2級管工事(第一次)

【2級管工事】流体力学(ベルヌーイの定理・圧力損失)をわかりやすく解説|原論②

流体力学(ベルヌーイの定理・圧力損失)の要点(30秒でわかる)

  • ベルヌーイの定理:流速が速い→圧力が低い(速度エネルギー+圧力エネルギー+位置エネルギー=一定)
  • 連続の式:管径が小さい→流速が速い(A₁V₁=A₂V₂)
  • レイノルズ数:Re<2,000で層流、Re>4,000で乱流。配管設計の基礎
  • 圧力損失:直管部の摩擦損失+局部損失(弁・エルボ等)→ポンプ揚程に直結
  • 出題傾向:原論の選択科目。計算よりも原理の理解を問う問題が多い

結論から言います。流体力学の出題はベルヌーイの定理・管内の流れ・圧力損失の3テーマに集中しています。公式そのものを覚えるより、「配管の中で何が起きているか」をイメージできれば、ほとんどの問題に対応できます。

出題傾向(2級管工事 第一次検定)

原論は毎年No.1〜3の3問が出題され、全問必須(選択不可)です。流体力学からは例年1問出題されます。

ベルヌーイの定理・レイノルズ数に関する問題が多く、パターンが決まっているので対策しやすい分野です。第一次検定全体の出題傾向は「第一次検定の出題傾向と攻略法」で解説しています。

流体力学とは?管工事の配管設計に不可欠な基礎

流体力学は「水や空気がどう流れるか」を学ぶ分野です。管工事はまさに「管の中の流体をコントロールする仕事」。給水管の水圧、ダクト内の風速、配管の圧力損失――すべて流体力学の知識で説明できます。

前の分野「原論①(環境工学 — 伝熱・結露・換気)」が建物内の快適さの話だったのに対し、流体力学は配管・ダクトの中で何が起きているかの話です。

配管設計で流体力学を無視すると大変なことになります。たとえば管径の選定を誤ると、ウォーターハンマー(水撃作用)が発生して配管が破損したり、消火設備のスプリンクラーに十分な水圧が届かなかったりします。「理論だけの話」ではなく、現場の安全に直結する知識なのです。

流体力学の4大テーマ ― つながりを理解しよう
① 連続の式 Q = A × v — 管のどこでも流量は同じ
② ベルヌーイの定理 流速UP → 圧力DOWN(エネルギー保存)
③ レイノルズ数 Re ≦ 2,300 → 層流 / Re ≧ 4,000 → 乱流
④ 圧力損失 摩擦損失 + 局部損失 → ポンプ選定に直結

この4つは順番に積み重なっています。まず連続の式で「流量は保存される」と理解し、ベルヌーイの定理で「流速と圧力の関係」を学び、レイノルズ数で「流れのタイプ」を判定し、最後に圧力損失で「実際の配管設計」につなげる。この流れを意識すると記憶に残りやすくなります。

ベルヌーイの定理|流速と圧力の関係【頻出】

ベルヌーイの定理は流体力学で最も重要な法則で、毎年のように出題されます。

ベルヌーイの定理(簡略版)

位置エネルギー + 圧力エネルギー + 速度エネルギー = 一定

流体のエネルギーの合計は、管のどの地点でも変わらない(損失がない理想的な場合)

ポイントは「流速が上がると圧力が下がる」ということ。

現場でのイメージで考えてみましょう。ホースの先を指で半分つぶすと、水が勢いよく飛び出しますよね。管の断面積が小さくなると流速が上がり、その分だけ圧力が下がる――これがベルヌーイの定理です。

身近な例で理解する

現象 ベルヌーイの定理で説明すると
配管の絞り部分 管径が小さくなる→流速UP→圧力DOWN
電車通過時のホーム 電車と人の間の空気が速くなる→圧力が下がる→吸い寄せられる
スプレーガン 空気を高速で流す→低圧が発生→液体を吸い上げて霧状にする

この原理は空調のダクト設計でも重要です。ダクトの断面積が変わると風速と静圧が変化するため、「空調設備②(換気設備・排煙設備・ダクト)」で具体的な設計の話を解説しています。

試験での引っかけパターン

「流速が上がると圧力も上がる」→ 誤り(流速UPなら圧力DOWN)。この逆の関係を引っかけにする問題が非常に多いので注意。

連続の式|管径と流速の関係(A₁V₁=A₂V₂)

連続の式は「配管の中を流れる流体の量(流量)はどこでも同じ」という法則です。

連続の式

Q = A × v(流量 = 断面積 × 流速)

