務所では昼光率2%以上が目安。住宅の居間では1.5%以上。昼光率が低いと、日中でも照明が必要になり、エネルギーコストが上がります。
昼光率の3つの成分
昼光率は以下の3つの成分で構成されます。1級ではこの3成分の違いが問われます。
| 成分 | 説明 |
|---|---|
| 直接昼光率 | 窓から直接入る天空光の割合。窓の大きさ・位置で決まる |
| 屋外反射昼光率 | 屋外の地面や建物に反射して入る光の割合 |
| 室内反射昼光率 | 室内の壁・天井・床に反射して届く光の割合 |
ポイント:昼光率は曇天空(全天が均一に曇った状態)を基準に計算します。直射日光は含みません。これは「晴れの日でも曇りの日でも一定の明るさを確保できるか」を評価するためです。
採光に関する建築基準法の規定
- 居室の採光:住宅の居室は床面積の1/7以上の採光有効面積が必要(建築基準法第28条)
- 学校の教室:床面積の1/5以上
- 採光補正係数:窓の前に障害物がある場合に採光面積を補正する係数
換気 — 空気を入れ替えて健康を守る
なぜ換気が必要なのか
建物の中では、人の呼吸でCO₂が増え、建材からホルムアルデヒド等の有害物質が発生します。換気は「室内の空気を新鮮に保つ」ための必須の仕組みです。
建築基準法では、居室には換気設備の設置が義務づけられています(第28条の2)。2003年の法改正(シックハウス対策)で、24時間換気システムが原則必須になりました。
自然換気と機械換気
自然換気
- 風力換気:風圧差を利用。風上と風下に開口部を設ける
- 温度差換気(重力換気):暖かい空気は上昇する性質を利用。高低差のある2つの開口部
- メリット:電気不要。ランニングコストゼロ
- デメリット:風向きや温度差に依存。安定しない
機械換気
- 第1種換気:給気+排気ともに機械。最も確実
- 第2種換気:給気のみ機械。室内が正圧になる。クリーンルーム向き
- 第3種換気:排気のみ機械。室内が負圧になる。トイレ・浴室向き
- メリット:安定した換気量を確保できる
現場でのイメージ
マンションの浴室に換気扇がついているのは第3種換気。排気だけ機械でやり、空気は居室側から流入します。一方、病院の手術室は第2種換気。外部の汚れた空気が入らないよう、室内を正圧に保ちます。「どの部屋にどの換気方式を使うか」は出題頻度が非常に高いテーマです。
必要換気量の計算
1級では換気量の計算問題が出題されます。基本公式を押さえましょう。
必要換気量の公式
Q = M / (Ci − Co)
- Q:必要換気量(m³/h)
- M:室内のCO₂発生量(m³/h)
- Ci:室内のCO₂許容濃度(通常0.1% = 1,000ppm)
- Co:外気のCO₂濃度(通常0.04% = 400ppm程度)
計算例:20人が在室する事務所。1人あたりのCO₂発生量が0.02m³/h、室内許容濃度0.1%、外気濃度0.04%の場合。
Q = (20 × 0.02) / (0.001 − 0.0004) = 0.4 / 0.0006 = 約667 m³/h
1人あたり約33m³/hの換気が必要。これがビル管理法でいう1人あたり必要換気量30m³/hの根拠に近い数値です。
換気回数
換気回数 = 換気量(m³/h) ÷ 室容積(m³)で求められ、「1時間に室内の空気が何回入れ替わるか」を表します。
- 居室の換気回数:0.5回/h以上(建築基準法施行令第20条の8)
- これは「1時間で室内の空気の半分が入れ替わる」という意味
- ホルムアルデヒド発散建材を使用する居室では、さらに高い換気回数が必要
試験で頻出の数値まとめ
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 居室の採光有効面積 | 住宅:床面積の1/7以上、学校:1/5以上 |
| 居室の換気回数 | 0.5回/h以上 |
| CO₂の室内許容濃度 | 0.1%(1,000ppm) |
| 1人あたり必要換気量(ビル管理法) | 30m³/h以上 |
| 東京の冬至の南中高度 | 約31°(90° − 35.7° − 23.4°) |
| 昼光率の基準(事務所) | 2%以上 |
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: 昼光率に直射日光は含まれない
昼光率は全天空照度(曇天空)を基準にしています。晴天時の直射日光は含みません。「快晴時の照度を使って計算した」という選択肢は不正解。
ひっかけ2: 第2種換気と第3種換気の混同
第2種は給気のみ機械(室内正圧)、第3種は排気のみ機械(室内負圧)。「クリーンルームには第3種」「浴室には第2種」のような入れ替えの選択肢に注意。
ひっかけ3: 温度差換気の原理
温度差換気では「暖かい空気は軽いので上昇する」が原理。低い位置から給気し、高い位置から排気する。「高い位置から給気する」は不正解。また、上下の開口部の高低差が大きいほど換気量は増加します。
理解度チェック
【問題1】昼光率の算定に使用する屋外照度は次のうちどれですか?
(1)快晴時の直射日光照度 (2)全天空照度(曇天空) (3)日の出時の照度 (4)人工照明の照度
【問題2】機械換気の第2種換気方式について、正しい記述はどれですか?
(1)排気のみ機械で行い、室内は負圧になる (2)給気のみ機械で行い、室内は正圧になる (3)給気・排気ともに機械で行う (4)自然換気と組み合わせた方式
【問題3】住宅の居室に必要な採光有効面積は、床面積の何分の1以上ですか?
(1)1/5 (2)1/7 (3)1/10 (4)1/20
まとめ
この記事のポイント
- 日照:太陽高度・方位角を理解し、日影曲線の読み取りを練習
- 採光:昼光率の3成分(直接・屋外反射・室内反射)と曇天空基準を押さえる
- 換気:第1種〜第3種の違い、必要換気量の計算、換気回数0.5回/h
- 頻出数値(採光1/7、CO₂ 1,000ppm、換気30m³/h/人)は確実に暗記