構内電気設備③(情報通信設備・防災設備)の要点(30秒でわかる)
- 情報通信設備:LAN配線(UTPケーブル・光ファイバー)、電話設備、TV共聴設備
- 防災設備:自動火災報知設備、非常放送設備、誘導灯・非常照明
- 弱電工事:強電(電力)と弱電(通信・防災)の離隔距離に注意
- 出題傾向:自火報の感知器の種類、LAN配線の規格、誘導灯の設置基準が頻出
結論から言います。情報通信設備と防災設備は、現代のビルになくてはならないインフラです。LAN配線・電話設備・テレビ共聴設備から、自動火災報知設備・非常放送設備まで——電気工事の現場では「強電」だけでなく「弱電」の知識も求められます。
この分野は暗記が中心で計算問題はほぼ出ません。用語と仕組みを正確に覚えれば、確実に得点できる「お得な分野」です。
出題傾向(2級電気工事 第一次検定)
構内電気設備③はNo.16〜32の選択科目から出題されます。自動火災報知設備の構成と情報通信設備の基礎が頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。
なぜ情報通信・防災設備が電気工事施工管理の出題範囲なのか?
情報通信設備(LAN・電話)も防災設備(自動火災報知・非常放送)も、すべて電気工事として施工される設備です。特に自動火災報知設備は消防法で設置が義務付けられており、施工ミスは火災時に人命が失われることに直結します。近年はLAN配線やサーバー室の施工も急増しており、「弱電」の知識は電気工事施工管理者の必須スキルです。
情報通信設備|LAN配線・電話設備・TV共聴
LAN(構内情報通信網)
LANは建物内のコンピュータやプリンターをネットワークでつなぐ設備です。現代のオフィスでは全フロアにLAN配線が必須で、電気工事の大きな比重を占めるようになっています。
| ケーブルの種類 | 特徴 |
|---|---|
| UTPケーブル(より対線) | 最も一般的。カテゴリ5e以上でギガビット対応。オフィスLANの標準 |
| STPケーブル(シールド付き) | 外部ノイズに強い。工場など電磁ノイズの多い環境で使用 |
| 光ファイバーケーブル | 長距離・大容量通信。電磁ノイズの影響を受けない。ビル間の幹線に使用 |
現場での注意点
UTPケーブルの配線で最も多いミスは曲げ半径の不足。ケーブルを急角度で曲げると内部の銅線が変形し、通信速度の低下やエラーの原因になります。曲げ半径はケーブル外径の4倍以上を確保するのが基本。ケーブルラックの角やボックス内でぐちゃぐちゃに押し込むのはNGです。
電話設備
電話設備の中核はPBX(構内交換機)です。外線と内線を切り替え、内線同士の通話を可能にする装置。最近はIP電話に対応したIP-PBXが主流で、LANケーブルで電話とデータ通信を共用できます。
配線方式にはスター配線(各電話機からPBXまで1本ずつ配線)が一般的。昔はバス配線(1本の幹線から分岐)もありましたが、LANと同様にスター型が安定性に優れます。
テレビ共聴設備
マンションやビルで地上波・BS・CSを各部屋に配信する設備です。
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| アンテナ | UHFアンテナ(地デジ)、BSパラボラ。屋上に設置 |
| ブースター(増幅器) | 信号を増幅して各部屋に十分な強さで届ける |
| 分配器 | 信号を複数の回線に等分配する |
| 分岐器 | 幹線から一部の信号を分岐させる。幹線側の損失が少ない |
分配器と分岐器の違い — 試験頻出!