Q:流量(m³/s)、A:管の断面積(m²)、v:流速(m/s)

配管が太い部分では流速が遅く、細い部分では流速が速くなります。断面積が半分になれば、流速は2倍。ホースの先をつぶすと水が勢いよく出るのは、この連続の式とベルヌーイの定理の両方で説明できます。

試験でよく出るのは「管径が半分になったら流速は何倍?」というパターン。断面積は管径の2乗に比例するので、管径が半分→断面積は1/4→流速は4倍になります。「半分で4倍」は頻出なので覚えておきましょう。

配管の太さと流速の関係は、施工方法にも影響します。「配管の接合・加工」では管径ごとの施工方法を解説しています。

レイノルズ数|層流と乱流の判定基準【頻出】

管の中の流れには「おとなしい流れ(層流)」と「暴れる流れ(乱流)」があります。これを判定するのがレイノルズ数です。

レイノルズ数(Re)

Re = v × d / ν

v:流速、d:管の内径、ν:動粘性係数。Re ≦ 2,300 で層流、Re ≧ 4,000 で乱流

流れの種類 特徴
層流(Re ≦ 2,300) 流れが規則正しい。流速が遅い、管径が小さい、粘性が高い場合に発生
乱流(Re ≧ 4,000) 流れが不規則に乱れる。実際の配管内の流れはほとんどが乱流
遷移域(2,300〜4,000) 層流から乱流に変わる不安定な状態

実際の管工事で水が流れる配管内は、ほとんどが乱流です。乱流は層流に比べて圧力損失が大きいので、配管の設計ではこの圧力損失を考慮してポンプの能力を決めます。

覚え方のコツ:「Re = Reynolds = 乱れ。数字が大きいほど乱れる」。レイノルズ数が大きい→乱流、小さい→層流。これだけで引っかけ問題に引っかからなくなります。

流れが乱流になると圧力損失が大きくなるだけでなく、配管の振動や騒音の原因にもなります。現場での騒音・振動対策は「品質管理・安全管理」でも触れています。

圧力損失|摩擦損失と局部損失の計算

配管内を流体が流れると、管壁との摩擦や曲がり・分岐でエネルギーが失われます。これが圧力損失です。

圧力損失の2種類

種類 原因と特徴
摩擦損失(直管部分) 管壁と流体の摩擦。管が長いほど、流速が速いほど大きくなる
局部損失(エルボ・バルブ等) 曲がり、分岐、縮小、弁などで発生。急な曲がりほど損失が大きい

現場でたとえると、長い直線の配管よりも、エルボ(90°曲がり)が何個も入った配管のほうが圧力損失が大きくなります。だからポンプの選定では「配管の長さ+エルボやバルブの局部損失」を合計した全揚程を計算するんです。

圧力損失を小さくするコツ(現場の知恵)

  • 管径を大きくする(流速が下がるため摩擦損失が減る)
  • エルボは90°ではなく45°を2個使って緩やかに曲げる
  • バルブはゲートバルブ(全開時の損失が小さい)を選ぶ
  • 配管ルートはなるべく最短距離にする

ポンプの全揚程 ― 圧力損失をどう使うか

ポンプを選定するときは、配管全体の圧力損失を計算して「全揚程」を求めます。これが実務で流体力学を使う最大の場面です。

ポンプ全揚程の計算手順
① 実揚程(吸込み水面から吐出し水面までの高低差)を確認
② 直管部分の摩擦損失を計算(管径・長さ・流速から)
③ 局部損失を合算(エルボ・バルブ・分岐など)
全揚程 = 実揚程 + 摩擦損失 + 局部損失

給水設備でのポンプ選定の実際は「給排水衛生設備①(給水設備・給湯設備)」で詳しく解説しています。

よくある質問と試験のひっかけポイント

Q. ベルヌーイの定理は計算問題として出る?

A. 2級では計算問題としてはほぼ出ません。「流速が速いところで圧力が低くなる」「管径が小さくなると流速が速くなる」といった原理の理解を正誤問題で問われます。公式の暗記より、原理のイメージを持つことが大切です。

Q. レイノルズ数の計算式は覚える必要がある?

A. 計算式(Re = vd/ν)自体はあまり出ませんが、Re<2,000で層流、Re>4,000で乱流の境界値は必ず覚えましょう。「2000と4000」がキーナンバーです。

Q. 圧力損失が大きいとどうなる?

A. ポンプの必要揚程が大きくなり、エネルギーコストが増加します。圧力損失を小さくするには、管径を大きくする、曲がり(エルボ)を減らす、摩擦係数の小さい管材を使うなどの方法があります。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:ベルヌーイの定理の原理(流速と圧力の関係)の正誤問題
  • パターン2:連続の式(管径が変わると流速がどう変化するか)
  • パターン3:層流と乱流の判定基準(レイノルズ数2,000・4,000)
  • パターン4:圧力損失に影響する要因(管径・流速・管長・粗さ)

