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施工管理技士とは?7種類の資格を徹底解説

施工管理技士とは?(30秒でわかる要点)

  • 施工管理技士:建設工事の施工管理ができる国家資格(建設業法に基づく)
  • 7種類:建築・土木・電気工事・管工事・造園・建設機械・電気通信
  • 2級と1級:2級→主任技術者、1級→監理技術者(大規模工事に必要)
  • 受験資格:第一次検定は17歳以上なら実務経験不要(2021年改正)
  • 需要:建設業の人手不足で有資格者は非常に求められている

施工管理技士とは、建設工事の施工管理を行うための国家資格です。

ざっくり言うと「工事現場の総監督」。工事が安全に・品質よく・スケジュール通りに進むように管理するプロフェッショナルの証明書です。

「名前は聞いたことあるけど、何種類あるの?」「2級と1級って何が違うの?」という疑問をお持ちの方に向けて、この記事では施工管理技士の全7種類・試験の仕組み・現場での役割をゼロからわかりやすく解説します。

施工管理技士とは?ひと言でいうと「工事現場の総監督」

建設工事の現場には、たくさんの職人さんや業者さんが出入りします。

大工さん、鉄筋屋さん、電気屋さん、配管屋さん……。

それぞれがバラバラに動いたら、工事はめちゃくちゃになりますよね。

そこで必要なのが「施工管理」という仕事。

施工管理とは、以下の4つを管理する仕事です。

施工管理の4大管理
🔨
品質管理
設計図通りの品質か確認する
工程管理
スケジュール通りに進める
🛡
安全管理
事故やケガを防ぐ
💰
原価管理
予算内に収める

たとえばマンション建設の現場では、鉄筋の配筋検査をして設計図通りに組まれているかチェックしたり、コンクリートの養生期間が適切か管理したりします。

こうした施工管理のプロフェッショナルであることを証明する国家資格が、施工管理技士です。

資格がないとどうなる?

建設業法では、一定規模以上の工事現場には主任技術者または監理技術者を配置する義務があります(建設業法第26条)。施工管理技士の資格がなければ、これらの技術者になることができません。特に、下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事では監理技術者が必要で、1級の資格保有者しかなれません。

なぜ施工管理技士が必要なのか

建設現場は、全産業の中でも労働災害の発生率が高い業種のひとつです。高所作業や重機の操作、大量の建材の搬入など、危険と隣り合わせの作業が日常的に行われています。

また、建物の品質は人の命に直結します。マンションの構造に問題があれば住民の安全が脅かされますし、道路や橋の施工不良は大事故につながりかねません。

こうしたリスクがあるからこそ、工事現場には専門知識と管理能力を持ったプロが必要です。施工管理技士は、品質・安全・工程・原価を一手に管理し、「正しい手順で、安全に、設計通りに」工事が進むよう監督する——いわば建設現場の安全と品質を守る最後の砦なのです。

施工管理技士 7種類の一覧と特徴

施工管理技士には全部で7種類あります。

それぞれ担当する工事のジャンルが違います。日常生活で目にする建設工事と結びつけて紹介しましょう。

種類 管理する工事 身近な例
建築施工管理技士 建物の建設工事 マンション、オフィスビル、学校
土木施工管理技士 道路・橋・ダム等の土木工事 道路舗装、河川の護岸工事
電気工事施工管理技士 電気設備工事 ビルの照明・コンセント配線
管工事施工管理技士 配管・空調・給排水工事 エアコン設備、水道管の敷設
造園施工管理技士 公園・庭園等の造園工事 公園の整備、街路樹の植栽
建設機械施工管理技士 建設機械による施工 ブルドーザーでの整地作業
電気通信工事施工管理技士 通信設備工事 光ファイバー敷設、基地局設置

