【2級合格後に1級を目指すべき?】(30秒でわかる要点)
- 2級は主任技術者、1級は監理技術者:1級を取ると大規模工事の配置が可能に
- 年収差は約100〜200万円:1級保有者は転職市場でも圧倒的に有利
- 経審加点は2級2点 vs 1級5点:会社の入札力に直結する
- 2021年改正で受験ハードルが下がった:2級合格後すぐに1級第一次を受験可能に
- キャリアの方向性で判断:現場所長を目指すなら1級は必須。小規模工事中心なら2級で十分
結論から言います。キャリアアップを目指すなら、2級合格後に1級を取得すべきです。
施工管理技士の2級と1級では、担当できる工事の規模・年収・転職市場での価値が大きく違います。ただし、全員が1級を目指す必要はありません。自分のキャリアプランに合わせて判断することが大切です。
この記事では、2級から1級へステップアップするメリット、受験資格の要件、年齢別のキャリア戦略まで詳しく解説します。
2級と1級の違い|主任技術者 vs 監理技術者
施工管理技士の2級と1級で最も大きな違いは、現場で果たせる役割です。
| 比較項目 | 2級施工管理技士 | 1級施工管理技士 |
|---|---|---|
| なれる技術者 | 主任技術者 | 主任技術者+監理技術者 |
| 担当できる工事 | 小〜中規模工事 | 制限なし(大規模工事もOK) |
| 監理技術者の配置 | 不可 | 可能(下請総額4,500万円以上) |
| 経審加点 | 2点 | 5点 |
| 資格手当の相場 | 月5,000〜15,000円 | 月10,000〜30,000円 |
| 転職市場での評価 | 一定の評価 | 非常に高い |
建設業法では、下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の工事には、監理技術者を配置しなければなりません(建設業法第26条)。この監理技術者になれるのは1級施工管理技士だけです。
つまり、大規模な現場を任されたいなら、1級の取得は避けて通れません。
2級と1級の基本的な違いについて詳しくは「2級vs1級 施工管理技士の違いを徹底比較」をご覧ください。
1級施工管理技士を取る5つのメリット
メリット1:大規模工事に配置できる
1級を取得すると監理技術者として大規模工事に配置可能になります。マンション建設、道路の大規模改修、商業施設の新築など、社会インフラに関わるやりがいの大きい現場を担当できるようになります。
メリット2:年収アップが見込める
1級保有者は2級のみと比較して年収が100〜200万円程度高い傾向にあります。会社によっては1級の資格手当として月額1〜3万円を支給しています。
年収の詳しい比較は「施工管理技士の年収・将来性」で解説しています。
メリット3:転職市場で圧倒的に有利
建設業界は慢性的な人手不足で、特に1級施工管理技士は引く手あまたです。求人サイトでは「1級保有者は年収600万円以上」といった条件が並びます。2級でも転職に有利ですが、1級があると選択肢が格段に広がります。
メリット4:経審で会社に大きく貢献
1級は経審で5点、2級は2点。この2.5倍の差は、会社の入札力に直結します。「1級を取ったら昇進した」という声が多いのは、経審加点で会社に貢献できるようになるからです。
メリット5:現場所長・管理職への道が開ける
ゼネコンやサブコンでは、現場所長のポジションに1級保有が必須条件になっていることが少なくありません。管理職や幹部を目指すなら、1級は事実上の必須資格です。
1級の受験資格|2021年改正で緩和
2021年の制度改正により、施工管理技士の受験資格は大きく緩和されました。
第一次検定
1級の第一次検定は、2級の第一次検定合格後、実務経験なしで受験可能になりました(受験年度に19歳以上であること)。以前は長い実務経験が必要でしたが、改正で早期にチャレンジできるようになっています。
第二次検定
第二次検定については、引き続き実務経験が必要です。必要な年数は最終学歴により異なります。
| ルート | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 2級合格後(大学卒・指定学科) | 合格後、実務経験3年以上 |
| 2級合格後(高校卒・指定学科) | 合格後、実務経験5年以上 |
| 2級合格後(その他) | 合格後、実務経験5年以上 |
受験資格の改正について詳しくは「施工管理技士の受験資格改正まとめ」をご確認ください。
改正のポイント
- 2級の第一次検定は17歳以上なら実務経験不要で受験可能
- 1級の第一次検定も2級合格者は実務経験不要で受験可能に(19歳以上)
- 第一次検定に合格すると「技士補」の称号が得られ、一生有効
- 第二次検定は引き続き実務経験が必要
2級合格後の最適なステップアップ計画
2級に合格したら、以下のタイムラインで1級を目指すのが効率的です。
2級合格→1級取得のモデルスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2級合格直後 | 2級の知識が新鮮なうちに1級第一次検定の学習を開始 |
| 翌年の試験 | 1級第一次検定を受験→合格すると「1級技士補」に |
| 実務経験を積む | 第二次検定の受験資格(大卒3年/高卒5年)を満たすまで実務に集中 |
| 受験資格到達 | 1級第二次検定を受験→合格で「1級施工管理技士」に |
重要なのは、2級合格後になるべく早く1級第一次検定に挑戦することです。2級で学んだ内容が1級の基礎になるため、間隔が空くほど記憶が薄れて学習効率が落ちます。
施工管理技士のキャリアパスモデル
