2級電気工事(第一次)

【2級電気工事】電気理論(電磁気・直流回路・交流回路・計算問題)をわかりやすく解説

電気理論(電磁気・直流回路・交流回路)の要点(30秒でわかる)

  • 電磁気:フレミングの法則(左手=モーター、右手=発電機)、電磁誘導
  • 直流回路:オームの法則(V=IR)、直列・並列の合成抵抗、キルヒホッフの法則
  • 交流回路:インピーダンス(Z)、力率(cosθ)、共振が最頻出
  • 電気計測:電流計(直列接続)、電圧計(並列接続)、電力量計の仕組み
  • 出題傾向:交流回路のインピーダンス・力率が毎回出題→計算パターンを覚える

結論から言います。電気理論は2級電気工事施工管理技士 第一次検定の最初に出題される分野です。オームの法則やキルヒホッフの法則、交流回路のインピーダンス計算など「電気の基礎中の基礎」が問われます。

「計算問題が苦手……」という方も多いですが、実は出題パターンが限られているのがこの分野の特徴。公式を5〜6個覚えて、過去問を3年分練習すれば、ほぼ対応できます。

この記事では、電気理論の頻出テーマを小学生にもわかるレベルで噛み砕いて解説します。

出題頻度(2級電気工事 第一次検定)

電気理論はNo.1〜8(電気工学等)の選択科目から出題されます。例年3〜5問が電気理論から出題。オームの法則・インピーダンス・力率の計算問題が頻出です。計算が苦手なら「選択問題の戦略」で他の分野を選ぶ手もあります。全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。

電気理論の出題テーマ|電磁気・直流・交流・計測の4分野

電気理論は大きく4つのテーマに分かれます。

テーマ 主な内容
電磁気 磁力線・電磁力・電磁誘導・フレミングの法則
直流回路 オームの法則・直列/並列回路・キルヒホッフの法則
交流回路 インピーダンス・力率・共振・三相交流
電気計測 計器の種類・測定方法・誤差

この4テーマの中でも、直流回路と交流回路が圧倒的に出題頻度が高いです。ここを重点的に押さえましょう。

なぜ電気理論が施工管理で重要なのか?

電気工事の現場では「この回路に何A流れるか」「このケーブルで容量は足りるか」といった判断を日常的に行います。電気理論はその判断の土台になる知識です。オームの法則やインピーダンスの計算ができないと、過電流による火災や感電事故を防げません。試験では「現場で安全に判断できるか」を見るために、基礎的な計算問題が出題されるのです。

電磁気|フレミングの法則と電磁誘導【基礎】

磁力線の性質

磁石のN極から出てS極に入る線を「磁力線」と呼びます。小学校の理科で砂鉄をまいて観察した、あの模様です。電気の世界では、電流が流れると周りに磁界(磁力線)が発生するという原理が最重要ポイントです。

これを「右ねじの法則」で覚えます。右手でねじを回す方向に磁界が発生し、ねじが進む方向に電流が流れる——つまり、電線に電流を流すと、電線を中心に同心円状に磁界が広がるのです。

フレミングの法則

フレミングの法則には「左手の法則」と「右手の法則」の2種類があります。

法則 用途
左手の法則 電動機(モーター)の回転方向を求める。磁界中の電流が受ける力の向き
右手の法則 発電機の起電力の方向を求める。磁界中で導体を動かしたときに生じる電圧

覚え方のコツは「モーター=左手、発電=右手」。電動機(モーター)はエネルギーを「消費する」側、発電機はエネルギーを「生む」側。左手=消費、右手=産出、と紐づけると忘れにくいです。

電磁誘導

コイルの中の磁束(磁力線の束)が変化すると、コイルに電圧(起電力)が発生する現象です。これが発電の原理そのもの。水力発電でも火力発電でも、タービンを回してコイルの中の磁束を変化させることで電気を作っています。

日常で身近な例はIHクッキングヒーター。コイルに高周波電流を流して磁束を変化させ、鍋の底に渦電流(うずでんりゅう)を発生させて加熱する——これも電磁誘導の応用です。

直流回路|オームの法則と合成抵抗の計算

オームの法則

電気の最も基本的な法則です。

V = I × R

電圧(V)= 電流(A)× 抵抗(Ω)

たとえば、100Vのコンセントに1,000Wの電子レンジをつなぐと、流れる電流はI = P/V = 1,000/100 = 10A。一般家庭のブレーカーは20Aが多いので、電子レンジ1台で容量の半分を使っているわけです。現場で「このコンセント回路、何A流れるの?」と聞かれたとき、すぐ計算できる知識です。

直列回路と並列回路

接続方式 合成抵抗
直列接続 R = R₁ + R₂(そのまま足す)
並列接続 1/R = 1/R₁ + 1/R₂(逆数の和)

