2級管工事(第一次)

【2級管工事】空調設備①(冷暖房方式・ヒートポンプ・熱源機器)をわかりやすく解説

空調設備①(冷暖房方式・ヒートポンプ・熱源機器)の要点(30秒でわかる)

  • 空調方式:全空気方式(ダクト)、水方式(FCU)、冷媒方式(パッケージ)の3分類
  • 全空気方式:単一ダクト(定風量/変風量)、二重ダクト。大規模建物向き
  • 水方式:ファンコイルユニット(FCU)+外調機。個別制御が可能
  • 冷媒方式:パッケージエアコン、マルチエアコン。小〜中規模建物に最適
  • 出題傾向:各方式の特徴・メリデメの正誤問題が頻出。比較表で整理すると覚えやすい

結論から言います。空調設備は第一次検定で最も問題数が多い選択分野のひとつです。冷暖房方式・ヒートポンプ・熱源機器の知識は、空調系の仕事をしている人なら得点源になります。

出題傾向(2級管工事 第一次検定)

空調設備はNo.6〜17の12問から出題されます(選択科目の一部)。空調方式の分類、熱源機器の種類、冷却塔の知識が頻出です。空調系の実務経験がある方は最優先で選択したい分野。全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」、選択戦略は「選択問題の戦略」をご覧ください。

空調方式の分類|全空気・水・冷媒の3方式【頻出】

空調方式は大きく分けて「何で熱を運ぶか」で分類されます。原論③「熱力学(冷凍サイクル・湿り空気線図)」で学んだ冷凍サイクルが、実際の空調設備でどう使われているかがこの分野のテーマです。

空調方式の分類
全空気方式
空気だけで熱を運ぶ
ダクトで温風/冷風を送る
例:単一ダクト方式
例:VAV・CAV方式
全水方式
水だけで熱を運ぶ
冷温水を配管で送る
例:ファンコイルユニット
ダクト不要で省スペース
空気+水方式
空気と水の両方を使う
ダクト+配管の併用
例:ダクト併用FCU方式
ゾーン制御が可能
冷媒方式(個別分散型)
冷媒(フロン等)で直接熱を運ぶ。例:ビル用マルチエアコン、ルームエアコン。配管が細くて施工が容易。個別制御しやすい

主な空調方式の比較

方式 メリット デメリット
単一ダクト(CAV) 構造がシンプル 個別のゾーン制御が難しい
単一ダクト(VAV) ゾーン別に風量制御可能、省エネ VAVユニットのコスト
ファンコイルユニット 個別制御しやすい、ダクト不要 換気は別途必要
ビル用マルチ 室ごとに運転ON/OFF可能 大規模には不向き

実際のオフィスビルでは、ダクト併用ファンコイルユニット方式がよく使われます。中央の空調機から新鮮空気をダクトで送り、各室のファンコイルで温度を個別調整する――「換気は中央、温度調整は各室」という合理的な仕組みです。

CAVとVAVの違い(超頻出)

  • CAV(定風量方式):風量は一定で、温度を変えて制御。構造がシンプル
  • VAV(変風量方式):温度は一定で、風量を変えて制御。省エネ効果が高い
  • 覚え方:C=Constant(一定)=風量一定、V=Variable(可変)=風量可変

ダクトの設計や圧力損失については「空調設備②(換気設備・排煙設備・ダクト)」で詳しく解説しています。ダクト内の流速と圧力損失は原論②「流体力学」の知識が土台になります。

熱源機器の種類と特徴|ボイラ・チラー・ヒートポンプ

熱源機器は冷水・温水・蒸気を作る「空調の心臓部」です。

機器 機能と特徴
冷凍機 冷水を作る。圧縮式(ターボ・スクリュー・レシプロ)と吸収式がある
ボイラー 蒸気・温水を作る。暖房・給湯に使用。燃料はガス・油が多い
ヒートポンプ 冷暖房兼用。冷媒の流れを切り替えて冷水/温水を作る。COP3〜6
吸収冷凍機 ガスや蒸気の熱を利用して冷水を作る。電力消費が少ない
冷却塔(クーリングタワー) 冷凍機の排熱を外気に放出する装置。水の蒸発冷却を利用

大きなビルの屋上に見える「もわもわと水蒸気が上がっている箱」が冷却塔です。冷凍機で冷水を作る際に発生する熱を、冷却水を使って冷却塔から外気に捨てます。冷却塔はレジオネラ菌の繁殖リスクがあるため、定期的な清掃と水質管理が義務づけられています。

ヒートポンプの原理(冷凍サイクルとCOP)については、原論③「熱力学」で理論的な解説をしています。

吸収冷凍機と圧縮冷凍機の違い

項目 圧縮冷凍機 吸収冷凍機
動力 電気(コンプレッサー) ガス・蒸気(熱)
冷媒 フロン系 水(吸収剤は臭化リチウム)
電力消費 大きい 小さい(ピーク電力削減に有利)

なぜ吸収冷凍機が選ばれるのか(現場の知恵)

