2級電気工事(第一次)

【2級電気工事】構内電気設備②(受変電設備・非常電源・自家発電)をわかりやすく解説

構内電気設備②(受変電設備・非常電源・自家発電)の要点(30秒でわかる)

  • 受変電設備:高圧受電(6.6kV)→変圧器で100/200Vに降圧。PAS・VCB・LBSが主要機器
  • 非常電源:自家発電設備(ディーゼル・ガスタービン)と蓄電池設備
  • 接地工事:A種(高圧機器)・B種(変圧器の中性点)・C種(300V超)・D種(300V以下)
  • 出題傾向:受変電設備の構成機器、接地工事の種類と接地抵抗値が頻出

結論から言います。受変電設備は電気工事施工管理の最も核心的な分野です。ビルや工場に電力会社から届く高圧電力(6,600V)を受電し、使える電圧(200V/100V)に変換する——この仕組みを理解することが、電気工事の施工管理者としての基本中の基本です。

この記事では、受変電設備の構成と仕組み、非常電源設備(自家発電・蓄電池・UPS)の役割と特徴を解説します。

出題傾向(2級電気工事 第一次検定)

構内電気設備②はNo.16〜32の選択科目から出題されます。受変電設備の構成と保護装置非常電源の種類と法的要件が頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。

なぜ受変電設備が電気工事施工管理の最重要テーマなのか?

受変電設備は建物の全電力を受け取り、配る「電気の心臓部」です。ここの施工ミスは建物全体の停電や感電事故に直結します。キュービクルの設置工事、高圧ケーブルの接続、保護継電器の設定—これらはすべて電気工事施工管理者の管理範囲。受変電設備を理解していない施工管理者は現場で仕事ができないと言っても過言ではありません。

受変電設備の全体像|PAS・VCB・変圧器の役割【頻出】

受変電設備とは

電力会社から6,600V(高圧)で電気を受けるための設備です。一般家庭は電柱の柱上変圧器で100V/200Vに下げてもらえますが、ビルや工場は電力使用量が大きいため、自前の変圧設備を持つ必要があります。

ビルの地下や屋上にある金属製の箱——キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)が、まさに受変電設備です。建物の全電力を1箇所で受けて変圧する「電気の心臓部」と言えます。

受変電設備の電気の流れ
引込
電力会社から
6,600Vを受電
断路器(DS)
保守作業前に
電源側を切断
遮断器(CB)
事故時に
大電流を遮断
変圧器(Tr)
6,600V→
200V/100V
配電盤
各階・各室に
電力を分配

※ この順序は試験でも問われる。断路器→遮断器の順番を間違えやすい

受電方式

方式 特徴
1回線受電 電力会社から1本のラインで受電。一般的なビル・工場はこの方式
2回線受電(本予備) 2本のラインから受電。1回線が停電しても切り替えて供給継続。病院等
スポットネットワーク 3回線から受電し自動切替。信頼性最高。大規模ビル・データセンター

病院やデータセンターのように「絶対に停電させてはならない」施設は、複数回線の受電方式を採用します。コストは高くなりますが、停電リスクを最小限に抑えられます。

受変電設備の主要機器

機器 役割
断路器(DS) 無負荷で回路を切り離す。保守作業前に電源側を確実に切断
遮断器(CB) 事故時に大電流を遮断。真空遮断器(VCB)が主流
変圧器(Tr) 6,600V→200V/100Vに変圧。乾式とモールド式が主流
計器用変成器(CT/VT) 高圧の電流・電圧を計測用の小さな値に変換
保護継電器 過電流・地絡を検出して遮断器にトリップ指令を出す
進相コンデンサ(SC) 力率を改善して電気料金を削減

CT(変流器)とVT(計器用変圧器)の違い

CTは高圧の電流を5A等の小さな電流に変換。電流計や保護継電器に接続。二次側を開放すると危険(高電圧が発生)なので、使用しないときは短絡させる。
VTは高圧の電圧を110V等の小さな電圧に変換。電圧計に接続。二次側は開放してもOK。

接地工事

受変電設備の安全を確保するために欠かせないのが接地(アース)です。

種別 接地抵抗 主な用途
A種接地 10Ω以下 高圧機器の鉄台・金属製外箱
B種接地 計算値 変圧器の二次側中性点
C種接地 10Ω以下 300Vを超える低圧機器の外箱
D種接地 100Ω以下 300V以下の低圧機器の外箱(コンセント等)

接地の目的は「漏電したときに電流を安全に大地に逃がす」こと。たとえば洗濯機の電源プラグにアース線がついていますよね。あれはD種接地。万が一漏電しても、電流がアース線を通じて大地に流れるので、人が感電する危険を減らせます。

非常電源設備|自家発電と蓄電池の違い

停電時に電力を供給する設備です。法律(消防法・建築基準法)で設置が義務付けられている建物もあります。

自家発電設備

ディーゼルエンジンガスタービンで発電機を回して電力を作ります。

原動機 特徴
ディーゼルエンジン 小〜中規模施設で最も一般的。起動時間は約10〜40秒。燃費が良い
ガスタービン 大規模施設向け。振動が少なく、排気がきれい。コストは高い

消防法では、非常用発電機は停電後40秒以内に電圧を確立することが求められます(一部の防災設備は10秒以内)。実際の現場では定期的に負荷試験(実際に電力を消費させて運転するテスト)を行い、いざというときに確実に動作するか確認します。

