電力系統②(送電・変電・配電)の要点(30秒でわかる)
- 送電:高電圧(154kV〜500kV)で長距離送電→電力損失を低減
- 変電:変圧器で電圧を段階的に降圧(500kV→154kV→66kV→6.6kV→100/200V)
- 配電:6.6kVの高圧配電線→柱上変圧器→100/200Vで需要家へ
- 電力損失:P=I²R → 電圧を上げて電流を下げれば損失が減る(送電の原理)
- 出題傾向:送電電圧と損失の関係、配電方式の種類が頻出
結論から言います。電力系統②では「発電所で作った電気がどうやって私たちのもとに届くのか」を学びます。送電・変電・配電の3つのステップを経て、発電所の高い電圧が最終的に100Vや200Vに変換されて届きます。
この分野は暗記が中心。送電線の電圧降下の計算が出ることもありますが、出題のほとんどは「○○とは何か」を問う知識問題です。各ステップの役割と数値を覚えれば確実に得点できます。
電力系統の全体像|発電所からコンセントまでの電圧変化
電気の流れを順番に見てみましょう。
発電所
数千V〜2万V
送電
27.5万V〜50万V
変電
6,600V
配電
100V / 200V
発電所で作られた電気は、まず超高圧(27.5万V〜50万V)に昇圧されて送電されます。なぜ高い電圧にするかというと、同じ電力を送るとき電圧が高いほど電流が小さくなり、送電線での電力ロスが減るから。電力ロスは電流の2乗に比例するので、電圧を10倍にすれば電流は1/10、ロスは1/100になります。
出題傾向(2級電気工事 第一次検定)
電力系統②はNo.9〜15の選択科目から出題されます。送電線の電圧降下、変電所の機器構成、配電方式の違いが頻出。 全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。
なぜ送変配電が電気工事施工管理で最重要テーマなのか?
電気工事の施工管理者が最も直接関わるのが配電設備(電柱・引込線・キュービクル等)と変電設備(受変電設備の設置工事)です。発電所から需要家までの電気の流れを理解していないと、高圧ケーブルの選定や変圧器の容量計算で判断ミスをする恐れがあります。
送電|高電圧で損失を減らす仕組み【頻出】
送電線の種類
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 架空送電線 | 鉄塔で電線を支持。コストが安く保守が容易。日本の送電の大部分 |
| 地中送電線 | ケーブルを地中に埋設。都市部で使用。コストは高いが景観に影響なし |
架空送電線の構成
鉄塔の上に張られている電線を見たことがあるでしょう。あの電線はACSR(鋼心アルミより線)と呼ばれ、中心に鋼線(強度確保)、周囲にアルミ線(電気を通す)を巻いた構造です。なぜ銅でなくアルミかというと、アルミは銅より軽いため、鉄塔の間隔を広くできてコストが下がるからです。
送電線の一番上に張られている細い線は架空地線(グランドワイヤ)。雷を受け止めて送電線への落雷被害を防ぐ「避雷針」の役割をしています。
送電線の電圧降下
送電線にも抵抗があるため、電流が流れると電圧が下がります(電圧降下)。これは試験で計算問題として出題されることがあります。
電圧降下 e = I × R × cosθ + I × X × sinθ
(三相3線式の場合は√3倍)
この式の意味は「電流が大きいほど、電線が長いほど(抵抗が大きいほど)、電圧降下が大きくなる」ということ。実務では、電圧降下が規定値以内に収まるよう、電線の太さ(断面積)を選定します。
変電|電圧の段階的な降圧プロセス
変電所の役割
変電所は電圧を段階的に下げていく施設です。
| 変電所の種類 | 電圧 |
|---|---|
| 超高圧変電所 | 50万V → 27.5万V → 15.4万V |
| 一次変電所 | 15.4万V → 6.6万V |
| 配電用変電所 | 6.6万V → 6,600V |
配電用変電所から出た6,600Vの電気が、街の電柱の上にある柱上変圧器で100V/200Vに下げられて各家庭やビルに届きます。
変電所の主要設備
| 設備 | 役割 |
|---|---|
| 変圧器 | 電圧を変換する中核設備 |
| 遮断器(CB) | 事故時に大電流を安全に遮断する「スイッチ」 |
| 断路器(DS) | 無負荷状態で回路を切り離す。保守作業時に使う |
| 保護継電器 | 異常(過電流・地絡)を検出して遮断器に遮断指令を出す |
| 避雷器(LA) | 落雷による異常電圧(雷サージ)を大地に逃がして設備を守る |
遮断器と断路器の違い — 超頻出!
