2級建築(第一次)

各種構造①(RC造・S造)をわかりやすく解説【2級建築施工管理】

各種構造①(RC造・S造)の要点(30秒でわかる要点)

  • RC造:鉄筋コンクリート造。圧縮に強いコンクリ+引張に強い鉄筋の組合せ
  • S造:鉄骨造。軽量で大スパンが可能。高力ボルト・溶接がポイント
  • 頻出:コンクリートのかぶり厚さ、鉄筋の継手、柱の帯筋間隔

結論から言います。RC造(鉄筋コンクリート造)とS造(鉄骨造)は、2級建築施工管理技士の試験で最も出題数が多い構造分野です。この2つの構造の特徴と違いを理解しておくと、建築学だけでなく躯体工事の問題でも得点力が上がります。

普段何気なく見ている建物も、構造の違いを知ると見え方が変わります。マンションはRC造、工場や倉庫はS造が多い——なぜそうなのか?を理解するのが、この記事のゴールです。

この分野の出題頻度

第一次検定50問中、各種構造(RC造・S造・木造・SRC造)から毎年3〜4問出題されます。建築学14問の中でもウェイトが大きく、ここを確実に取れれば合格にぐっと近づきます。特にRC造とS造の比較問題は定番中の定番です。

RC造(鉄筋コンクリート造)とは

RC造の基本

RC造はReinforced Concrete(補強されたコンクリート)の略です。鉄筋で骨組みを作り、その周りにコンクリートを流し込んで固めた構造です。

なぜ鉄筋とコンクリートを組み合わせるのでしょうか? それは、お互いの弱点を補い合う「最強の組み合わせ」だからです。

材料 得意なこと 苦手なこと
コンクリート 圧縮力に強い(押す力) 引張力に弱い(引っ張る力)
鉄筋 引張力に強い 圧縮すると座屈(折れ曲がる)

コンクリートは「押す力(圧縮)」には強いけれど「引っ張る力」には弱い。鉄筋はその逆。2つを組み合わせることで、圧縮にも引張にも強い構造が生まれます。

実際のマンションの柱を輪切りにすると、太い柱の中に鉄筋が何本も入っているのがわかります。地震のとき、柱には曲げる力(一方は圧縮、反対側は引張)がかかりますが、コンクリートが圧縮を受け持ち、鉄筋が引張を受け持つことで、柱全体として地震力に耐えるわけです。

RC造がさらに優れている理由

コンクリートと鉄筋の相性が良い3つの理由

  1. 熱膨張率がほぼ同じ — 温度変化で伸び縮みしても、ひび割れない
  2. コンクリートが鉄筋を保護 — コンクリートはアルカリ性なので、鉄筋が錆びにくい
  3. コンクリートが鉄筋を火から守る — 火災時、コンクリートが断熱材の役割をする

特に2番目のポイントは重要です。鉄筋はそのまま空気中に置くと錆びますが、コンクリートの中はpH12〜13のアルカリ性環境で、鉄筋の表面に不動態被膜(ふどうたいひまく)という保護膜ができます。これが鉄筋を錆びから守るのです。

ただし、長い年月が経つとコンクリートが空気中のCO₂を吸って中性化(ちゅうせいか)が進み、アルカリ性が失われます。中性化が鉄筋の位置まで達すると、鉄筋が錆び始め、膨張してコンクリートのひび割れ・剥落を引き起こします。これがRC造の最大の弱点です。

試験の頻出ポイント:かぶり厚さ

鉄筋を保護するコンクリートの厚さを「かぶり厚さ」と呼びます。これが薄いと中性化が早く鉄筋に到達し、錆びの原因になります。建築基準法施行令で最小かぶり厚さが定められており、柱・梁は30mm以上、基礎は60mm以上(直接土に接する場合)が原則です。試験では数値をそのまま問われることがあるので、確実に覚えておきましょう。