夏のピーク時に電力使用量を抑えたいビルでは、ガスで動く吸収冷凍機が選ばれることがあります。電力デマンドを下げることで電気代を大幅に削減できるのです。「電気で冷やすか、ガスで冷やすか」はビルのエネルギー戦略そのものです。

よくある質問と試験のひっかけポイント

Q. 全空気方式と水方式の最大の違いは?

A. 搬送媒体の違いです。全空気方式は空気をダクトで送って冷暖房。水方式は冷温水を配管で送り、各室のFCU(ファンコイルユニット)で冷暖房。水は空気より熱容量が大きいため、配管が小さくて済むのが水方式のメリットです。

Q. 変風量(VAV)方式と定風量(CAV)方式の違いは?

A. CAV(定風量)は常に一定風量を送り、温度で調整。VAV(変風量)は必要に応じて風量を変化させるため省エネ効果が高い。大規模ビルではVAVが主流です。

Q. パッケージエアコンとマルチエアコンの違いは?

A. パッケージは室外機1台に室内機1台。マルチは室外機1台に複数の室内機を接続できるため、設置スペースが限られるビルで採用されます。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:全空気方式・水方式・冷媒方式の特徴と適用先の正誤問題
  • パターン2:定風量(CAV)と変風量(VAV)の比較問題
  • パターン3:FCU(ファンコイルユニット)の特徴と設置場所
  • パターン4:熱源機器(ボイラ・チラー・ヒートポンプ)の原理と特徴

暗記のコツ

項目 ポイント
3方式の搬送媒体 全空気=空気、水=冷温水、冷媒=フロン等
VAV vs CAV VAV=Variable(変化)=省エネ、CAV=Constant(一定)
FCU Fan Coil Unit=ファンとコイルで個別空調→水方式の代表
ヒートポンプ 冷凍サイクルの応用→冷暖房切替可能→COP3〜6で高効率

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

第一次検定の攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

【問1】VAV方式はどのように室温を制御するか?

解答を見る

正解:風量を変えて制御する
VAV(Variable Air Volume=変風量方式)は送風温度を一定にして、各ゾーンへの風量を変えることで温度を制御します。負荷が少ないゾーンは風量を絞るので省エネ効果が高いのが特徴です。

【問2】吸収冷凍機の冷媒と吸収剤の組み合わせとして正しいのはどれか?

解答を見る

正解:冷媒=水、吸収剤=臭化リチウム
吸収冷凍機は水を冷媒として使い、臭化リチウム水溶液で水蒸気を吸収する仕組みです。フロンを使わないため環境負荷が低いのもメリットです。

【問3】冷却塔で注意すべき衛生上のリスクは何か?

解答を見る

正解:レジオネラ菌の繁殖
冷却塔の水温(25〜40℃)はレジオネラ菌が繁殖しやすい温度帯です。飛散した水滴を吸入するとレジオネラ症(肺炎)を引き起こす恐れがあるため、定期的な清掃・殺菌・水質管理が必要です。

【問4】ファンコイルユニット(FCU)方式で別途設備が必要になるのは何か?
(1)暖房 (2)冷房 (3)換気 (4)除湿

解答を見る

正解:(3)換気
FCUは冷温水で室内空気を加熱・冷却するだけで、外気の取り入れ(換気)はできません。そのため全水方式では換気設備を別途設ける必要があります。これがダクト併用FCU方式が選ばれる理由のひとつです。

よくある質問と試験のひっかけポイント

ミニテストで知識を確認しよう

空調設備は管工事の出題数が多い重要分野。ミニテストで知識を定着させましょう。

📝 空調設備 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式52問)

こう間違える人が多い!

  • 「CAVは風量を変えて制御」 → 逆。CAV=Constant(一定)は風量一定で温度を変えて制御。風量を変えるのはVAV
  • 「吸収冷凍機の冷媒はフロン」 → フロンは圧縮冷凍機。吸収冷凍機の冷媒は水で、吸収剤が臭化リチウム
  • 「FCUだけで換気もできる」 → FCUは室内循環のみ。換気には別途外気導入設備が必要
  • 「冷却塔は冷凍機を冷やす」 → 正確には冷凍機の凝縮器で温まった「冷却水」を冷やす装置

なぜ冷暖房方式の使い分けが出題されるのか?

建物の用途(オフィス、病院、工場…)によって最適な空調方式は全く異なります。たとえば手術室にファンコイルユニットは使えません(ホコリが舞う)。管工事の現場では「なぜこの方式を選んだか」を理解して施工する必要があり、試験でも方式の特徴と用途のマッチングが頻出です。

まとめ|空調方式の比較を正確に覚える

テーマ 覚えるべきポイント
空調方式 全空気・全水・空気+水・冷媒の4分類。CAV(定風量)とVAV(変風量)の違い
熱源機器 冷凍機・ボイラー・ヒートポンプ・吸収冷凍機の役割と違い
冷却塔 排熱を外気に放出。レジオネラ菌対策が必須

空調設備は管工事の花形分野です。もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で紹介している過去問題集で演習しましょう。

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