工程管理(バーチャート・ネットワーク工程表)の要点(30秒でわかる)
- バーチャート:作成が簡単・進捗が一目瞭然だが、作業の前後関係がわからない
- ネットワーク工程表:作業の順序関係が明確、クリティカルパスで重要作業を特定できる
- クリティカルパス:最も日数がかかるルート=工事全体の最短工期(フロート=0)
- フロート:トータルフロート(全体余裕)≧フリーフロート(後続に影響しない余裕)
- 出題傾向:毎年3〜4問出題、クリティカルパス計算はパターン化→確実な得点源
結論から言います。工程管理は、工事を予定どおりの工期で完成させるための「時間の管理」です。試験ではバーチャート工程表とネットワーク工程表の2つが必ず出題されます。特にネットワーク工程表のクリティカルパスの計算は、解き方さえ覚えれば確実に得点できるボーナス問題です。
工程管理の出題傾向と配点|毎年3〜4問出題
出題データ
- 施工管理法は全20問で全問必須(第一次検定の出題傾向と攻略法)
- 工程管理から毎年3〜4問出題(バーチャート1問+ネットワーク2〜3問)
- クリティカルパスの計算問題はほぼ確実に出る → 解き方を覚えれば確実な得点源
工程管理は施工計画・品質管理・安全管理と合わせて施工管理法20問の一角。特にネットワーク工程表のクリティカルパス計算はパターンが決まっているので、過去問を3〜4回解けば確実に取れるようになります。
工程管理とは?3つの目的と重要性
工程管理とは、工事の各作業の順序・日数を計画し、予定どおりに進んでいるかを管理することです。
📜 工程管理の3つの目的
- 工期の遵守:契約で決めた工期内に完成させる
- コストの最適化:無駄な待ち時間や手待ちをなくし、コストを抑える
- 品質の確保:無理な突貫工事を防ぎ、適切な養生期間を確保する
たとえばコンクリート工事(コンクリート工②参照)。養生期間を短縮して次の工程に進めば工期は短くなりますが、コンクリートの強度が出ず品質が落ちます。逆に余裕を持ちすぎると工期オーバー。品質を保ちながら工期内に収めるのが工程管理の腕の見せどころです。
バーチャート工程表の特徴と使い方
バーチャートは、縦軸に作業名、横軸に日数(時間)を取り、各作業の開始日と終了日を棒(バー)で表す工程表です。
バーチャートの特徴
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 作成が簡単で見やすい | 作業間の関連性(前後関係)がわかりにくい |
| 各作業の所要日数が一目でわかる | どの作業が遅れると全体に影響するかが不明 |
| 工事の進捗が直感的に把握できる | 工期短縮のための検討が困難 |
バーチャートは小規模な工事や現場の掲示用に適しています。現場事務所の壁に貼ってある工程表は、ほとんどがバーチャートです。一目で「今どこまで進んでいるか」がわかるからです。
ネットワーク工程表の読み方とクリティカルパス計算
ネットワーク工程表は、作業を矢印(→)で結び、作業の順序関係と所要日数を明確に表す工程表です。
ネットワーク工程表の基本用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アクティビティ(作業) | 矢印で表す。矢印の上に作業名、下に日数を書く |
| イベント(結合点) | ○で表す。作業の開始・終了の節目 |
| ダミー(疑似作業) | 点線矢印で表す。作業の前後関係だけを示す(日数は0) |
| クリティカルパス | 最も日数がかかるルート。このルートの遅れは工期全体の遅れに直結 |
クリティカルパスの求め方
ネットワーク図の開始点と終了点を確認する
開始→終了のすべてのルートを書き出す
各ルートの所要日数を合計する
(ダミーの日数は0として計算)
最も合計日数が大きいルートを見つける
そのルートがクリティカルパス
合計日数=工事全体の最短工期
✅ クリティカルパスの計算手順
- 開始点から終了点まで、すべてのルートを洗い出す
- 各ルートの所要日数を合計する
- 最も合計日数が大きいルートがクリティカルパス
- クリティカルパスの合計日数=工事全体の最短工期
具体例で考えてみましょう。
💡 計算例
ルートA:掘削(3日)→基礎(5日)→躯体(10日)→仕上げ(4日)=22日
ルートB:掘削(3日)→配管(4日)→躯体(10日)→仕上げ(4日)=21日
ルートC:掘削(3日)→基礎(5日)→設備(6日)→仕上げ(4日)=18日
→ 最長のルートAがクリティカルパス。全体工期は22日。
→ ルートBには1日の余裕(フロート)がある。
→ ルートCには4日の余裕(フロート)がある。
フロート(余裕時間)
フロートとは、クリティカルパス以外のルートが持つ余裕日数のことです。
| 種類 | 意味 |
|---|---|
| トータルフロート | その作業が使える余裕日数の合計。これを超えると工期が延びる |
| フリーフロート | 後続の作業に影響を与えずに使える余裕日数 |
⚠ 試験の頻出ポイント
- クリティカルパス上の作業のフロートは0(余裕なし)
- クリティカルパス上の作業が1日遅れると、工期も1日延びる
- 工期を短縮するには、クリティカルパス上の作業を短縮するしかない
なぜクリティカルパスが重要なのか?
