2級電気工事(第一次)

【2級電気工事】電気機器(変圧器・誘導電動機・同期機・整流器)をわかりやすく解説

電気機器(変圧器・誘導電動機・同期機・整流器)の要点(30秒でわかる)

  • 変圧器:電磁誘導の原理、巻数比と電圧比(V₁/V₂=N₁/N₂)、損失(鉄損+銅損)
  • 誘導電動機:回転磁界で回転、すべり=(同期速度-回転速度)/同期速度、始動法が頻出
  • 同期機:回転速度=120f/p(周波数と極数で決まる)、発電所で主に使用
  • 整流器:交流→直流変換。ダイオード・サイリスタが代表的
  • 出題傾向:変圧器の原理・損失、誘導電動機のすべり・始動法が毎回出題

結論から言います。電気機器は2級電気工事施工管理技士の第一次検定で毎年3〜4問出題される重要テーマです。変圧器・誘導電動機・同期機・整流器の4種類が出ますが、どれも暗記で対応できる問題が中心。計算が苦手な人にとっては、ここが得点を稼ぐチャンスです。

この記事では、各機器の仕組み・特徴・試験に出るポイントを、実際の現場でどう使われているかを交えながらわかりやすく解説します。

電気機器4種の役割マップ
変圧器
電圧を変換
鉄損=一定
銅損=I²に比例
誘導電動機
電気→回転
すべりあり
Y-Δ/INV始動
同期機
発電所で発電
すべりなし
力率改善にも
整流器
AC→DC変換
半波/全波
充電器等に

電気機器の全体像|変圧器・電動機・発電機・整流器

電気機器は大きく4種類。それぞれの役割を一言でまとめると以下のとおりです。

機器 役割を一言で
変圧器 電圧を上げたり下げたりする。発電所→家庭の電圧変換に不可欠
誘導電動機 電気を回転エネルギーに変える。工場のモーターの9割以上がこれ
同期機 発電所の発電機として使われる。回転数が周波数と「同期」する
整流器 交流を直流に変換する。スマホの充電器もこの原理

出題傾向(2級電気工事 第一次検定)

電気機器はNo.1〜8(電気工学等)の選択科目から出題されます。変圧器の原理誘導電動機の回転原理・すべりが特に頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。

なぜ電気機器の知識が施工管理で必要なのか?

電気工事の現場では変圧器の設置、モーターの結線工事が日常業務です。変圧器の結線を間違えれば異常電圧で機器が壊れ、モーターの始動方法を誤れば過大な始動電流でブレーカーが落ちます。施工管理者は「なぜこの機器にこの接続方式を使うのか」を理解して指示を出す必要があるのです。

変圧器(トランス)|原理・巻数比・損失【最頻出】

変圧器は電気機器の中で最も出題頻度が高いテーマです。

変圧器の基本原理

変圧器は2つのコイル(一次コイルと二次コイル)が鉄心(てっしん)でつながった構造です。一次コイルに交流電圧をかけると、電磁誘導によって二次コイルに電圧が発生します。

V₁ / V₂ = N₁ / N₂

一次電圧 / 二次電圧 = 一次巻数 / 二次巻数

たとえば一次コイルが1,000回巻き、二次コイルが100回巻きなら、6,600Vの電圧は660Vに下がります。ビルの屋上や地下にあるキュービクル(高圧受変電設備)では、まさにこの原理で6,600V→200V/100Vに変圧しています。

変圧器の損失

変圧器には2種類の損失(エネルギーのロス)があります。これは試験で非常によく問われます。

損失の種類 内容
鉄損(てっそん) 鉄心で発生。ヒステリシス損+渦電流損。負荷に関係なく一定
銅損(どうそん) コイル(銅線)の抵抗で発生。負荷(電流)の2乗に比例して増える

覚え方のコツ

鉄損=「いつも一定」(鉄は硬くて変わらないイメージ)
銅損=「負荷で変動」(銅線に電流が流れるほど熱くなる)
「鉄は一定、銅は2乗」——この2つを覚えるだけで1問取れます。

