2級管工事(第一次)

【2級管工事】空調設備②(換気設備・排煙設備・ダクト)をわかりやすく解説

空調設備②(換気設備・排煙設備・ダクト)の要点(30秒でわかる)

  • 換気設備:必要換気量の算出、シックハウス対策(0.5回/h以上)、局所換気と全般換気
  • 排煙設備:自然排煙(窓)と機械排煙(排煙機)。排煙口は天井面から80cm以内
  • ダクト:角ダクトと丸ダクト、低圧・高圧ダクトの区分、アスペクト比は4以下が推奨
  • 出題傾向:換気量の基準値、排煙設備の数値基準が頻出。数字を正確に覚える

結論から言います。換気設備・排煙設備・ダクトは空調設備と一体の分野です。「空気を送る・排出する」という仕組みがわかれば、試験問題もスムーズに解けます。特に換気方式とダクトの施工は頻出テーマです。

出題傾向(2級管工事 第一次検定)

換気・排煙・ダクトは空調設備(No.6〜17)の中で毎年2〜3問出題されます。特に機械換気の3種類防火ダンパーの作動温度は超頻出。「空調設備①」とセットで学ぶと空調分野を得点源にできます。全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」をご覧ください。

換気設備|必要換気量・シックハウス対策・局所換気

換気の目的

換気の目的は大きく3つあります。

目的 具体例
酸素の供給 人が呼吸するためのCO₂濃度管理(1,000ppm以下)
汚染物質の排出 ホルムアルデヒド、臭気、煙、粉じんなどの排出
温湿度の調整 外気導入で室内の温度や湿度をコントロール

換気量の基準は原論①「環境工学(伝熱・結露・換気)」で学んだ必要換気量の考え方が土台になります。

機械換気の3種類

機械換気の3種類と室圧
第1種換気 給気ファン+排気ファン → 室圧を自由に制御
適用:劇場・地下街・大規模空間
第2種換気 給気ファンのみ → 室内が正圧(外からの汚染を防ぐ)
適用:クリーンルーム・手術室・ボイラー室
第3種換気 排気ファンのみ → 室内が負圧(臭気・煙が漏れない)
適用:トイレ・厨房・浴室・駐車場

ボイラー室はなぜ第2種換気?

ボイラーは燃焼に大量の空気を必要とします。第2種換気で新鮮空気を強制的に送り込むことで、燃焼用の酸素を確保します。さらに室内が正圧になるため、排気ガスが室内に逆流するのも防げます。

全熱交換器

全熱交換器は排気の熱(温度+湿度)を給気に回収する省エネ装置です。冬は暖かい排気の熱を冷たい外気に移し、夏は涼しい排気の冷熱を暑い外気に移します。

一般的なオフィスビルでは、全熱交換器の導入で外気負荷を50〜70%削減できます。第1種換気と組み合わせるのが基本です。原論③「熱力学(顕熱と潜熱)」で学んだ「顕熱+潜熱=全熱」の考え方がここで活きてきます。

排煙設備|自然排煙と機械排煙の基準【頻出】

排煙設備は火災時に煙を外部に排出して、避難経路の視界と空気を確保するための設備です。管工事として排煙ダクトの施工を行います。

自然排煙と機械排煙

方式 仕組みと基準
自然排煙 窓を開けて煙を排出。排煙口は天井面から80cm以内に設置。床面積の1/50以上の開口面積
機械排煙 排煙ファンで強制排出。排煙風量は1m²あたり1m³/min以上。地下や窓のない部屋に必要

排煙ダクトには防火ダンパー(FD)が設置されます。防火ダンパーは温度ヒューズ付きで、ダクト内の温度が280℃に達すると自動的に閉鎖します。これにより、ダクトを通じて火災が隣の区画に延焼するのを防ぎます。

重要な数値(暗記必須)

  • 排煙口の位置:天井面から80cm以内
  • 自然排煙の開口面積:床面積の1/50以上
  • 機械排煙の風量:1m²あたり1m³/min以上
  • 排煙用防火ダンパーの作動温度:280℃
  • 一般空調用防火ダンパーの作動温度:72℃

排煙設備の法的な設置基準は「建築基準法・消防法・その他法規」で詳しく解説しています。

ダクト設備|種類・サイズ・施工のポイント

ダクトは空気を運ぶ「空気の配管」です。空調・換気・排煙のすべてにダクトが使われます。ダクト内の空気の流れには、原論②「流体力学(ベルヌーイの定理・圧力損失)」の知識が直接活きてきます。

ダクトの種類

種類 特徴と用途
亜鉛鉄板ダクト(角ダクト) 最も一般的。空調・換気に使用。板厚はダクトサイズで決まる
スパイラルダクト(丸ダクト) 円形で気密性が高い。同じ風量で角ダクトより省スペース
フレキシブルダクト 蛇腹状で自由に曲げられる。吹出口との接続部分に使用。長さは短くする
グラスウールダクト 断熱材一体型。保温工事が不要。軽量で施工しやすい