遮断器(CB)は電流が流れている状態でも切れる。事故時の緊急遮断用。
断路器(DS)は電流が流れていない状態でしか操作できない。保守点検時に回路を確実に切り離すため。
「CBは事故対応、DSはメンテナンス用」と覚えましょう。
配電|高圧配電線と柱上変圧器の仕組み
配電方式
配電用変電所から需要家(家庭・ビル・工場)まで電気を届ける方式です。
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| 単相2線式 | 100Vのみ。小規模な住宅向け |
| 単相3線式 | 100Vと200Vの両方を供給。一般住宅の標準 |
| 三相3線式 | 200V動力用。工場・ビルのモーター・空調機に使用 |
| 三相4線式 | 大規模ビル・商業施設向け。100Vと200Vを同時に供給可能 |
一般家庭のブレーカーを見ると、赤・白・黒の3本線が入っているはずです。これが単相3線式。赤-白間で100V、黒-白間で100V、赤-黒間で200V——1つの引込みで2種類の電圧を使えるのが特徴です。IHクッキングヒーターやエアコンの200V回路は、この仕組みで供給されています。
高圧配電と低圧配電
配電用変電所から電柱までは6,600Vの高圧で配電されます。電柱の上にある柱上変圧器で100V/200Vに下げてから各家庭に引き込む。この柱上変圧器は、街中を歩くと電柱の上に見える円筒形の装置です。
一方、工場やビルなどの大口需要家は6,600Vで直接受電し、自前のキュービクル(受変電設備)で200V/100Vに変圧します。これが電気工事施工管理の仕事で最も多く関わる設備です。
Q. なぜ高電圧で送電するの?
A. 電力損失はP=I²Rで、電流の2乗に比例します。同じ電力を送る場合、電圧を10倍にすれば電流は1/10になり、損失は1/100に激減します。だから送電は高電圧で行い、需要家の近くで降圧するのです。
Q. 単相3線式とは?
A. 3本の電線で100Vと200Vの両方を供給できる配電方式。一般住宅で使われています。中性線を含む3本の線で、中性線と外側線の間が100V、外側線同士が200V。エアコン等の200V機器も使えるメリットがあります。
Q. 配電線の電圧6.6kVはなぜ?
A. 日本の高圧配電の標準電圧が6,600V(6.6kV)です。この電圧で電柱を通じて配電し、需要家の近くの柱上変圧器で100/200Vに降圧して家庭や小規模施設に供給します。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:送電電圧と電力損失の関係(P=I²R)を問う問題
- パターン2:電力系統の電圧の段階(500kV→…→100/200V)
- パターン3:配電方式(単相2線・単相3線・三相3線・三相4線)の比較
- パターン4:架空送電線の構成要素(がいし・鉄塔・架空地線等)
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 送電の損失 | P=I²R →「電圧UPで電流DOWN→損失激減」 |
| 電圧の段階 | 500kV→154kV→66kV→6.6kV→100/200V(段階的に降圧) |
| 6.6kV | 高圧配電の標準電圧→柱上変圧器で100/200Vに |
| 単相3線式 | 100V+200V両方OK→住宅の標準→中性線が重要 |
理解度チェック
Q1. 送電線の電圧を高くする理由は?
Q2. 遮断器(CB)と断路器(DS)の違いは?
Q3. 単相3線式で供給できる電圧は?
よくある質問と試験のひっかけポイント
ミニテストで知識を確認しよう
送電・変電・配電の知識を電力系統ミニテストで確認しましょう。
こう間違える人が多い!
- 「送電電圧と配電電圧を混同」 → 送電は66kV〜500kV、配電は6.6kV(高圧)/100V・200V(低圧)
- 「架空送電線と地中送電線のメリットを逆に覚える」 → 架空=安い・保守しやすい、地中=都市部・景観・雷に強い
- 「変電所の機器の役割を混同」 → 遮断器(電流を切る)、断路器(無負荷で回路を開く)、避雷器(雷サージを吸収)
まとめ|送電・変電・配電の電圧と方式を正確に覚える
この記事のポイント
- 送電:高電圧で送電するほど送電損失が小さい(P=I²R)
- 架空送電線:がいし・架空地線・ダンパの役割を区別する
- 変電:高圧→低圧への変換。遮断器・断路器・計器用変成器の役割
- 配電:高圧配電線(6,600V)→柱上変圧器→低圧配電(200V/100V)
- 施工管理者は配電設備(電柱・引込線・キュービクル)に最も直接関わる
もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で演習しましょう。