1級土木(第一次)

1級土木 上下水道(浄水処理・管きょ施工・推進工法)【第一次検定の科目別解説】

上下水道のポイント(30秒で押さえる)

  • 上水道:取水→導水→浄水→送水→配水の5段階。急速ろ過と緩速ろ過の違いが頻出
  • 下水道:合流式と分流式の2方式。分流式は汚水と雨水を分けて排除する
  • 管きょの施工:開削工法と推進工法が中心。推進工法は非開削で交通への影響が少ない
  • 出題頻度:1〜2問。推進工法の種類と特徴が特に問われやすい

上水道のしくみ

私たちが蛇口をひねれば出てくる水は、水源から何段階もの処理を経て届いています。1級土木の試験では、浄水処理のプロセスと水道管の布設がよく出題されます。

水道の流れ(取水から配水まで)

上水道の処理フロー
① 取水:河川・湖沼・地下水から原水を取り入れる
② 導水:取水施設から浄水場まで原水を送る(導水管・導水路)
③ 浄水:沈殿・ろ過・消毒で飲料水の基準に処理する
④ 送水:浄水場から配水池まで送水ポンプで圧送
⑤ 配水:配水池から配水管を通じて各家庭・施設に届ける

浄水方法の比較(頻出)

浄水方法は大きく急速ろ過緩速ろ過の2種類。試験では両者の違いがよく問われます。

項目 急速ろ過 緩速ろ過
処理速度 120〜150m/日 4〜5m/日
前処理 凝集沈殿が必要(薬品で濁りを固めて沈める) 原則不要
ろ過のしくみ 砂層で物理的にろ過 砂の表面にできた生物膜で浄化
必要面積 小さい(高速処理のため) 大きい(低速のため広い面積が必要)
維持管理 逆流洗浄で砂層を洗う。機械的・薬品的な管理が必要 砂の表面を削り取る。管理が簡単
採用状況 大規模浄水場で主流(日本の約75%) 小規模浄水場向き

現場イメージとしては、大都市の浄水場はほぼ急速ろ過です。薬品(PAC:ポリ塩化アルミニウム)を入れて濁りの粒子をフロック(かたまり)にし、沈殿池で沈めてからろ過池に通します。一方、緩速ろ過は砂の表面に自然にできる「生物膜(スマッツデッケ)」の力で浄化するので薬品がほぼ不要。水質が良好な水源でよく使われます。

水道管の種類と布設

主な管種と使い分け

管種 特徴 用途
ダクタイル鋳鉄管(DIP) 強度・耐久性が高い。継手の種類が豊富(GX形・NS形など)。耐震継手あり 配水本管・送水管に最も多く使用
鋼管(SP) 大口径に対応。溶接継手で水密性が高い。外面防食が必要 大口径の送水管・水管橋
硬質塩化ビニル管(VP・HIVP) 軽量で施工が容易。耐食性に優れるが衝撃に弱い 口径50mm以下の給水管
ポリエチレン管(PE) 可とう性が高く地震に強い。融着接合で漏水リスクが低い 配水支管・給水管

配水管の布設工事の留意事項

布設工事のポイント(試験で問われやすい)

  • 管の布設は低い方から高い方へ向かって施工する(勾配に逆らう方向)
  • ダクタイル鋳鉄管は受口を上流側に向けて布設する
  • 管の据え付け後、水圧試験を行い漏水がないことを確認する
  • 埋め戻しには良質な砂を使用し、管の周囲は入念に締め固める
  • 既設管との接続時は断水作業が必要。仮配管(バイパス)で給水を確保することもある

下水道のしくみ

合流式と分流式(頻出)

下水道の排除方式には合流式分流式の2種類があります。近年の新設はほぼ分流式ですが、都市部の古い地域には合流式が残っています。

項目 合流式 分流式
構造 汚水と雨水を1本の管で排除 汚水管と雨水管を別々に敷設
建設費 管が1本で済むため安い 管が2本必要なため高い
維持管理 晴天時に管内に汚物が堆積しやすい 汚水管は常時流水があり堆積しにくい
雨天時 大雨で処理場の能力超過 → 未処理下水が越流(CSO問題) 雨水は直接放流。汚水は処理場へ → 越流なし
環境への影響 雨天時の越流で河川・海を汚染 環境負荷が小さい

東京23区のように古くから下水道が整備された地域は合流式が多く、大雨のたびに隅田川やお台場周辺の水質が問題になるのはこの構造が原因です。近年は合流式の改善(貯留管の設置、雨水吐きの改良など)が進められています。