7種類もありますが、受験者が特に多いのは建築・土木・電気工事・管工事の4つ。この4つが建設業界の「主要4種」と呼ばれています。

建築施工管理技士

マンション、オフィスビル、商業施設、学校など建物の建設工事を管理します。受験者数が7種類の中で最も多く、建設業界では最もメジャーな資格です。

現場では、鉄筋の配筋が設計図通りかチェックしたり、コンクリート打設のタイミングを管理したりします。

2級建築施工管理技士とは?資格概要・できること

土木施工管理技士

道路、橋、トンネル、ダム、河川の護岸工事など土木工事を管理します。「インフラ」と呼ばれる社会の基盤を作る仕事です。

通勤で使っている道路、近所の橋、水害を防ぐ堤防——これらはすべて土木施工管理技士が管理した工事で作られています。

2級土木施工管理技士とは?資格概要・仕事内容

電気工事施工管理技士

ビルや工場の電気設備工事を管理します。照明器具の取り付け、コンセントの配線、受変電設備の設置など、電気に関する工事全般が対象です。

なお、電気工事施工管理技士は「施工管理」の資格であり、実際に電気工事の作業を行うには別途電気工事士の資格が必要です。

2級電気工事施工管理技士とは?資格概要・できること

管工事施工管理技士

水道管、ガス管、空調ダクトなど配管・空調・給排水の工事を管理します。

オフィスのエアコンが効いているのも、蛇口をひねれば水が出るのも、管工事施工管理技士が管理した工事のおかげです。

2級管工事施工管理技士とは?資格概要・できること

造園施工管理技士

公園、庭園、緑地帯、街路樹など造園工事を管理します。都市の緑化計画にも携わる、自然と向き合う資格です。

建設機械施工管理技士

ブルドーザー、バックホウ(ショベルカー)、クレーンなど建設機械を使った施工を管理します。大規模な土工事や造成工事で活躍します。

電気通信工事施工管理技士

光ファイバーケーブルの敷設、携帯電話の基地局設置、LAN配線など通信設備工事を管理します。2019年に新設された最も新しい施工管理技士で、5G・IoTの普及により需要が高まっています。

主要4資格の早わかり比較

受験者数の多い主要4種について、工事のイメージと向いている人をまとめました。

種類 工事のイメージ こんな人向け
建築 マンション・ビル・住宅を建てる ゼネコン・ハウスメーカー勤務の方、建物づくりに関わりたい方
土木 道路・橋・トンネルを作る 公共工事に関わりたい方、インフラ整備に興味がある方
電気工事 照明・コンセント・受変電設備を設置する 電気工事会社勤務の方、電気工事士からのステップアップを目指す方
管工事 空調・給排水・ガス配管を設置する 設備工事会社勤務の方、空調・衛生設備に関わる方

2級と1級の違い — 主任技術者と監理技術者

施工管理技士には、7種類それぞれに2級と1級があります。

最大の違いは「なれる技術者の種類」と「担当できる工事の規模」です。

項目 2級 1級
なれる技術者 主任技術者 主任技術者+監理技術者
工事規模 小〜中規模 規模制限なし
難易度 入門〜中級 上級

主任技術者は、すべての工事現場に配置が義務づけられている技術者です(建設業法第26条第1項)。2級に合格すれば主任技術者になれます。

監理技術者は、下請代金の総額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の大規模工事に配置が必要な技術者です(建設業法第26条第2項)。こちらは1級でなければなれません。

ポイント

キャリアのステップとしては、まず2級を取得して主任技術者として現場経験を積み、その後1級にチャレンジするのが一般的なルートです。詳しくは「2級と1級の違い(主任技術者 vs 監理技術者)」で解説しています。

施工管理技士のキャリアパス

未経験から施工管理技士としてステップアップしていく一般的な流れを見てみましょう。

未経験・学生
17歳以上であれば受験資格あり
2級 第一次検定 合格
「2級施工管理技士補」の称号を取得(生涯有効)
実務経験を積む
2級 第二次検定 合格
「2級施工管理技士」として主任技術者になれる
さらに経験を積む
1級 第一次検定 合格
「1級施工管理技士補」として監理技術者を補佐できる
1級 第二次検定 合格
「1級施工管理技士」として監理技術者になれる

このように、段階を踏んでキャリアアップできるのが施工管理技士の特徴です。いきなり1級を目指す必要はなく、まず2級の第一次検定からスタートするのが王道ルートです。

試験の仕組み — 第一次検定と第二次検定

施工管理技士の試験は、第一次検定第二次検定の2段階に分かれています。

項目 第一次検定 第二次検定
形式 マークシート(四肢択一) 記述式
合格基準 60%以上 60%以上
受験資格(2級) 17歳以上なら誰でも 実務経験が必要

第一次検定 — マークシートの知識試験

四肢択一(4つの選択肢から1つを選ぶ)のマークシート方式です。施工技術や法規に関する知識が問われます。

合格基準は60%以上。つまり、10問中6問正解できればOKです。

なお、種類によって出題数と解答数が異なります。

試験(2級) 出題 / 解答数 選択制
建築 50問 / 50問 全問必須
土木 61問 / 40問 選択あり
電気工事 64問 / 40問 選択あり
管工事 52問 / 40問 選択あり

土木・電気工事・管工事は選択制なので、得意な分野を選んで解答できます。苦手分野を避けられるのは大きなメリットです。

第二次検定 — 記述式の実技試験

第二次検定では、自分の言葉で解答を書く記述式の試験です。

最大の特徴は施工経験記述。実際に携わった工事について、工事名・工期・施工管理上の課題と対策を文章で書きます。

第二次検定は実務経験がないと受験できない点に注意してください。第一次検定に合格した後、必要な実務経験を積んでから挑戦します。

2021年の制度改正 — 大きな変更点

2021年度から試験制度が大きく変わりました。最大のポイントは以下の2つです。

2021年改正の2大ポイント

1. 第一次検定は17歳以上なら実務経験なしで受験OK
以前は2級でも実務経験が必要でしたが、改正後は17歳以上であれば誰でも第一次検定を受けられるようになりました。高校生でも受験できます。