変圧器の結線方式

三相変圧器の結線には、Δ-Δ、Y-Y、Δ-Y、Y-Δなどの方式があります。試験で特に聞かれるのはV結線です。

V結線とは、通常3台必要な単相変圧器を2台で三相電力を供給する方式。1台が故障した場合のバックアップや、将来の負荷増加に備えた暫定的な方法として使われます。ただし、出力はΔ結線の約57.7%(1/√3倍)に低下します。

誘導電動機|すべり・始動法・速度制御【頻出】

世の中のモーターの9割以上が誘導電動機と言われています。エレベーター、空調のファン、ポンプ、コンベア……工場やビルで動いている機械のほとんどがこのモーターを使っています。

誘導電動機の原理 — 「すべり」がポイント

固定子(ステーター)のコイルに三相交流を流すと、回転する磁界(回転磁界)が発生します。この磁界に引っ張られて回転子(ローター)が回る——これが誘導電動機の原理です。

ここで重要なのが「すべり」。回転子は回転磁界より少しだけ遅く回転します。この速度差が「すべり」です。

すべり s =(同期速度 − 回転速度)/ 同期速度

同期速度 Ns = 120f / p(f:周波数、p:極数)

なぜ「すべり」が必要かというと、回転子が磁界と完全に同じ速度で回ると電磁誘導が起きなくなるから。速度差があるからこそ回転子にトルク(回転力)が生まれるのです。

始動法 — 大型モーターは直入れ始動NG

小型の誘導電動機は電源をそのまま接続する「全電圧始動(直入れ始動)」でOK。しかし大型モーターを直入れ始動すると、定格電流の5〜8倍の始動電流が流れ、同じ回路のほかの機器に影響を与えます。照明がチカチカするのは、この電圧降下が原因です。

始動方式 特徴
全電圧始動 小型モーター向け。始動電流が大きいが構造がシンプル
Y-Δ始動 始動時Y結線→運転時Δ結線に切替。始動電流を1/3に抑える
始動補償器法 単巻変圧器で電圧を下げて始動。タップ切替で始動電流を調整
インバータ制御 周波数を変えて回転速度を制御。省エネ効果大。近年の主流

近年はエレベーター、空調機、ポンプなど多くの設備でインバータ制御が採用されています。周波数を自在に変えられるため、必要な分だけモーターを回して電力消費を30〜50%削減できるケースも。試験でもインバータの出題が増えています。

同期機|回転速度の公式と特徴

同期機は回転子の回転速度が電源周波数と「同期」する機器です。

同期発電機

発電所で使われている発電機はほぼすべて同期発電機です。蒸気タービンや水車で回転子を回し、固定子のコイルに電圧を発生させます。

誘導電動機との最大の違いは、すべりがない(回転速度=同期速度)こと。50Hz地域の2極機なら回転速度は3,000rpm(毎分3,000回転)でピタリと一定です。

同期調相機

同期電動機を無負荷で運転して力率改善に使うのが同期調相機です。進相コンデンサと同じ役割ですが、連続的に無効電力を調整できるメリットがあります。最近は進相コンデンサが主流のため、試験での出題頻度は低めです。

整流器|交流→直流変換の仕組み

整流器は交流を直流に変換する装置です。身近な例ではスマホの充電器。コンセントの交流100Vを直流5Vに変換して充電しています。

整流方式

方式 特徴
半波整流 交流の半分(プラス側のみ)を使う。構造が簡単だが効率が低い
全波整流 交流の両方(プラス・マイナス)を使う。効率が高く実用的

現場で使われる整流器としては、蓄電池の充電設備非常用照明の電源装置が代表的です。ビルの防災設備には蓄電池が必須で、その充電には整流器が使われています。

よくある質問と試験のひっかけポイント

誘導電動機と同期電動機の混同

最大のポイントは「すべり」の有無。誘導電動機はすべりがある(回転磁界より少し遅い)。同期電動機はすべりがない(回転磁界と同じ速度)。「誘導=ずれる、同期=ぴったり」と覚えましょう。

