1級建築(第一次)

1級建築 各種構造①(RC造・S造・SRC造)【第一次検定の科目別解説】

各種構造①のポイント(30秒で押さえる)

  • RC造:鉄筋コンクリート造。圧縮に強いコンクリート+引張に強い鉄筋の組み合わせ
  • S造:鉄骨造。軽量で大スパン向き。工場製作→現場組立て
  • SRC造:鉄骨鉄筋コンクリート造。RC+Sの長所を併せ持つ。1級で新たに出題
  • 1級の特徴:SRC造の仕組み・特徴が出題範囲に追加。各構造の比較問題が頻出
  • 出題頻度:毎年2〜3問。構造の特徴を「比較」で整理できるかがカギ

各種構造は1級建築施工管理技士の第一次検定で毎年複数問出題される重要分野です。RC造・S造は2級でも学びますが、1級ではSRC造が新たに加わるのが大きなポイント。3つの構造を比較しながら特徴を整理しましょう。

環境工学の解説は「環境工学①」「環境工学②」で解説しています。

RC造(鉄筋コンクリート造)

RC造の基本原理

RC造はReinforced Concrete(補強されたコンクリート)の略。コンクリートと鉄筋を組み合わせた構造です。

なぜコンクリートと鉄筋を組み合わせるのか?

  • コンクリート:圧縮力に非常に強い(圧縮強度は引張強度の約10倍)が、引張力には弱い
  • 鉄筋:引張力に強い。しかし圧縮力を受けると座屈しやすい
  • この2つを組み合わせることで、圧縮にも引張にも強い部材ができる
  • さらに、コンクリートが鉄筋を覆うことで鉄筋を錆から保護(かぶり厚さの役割)
  • 鉄筋とコンクリートの線膨張係数がほぼ同じ(約1×10⁻⁵/℃)なので、温度変化で剥がれにくい

現場でのイメージ

マンションの建設現場を想像してください。まず鉄筋を組み(配筋)、型枠を建て、そこにコンクリートを流し込む(打設)。コンクリートが固まったら型枠を外す。この「配筋→型枠→打設→養生→脱型」のサイクルを1フロアごとに繰り返すのがRC造の施工の基本です。10階建てなら10回繰り返す。

RC造の特徴

項目 RC造の特徴
耐火性 非常に高い。コンクリート自体が不燃材料で、鉄筋を火災の熱から保護
耐久性 高い。適切な施工・メンテナンスで100年以上の寿命
遮音性 高い。密度が高いため音を通しにくい(質量則)
設計の自由度 比較的高い。型枠の形状を変えることで曲面なども可能
デメリット 自重が大きい。工期が長い(現場打ちが基本)。ひび割れが生じやすい
適した建物 マンション・事務所ビル・学校・病院(中低層〜中高層)

RC造で押さえるべき数値

  • かぶり厚さ:鉄筋表面からコンクリート表面までの距離。耐久性と耐火性を確保するための最低値が部位ごとに規定
  • コンクリートの設計基準強度(Fc):一般的なマンションで18〜30N/mm²
  • 鉄筋のかぶり厚さの最小値:土に接する部分は60mm、屋外は40mm、屋内は30mm(目安)

S造(鉄骨造)

S造の基本原理

S造はSteel(鉄骨)構造。工場で製作した鉄骨部材を現場で組み立てる構造です。

S造のメリット

  • 軽量で強い:鉄骨は引張にも圧縮にも強く、コンクリートより軽い。大スパン(柱のない広い空間)の確保に向く
  • 工期が短い:部材を工場で製作→現場で組立て(建方)。RC造のような現場での打設・養生が不要
  • 品質が安定:工場製作なので、天候に左右されず精度の高い部材が作れる

現場でのイメージ

大型の物流倉庫やショッピングモールの建設現場を想像してください。工場からトレーラーで運ばれてきたH形鋼や角形鋼管を、移動式クレーンで吊り上げて組み立てていく。鉄骨同士は高力ボルト接合溶接でつなぎます。屋根がかかるまでの速さはRC造とは比較にならないほど早い。

S造の特徴

項目 S造の特徴
強度・軽さ 軽量で高強度。同じ断面でRC造より軽い
工期 RC造より短い。工場製作+現場組立て
耐火性 低い。鉄骨は約550℃で強度が半減。耐火被覆が必須
遮音性 低い。RC造に比べて軽量なため音が伝わりやすい
座屈 細長い部材は座屈(横に曲がる破壊)に注意
適した建物 倉庫・工場・体育館・商業施設(大スパン建物)、超高層ビル

接合方法

高力ボルト接合

  • ボルトを強く締めて摩擦力で接合
  • 現場施工が容易。品質管理しやすい
  • トルシア形高力ボルトが主流
  • 1次締め→マーキング→本締めの手順

溶接接合

  • 金属を溶かして一体化させる接合
  • 完全溶込み溶接・隅肉溶接がある
  • 施工者の技量が品質を左右
  • 超音波探傷試験(UT)で品質検査

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)— 1級で新たに出題

SRC造の基本原理

SRC造はSteel Reinforced Concreteの略。鉄骨の周りに鉄筋を配置し、コンクリートで覆った構造です。RC造とS造の「いいとこ取り」と言える構造形式です。