蓄電池設備

蓄電池に電力を蓄えておき、停電時に放電して電力を供給します。

非常照明や防災設備の直流電源として使われます。鉛蓄電池が主流ですが、近年はリチウムイオン電池の採用も増えています。

蓄電池設備の設置場所には換気設備が必要(充電時に水素ガスが発生するため)。また、蓄電池室は耐酸性の床材を使用するのが基本です(鉛蓄電池の電解液は硫酸)。

無停電電源装置(UPS)

UPS(Uninterruptible Power Supply)は、瞬時も途切れさせたくない機器に使います。

自家発電設備は起動に10〜40秒かかりますが、コンピュータやサーバーは0.1秒でも電源が途切れるとデータが消失する可能性があります。UPSは内蔵蓄電池で瞬時に電力を供給し、自家発電機が起動するまでの間をつなぎます。

UPSの方式 特徴
常時インバータ方式 常に蓄電池→インバータ経由で給電。停電時の切替時間ゼロ。最も信頼性が高い
常時商用給電方式 通常は商用電源を直接供給、停電時に蓄電池に切替。効率が良いが切替時間あり

データセンターや病院の手術室では常時インバータ方式のUPSが必須。わずかな電圧変動も許されない環境では、常に安定した電力を供給するこの方式が選ばれます。

よくある質問と試験のひっかけポイント

A種接地とD種接地の混同

A種は高圧機器(キュービクルの外箱など)、D種は低圧300V以下の機器(コンセント回路など)。電圧が高い設備ほど厳しい接地抵抗値が求められます。

CTの二次側開放厳禁

CT(変流器)の二次側を開放すると、鉄心が磁気飽和して異常な高電圧が発生し、感電や機器焼損の原因になります。使用しないときは二次側端子を短絡させるのが鉄則です。

よくある質問と試験のひっかけポイント

Q. PAS・VCB・LBSの違いは?

A. PAS(高圧気中開閉器)は引込柱に設置し、電力会社との境界で開閉。VCB(真空遮断器)は短絡電流を遮断する主遮断装置。LBS(高圧交流負荷開閉器)は変圧器の一次側に設置し、負荷電流を開閉。役割の違いを整理すると覚えやすいです。

Q. 接地工事の種類と接地抵抗値は?

A. A種:10Ω以下(高圧機器)、B種:計算値(変圧器中性点)、C種:10Ω以下(300V超の低圧機器、漏電遮断器があれば500Ω)、D種:100Ω以下(300V以下、漏電遮断器があれば500Ω)。「A=10、D=100」の覚え方が基本。

Q. 非常用発電機の始動時間は?

A. 消防法では40秒以内に電圧確立することが求められます。ディーゼル発電機が主流で、燃料は軽油が一般的です。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:受変電設備の構成機器(PAS・VCB・LBS・変圧器)の役割
  • パターン2:接地工事の種類と接地抵抗値(A種10Ω・D種100Ω等)
  • パターン3:非常電源の種類と始動時間
  • パターン4:力率改善用コンデンサの設置目的

暗記のコツ

項目 ポイント
接地工事 A種10Ω・C種10Ω・D種100Ω(B種は計算)
PAS 引込柱→電力会社との境界
VCB 主遮断器→短絡電流を遮断
非常発電 40秒以内に電圧確立(消防法)

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

Q1. D種接地工事の接地抵抗値の上限は?

解答を見る

正解:100Ω以下
300V以下の低圧機器の外箱に施す接地工事です。A種は10Ω以下(高圧機器用)なので、電圧が高いほど厳しい基準になっています。

Q2. UPSの主な役割は?

解答を見る

正解:停電時に瞬時に(切替時間ゼロで)電力を供給し、自家発電機が起動するまでの間をつなぐ
コンピュータやサーバーなど、0.1秒の電源途切れも許されない機器の保護に使います。

Q3. CT(変流器)の二次側を開放してはいけない理由は?

解答を見る

正解:鉄心が磁気飽和して異常な高電圧が発生し、感電や機器焼損の危険があるため
使用しないときは二次側端子を短絡させるのが鉄則です。VT(計器用変圧器)は二次側開放OKなので、混同しないようにしましょう。

試験での注意点

こう間違える人が多い!

  • 「受変電設備の機器の並び順がわからない」 → 引込→断路器→遮断器→変圧器→低圧配電盤の順
  • 「非常電源の種類を混同」 → 自家発電設備(長時間)、蓄電池設備(瞬時対応)、燃料電池(連続運転)
  • 「高圧と特別高圧の境界を間違える」 → 高圧=600V超〜7,000V以下、特別高圧=7,000V超

ミニテストで知識を確認しよう

受変電・非常電源・自家発電の知識を構内電気設備ミニテストで確認しましょう。

📝 構内電気設備 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式64問)

まとめ|受変電設備と接地工事の基準を正確に暗記

この記事のポイント

  • 受変電設備:6,600V→200V/100Vに変換する「電気の心臓部」。キュービクルが代表的
  • 電気の流れ:引込→断路器(DS)→遮断器(CB)→変圧器(Tr)→配電盤の順番を暗記
  • 受電方式:1回線(一般)、本予備(病院)、スポットネットワーク(データセンター)
  • 接地工事:A種10Ω以下(高圧)、C種10Ω以下(300V超低圧)、D種100Ω以下(300V以下)
  • 自家発電:停電後40秒以内に電圧確立。ディーゼルが最も一般的
  • UPS:常時インバータ方式=切替時間ゼロ。サーバー室・手術室に必須
  • CT二次側開放厳禁(高電圧発生→感電危険)。VT二次側は開放OK

もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。

関連記事

-2級電気工事(第一次)