管きょの種類と勾配

管種 特徴
鉄筋コンクリート管(ヒューム管) 大口径(800mm以上)に対応。強度が高い。重量が大きい
硬質塩化ビニル管 口径600mm以下で広く使用。軽量で施工性が良い。耐食性に優れる
強化プラスチック複合管(FRPM管) 大口径で軽量。耐食性が高い。推進工法にも対応

管きょの勾配(覚えておきたい数値)

  • 下水管きょは自然流下(重力で流す)が原則 → 上流から下流に向かって勾配をつける
  • 汚水管の最小勾配の目安:口径200mmで1/150以上、口径300mmで1/200以上
  • 流速は0.6〜3.0m/秒の範囲に収まるよう設計する(遅すぎると堆積、速すぎると摩耗)

下水道管きょの施工方法

開削工法

地面を掘り下げて管を布設し、埋め戻す最も基本的な工法です。浅い埋設深さの場合や、道路幅員に余裕がある場合に採用されます。

  • 土留め工:掘削深さ1.5mを超える場合、または地盤が軟弱な場合は土留め支保工が必要
  • 矢板の種類:鋼矢板・軽量鋼矢板・木矢板など。掘削深さや地盤条件で選定
  • 基礎工:管の底面に砂基礎またはコンクリート基礎を設置。基礎の種類は管種と地盤で決まる
  • 埋め戻し:管の周囲は良質土で入念に締固め。管の上30cm程度まで人力で施工

推進工法(最頻出��

推進工法は地面を開削せずにトンネル状に管を敷設する方法です。交通量の多い道路や鉄道の下、河川を横断する場合など、開削工法が困難な場所で使われます。

推進工法のしくみ

発進立坑(たて穴)から油圧ジャッキで管を押し込み、到達立坑まで地中を掘り進めます。地上をほとんど掘削しないため、交通規制が最小限で済むのが最大のメリットです。

工法 掘削方式 適用条件
刃口式推進工法 管の先端に刃口(カッティングエッジ)を取付け、人力で切羽を掘削 比較的安定した地盤。中〜大口径(800mm以上)
泥水式推進工法 切羽に泥水を送り、泥水圧で地山を安定させながらカッターで掘削。泥水と一緒に排土 地下水位が高い地盤、軟弱地盤。中〜大口径
泥土圧式推進工法 掘削した土砂に添加材を注入して泥土化し、切羽の安定と排土を同時に行う 粘性土〜砂質土。中〜大口径
小口径管推進工法 口径700mm以下の管を推進。先導体のみで掘進(人が入らない) 口径700mm以下。住宅地の狭い道路で多用

推進工法の管理ポイント(試験対策)

  • 滑材の注入:管の外周面に滑材(ベントナイト液等)を注入し、推進力(摩擦抵抗)を軽減する
  • 推進力の管理:管に許容耐荷力を超える推進力がかからないよう管理。長距離推進では中押し装置(中間ジャッキ)を設置
  • 測量・方向制御:レーザートランシットで推進方向を常時監視。計画線からのずれを最小限に抑える
  • 立坑の構造:発進立坑は推進設備を設置するため十分な大きさが必要。到達立坑は小さくてよい

マンホールの施工

マンホールは管きょの合流点・屈曲点・管径の変化点に設置します。維持管理のための人の出入り口でもあり、下水道の「点検口」の役割を果たします。

  • 設置間隔:管きょの直線部では、管径600mm以下の場合は最大75m間隔で設置
  • インバート:マンホールの底部に設ける半円形の溝。下水がスムーズに流れるよう、管きょの半径に合わせた形状にモルタルで仕上げる
  • 副管(ドロップ):管きょの落差が大きい場合に設置する縦管。マンホール内に直接落下させると底部が損傷するため、副管で受ける
  • 防臭対策:ふたにはゴムパッキン付きの密閉型を使用し、臭気の漏出を防止

まとめ

この記事のポイント

  • 浄水方法:急速ろ過(凝集沈殿+高速処理)と緩速ろ過(生物膜で浄化)の違いを押さえる
  • 水道管:ダクタイル鋳鉄管が主流。布設は低い方から高い方へ、受口は上流側
  • 下水道:分流式(汚水・雨水を分離)が新設の主流。合流式は雨天時の越流が問題
  • 推進工法:泥水式・泥土圧式・刃口式の違いを整理。滑材注入中押し装置がキーワード
  • マンホール:設置間隔75m以内。インバートと副管の目的を理解する

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