給排水衛生設備①(給水設備・給湯設備)の要点(30秒でわかる)
- 給水方式:水道直結直圧、水道直結増圧、受水槽方式の3つ→建物規模で選定
- 給水管:クロスコネクション(上水と他系統の直接接続)は絶対禁止
- 給湯方式:中央式(ボイラ)と局所式(瞬間湯沸器等)。循環配管で温度低下を防止
- 逆流防止:吐水口空間・逆止弁・バキュームブレーカで汚染水の逆流を防ぐ
- 出題傾向:給水方式の比較、クロスコネクション禁止、逆流防止措置が頻出
結論から言います。給水設備・給湯設備は管工事の中でも最も身近な分野です。蛇口をひねれば水が出て、お湯が使える――この「当たり前」の裏側にある仕組みを理解すれば、試験問題はスムーズに解けます。
出題傾向(2級管工事 第一次検定)
給排水衛生設備はNo.18〜23の6問から出題されます(選択科目の一部)。給水方式の分類、逆流防止、給湯温度は毎年のように出る超頻出テーマです。水道関連の実務経験がある方は必ず選択しましょう。全体の攻略は「第一次検定の出題傾向と攻略法」、選択戦略は「選択問題の戦略」をご覧ください。
給水設備|給水方式の比較とクロスコネクション禁止【頻出】
給水方式の分類
建物への給水方式は、大きく分けて3つあります。建物の規模や用途に応じて使い分けます。
最近のマンションでは直結増圧方式が主流になっています。受水槽が不要なので衛生的で、屋上の高置水槽も不要だから建物のデザイン自由度も高い。ただし、水道本管の圧力に依存するため、大規模な建物や高層ビルでは受水槽方式が必要です。
給水方式の選定にはポンプの全揚程計算が必要です。原論②「流体力学(ベルヌーイの定理・圧力損失)」で学んだ圧力損失の知識がここで活きてきます。
受水槽の設置基準
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 6面点検 | 受水槽の6面(上下左右前後)すべてに60cm以上の点検スペースが必要 |
| オーバーフロー管 | 間接排水とし、排水管に直結しない。逆流防止のため |
| 清掃・点検 | 有効容量10m³超は年1回以上の水質検査と清掃が義務(簡易専用水道) |
逆流防止(クロスコネクション防止)
クロスコネクションとは、上水道の配管と、井戸水・工業用水・排水管などの配管を直接接続してしまうこと。これは水道法で禁止されています。
なぜ危険かというと、水道本管の圧力が一時的に下がった場合(断水や大量使用時)、汚染された水が上水道に逆流する恐れがあるからです。
逆流防止の方法(暗記必須)
- 逆止弁(チェックバルブ):水の逆流を機械的に防止
- バキュームブレーカー:負圧発生時に空気を吸い込んで逆流を防止
- 吐水口空間:蛇口の先端と水面の間に一定の空間を確保(最も確実)
- 逆流防止装置付き減圧弁:直結増圧方式で使用
給湯設備|中央式と局所式・循環配管のポイント
給湯方式の分類
| 方式 | 仕組みと特徴 |
|---|---|
| 中央式 | 機械室のボイラーで集中的に湯を作り、配管で各所に供給。大規模ビル・ホテル向け |
| 局所式 | 使用場所ごとに小型給湯器を設置。戸建住宅・小規模事務所向け。配管が短く熱損失が少ない |
給湯配管の注意点
給湯配管は給水配管と違って「熱膨張」への対策が必要です。水は温められると体積が増えるため、配管や機器に過大な圧力がかかるのを防ぐ装置が必要になります。
| 装置 | 役割 |
|---|---|
| 膨張タンク | 温水の体積膨張を吸収するタンク。密閉式と開放式がある |
| 逃がし弁(安全弁) | 圧力が設定値を超えたら自動的に水を逃がす。ボイラーやタンクに必須 |
| 伸縮継手 | 配管の熱膨張・収縮を吸収する継手。長い直線配管に設置 |
たとえば、60℃の温水を30mの銅管で配管した場合、温度上昇による管の伸びは約7〜8mmにもなります。この伸びを無視すると、配管の継手部分に過大な応力がかかり、漏水の原因になります。だから給湯配管には伸縮継手やエキスパンションループ(U字状の曲がり)を入れるんです。
給湯にヒートポンプを使うエコキュートは、原論③「熱力学(冷凍サイクル・COP)」で学んだ原理で動いています。空調設備のヒートポンプと同じ仕組みで、空気の熱を汲み上げてお湯を沸かします。
給湯温度とレジオネラ菌
レジオネラ菌対策(重要)