変圧器の「鉄損」と「銅損」の逆

「鉄損は負荷に比例」と覚えてしまう人が多いですが、鉄損は負荷に無関係(一定)。負荷に比例するのは銅損です。「鉄は硬い=変わらない」で覚えましょう。

Q. 変圧器の鉄損と銅損の違いは?

A. 鉄損は鉄心で発生する損失(ヒステリシス損+渦電流損)で、負荷に関係なく一定(無負荷損とも呼ぶ)。銅損は巻線の抵抗で発生する損失で、電流の2乗に比例して増加します。「鉄損=一定、銅損=電流で変化」と覚えましょう。

Q. 誘導電動機のすべりとは?

A. 回転磁界の速度(同期速度)と実際の回転速度の差の割合です。s=(Ns-N)/Ns。すべり=0なら同期速度と同じ(実際にはありえない)、すべりが大きいほど遅く回ります。通常運転時のすべりは3〜5%程度です。

Q. 同期速度の公式は覚える必要がある?

A. はい、必須です。Ns=120f/p(f:周波数[Hz]、p:極数)。例えば60Hz・4極の場合、Ns=120×60/4=1,800rpm。この公式からの計算問題が出題されます。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:変圧器の巻数比と電圧比の関係(V₁/V₂=N₁/N₂)
  • パターン2:変圧器の損失(鉄損=一定、銅損=電流²に比例)
  • パターン3:誘導電動機のすべりの計算と始動法の種類
  • パターン4:同期速度の計算(Ns=120f/p)

暗記のコツ

項目 ポイント
変圧器の損失 鉄損=一定(鉄はいつも一定)、銅損=I²に比例(銅線に電流が流れる)
すべり s=(Ns-N)/Ns →「同期より何%遅いか」通常3〜5%
同期速度 Ns=120f/p →「120かけてf割るp」
始動法 全電圧→スターデルタ→リアクトル→コンドルファ(大きい順)

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

Q1. 変圧器の損失のうち、負荷に関係なく一定なのはどちら?

解答を見る

正解:鉄損
鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)は鉄心で発生し、負荷に無関係。銅損はコイルの抵抗による損失で、負荷電流の2乗に比例します。

Q2. 誘導電動機の「すべり」とは何?

解答を見る

正解:回転磁界の速度(同期速度)と回転子の実際の速度の差
回転子は回転磁界より少し遅く回ります。この速度差がなければ電磁誘導が起きず、トルク(回転力)が発生しません。

Q3. Y-Δ始動法で始動電流は全電圧始動の何分の1になる?

解答を見る

正解:1/3
Y結線での電圧は1/√3になるため、電流も1/√3。電力は電圧×電流なので始動電流は1/3に抑えられます。

試験での注意点

ミニテストで知識を確認しよう

変圧器・誘導電動機・同期機の知識をミニテストで定着させましょう。

📝 電気機器・電力応用 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式64問)

こう間違える人が多い!

  • 「変圧器の一次側と二次側を混同」 → 一次側=電源側、二次側=負荷側。巻数比で電圧が変わる
  • 「誘導電動機のすべりの意味がわからない」 → すべり=(同期速度-回転速度)/同期速度。回転子は磁界より少し遅く回る
  • 「同期機と誘導機の違いがわからない」 → 同期機は磁界と同じ速度で回る、誘導機はすべり分だけ遅い
  • 「整流器は電圧を変える装置」 → 整流器は交流→直流に変換する装置。電圧を変えるのは変圧器

まとめ|変圧器と誘導電動機を最優先で暗記

この記事のポイント

  • 変圧器:電圧比=巻数比(V₁/V₂=N₁/N₂)。鉄損は一定、銅損はI²に比例
  • 誘導電動機:すべりがある(回転磁界より遅い)。大型はY-Δ・インバータ始動
  • 同期機:すべりなし(回転数=周波数と同期)。発電所で使用。同期調相機で力率改善
  • 整流器:AC→DC変換。全波整流が実用的。ダイオード+サイリスタが主流
  • 覚え方:「誘導=ずれる、同期=ぴったり」「鉄は一定、銅は2乗」
  • 計算問題が少なく暗記で得点しやすい分野。計算が苦手な人の得点源

もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。

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