電力系統①(発電 — 水力・火力・原子力・新エネルギー)の要点(30秒でわかる)
- 水力発電:位置エネルギー→電気。ダム式・水路式・揚水式の3方式
- 火力発電:汽力(蒸気タービン)・ガスタービン・コンバインドサイクルの3方式
- 原子力発電:核分裂エネルギー→蒸気→タービン。沸騰水型と加圧水型
- 新エネルギー:太陽光・風力・バイオマス・地熱・燃料電池
- 出題傾向:各発電方式の原理と特徴の比較が頻出。環境・効率の観点で問われる
結論から言います。電力系統①では「電気はどうやって作られるのか」を学びます。水力・火力・原子力・太陽光などの発電方式の仕組みと特徴が出題されます。暗記中心の分野なので、各方式の違いを整理できれば確実に得点できます。
普段何気なくコンセントから使っている電気がどこから来ているのか。この「電気の出発点」を理解すると、電力系統全体の流れが見えてきます。
日本の発電方式の全体像|電源構成と各方式の特徴
まず、日本の電力をどの方式でどのくらい作っているか見てみましょう。
| 発電方式 | 特徴(一言で) |
|---|---|
| 火力発電 | 全体の約7割。石炭・LNG・石油を燃やして蒸気でタービンを回す |
| 水力発電 | CO2を出さないクリーンエネルギー。ダムの水の落差で発電 |
| 原子力発電 | 核分裂の熱で蒸気を作る。大量発電が可能だが安全管理が課題 |
| 太陽光発電 | 半導体で光を直接電気に変換。再エネの主力として急成長 |
| 風力発電 | 風でブレード(羽根)を回して発電。洋上風力が注目分野 |
出題傾向(2級電気工事 第一次検定)
電力系統はNo.9〜15の選択科目から出題されます。発電方式の特徴比較(水力・火力・原子力・太陽光・風力)が頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。
なぜ発電方式の知識が電気工事施工管理に必要なのか?
電気工事の施工管理者は、太陽光発電設備の設置工事や自家発電設備の配線工事に関わります。各発電方式の原理と特徴を理解していないと、適切な施工管理ができないのです。また、再生可能エネルギーの普及に伴い、新エネルギー関連の出題も増えています。
水力発電|ダム式・水路式・揚水式の3方式
水力発電の原理
高い場所にある水を落として、水車(タービン)を回す→ 発電機を回す→ 電気が生まれる。これが水力発電の基本です。
ダムを思い浮かべてください。巨大なコンクリートの壁の向こうに水が溜まっていて、その水を下に流すとき、水の持つ位置エネルギー(高さ×重さ)が運動エネルギーに変わり、タービンを回します。
水力発電の分類
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| 流込み式 | 河川の水をそのまま利用。水量に左右される |
| 調整池式 | 小さな池で水量を調整。1日〜数日分を貯水 |
| 貯水池式 | ダムに大量の水を貯める。季節ごとの水量変動に対応 |
| 揚水式 | 夜間の余った電力で水を汲み上げ、昼間に落として発電。巨大な蓄電池の役割 |
試験頻出:揚水式発電
揚水式は「電気を貯められない」という弱点を補う仕組み。夜間の安い電力で水を上の池に汲み上げ、電力需要が高い昼間に水を落として発電します。電気を「水の位置エネルギー」として貯蔵する——いわば天然の蓄電池です。
水車の種類
| 水車 | 適用条件 |
|---|---|
| ペルトン水車 | 高落差・少水量。バケット(お椀型)に水を当てる |
| フランシス水車 | 中落差・中水量。最も広く使われている汎用型 |
| カプラン水車 | 低落差・大水量。プロペラ型で、羽根の角度を変えられる |
覚え方は「ペル=高い(ペルはPelton、高い山のイメージ)、フラ=中くらい、カプ=低い(カプセルは地面に近いイメージ)」。落差が高いほど水量は少なく、低いほど水量が多い——これが基本原理です。
火力発電|汽力・ガスタービン・コンバインドサイクル【頻出】
火力発電の仕組み
燃料(石炭・LNG・石油)を燃やす → 水を沸かして蒸気を作る → 蒸気でタービンを回す → 発電機を回す。この「ボイラー → タービン → 発電機」のセットが火力発電の基本構成です。
火力発電の種類
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 汽力発電 | ボイラーで蒸気を作りタービンを回す。石炭・石油が多い |
| ガスタービン発電 | 高温の燃焼ガスで直接タービンを回す。起動が速い |
| コンバインドサイクル | ガスタービン+蒸気タービンの組み合わせ。効率が最も高い(約60%) |
試験のポイント:コンバインドサイクル発電は近年の主流。ガスタービンの排熱で蒸気を作り、もう一度タービンを回す「2段構え」なので効率が高い。LNG(液化天然ガス)を使うため、石炭に比べてCO2排出量が少ないのもメリットです。
原子力発電|沸騰水型と加圧水型の違い