2. 第一次検定合格で「技士補」の称号がもらえる
第一次検定に合格すると「施工管理技士補」という新しい資格が付与されます。これは生涯有効で、第二次検定に何度落ちても失効しません。

試験実施機関

施工管理技士の試験を実施している機関は以下の通りです。

  • 一般財団法人 建設業振興基金 — 建築・電気工事・管工事の施工管理技士
  • 一般財団法人 全国建設研修センター — 土木・造園・電気通信工事の施工管理技士
  • 一般社団法人 日本建設機械施工協会 — 建設機械施工管理技士

願書の取り寄せや試験日程の確認は、各機関の公式サイトで行います。

現場ではこう活きる!施工管理技士のリアル

「資格を取ると実際どう変わるの?」という疑問に、具体的な現場シーンでお答えします。

シーン1: マンション建設の現場(建築施工管理技士)

10階建てマンションの新築工事。施工管理技士であるAさんは、毎朝の朝礼で当日の作業内容と安全注意事項を全作業員に伝えます。

午前中は3階の鉄筋工事の配筋検査。設計図と照らし合わせて、鉄筋の太さ・本数・間隔が正しいかをひとつひとつ確認します。ここで見落とすと、建物の強度に直結する大問題です。

午後はコンクリート打設の立ち会い。天候や気温を考慮しながら、適切な養生方法を指示します。

シーン2: 道路舗装の現場(土木施工管理技士)

幹線道路のアスファルト舗装工事。Bさんは交通規制の計画から工事完了まで、すべてを管理します。

舗装の温度管理は特にシビア。アスファルトの温度が下がりすぎると締固め不良になるため、温度計で逐一チェックしながら作業を進めます。

シーン3: オフィスビルの電気工事(電気工事施工管理技士)

大型オフィスビルの電気設備工事。Cさんは各フロアの照明・コンセント・動力設備の施工計画を立て、複数の電気工事業者を取りまとめます。

「3階の天井裏の配線ルートが空調ダクトと干渉する」といった問題を事前に発見して、図面上で解決してから施工に進めるのが腕の見せどころです。

年収・将来性

建設業界は慢性的な人手不足が続いており、施工管理技士の需要は年々高まっています。

実際の年収の目安は以下の通りです。

項目 2級保有者 1級保有者
年収の目安 400〜550万円程度 500〜700万円以上
資格手当(月額) 5,000〜15,000円 10,000〜30,000円

資格を持っていると資格手当が支給される会社が多く、年間にすると2級でも6〜18万円、1級では12〜36万円のプラスになります。

また、公共工事を受注する際の経営事項審査(経審)では、施工管理技士の資格保有者がいると加点されます。具体的には、1級で5点2級で2点が加算されます。この点数は会社が公共工事を受注できるかどうかに直結するため、資格保有者は会社にとっても非常に貴重な存在です。

※年収はあくまで業界の一般的な目安です。勤務先・地域・経験年数により大きく異なります。

施工管理技士の年収相場やキャリアパスについて、さらに詳しくは「施工管理技士の年収・将来性・キャリアパス」をご覧ください。

どの施工管理技士から取るべき?選び方ガイド

「7種類もあって、どれから取ればいいかわからない!」という方のために、選び方のポイントをまとめました。

基本原則:自分の仕事に合った資格を選ぶ

施工管理技士は「何でも使える万能資格」ではなく、工事の種類ごとに分かれている資格です。まずは自分が携わっている(または携わりたい)工事に合った資格を選びましょう。

あなたに合う施工管理技士は?
Q. あなたの仕事は?
建物を建てる仕事
建築施工管理技士
道路・橋・トンネルを作る仕事
土木施工管理技士
電気設備の工事をする仕事
電気工事施工管理技士
配管・空調の仕事
管工事施工管理技士
公園・緑化の仕事
造園施工管理技士
重機を使う仕事
建設機械施工管理技士
通信設備の仕事
電気通信工事施工管理技士
まだ決まっていない
まずは建築土木がおすすめ

各資格の難易度・合格率の比較も参考にしてみてください。

迷ったら「建築」か「土木」

まだ建設業界に入っていない方や、特にやりたい分野が決まっていない方には、建築施工管理技士土木施工管理技士をおすすめします。

理由は以下の通りです。

  • 求人数が多い — 建築と土木は建設業界の中で最も工事件数が多いため、資格を活かせる場面が多い
  • 教材・情報が充実 — 受験者が多い分、参考書やネット上の情報も豊富
  • キャリアの幅が広い — ゼネコン、ハウスメーカー、自治体など就職先の選択肢が多い

施工管理技士 どれから取るべき?おすすめの順番」ではさらに詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 施工管理技士の試験は独学で合格できますか?