| ステップ | ポジション | 必要な資格 | 目安年収 |
|---|---|---|---|
| 1 | 現場作業員・見習い | なし | 300〜350万円 |
| 2 | 施工管理(担当者) | 2級施工管理技士 | 400〜500万円 |
| 3 | 主任技術者 | 2級施工管理技士 | 450〜600万円 |
| 4 | 監理技術者 | 1級施工管理技士 | 550〜750万円 |
| 5 | 現場所長・工事部長 | 1級施工管理技士 | 700〜1,000万円以上 |
ステップ3までは2級だけで到達できますが、ステップ4以降は1級が必須です。年収面でもステップ3→4で大きく跳ね上がるポイントがあります。
2級だけで十分なケース vs 1級が必要なケース
2級だけで十分なケース
- 小〜中規模の工事が中心の会社に勤務
- 現場所長ではなく技術者として現場に入りたい
- 今の会社で主任技術者として安定したポジションがある
- 定年まであと数年で、大きなキャリアチェンジは望まない
1級が必要なケース
- 大規模工事の現場所長を目指している
- 年収600万円以上を目標にしている
- より条件の良い会社への転職を考えている
- ゼネコンやサブコンで管理職を目指したい
- 会社から1級取得を求められている
複数種の施工管理技士を取る「マルチ資格」のメリット
1級への縦のステップアップだけでなく、複数種の施工管理技士を取る「横の展開」も有効な戦略です。
たとえば以下のような組み合わせが実務で役立ちます。
- 建築+土木:建築工事に付随する外構・造成工事にも対応できる
- 電気工事+管工事:設備工事全般をカバー。設備系サブコンで重宝される
- 建築+電気工事:建築現場の電気設備もわかる。ゼネコンで評価が高い
複数の資格を持っていると、会社の経審に複数業種で貢献でき、社内評価と転職市場での価値が上がります。
どの資格から取るべきか迷っている方は「施工管理技士 どれから取る?」も参考にしてください。
年齢別のキャリア戦略
20代:まず2級、すぐに1級第一次へ
20代は時間が最大の武器です。2級に合格したら、すぐに1級の第一次検定に挑戦しましょう。2021年改正で実務経験なしでも受験できるようになったため、最短ルートで1級技士補を取得できます。実務経験を積みながら、30歳前後で1級の完全取得を目指すのが理想的です。
30代:1級取得が年収の分岐点
30代は1級を取得するかどうかでキャリアが大きく分かれる時期です。主任技術者として数年の実績がある段階で、1級を取得すれば監理技術者としてのキャリアが開けます。転職を考えている方は、1級取得後に動くのが最も有利です。
40代:1級を持っていれば安泰、なければ急いで
40代で1級を持っていない場合は、今すぐ学習を始めるべきです。50代以降は新しい知識の吸収が難しくなる傾向があり、今が最後のチャンスかもしれません。逆に40代で1級を持っていれば、管理職や現場所長としてのポジションは安泰です。
50代以降:マルチ資格で差別化
50代以降で新たに1級を目指すのも十分可能です。特にすでに別の種類の1級を持っている方が、2種目の1級を取得するケースは珍しくありません。若手が不足する中、ベテラン×複数資格の組み合わせは市場価値が高いです。
1級施工管理技士の難易度と合格率
1級は2級より難易度が上がりますが、2級の知識がベースにあればそれほど恐れる必要はありません。
| 検定 | 合格率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1級 第一次検定 | 30〜50% | 2級より範囲が広いが、マークシートなので過去問反復が有効 |
| 1級 第二次検定 | 30〜50% | 記述式。施工経験記述のレベルが上がるため、添削指導が効果的 |
合格率は2級と比べて低めですが、しっかり対策すれば一発合格は可能です。1級の学習には100〜200時間が目安。仕事をしながらでも3〜6ヶ月あれば合格を狙えます。
各資格の難易度を比較したい方は「施工管理技士 難易度ランキング」をどうぞ。
よくある質問(FAQ)
Q. 2級に合格したらすぐに1級を受験できますか?
第一次検定は、2級合格後すぐに受験可能です(受験年度に19歳以上であること)。ただし第二次検定は所定の実務経験が必要です。大学卒で3年以上、高校卒で5年以上が目安です。
Q. 1級の勉強時間はどれくらい必要ですか?
一般的に第一次検定で100〜200時間、第二次検定で50〜100時間が目安です。2級の知識がベースにあるため、ゼロから始めるより効率的に学習できます。
Q. 2級を飛ばしていきなり1級を受験できますか?
受験資格を満たしていれば可能です。ただし、1級の第二次検定には長い実務経験が求められるため、まず2級→1級とステップアップするのが一般的です。
Q. 複数の種類の施工管理技士を持つメリットはありますか?
あります。複数の資格を持っていると、会社の経審に複数業種で貢献でき、社内評価と転職市場での価値が上がります。「建築+土木」「電気工事+管工事」が実務で活かしやすい組み合わせです。
まとめ
この記事のポイント
- 1級を取ると年収100〜200万円アップが見込める
- 監理技術者になれるのは1級だけ。大規模工事への配置には必須
- 2021年改正で2級合格後すぐに1級第一次を受験可能に
- 2級合格後、記憶が新鮮なうちに1級の学習を始めるのがベスト
- 現場所長・管理職を目指すなら1級は事実上の必須資格
- 小規模工事中心・主任技術者で十分なら2級だけでもOK
施工管理技士の資格全体について知りたい方は「施工管理技士とは?7種類の資格を徹底解説」もあわせてお読みください。