ダクトの施工ポイント

ダクト施工の要点

  • たわみ継手:ファンとダクトの接続部に使用。振動が伝わるのを防ぐ(配管の防振継手と同じ考え方)
  • 風量調整ダンパー(VD):各分岐ダクトの風量を調整
  • 防火ダンパー(FD):防火区画を貫通する箇所に設置。温度ヒューズ付き
  • ダクトの保温:結露防止と熱損失防止のため、空調ダクトには保温材を施工

ダクトの施工要領図の読み方は「施工要領図と配管図の読み方」、ダクト付属品の詳細は「機器・ダクト・配管付属品」をご覧ください。

よくある質問と試験のひっかけポイント

Q. シックハウス対策の換気回数0.5回/hとは?

A. 1時間に部屋の空気の半分を入れ替えるということ。建築基準法で、ホルムアルデヒド対策として居室に24時間換気設備の設置が義務づけられています(2003年〜)。

Q. 排煙口が天井面から80cm以内なのはなぜ?

A. 火災時の煙は天井付近に溜まるためです。排煙口をできるだけ天井に近い位置に設けることで、効率的に煙を排出できます。80cmは建築基準法施行令で定められた数値です。

Q. ダクトのアスペクト比とは?

A. 角ダクトの長辺と短辺の比です。アスペクト比が大きい(=極端に扁平な)ダクトは圧力損失が増大し、強度も低下します。一般的に4以下が推奨されています。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:必要換気量の算定方法(CO₂濃度基準・換気回数法)
  • パターン2:排煙設備の設置基準(排煙口の位置・排煙風量)
  • パターン3:ダクトの種類(低圧・高圧)と施工上の注意点
  • パターン4:機械換気の第1種〜第3種の適用場所

暗記のコツ

項目 ポイント
シックハウス換気 0.5回/h=「24時間換気で0.5回」→覚え数字
排煙口の位置 天井面から80cm以内=「ハチマル(80)以内」
アスペクト比 4以下推奨→「4を超えると扁平すぎ」
排煙面積 床面積の1/50以上(自然排煙の場合)

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

第一次検定の攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

【問1】全熱交換器の主な役割は何か?

解答を見る

正解:排気の熱(温度+湿度)を給気に回収して省エネを図る
冬は暖かい排気の熱を冷たい外気に移し、夏は涼しい排気の冷熱を暑い外気に移すことで、外気負荷を50〜70%削減できます。

【問2】排煙ダクトの防火ダンパーは何℃で作動するか?

解答を見る

正解:280℃
排煙ダクト用の防火ダンパーは温度ヒューズ280℃で作動・閉鎖します。なお、一般空調ダクト用の防火ダンパーは72℃で作動するものが標準です。この違いは頻出です。

【問3】ファンとダクトの接続部に取り付ける、振動伝達を防ぐ部材は何か?

解答を見る

正解:たわみ継手(キャンバス継手)
ファンの振動がダクトに伝わるのを防ぎます。配管における防振継手と同じ役割です。

【問4】第2種換気を採用すべき室はどれか?
(1)トイレ (2)厨房 (3)ボイラー室 (4)駐車場

解答を見る

正解:(3)ボイラー室
ボイラー室は燃焼用の空気を確保するため、給気ファンで新鮮空気を強制的に送り込む第2種換気(正圧)を採用します。トイレ・厨房・駐車場は臭気や排気ガスが漏れないよう第3種換気(負圧)が基本です。

よくある質問と試験のひっかけポイント

ミニテストで知識を確認しよう

換気・排煙・ダクトの知識を空調設備ミニテストで確認しましょう。

📝 空調設備 ミニテスト(四肢択一10問)

📋 模擬テスト(本番形式52問)

こう間違える人が多い!

  • 「トイレは第2種換気」 → 第3種(排気ファンのみ、負圧)。臭気が外に漏れないようにする
  • 「防火ダンパーは全部280℃」 → 排煙用は280℃、一般空調用は72℃。この使い分けが出題される
  • 「全熱交換器は顕熱だけ回収する」 → 顕熱+潜熱の両方を回収するから「全熱」。顕熱だけなら「顕熱交換器」
  • 「フレキシブルダクトは長く使える」 → 圧力損失が大きいため長さは短くするのが原則。接続部の短区間のみ使用

なぜ排煙設備の知識が管工事で必要なのか?

火災時に煙を排出する排煙設備は、ダクト工事の一部として管工事業者が施工します。排煙ダクトは温度280℃以上に耐える材質が必要で、一般の換気ダクトとは異なる施工基準が適用されます。試験では「排煙=命に関わる設備」という位置づけから、自然排煙と機械排煙の使い分け、500m²ごとの防煙区画などが繰り返し出題されます。

まとめ|換気・排煙・ダクトの数値基準を暗記する

テーマ 覚えるべきポイント
換気設備 第1〜3種換気の適用場所、ボイラー室は第2種、全熱交換器で省エネ
排煙設備 自然排煙と機械排煙の基準。防火ダンパー280℃。排煙口は天井面80cm以内
ダクト 角ダクト・スパイラル・フレキの使い分け。たわみ継手・VD・防火ダンパー

空調設備①(冷暖房方式・ヒートポンプ・熱源機器)」とセットで学ぶと、空調分野の全体像がつかめます。もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で紹介している過去問題集で演習しましょう。

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