- レジオネラ菌は20〜50℃の温水で繁殖しやすい
- 給湯温度は貯湯槽で60℃以上、末端の蛇口で55℃以上を維持する
- 循環方式の給湯では、返湯温度が下がりすぎないように循環ポンプを適切に運転する
- 貯湯槽やシャワーヘッドの定期清掃が必要
よくある質問と試験のひっかけポイント
Q. クロスコネクションとは何ですか?
A. 上水道の管と、雑用水・排水・空調冷温水など他系統の管を直接接続することで、水道法で絶対に禁止されています。弁を設けても不可。万が一逆流が起きると飲料水が汚染される重大事故になります。試験では「バルブを設ければ接続してよい→✕」が定番のひっかけです。
Q. 受水槽方式のメリットとデメリットは?
A. メリットは断水時にも一定量の水が使えること、高層建物でも安定した水圧を確保できること。デメリットは設置スペースが必要、定期的な清掃・点検が義務(1年に1回以上)、水質劣化のリスクがあることです。
Q. 逆流防止に使う「吐水口空間」とは?
A. 蛇口の吐水口と水受け容器のあふれ縁との間の空間(エアギャップ)です。物理的に空間を設けることで、排水側から上水側への逆流を防ぎます。最も確実な逆流防止方法であり、試験でもよく出題されます。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:給水方式(直結直圧・増圧・受水槽)の比較と適用建物
- パターン2:クロスコネクション禁止の規定(バルブ設置でもNG)
- パターン3:逆流防止措置(吐水口空間・逆止弁・バキュームブレーカ)
- パターン4:給湯の循環配管と返湯管の役割
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| クロスコネクション | 「絶対禁止」→弁があってもダメ。上水と他系統は直接つながない |
| 給水方式3つ | 直結直圧→直結増圧→受水槽の順で設備が大がかりに |
| 吐水口空間 | エアギャップ=空気の壁で逆流を防ぐ→最も確実 |
| 受水槽清掃 | 年1回以上の清掃・点検が義務(水道法施行規則) |
理解度チェック
【問1】受水槽が不要で、増圧ポンプを使って給水する方式は何か?
【問2】上水道の配管と井戸水の配管を直接接続することを何というか?
【問3】給湯配管に伸縮継手を設ける目的は何か?
【問4】レジオネラ菌対策として、貯湯槽の温度は何℃以上に維持すべきか?
よくある質問と試験のひっかけポイント
ミニテストで知識を確認しよう
給水・給湯設備の知識をミニテストで定着させましょう。
こう間違える人が多い!
- 「直結増圧方式でも受水槽が必要」 → 不要。増圧ポンプで直接給水する方式
- 「吐水口空間は逆止弁で代用できる」 → 吐水口空間は物理的な空間であり、機械的な装置では代用不可。最も確実な逆流防止策
- 「レジオネラ菌は60℃以上で繁殖する」 → 逆。60℃以上で死滅する。繁殖は20〜50℃
- 「給湯配管に伸縮継手は不要」 → 温水で配管が伸びるため、長い直線配管には伸縮継手が必須
- 「受水槽の6面点検スペースは30cm」 → 60cm以上が正解
なぜ給水方式の選定が試験に出るのか?
建物の階数や用途によって最適な給水方式は変わります。高層マンションに直結直圧方式は使えない(水圧不足)し、病院の受水槽は衛生管理が特に厳しい。管工事の主任技術者は「この建物にどの方式が最適か」を判断できる必要があり、試験では方式の特徴と適用条件のマッチングが繰り返し出題されます。
まとめ|給水方式と逆流防止を確実に理解する
| テーマ | 覚えるべきポイント |
|---|---|
| 給水方式 | 直結直圧・直結増圧・受水槽の3方式。最近は直結増圧が主流 |
| 逆流防止 | クロスコネクション禁止。逆止弁・バキュームブレーカー・吐水口空間で防止 |
| 給湯方式 | 中央式と局所式。膨張タンク・逃がし弁・伸縮継手で熱膨張対策 |
| レジオネラ対策 | 貯湯槽60℃以上、末端55℃以上。定期清掃・水質管理 |
給排水衛生設備は管工事の基本中の基本。次回は「給排水衛生設備②(排水設備・通気設備)」で排水管の勾配やトラップの仕組みを解説します。
もっと問題を解きたい方は「おすすめテキスト・参考書」で紹介している過去問題集で演習しましょう。
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