ウランの核分裂で発生する熱で蒸気を作り、タービンを回します。原理は火力発電とほぼ同じで、「燃料が石炭やLNGか、ウランか」の違いです。
| 原子炉の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 沸騰水型(BWR) | 原子炉内で直接蒸気を発生させる。構造がシンプル |
| 加圧水型(PWR) | 一次冷却水を高圧にして沸騰させず、蒸気発生器で二次側に蒸気を作る |
日本ではBWRとPWRの両方が使われています。試験では「BWRとPWRの違い」が定番問題です。
再生可能エネルギー|太陽光・風力・地熱・バイオマス
太陽光発電
太陽電池(シリコン半導体)に光を当てると、光エネルギーが直接電気エネルギーに変換されます。タービンを回す必要がないのが他の発電方式との大きな違いです。
太陽光発電の特徴
- 発電した電気は直流。パワーコンディショナ(PCS)で交流に変換して使う
- 天候・時間帯に発電量が左右される(出力変動が大きい)
- メンテナンスが比較的容易。可動部がないため故障が少ない
- 設置面積あたりの発電量は他の方式より小さい
風力発電
風の力でブレード(羽根)を回し、増速機を通じて発電機を回します。近年は洋上風力発電の開発が日本でも進んでおり、電気工事施工管理の仕事として注目されています。
その他の新エネルギー
| 発電方式 | 特徴 |
|---|---|
| 燃料電池 | 水素と酸素の化学反応で発電。排出は水のみ。コージェネに活用 |
| 地熱発電 | 地下の蒸気でタービンを回す。日本は火山国なのでポテンシャル大 |
| バイオマス発電 | 木材・廃棄物を燃焼して発電。カーボンニュートラルとされる |
Q. コンバインドサイクル発電とは?
A. ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式。ガスタービンの排熱で蒸気を作り、蒸気タービンも回すため熱効率が最も高い(約60%)。現在の火力発電の主流です。
Q. 揚水式発電の仕組みは?
A. 電力需要が少ない夜間に水を上のダムにくみ上げ、需要が多い昼間に水を落として発電する方式。電気を水の位置エネルギーとして「貯蔵」するイメージ。ピーク電力対策として重要です。
Q. 太陽光発電の弱点は?
A. 天候・時間帯に左右される(間欠性)ため、安定供給が難しいこと。蓄電池の併設や他の電源とのバランスが課題です。また、パワーコンディショナー(PCS)で直流→交流に変換する必要があります。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:各発電方式の原理・特徴の正誤問題
- パターン2:コンバインドサイクルの仕組みと熱効率
- パターン3:水力発電の種類(ダム・水路・揚水)と用途
- パターン4:再生可能エネルギーの種類と特徴
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 火力の効率順 | コンバインド(60%)>汽力(40%)>ガスタービン(30%) |
| 揚水発電 | 夜にくみ上げ→昼に発電=「電気の貯金」 |
| 太陽光 | 直流→PCS→交流。天候依存が最大の弱点 |
| 原子力の型 | BWR(沸騰水型)=東日本、PWR(加圧水型)=西日本が多い |
理解度チェック
Q1. 揚水式発電の仕組みを一言で説明すると?
Q2. コンバインドサイクル発電が効率が高い理由は?
Q3. 太陽光発電で得られる電気は直流?交流?
よくある質問と試験のひっかけポイント
ミニテストで知識を確認しよう
発電方式(水力・火力・原子力)の知識を電力系統ミニテストで確認しましょう。
こう間違える人が多い!
- 「水力発電の出力公式を忘れる」 → P=9.8×Q×H×η(重力加速度×流量×落差×効率)
- 「火力発電のタービン種類を混同」 → 汽力発電(蒸気タービン)、ガスタービン、コンバインドサイクル(両方使う・最高効率)
- 「太陽光発電は交流を出力する」 → 太陽光パネルは直流出力。パワーコンディショナで交流に変換
- 「原子力発電は核融合」 → 核分裂(ウラン235が中性子で分裂)。核融合は実用化されていない
まとめ|発電方式の比較を正確に覚える
この記事のポイント
- 水力発電:ダム式・水路式・揚水式。位置エネルギー→回転→発電
- 火力発電:汽力・ガスタービン・コンバインドサイクル。熱効率の高さで比較
- 原子力発電:核分裂の熱で蒸気タービンを回す。加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)
- 新エネルギー:太陽光・風力・地熱・バイオマス。施工管理者として設置工事に関わる
- 各方式のメリット・デメリットを比較して覚えるのが効率的
次回は電力系統②として送電・変電・配電について解説します。
もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。