並列回路のポイントは、抵抗が増えるほど合成抵抗は小さくなること。ホースの例で考えるとわかりやすいです。水道管(抵抗)を1本から2本に増やすと、水(電流)が流れやすくなりますよね。同じ原理です。

キルヒホッフの法則

複雑な回路を解くための法則です。2つのルールがあります。

キルヒホッフの法則

第1法則(電流則):回路の分岐点に流れ込む電流の合計 = 流れ出る電流の合計

第2法則(電圧則):回路を1周したとき、電圧の上昇と降下の合計 = ゼロ

第1法則は「水が分岐して合流しても総量は変わらない」のと同じ。第2法則は「山を登って降りると標高は元に戻る」のと同じイメージです。試験では、2〜3個の抵抗がある回路で各部分の電流や電圧を求める問題が定番です。

電気理論 公式の関係フロー
基本(直流)
V = I × R
電圧=電流×抵抗
P = V × I(電力)
交流(応用)
Z = √(R²+X²)
インピーダンス
3-4-5パターン暗記
力率・三相
cosθ = R/Z
Y結線: 電圧×√3
Δ結線: 電流×√3

交流回路|インピーダンス・力率・共振【最頻出】

交流回路は第一次検定で最も出題頻度が高いテーマです。ここをしっかり押さえれば、電気理論の得点は安定します。

直流と交流の違い

直流(DC)は一方向に一定の電流が流れるもの(乾電池など)。交流(AC)は電流の向きと大きさが周期的に変わるもの(コンセントの電気)。

日本の家庭用電源は交流100V・50Hz(東日本)/ 60Hz(西日本)。1秒間に50回(または60回)電流の方向が切り替わっています。なぜ交流が使われるかというと、変圧器で簡単に電圧を変えられるから。発電所から何百kmも離れた場所に電気を送るとき、高い電圧にすれば送電ロスを減らせます。これは直流では簡単にできません。

インピーダンス(Z)

交流回路における「抵抗」のことをインピーダンス(Z)と呼びます。直流回路の抵抗(R)とは違い、コイルやコンデンサの影響も含みます。

Z = √(R² + X²)

インピーダンス = √(抵抗² + リアクタンス²)

たとえば、R=30Ω、X=40Ω の回路のインピーダンスは?

→ Z = √(30² + 40²) = √(900 + 1600) = √2500 = 50Ω

これは三平方の定理(ピタゴラスの定理)そのもの。3:4:5の直角三角形の比率です。試験ではこの「きれいな数字」の組み合わせが出ることが多いので、3-4-5、5-12-13、8-15-17の3パターンを覚えておくと計算が楽になります。

力率(cosθ)

力率は「電気がどれだけ有効に使われているか」を示す指標です。

力率 cosθ = R / Z

上の例で言えば、cosθ = 30/50 = 0.6(60%)。つまり供給された電力の60%しか有効に使われておらず、40%はコイルやコンデンサで「行ったり来たり」しているだけ(無効電力)です。

実際の工場では、力率が低いと電力会社から力率割増料金を取られます。そこで進相コンデンサを設置して力率を改善するのが一般的。力率を0.95以上に保つと、逆に料金が割引される仕組みです。

三相交流

三相交流は、位相が120°ずつずれた3つの交流を組み合わせたものです。工場や大型ビルの動力電源(200V)はすべて三相交流です。

なぜ三相が使われるかというと、同じ電力を送るのに電線の量(銅の量)が少なくて済むから。単相に比べて約75%の銅で同じ電力を送れるので、コスト的に圧倒的に有利です。

試験で出題されるのは主に以下のポイントです。

結線方式 電圧・電流の関係
Y(スター)結線 線間電圧 = 相電圧 × √3、線電流 = 相電流
Δ(デルタ)結線 線間電圧 = 相電圧、線電流 = 相電流 × √3

覚え方:「Yは電圧に√3、Δは電流に√3」。Y結線は電圧が「広がる」(Y字が広がるイメージ)、Δ結線は電流が「分かれる」と覚えましょう。

電気計測|電流計と電圧計の接続方法

電気の測定に使う計器の知識です。出題頻度は低めですが、基本的な内容を押さえておけば得点源になります。

計器の種類 用途
電流計 回路に直列に接続。内部抵抗は小さいほどよい
電圧計 回路に並列に接続。内部抵抗は大きいほどよい
電力計 電圧コイル(並列)と電流コイル(直列)を持つ
接地抵抗計 接地極の接地抵抗を測定。現場の竣工検査で必須

現場で最も使う頻度が高いのは絶縁抵抗計(メガー)接地抵抗計。竣工検査では必ずこれらの測定を行い、基準値を満たしているか確認します。第二次検定でも出題される重要テーマです。