RC造の主な用途

  • マンション(中〜高層)
  • オフィスビル
  • 学校・病院
  • 公共施設

RC造は遮音性・耐火性・耐久性に優れるため、人が長時間過ごす建物に適しています。ただし、重量が大きいため、超高層ビルや大スパン(柱のない大空間)には向きません。

S造(鉄骨造)とは

S造の基本

S造はSteel(鋼)の略です。工場で加工した鉄骨(H形鋼、角形鋼管など)を現場で組み立てる構造です。

鉄骨は引張にも圧縮にも強い材料です。RC造と比べて軽量なので、大きな空間を作りやすいのが特徴です。

S造の特徴

  • 軽い — RC造の約1/5の重さで同じ強度を実現
  • 大スパンが可能 — 工場・体育館・ショッピングモールなど柱のない大空間に適している
  • 工期が短い — 部材を工場で加工し、現場ではボルトや溶接で組み立てるだけ
  • 品質が安定 — 工場生産なので天候に左右されにくい

S造の弱点

万能に見えるS造にも弱点があります。

S造の弱点

  • 耐火性が低い — 鉄は約500℃で強度が半減する。耐火被覆が必須
  • 錆びやすい — 防錆処理を怠ると強度低下につながる
  • 遮音性が低い — 薄い鋼板は音を通しやすい
  • 座屈(ざくつ)のリスク — 細長い部材は圧縮力で折れ曲がることがある

特に耐火性の低さは重大な弱点です。火災が発生すると鉄骨の温度が上がり、約500℃で強度が常温時の約半分に低下します。そのため、S造の建物では鉄骨に耐火被覆(たいかひふく)を施します。耐火被覆材としては、ロックウール吹付け、ケイ酸カルシウム板巻き、耐火塗料などがあります。

実際の火災現場では、耐火被覆が施されていない鉄骨造の倉庫や工場が、短時間で崩壊した事例があります。だから建築基準法では、一定規模以上の建物に耐火構造を義務づけているのです。

S造の主な用途

  • 工場・倉庫
  • ショッピングモール
  • 体育館・アリーナ
  • 超高層ビル(SRC造との併用も多い)
  • 仮設建築物

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

RC造とS造の「いいとこ取り」をしたのがSRC造(Steel Reinforced Concrete)です。鉄骨の周りに鉄筋を配置し、さらにコンクリートを打設した構造で、RC造の耐火性・耐久性S造の軽さ・粘り強さを兼ね備えています。

SRC造の特徴

  • 高層建築に適している(超高層ビルの低層部に多い)
  • RC造より粘り強い(鉄骨の靭性を活かせる)
  • 工費がRC造・S造より高い
  • 施工が複雑(鉄骨+鉄筋+コンクリートを組み合わせるため)

建物の用途と構造の使い分け

実際の建設現場では、建物の規模や用途によって最適な構造が異なります。

Q. どんな建物を建てる?
住宅・マンション
RC造
耐火・遮音に優れる
工場・倉庫・体育館
S造
大スパン・軽量
超高層ビル
SRC造
RC+Sの長所を併せ持つ

試験では「○○造の特徴として最も適当なものはどれか」という出題パターンが多いので、各構造の得意分野(用途)をセットで覚えると正答率が上がります。

RC造・S造・SRC造の比較

3つの構造の違いを一覧表で整理しましょう。

比較項目 RC造 S造
重量 重い 軽い
耐火性 高い 低い(耐火被覆が必要)
遮音性 高い 低い
大スパン やや不向き 得意
工期 長い(養生期間が必要) 短い(工場加工+現場組立)
主な用途 マンション・学校・病院 工場・倉庫・体育館

SRC造はRC造とS造の中間的な特性を持ちますが、コストと施工の複雑さから、主に高層建築の低層部特に高い耐震性が求められる建物に使われます。

構造に関連する重要用語

ラーメン構造と壁式構造

RC造の建物は、力の伝え方によってラーメン構造壁式構造に分かれます。

構造 仕組み 特徴
ラーメン構造 柱と梁を剛接合して骨組みを作る 間取りの自由度が高い。中高層向き
壁式構造 壁と床で箱型に組み上げる 柱や梁が室内に出ない。5階以下の低層向き

