構内電気設備①(照明設備・動力設備)の要点(30秒でわかる)
- 照明設備:照明方式(直接・間接・全般・局部)、照明器具の種類、配線方式
- 動力設備:電動機の始動法(全電圧・スターデルタ・インバータ)、過負荷保護
- 配線設計:許容電流、電圧降下の計算、幹線と分岐回路の設計
- 出題傾向:照明の配線方式と動力の始動法が頻出。実務に直結する分野
結論から言います。構内電気設備は第一次検定で最も出題数が多い分野です。照明設備と動力設備は、オフィスビル・工場・マンションなどどんな建物にも必ずある設備なので、電気工事の現場経験がある方にとっては得点源になります。
「照明なんて電球をつけるだけでしょ?」と思うかもしれませんが、照明設計には光の量(照度)の計算、光源の選定、配線設計、制御方式の選択など、意外と奥が深い知識が求められます。
出題傾向(2級電気工事 第一次検定)
構内電気設備はNo.16〜32の選択科目(最大の出題ブロック)から出題されます。照明設備の照度基準と動力設備の始動方式が頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。
なぜ構内電気設備が施工管理の核心テーマなのか?
構内電気設備(建物内の照明・動力設備)は、電気工事施工管理者が最も日常的に設計・施工する設備です。照明器具の選定と照度計算、動力盤の回路設計と配線工事は毎日の業務そのもの。試験でも実務に直結する問題が多く、この分野の得点力=現場の実力と言っても過言ではありません。
照明設備|照明方式・器具・配線の基礎【頻出】
照明方式の分類
照明方式は光の当て方で3つに分類されます。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 全般照明 | 部屋全体を均一に照らす。オフィスの天井照明が典型例 |
| 局部照明 | 特定の場所だけ照らす。デスクライト、手術室の無影灯など |
| タスクアンビエント照明 | 全般照明+局部照明の組み合わせ。省エネ効果が高い |
近年のオフィスではタスクアンビエント照明が主流です。天井の全般照明を少し暗めに設定し、デスクごとにLEDスタンドで手元を明るくする方式。全般照明だけのオフィスに比べて消費電力を20〜30%削減できます。
照度基準
JISでは用途ごとに推奨照度が定められています。試験では代表的な数値がよく問われます。
| 場所 | 推奨照度(lx) |
|---|---|
| 事務室 | 750 lx |
| 会議室 | 500 lx |
| 廊下・階段 | 100 lx |
| 倉庫 | 75 lx |
| 駐車場 | 50 lx |
事務室の750lxは「細かい文字を読んでもストレスなく作業できる明るさ」。一方、廊下の100lxは「歩行に支障がない程度の明るさ」。照度が高すぎても低すぎてもダメで、用途に応じた適切な照度を確保するのが照明設計のポイントです。
照明制御
| 制御方式 | 内容 |
|---|---|
| 人感センサー | 人がいないとき自動消灯。トイレ・廊下で省エネ効果大 |
| 明るさセンサー | 窓際で自然光が十分なとき照明を自動調光。昼光利用 |
| タイムスケジュール | 時間帯に応じて自動でON/OFF。ビル管理で活用 |
非常用照明と誘導灯
建築基準法と消防法で設置が義務付けられている重要設備です。
| 設備 | 違い |
|---|---|
| 非常用照明 | 停電時に自動点灯。床面で1lx以上を30分以上確保。建築基準法で義務 |
| 誘導灯 | 避難口・通路の位置を示す緑色の表示。常時点灯。消防法で義務 |
非常用照明は「停電時に避難できる明るさを確保」するもの。誘導灯は「出口がどこかを示す」もの。役割がまったく違うので混同しないようにしましょう。
動力設備|電動機の始動法と過負荷保護【頻出】
動力設備とは
エレベーター、空調機、ポンプ、換気ファンなど——ビルや工場でモーター(電動機)を使う設備のことを「動力設備」と呼びます。動力回路は主に三相200Vで供給されます。
配線用遮断器(MCCB)と漏電遮断器(ELB)
動力設備の保護に欠かせないのが、分電盤に設置される遮断器です。
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 配線用遮断器(MCCB) | 過電流(ショート・過負荷)から電線を保護。家庭のブレーカーと同じ原理 |