SRC造=鉄骨+鉄筋+コンクリートの三位一体

  • 鉄骨:骨格として高い強度と靭性を提供
  • 鉄筋:鉄骨の周囲を補強し、ひび割れを制御
  • コンクリート:鉄骨と鉄筋を包み込み、耐火性・耐久性・遮音性を付与

現場でのイメージ

20階建てのオフィスビルの柱を想像してください。まず中心にH形鋼を建て、その周りに鉄筋を配置し、最後に型枠を組んでコンクリートを打設する。鉄骨がRCだけでは難しい高層建物の柱に必要な強度と靭性を確保し、コンクリートが鉄骨を火災から保護する。SRC造は高層建物の柱・梁によく使われる構造形式です。

SRC造の特徴

項目 SRC造の特徴
強度・靭性 RC造より高い。鉄骨の靭性+コンクリートの圧縮強度が組み合わさる
耐火性 S造より高い。コンクリートが鉄骨を覆うため、別途耐火被覆が不要な場合も
部材断面 RC造より小さくできる。同じ強度を、より細い柱・梁で実現
施工の複雑さ 高い。鉄骨の建方+配筋+型枠+打設と工程が多い
コスト RC造・S造より高い。材料費・施工費ともに増加
適した建物 中高層〜超高層のオフィスビル・ホテル・病院

3つの構造の比較

試験では3つの構造を比較する問題が頻出です。以下の表で整理しておきましょう。

項目 RC造 S造 SRC造
耐火性 高い 低い(被覆必要) 高い
遮音性 高い 低い 高い
自重 大きい 小さい やや大きい
工期 長い 短い 長い
コスト 中〜高 高い
大スパン やや苦手 得意 可能
適した高さ 中低層〜中高層 低層〜超高層 中高層〜超高層

※ 3列を超える表ですが、構造比較のため例外的に4列で表示しています。スマートフォンでは横スクロールが必要な場合があります。

よくある間違い・ひっかけポイント

ひっかけ1: S造の耐火性

鉄は強い材料のイメージがありますが、約550℃で強度が半減します。火災の温度(800〜1,000℃)には耐えられないため、S造には耐火被覆が必須。「鉄骨造は耐火性が高い」は不正解です。

ひっかけ2: SRC造とRC造の部材断面

SRC造はRC造より部材断面を小さくできる。鉄骨が高い耐力を負担するため、同じ強度でもコンクリートの断面を減らせます。「SRC造はRC造より断面が大きい」は不正解。

ひっかけ3: 鉄筋とコンクリートの線膨張係数

RC造が成立する理由の一つは、鉄筋とコンクリートの線膨張係数がほぼ同じ(約1×10⁻⁵/℃)であること。「線膨張係数が大きく異なる」は不正解。この相性の良さがRC造の根幹です。

理解度チェック

【問題1】SRC造の特徴として正しいものはどれですか?

(1)RC造より部材断面が大きくなる (2)RC造より部材断面を小さくできる (3)S造より耐火性が低い (4)RC造より施工が簡単

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正解:(2)RC造より部材断面を小さくできる
SRC造は鉄骨が高い耐力を負担するため、RC造と同じ強度をより細い柱・梁で実現できます。耐火性はS造より高く(コンクリートが鉄骨を覆う)、施工はRC造より複雑です。

【問題2】S造(鉄骨造)の特徴として正しいものはどれですか?

(1)耐火性が高い (2)遮音性に優れる (3)鉄骨は約550℃で強度が半減する (4)RC造より工期が長い

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正解:(3)鉄骨は約550℃で強度が半減する
鉄骨は高温に弱く、約550℃で強度が半分になります。そのため耐火被覆(吹付けロックウール、耐火板など)が必須。S造は耐火性が低く、遮音性も低い。ただし工場製作→現場組立てのためRC造より工期は短い。

【問題3】RC造で鉄筋とコンクリートの組み合わせが成立する理由として正しいものはどれですか?

(1)線膨張係数が大きく異なるため (2)線膨張係数がほぼ同じため (3)鉄筋が圧縮力に強いため (4)コンクリートが引張力に強いため

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正解:(2)線膨張係数がほぼ同じため
鉄筋とコンクリートの線膨張係数は約1×10⁻⁵/℃でほぼ同じ。温度変化しても両者が同じように伸縮するため、温度応力による剥離が生じにくい。これがRC造の根幹を支える物理的根拠です。コンクリートは圧縮に強く引張に弱い、鉄筋は引張に強い、という相互補完も成立の理由です。

まとめ

この記事のポイント

  • RC造:コンクリート(圧縮)+鉄筋(引張)。耐火性・遮音性が高い
  • S造:軽量・大スパン向き。ただし耐火性が低い(550℃で強度半減)
  • SRC造:RC+Sの長所を併せ持つ。1級で新たに出題される分野
  • SRC造はRC造より部材断面を小さくできる。コスト・施工は最も高い
  • 3構造の比較表をそのまま暗記しておくと、試験で即答できる

1級建築 第一次検定の科目別対策

各種構造②(木造・基礎構造・地盤)も合わせて学習しましょう。

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