はい、2級の第一次検定は独学で十分合格可能です。市販のテキストと過去問を繰り返せば、多くの方が合格しています。第二次検定の施工経験記述は、通信講座の添削サービスを活用すると合格率がグッと上がります。

各資格の勉強法は以下の記事で詳しく解説しています。

Q. 複数の施工管理技士を取ることはできますか?

はい、何種類でも取得できます。実際に建築と土木の両方を持っている方や、電気工事と管工事を持っている方もいます。担当する工事の幅が広がるので、キャリアアップに有利です。

Q. 受験費用はいくらですか?

種類や級によって異なりますが、2級の第一次検定で5,000〜6,000円程度、第二次検定で6,000〜7,000円程度が目安です。最新の金額は各試験実施機関の公式サイトで確認してください。

Q. 高校生でも受験できますか?

2021年の制度改正により、17歳以上であれば実務経験なしで2級の第一次検定を受験できます。高校2年生から受験可能です。

Q. 施工管理技士補(技士補)とは何ですか?

施工管理技士補は、2021年の制度改正で新設された資格です。第一次検定に合格すると自動的に付与されます。

大きな特徴は以下の通りです。

  • 生涯有効 — 一度取得すれば、第二次検定に何度不合格になっても技士補の資格は失効しません
  • 1級技士補は監理技術者を補佐できる — 1級の第一次検定に合格して「1級技士補」になると、監理技術者の職務を補佐する「監理技術者補佐」として現場に配置できます。これにより、監理技術者が複数の現場を兼任できるようになります
  • 履歴書に書ける — 正式な国家資格なので、就職・転職活動でもアピールポイントになります

つまり、第二次検定の受験に必要な実務経験を積んでいる間も、「技士補」という資格を持った状態でいられるのが大きなメリットです。

理解度チェック(3問)

ここまでの内容を確認してみましょう。

【問題1】 施工管理技士の資格は全部で何種類ある?

A. 4種類 B. 5種類 C. 7種類 D. 10種類

解答を見る

正解:C(7種類)
建築・土木・電気工事・管工事・造園・建設機械・電気通信工事の7種類です。

【問題2】 2級施工管理技士に合格するとなれる技術者は?

A. 監理技術者 B. 主任技術者 C. 専任技術者のみ D. 特に何もなれない

解答を見る

正解:B(主任技術者)
2級合格で主任技術者になれます。監理技術者になるには1級が必要です。

【問題3】 2021年の制度改正で、2級の第一次検定は何歳以上なら受験できるようになった?

A. 15歳以上 B. 17歳以上 C. 18歳以上 D. 20歳以上

解答を見る

正解:B(17歳以上)
2021年の改正で、17歳以上であれば実務経験なしで第一次検定を受験できるようになりました。

施工管理技士に関するQ&A

Q. 施工管理技士と電気工事士はどう違う?

施工管理技士は「工事を管理する」資格、電気工事士は「電気工事の作業を行う」資格です。施工管理技士は現場全体の進捗・品質・安全を管理する立場で、電気工事士は実際に配線や機器の取付作業を行います。両方持っていると現場で非常に重宝されます。

Q. 7種類のうちどれが一番需要がある?

受験者数・求人数ともに建築施工管理技士と土木施工管理技士が圧倒的に多いです。建設業界全体で見ると土木の工事件数が最多ですが、建築は民間工事(マンション・ビルなど)が多いため求人の幅が広いです。迷ったら「どれから取るべき?」を参考にしてください。

まとめ

この記事のポイントをおさらいします。

  • 施工管理技士は、建設工事の施工管理を行うための国家資格
  • 全部で7種類あり、工事の種類ごとに分かれている
  • 2級で主任技術者、1級で監理技術者になれる
  • 試験は第一次検定(マークシート)と第二次検定(記述式)の2段階
  • 2021年の改正で、2級第一次検定は17歳以上なら実務経験不要
  • 第一次検定に合格すると「技士補」の資格が得られ、生涯有効
  • 建設業界の人手不足により、資格保有者の需要は年々増加
  • まずは自分の仕事に合った資格を選び、2級から挑戦するのがおすすめ

当サイト「施工管理ロードマップ」では、建築・土木・電気工事・管工事の4種類について、試験対策や学習法を詳しく解説しています。気になる資格があれば、ぜひチェックしてみてください。

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