よくある質問と試験のひっかけポイント

「電力」と「電力量」の違い

電力(W)は「1秒あたりのエネルギー消費」、電力量(Wh)は「使った電気の総量」。1,000Wの電子レンジを30分使ったら、電力量は 1,000 × 0.5 = 500Wh = 0.5kWh。電気料金は電力量(kWh)で計算されます。

交流の「実効値」

家庭のコンセントは「100V」と言いますが、これは実効値(直流換算の値)。交流の最大値(波のピーク)は 100 × √2 ≒ 141V です。試験で「交流100Vの最大値は?」と聞かれたら√2を掛ける——これを知っているだけで1問取れます。

Q. 交流回路の計算は難しい?

A. 2級では基本的な計算のみです。インピーダンスZ=√(R²+X²)、力率cosθ=R/Zの2つの公式を覚えれば対応できます。三角関数の知識はほぼ不要で、パターンに当てはめて計算するだけです。

Q. フレミングの左手と右手の法則、どう覚える?

A. 左手=電動機(モーター)右手=発電機。「モーターは左手でスイッチを入れる」と覚えましょう。左手の親指=力(F)、人差し指=磁界(B)、中指=電流(I)です。

Q. 力率が低いとなぜ問題?

A. 力率が低い=無効電力が大きい=同じ有効電力を得るのに大きな電流が必要→電線が太くなり、電力損失も増加します。進相コンデンサで力率を改善するのが一般的です。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:オームの法則を使った直流回路の計算
  • パターン2:交流回路のインピーダンスと力率の計算【ほぼ毎回】
  • パターン3:フレミングの法則(左手/右手)の適用
  • パターン4:直列共振・並列共振の条件と特徴

暗記のコツ

項目 ポイント
オームの法則 V=IR →「ブイ=アイアール」
インピーダンス Z=√(R²+X²)→抵抗とリアクタンスの合成
力率 cosθ=R/Z →「力率は抵抗÷インピーダンス」
フレミング 左手=モーター、右手=発電機。「左手でモーターのスイッチON」

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

Q1. 抵抗R=40Ω、リアクタンスX=30Ωの回路のインピーダンスZは?

解答を見る

正解:Z = 50Ω
Z = √(40² + 30²) = √(1600 + 900) = √2500 = 50。3-4-5の比率パターンです。

Q2. フレミングの左手の法則はどんなときに使う?

解答を見る

正解:電動機(モーター)の回転方向を求めるとき
磁界中の電流が受ける力の方向がわかります。左手=モーター(消費側)、右手=発電機(産出側)と覚えましょう。

Q3. Y(スター)結線では、線間電圧は相電圧の何倍?

解答を見る

正解:√3倍(約1.73倍)
Y結線は「電圧に√3」。相電圧200Vなら線間電圧は200×√3≒346V。Δ結線は逆で「電流に√3」です。

Q4. 力率 cosθ=0.8 のとき、供給された電力のうち何%が有効に使われている?

解答を見る

正解:80%
力率0.8=80%。残りの20%は無効電力としてコイルやコンデンサを行ったり来たりしているだけです。力率改善には進相コンデンサを設置します。

試験での注意点

こう間違える人が多い!

  • 「V=IRの変形ができない」 → I=V/R, R=V/I の3パターンを暗記
  • 「インピーダンスZ=R+X」 → 足し算ではない。Z=√(R²+X²)(三平方の定理)
  • 「Y結線で線間電圧=相電圧」 → Y結線は線間電圧=√3×相電圧。Δ結線は線間電流=√3×相電流
  • 「力率が高い=電力消費が多い」 → 力率が高い=効率が良い(無効電力が少ない)

ミニテストで知識を確認しよう

電気理論は計算問題が多い分野。ミニテストで繰り返し練習しましょう。

📝 電気理論 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式64問)

まとめ|交流回路のインピーダンスと力率を完璧に

この記事のポイント

  • オームの法則(V=IR)はすべての基本。V, I, R の3変形を暗記
  • インピーダンス(Z=√(R²+X²))は三平方の定理。3-4-5, 5-12-13, 8-15-17の3パターン暗記
  • 力率(cosθ=R/Z)は「電気の有効利用率」。進相コンデンサで力率改善
  • 三相交流:Y結線=電圧に√3、Δ結線=電流に√3
  • フレミング左手=モーター(消費)、右手=発電(産出)
  • 電気理論は選択科目。計算が苦手なら他の分野を選ぶ戦略もある

計算が苦手な方は、選択問題制を活用して計算問題を避ける戦略もあります。詳しくは「選択問題の戦略」を参考にしてください。

もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。

関連記事

-2級電気工事(第一次)