ラーメン構造の「ラーメン」は食べ物のラーメンではなく、ドイツ語で「額縁」を意味する言葉です。柱と梁が額縁のように四角い枠を作る構造をイメージしてください。

壁式構造は5階以下の低層マンションによく使われます。柱と梁が室内に出っ張らないので、部屋がスッキリするメリットがあります。ただし、壁で力を受けるため、大きな開口部(窓)を設けにくいデメリットもあります。

靭性(じんせい)と脆性(ぜいせい)

地震に対する構造の強さを理解するために重要な概念です。

  • 靭性(じんせい):粘り強さ。変形しても壊れずに耐える能力。鉄筋・鉄骨は靭性が高い
  • 脆性(ぜいせい):もろさ。限界を超えると突然壊れる性質。コンクリートは脆性的に破壊する

地震対策で重要なのは靭性を確保することです。RC造では、鉄筋を適切に配置して柱や梁の靭性を高めます。建物が多少変形しても壊れずに持ちこたえる——これが耐震設計の基本的な考え方です。

試験ではこう出る!ひっかけパターン5選

2級建築施工管理の第一次検定では、各種構造の比較問題が毎年出ます。「最も不適当なものはどれか」という形式で、正しそうに見える選択肢にひっかけが仕込まれています。

ひっかけパターンと正解

① 「S造は耐火性に優れる」→ ✕

鉄骨は約500℃で強度が半減する。耐火性に優れるのはRC造。S造には耐火被覆が必要。

② 「壁式構造は高層建築に適している」→ ✕

壁式構造は5階以下の低層建物に限定。高層にはラーメン構造が適している。

③ 「コンクリートは引張力に強い」→ ✕

コンクリートは圧縮力に強く、引張力には弱い。引張力は鉄筋が担う。これがRC造の基本原理。

④ 「RC造は大スパンの建物に最も適している」→ ✕

大スパン(柱のない大空間)に適しているのはS造。RC造は重量が大きく、大スパンには不向き。

⑤ 「SRC造はRC造より工費が安い」→ ✕

SRC造は鉄骨+鉄筋+コンクリートの3つを使うため、RC造・S造より工費が高い。施工も複雑。

構造の問題は「特徴の入れ替え」がひっかけの定番です。RC造とS造の特徴を逆に書いた選択肢が出たら要注意。迷ったら「RC造=重い・耐火○」「S造=軽い・大スパン○」の基本に立ち返りましょう。

覚え方のコツ

RC造とS造の得意分野は「住むならRC、飛ばすならS」と覚えましょう。「住む」=マンション(遮音・耐火が必要)→RC造。「飛ばす」=大空間を柱なしで飛ばす(大スパン)→S造。この一言で、主な用途と構造の特徴がセットで思い出せます。

理解度チェック

Q1. RC造で、コンクリートが主に受け持つ力はどれ?

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正解:圧縮力
コンクリートは圧縮に強く引張に弱い材料です。引張力は鉄筋が受け持ちます。この役割分担がRC造の基本です。

Q2. S造の最大の弱点は?

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正解:耐火性が低い
鉄は約500℃で強度が半減します。そのため耐火被覆(ロックウール吹付け等)が必要です。

Q3. 壁式構造の特徴で正しいのは?

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正解:柱や梁が室内に出ず、5階以下の低層建物に適している
壁と床で箱型に組む構造のため、柱・梁の出っ張りがありません。ただし高層建物には不向きです。

Q4. コンクリートと鉄筋の熱膨張率はどんな関係にある?

解答を見る

正解:ほぼ同じ
温度変化で同じように伸び縮みするので、温度変化によるひび割れが起きにくい。これがRC造の材料としての相性の良さの理由の一つです。

まとめ

この記事のポイント

  • RC造:コンクリート(圧縮)+鉄筋(引張)の組み合わせ。耐火性・遮音性が高い
  • S造:軽量・大スパン・短工期だが、耐火性が低い(耐火被覆必須)
  • SRC造:RC+Sのいいとこ取り。高層建築向き
  • ラーメン構造:柱+梁の骨組み。中高層向き
  • 壁式構造:壁+床の箱型。5階以下の低層向き
  • コンクリートの中性化が鉄筋の錆びの原因になる

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