| 漏電遮断器(ELB) | 漏電(地絡電流)を検出して自動遮断。感電防止が主目的 |
現場での実感:洗面台やキッチンなど水を使う場所のコンセント回路には、必ず漏電遮断器が設置されます。なぜかというと、水と電気が同時に存在する場所は漏電→感電のリスクが高いから。漏電遮断器は0.1秒以内に電流を遮断して感電事故を防ぎます。
電動機の保護
モーターを長持ちさせるためには、適切な保護装置が必要です。
| 保護装置 | 保護対象 |
|---|---|
| サーマルリレー | モーターの過負荷保護。過電流で加熱されると接点が開く |
| 電磁接触器(MC) | モーターのON/OFFスイッチ。リモートで操作可能 |
サーマルリレーと電磁接触器を組み合わせたものがマグネットスイッチ(MS)。工場やビルの制御盤の中に必ず入っています。モーターが過負荷になると、サーマルリレーが電磁接触器を切断してモーターを止める——この「自動保護」の仕組みが動力設備の安全を守っています。
電線・ケーブルの選定
動力設備に使う電線は、モーターの容量(kW)に応じて太さを選びます。
電線サイズ選定の考え方
電線に流せる電流(許容電流)は太さで決まります。モーターの定格電流が30Aなら、許容電流が30A以上の電線を選ぶ。さらに電圧降下も考慮して、長い配線ルートでは1サイズ太い電線を選定するのが実務の基本です。
よくある質問と試験のひっかけポイント
Q. 3路スイッチと4路スイッチの違いは?
A. 3路スイッチは2箇所から1つの照明をON/OFF(階段の上下など)。4路スイッチは3箇所以上から制御する場合に3路スイッチの間に追加。試験では「3路スイッチは2個、4路スイッチは3箇所以上で使用」が頻出です。
Q. スターデルタ始動法とは?
A. 電動機を始動時はスター(Y)結線で電圧を1/√3に低減→始動電流を1/3に抑制→加速後にデルタ(Δ)結線に切替えて全電圧運転。5.5kW以上の電動機で使われます。始動トルクも1/3に低下するのが欠点。
Q. 電圧降下の許容値は?
A. 幹線で3%以下、幹線+分岐回路で合計5%以下が内線規程の目安。電圧降下が大きいと照明のちらつきや電動機の出力低下を招きます。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:3路・4路スイッチの結線と使用箇所
- パターン2:電動機の始動法(全電圧・スターデルタ・インバータ)の比較
- パターン3:電圧降下の許容値と計算
- パターン4:過電流遮断器の選定基準
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 3路スイッチ | 2箇所制御→スイッチ2個。4路は3箇所以上→間に追加 |
| スターデルタ | 始動電流1/3、始動トルクも1/3→5.5kW以上 |
| 電圧降下 | 幹線3%+分岐2%=合計5%以下 |
| インバータ | 周波数制御→省エネ・速度可変→最近の主流 |
理解度チェック
Q1. 非常用照明と誘導灯の違いは?
Q2. 漏電遮断器(ELB)の主な目的は?
Q3. サーマルリレーは何を保護する装置?
よくある質問と試験のひっかけポイント
ミニテストで知識を確認しよう
照明・動力設備の知識を構内電気設備ミニテストで確認しましょう。
こう間違える人が多い!
- 「照度と光束と光度を混同」 → 光束(lm)=光の総量、光度(cd)=特定方向の強さ、照度(lx)=受ける明るさ
- 「動力設備の始動方式を混同」 → 全電圧始動(小型)、スターデルタ始動(大型・始動電流1/3)、インバーター始動(可変速)
- 「照度基準の数値を覚えていない」 → 事務所750lx、工場300lx、廊下100lxが頻出の目安
まとめ|照明と動力の基本知識を確実に覚える
この記事のポイント
- 照明設備:LED・蛍光灯・HID灯の特徴と使い分けを暗記
- 照度計算:光束法(F=E×A/U×M)の公式に当てはめるだけ
- 動力設備:電動機の始動方式(全電圧・Y-Δ・インバータ)の使い分け
- 配線設計:電圧降下・許容電流・遮断器の選定基準を押さえる
- 実務に直結する分野。現場経験がそのまま試験の得点になる
もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。