分配器は信号を均等に分ける(2分配なら各半分の強さ)。分岐器は幹線から少しだけ信号を取り出す(幹線側の損失は小さい)。マンションの各フロアでは分岐器を使い、各部屋へは分配器で分ける——この使い分けが重要です。
防災設備|自火報・非常放送・誘導灯【頻出】
自動火災報知設備(自火報)★最重要★
火災を早期に発見して建物内の人に知らせる設備です。消防法で設置が義務付けられており、電気工事の中でも非常に出題頻度が高いテーマです。
システムの構成
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 感知器 | 熱・煙・炎を感知して受信機に信号を送る。天井面に設置 |
| 発信機 | 人が手動で火災信号を送るボタン。「火災報知器」と書かれた赤い箱 |
| 受信機 | 感知器・発信機からの信号を受けて警報を出す。防災センターに設置 |
| 地区音響装置(ベル) | 火災発生を音で知らせる。各階に設置 |
感知器の種類
| 感知器 | 検出方法 |
|---|---|
| 差動式スポット型 | 急激な温度上昇を感知。一般室に最も多く使用される |
| 定温式スポット型 | 一定温度(60℃や70℃)に達すると作動。キッチンなど温度変化が大きい場所 |
| 光電式スポット型(煙感知器) | 煙による光の散乱を検知。廊下・階段に設置。火災の早期発見に有効 |
| 炎感知器 | 炎の紫外線や赤外線を検知。高天井や屋外に設置 |
使い分けのポイント:キッチンや厨房は調理の熱で「差動式」が誤報を出しやすいので定温式を使います。逆に、廊下や階段は煙が先に届くので煙感知器が有効。高天井(20m以上)の倉庫では熱も煙も届きにくいので炎感知器。場所の特性に合わせて選定するのが設計の基本です。
※ 感知器の種類と設置場所の対応は試験の定番問題。差動式と定温式の混同に注意
非常放送設備
火災時に避難誘導のアナウンスを流す設備です。自動火災報知設備と連動して自動的に放送が開始されます。
重要なポイントは非常放送はBGMや館内放送より優先される仕組みになっていること。通常の放送中でも、火災信号を受信すると強制的に非常放送に切り替わります。
非常コンセント設備
消防隊が消火活動に使用する電源コンセントです。高層ビル(11階以上)に設置が義務付けられています。消防隊の投光器や排煙機の電源として使われ、専用回路で供給されるため、ビルの他の回路が停電しても使用できます。
弱電工事の施工ポイント|強電との離隔距離
情報通信設備や防災設備は「弱電」と呼ばれ、動力や照明の「強電」とは施工上の注意点が異なります。
| 注意事項 | 理由 |
|---|---|
| 強電ケーブルとの離隔距離を確保 | 電磁ノイズの影響で通信エラーや感知器の誤動作が起きる |
| 耐火・耐熱配線の使用(防災設備) | 火災時でも一定時間機能を維持する必要がある(消防法の規定) |
| 接地の確保 | 雷サージや静電気からデリケートな電子機器を保護する |
よくある質問と試験のひっかけポイント
Q. 自動火災報知設備の感知器にはどんな種類がある?
A. 差動式スポット型(急激な温度上昇で作動→一般居室)、定温式スポット型(一定温度で作動→厨房等の高温場所)、煙感知器(光電式・イオン化式→廊下・階段)の3種類が頻出。設置場所と感知器の組み合わせが試験で問われます。
Q. UTPケーブルとSTPケーブルの違いは?
A. UTP(Unshielded Twisted Pair)はシールドなしのツイストペアケーブルで、一般的なLAN配線に使用。STPはシールド付きでノイズに強い。カテゴリ5e以上が100BASE-TX/1000BASE-Tに対応します。
Q. 誘導灯と非常照明の違いは?
A. 誘導灯は避難口や通路の方向を示す(常時点灯)。非常照明は停電時に最低限の照度を確保する(停電時に自動点灯)。どちらも30分以上の点灯が必要です。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:感知器の種類と設置場所の組み合わせ
- パターン2:LAN配線のカテゴリと伝送速度
- パターン3:誘導灯の設置基準と非常照明との違い
- パターン4:弱電配線と強電配線の離隔距離
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 感知器 | 差動式=一般居室、定温式=厨房、煙=廊下・階段 |
| UTPケーブル | Cat5e=1Gbps対応、Cat6=10Gbps対応 |
| 誘導灯 | 常時点灯+30分以上バッテリー |
| 離隔距離 | 強電と弱電の並行配線は離隔が必要(ノイズ防止) |
理解度チェック
Q1. 分配器と分岐器の違いは?
Q2. キッチンに適した火災感知器の種類は?その理由は?
Q3. LANケーブル(UTP)配線で最も多いミスは何?
よくある質問と試験のひっかけポイント
こう間違える人が多い!
- 「自動火災報知設備の感知器の種類を混同」 → 差動式(温度上昇速度)、定温式(一定温度で作動)、煙感知器(光電式)
- 「LAN配線の規格を混同」 → Cat5e=1Gbps、Cat6=10Gbps(短距離)。光ファイバーは長距離
- 「非常放送設備と自火報設備を混同」 → 自火報は火災検知、非常放送は避難誘導。連動するが別の設備
ミニテストで知識を確認しよう
情報通信・防災設備の知識を構内電気設備ミニテストで確認しましょう。
まとめ|情報通信と防災設備の基本知識を暗記
この記事のポイント
- LAN配線:UTPケーブルが標準。Cat5e(1Gbps)/Cat6(10Gbps)。曲げ半径は外径の4倍以上
- テレビ共聴:分配器(均等分配)と分岐器(少量取り出し)の区別が頻出
- 自火報:差動式(一般室)、定温式(キッチン)、煙感知器(廊下)、炎感知器(高天井)の4種
- 非常放送:自火報と連動して自動起動。通常放送より優先される
- 弱電工事:強電ケーブルとの離隔距離確保が必須(ノイズ防止)
- 情報通信・防災設備は消防法で設置義務あり。施工ミス=人命に関わる
もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。