実際の工事現場では、複数の作業が同時に進行します。すべての作業を同じ優先度で管理すると、本当に重要な作業の遅れに気づけず、工期オーバーにつながります。クリティカルパスを把握しておけば、「この作業だけは絶対に遅らせてはいけない」という判断ができ、人員や機械を優先的に配置できます。逆に、フロートのある作業は多少遅れても全体に影響しないため、限られた資源を効率的に配分できるのです。
なぜネットワーク工程表を使うのか?
バーチャートは見やすい反面、「掘削が遅れたら躯体工事はどうなる?」といった作業同士の依存関係がわからないのが弱点です。ネットワーク工程表なら、ある作業の遅れが後続のどの作業に波及するかが一目で判断できます。特に大規模な土木工事(道路・橋梁・トンネルなど)では作業の数が多く、関係が複雑になるため、ネットワーク工程表による管理が不可欠です。
バーチャートとネットワーク工程表の違い【比較表】
| 項目 | バーチャート | ネットワーク |
|---|---|---|
| 作成の容易さ | 簡単 | やや複雑 |
| 作業の前後関係 | わかりにくい | 明確にわかる |
| 重要作業の特定 | 困難 | クリティカルパスで明確 |
| 工期短縮の検討 | 困難 | 容易(CPの短縮) |
| 向いている工事 | 小規模・単純な工事 | 大規模・複雑な工事 |
よくある質問と試験のひっかけポイント
Q. クリティカルパスが2本以上あることはある?
A. あります。複数のルートが同じ最長日数になる場合、クリティカルパスは複数存在します。どちらのルート上の作業も遅れれば工期に直結するため、両方を重点管理する必要があります。試験では「クリティカルパスは1本だけ」という選択肢がひっかけで出ます。
Q. 工期を短縮するにはどうすればいい?
A. クリティカルパス上の作業の日数を短縮します。人員の増員、機械の追加投入、工法の変更などが方法です。クリティカルパス以外の作業を短縮しても工期は変わりません。ただし、ある作業を短縮した結果、別のルートが新たなクリティカルパスになる場合があるので注意が必要です。
Q. ダミー(点線矢印)はなぜ必要なの?
A. 作業の前後関係(依存関係)だけを示すために使います。所要日数は0日です。例えば「AとBの両方が終わらないとCに着手できない」という関係を、ネットワーク図上で正確に表現するために必要です。ダミーを忘れると前後関係の読み取りが狂い、クリティカルパスの計算を間違える原因になります。
Q. トータルフロートとフリーフロートの違いは?
A. トータルフロートはその作業が使える余裕日数の合計で、使い切ると工期が延びます。フリーフロートは後続の作業の最早開始日に影響を与えない範囲の余裕日数です。常にトータルフロート≧フリーフロートの関係が成り立ちます。
試験でこう出る!工程管理の出題パターン
- パターン1:バーチャートの特徴として「正しいもの/誤っているもの」を選ぶ知識問題
- パターン2:ネットワーク図からクリティカルパスと全体工期を求める計算問題【ほぼ毎年】
- パターン3:特定の作業のフロート(余裕日数)を計算する問題
- パターン4:「工期を2日短縮するにはどの作業を短縮すべきか」を問う応用問題
- パターン5:ダミーの意味・クリティカルパスの性質に関する正誤問題
計算問題は「すべてのルートを書き出す→日数合計→最長がCP」の手順で確実に解けます。落ち着いて全ルートを漏れなく書き出すのがコツ!
暗記のコツ:工程管理のキーワード整理
| キーワード | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|
| クリティカルパス | 最長ルート=最短工期 | Critical=「致命的」→遅れると致命的 |
| フロート=0 | CP上の余裕はゼロ | 「0点(ゼロ)はクリティカル」 |
| TF≧FF | トータル≧フリー | 「全体の余裕≧部分の余裕」は当然 |
| ダミー=0日 | 点線矢印・日数ゼロ | 「ダミー=ニセモノ→日数なし」 |
| バーチャート | 簡単・前後関係不明 | 「バー=棒グラフ」→見える化向き |
理解度チェック(全3問)
Q1. ネットワーク工程表で、最も日数がかかるルートを何といいますか?
Q2. クリティカルパス上の作業のフロート(余裕時間)はいくつですか?
Q3. バーチャート工程表のデメリットは何ですか?
工程管理のまとめ|クリティカルパス計算を得点源にする
工程管理は2級土木施工管理技士の第一次検定で毎年3〜4問出題される重要分野です。バーチャートの特徴を問う知識問題に加え、ネットワーク工程表のクリティカルパス計算は解き方がパターン化されているため、練習すれば確実に得点できます。
この記事のポイント
- 工程管理の目的は、工期の遵守・コストの最適化・品質の確保の3つ
- バーチャートは見やすく作成が簡単だが、作業の前後関係がわかりにくい
- ネットワーク工程表は作業の順序関係が明確で、重要作業の特定が可能
- クリティカルパス=最長ルート=工事全体の最短工期
- クリティカルパス上のフロートは0(遅延は即、工期延長)
- 工期短縮はクリティカルパス上の作業を短縮する
- トータルフロートは作業が使える余裕日数、フリーフロートは後続に影響しない余裕日数
ネットワーク工程表の計算は「すべてのルートを書き出す→日数を合計→最長ルートがクリティカルパス」の手順を繰り返し練習しましょう。過去問を3〜4回解けば、本番でも確実に正解できるようになります。