暗記のコツ

項目 ポイント
ベルヌーイ 「速い=圧力低い」→ストローで吸うと紙が張り付くのと同じ原理
連続の式 「細い管=速く流れる」→ホースの先をつまむと水が勢いよく出る
レイノルズ数 「2000以下=層流(おとなしい)」「4000以上=乱流(暴れる)」
圧力損失 「管が細い・長い・曲がり多い=損失大」→太く・短く・まっすぐが理想

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

第一次検定の攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

【問1】ベルヌーイの定理によると、管内の流速が上がるとき、圧力はどうなるか?

解答を見る

正解:圧力は下がる
ベルヌーイの定理では、位置エネルギー+圧力エネルギー+速度エネルギー=一定。流速が上がると速度エネルギーが増えるので、その分だけ圧力エネルギーが減ります。

【問2】レイノルズ数が2,300以下のとき、管内の流れは何と呼ばれるか?

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正解:層流
レイノルズ数(Re)が2,300以下では流れが規則正しく、層を成すように流れます。Re ≧ 4,000では乱流、2,300〜4,000は遷移域です。

【問3】配管の圧力損失を小さくする方法として正しいのはどれか?
(1)管径を小さくする (2)流速を上げる (3)エルボの数を減らす (4)配管を長くする

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正解:(3)エルボの数を減らす
エルボやバルブは局部損失の原因。数を減らせば圧力損失が小さくなります。(1)管径を小さくすると流速が上がり損失増加。(2)流速が上がると摩擦損失増加。(4)配管が長いほど摩擦損失増加。

【問4】内径50mmの管から内径25mmの管に急縮小する場合、連続の式から流速は何倍になるか?

解答を見る

正解:4倍
断面積は管径の2乗に比例します。管径が50mm→25mm(1/2)になると、断面積は(1/2)²=1/4。連続の式Q=A×vからQが一定なので、断面積が1/4になれば流速は4倍です。「管径が半分→流速は4倍」は頻出パターンなので覚えておきましょう。

よくある質問と試験のひっかけポイント

ミニテストで知識を確認しよう

流体力学の知識を定着させるには、原論のミニテストが最適です。

📝 原論 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式52問)

こう間違える人が多い!

  • 「流速が速い=圧力が高い」と思い込む → 逆です。ベルヌーイの定理では流速UP→圧力DOWN
  • 「レイノルズ数が大きい=層流」と思い込む → 逆です。Re大→乱流。「数字が大きいほど乱れる」と覚える
  • 「管径を小さくすれば圧力損失が減る」と思い込む → 逆です。管径↓→流速↑→損失↑
  • 「層流のほうが圧力損失が大きい」と思い込む → 逆です。乱流のほうが損失大

流体力学は「逆」の引っかけが多い分野です。迷ったらホースの先を指でつぶすイメージを思い浮かべましょう。「管が細くなる→水が勢いよく出る(流速UP)→でも圧力は下がっている」。このイメージがあれば大丈夫です。

なぜ管工事に流体力学が必要なのか?

流体力学を知らないと、ポンプが水を送れない配管を設計してしまう危険があります。圧力損失を無視して管径を決めると、上階の蛇口から水が出ない、スプリンクラーが作動しないといった事故が実際に起きます。試験でもこの「なぜこの計算が必要か」の理解が問われるのです。

流体力学のまとめ|ベルヌーイとレイノルズ数を確実に

テーマ 覚えるべきポイント
ベルヌーイの定理 流速UP→圧力DOWN。位置+圧力+速度=一定
連続の式 Q=A×v。管が細くなれば流速が速くなる
レイノルズ数 Re≦2,300で層流、Re≧4,000で乱流。実際の配管はほぼ乱流
圧力損失 摩擦損失+局部損失。管径を大きく、エルボを減らすと損失減少

流体力学は公式が多く見えますが、配管の中のイメージで考えれば自然と理解できます。もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で紹介している過去問題集で演習するのが効果的です。

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