1級土木(第一次)

1級土木 構造物(鋼構造・コンクリート構造・PC)【第一次検定の科目別解説】

構造物のポイント(30秒で押さえる)

  • 鋼構造:溶接接合と高力ボルト接合の施工管理。溶接欠陥と検査方法が頻出
  • コンクリート構造:鉄筋の加工・組立、かぶり厚さ、継手の管理
  • プレストレストコンクリート:プレテンション方式とポストテンション方式の違い
  • 出題頻度:専門土木から毎年3〜4問。選択分野として人気が高い

鋼構造の施工管理

溶接接合

溶接の種類 特徴
完全溶込み溶接 母材と同等の強度。主要な構造部材の接合に使用。開先加工が必要
隅肉溶接 部材の重なり部分を三角形状に溶接。有効のど厚はサイズの0.7倍
部分溶込み溶接 母材の一部のみ溶け込む。二次部材の接合に使用

溶接欠陥と検査

欠陥名 内容 検査方法
ブローホール 溶接金属中にガスが閉じ込められてできた球状の空洞 放射線透過試験(RT)・超音波探傷試験(UT)
アンダーカット ビード止端部がえぐれた溝状の欠陥。深さ0.3mm以下で許容 外観検査(目視)
溶込み不良 開先のルート部が十分に溶けていない。強度不足の原因 超音波探傷試験(UT)
割れ(クラック) 溶接部に発生するひび割れ。最も重大な欠陥 磁粉探傷試験(MT)・浸透探傷試験(PT)
スラグ巻込み 溶接金属中にスラグが残留した欠陥 放射線透過試験(RT)

非破壊検査の使い分け(頻出)

  • 外観検査:全溶接部に実施。表面の欠陥(アンダーカット・ピット等)を確認
  • 超音波探傷試験(UT):内部欠陥の検出に最も多用。現場で簡便に実施可能
  • 放射線透過試験(RT):内部欠陥の形状がフィルムに記録される。記録性に優れる
  • 磁粉探傷試験(MT):表面および表面直下の割れの検出に有効。磁性材料のみ適用
  • 浸透探傷試験(PT):表面に開口した割れの検出。非磁性材料にも適用可能

高力ボルト接合

  • 摩擦接合:ボルトの締付け力で部材間の摩擦力により応力を伝達。最も一般的
  • 締付け手順:1次締め→マーキング→本締め
  • 締付け順序:ボルト群の中央から外側に向かって行う
  • 接合面の処理:すべり係数0.45以上を確保(黒皮除去・ブラスト処理等)
  • 共回りが発生したボルトは新しいセットに交換

コンクリート構造の施工管理

鉄筋の加工・組立

  • 加工:鉄筋は常温で加工する。加熱加工は原則として行わない
  • かぶり厚さ:部材の種類と環境条件により規定。スペーサーで確保する
  • 継手:重ね継手・ガス圧接・機械式継手。同一断面に集中させない(継手位置をずらす)
  • 配筋検査:鉄筋の種類・径・本数・間隔・かぶり・継手長さを確認

プレストレストコンクリート(PC)

方式 特徴 適用
プレテンション方式 コンクリート打設前にPC鋼材を緊張し、硬化後に緊張力を解放。付着力でプレストレスを導入 工場製品(PC桁・PC板)
ポストテンション方式 コンクリート硬化後にPC鋼材を緊張してプレストレスを導入。シース管内のPC鋼材をジャッキで引張る 現場施工の大型構造物(橋梁等)

PCの施工上の留意事項

  • ポストテンション方式では、緊張後のシース管内にグラウト(セメントミルク)を注入しPC鋼材の防錆と一体化を図る
  • グラウトの充填不足はPC鋼材の腐食の原因となる。充填確認は必須
  • PC鋼材の緊張力はジャッキの圧力計PC鋼材の伸び量の両方で管理する

まとめ

この記事のポイント

  • 溶接欠陥:ブローホール・アンダーカット・割れの種類と検査方法をセットで覚える
  • 非破壊検査:UT(超音波)は内部欠陥、MT(磁粉)は表面割れ、PT(浸透)は非磁性材料
  • 高力ボルト:1次締め→マーキング→本締め。すべり係数0.45以上
  • プレストレスト:プレテンション=打設に緊張、ポストテンション=硬化に緊張

構造物分野で問われやすい判断軸

構造物分野は、鋼構造、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート(PC)をまとめて覚えようとすると混同しやすくなります。第一次検定では、材料の特徴、力の受け方、施工時に管理する項目、劣化や不具合の原因を切り分けて判断することが重要です。

構造・材料 試験で押さえるポイント
鋼構造 高力ボルト、溶接、腐食防止、仮組立、架設時の安全管理を確認する。
鉄筋コンクリート かぶり、配筋、型枠、打込み、締固め、養生、ひび割れ対策を整理する。
PC構造 プレストレス、定着、緊張管理、グラウト、施工順序を押さえる。
構造物共通 設計図書、材料証明、出来形、品質記録、安全な架設計画を確認する。

鋼構造・コンクリート構造・PCの違い

力の受け方で切り分ける

  • 鋼構造は、軽くて強度が高く、橋梁や鉄骨部材で使われます。接合部の管理、溶接欠陥、ボルト締付け、腐食防止が重要です。
  • 鉄筋コンクリートは、圧縮に強いコンクリートと引張に強い鉄筋を組み合わせます。配筋、かぶり、打込み、養生の管理が点数につながります。
  • PC構造は、あらかじめ圧縮力を導入してひび割れを抑える構造です。緊張力、定着部、グラウト充填をセットで覚えます。
  • 構造形式の暗記だけでなく、「どの施工不良が耐久性や安全性に影響するか」を説明できるようにします。

施工管理で見られる確認項目

構造物の問題では、材料名や部材名だけでなく、品質管理、出来形管理、安全管理のどこを確認するかが問われます。特に橋梁、擁壁、函渠、コンクリート構造物では、見えなくなる部分の記録が重要です。

管理項目 確認する内容
品質管理 材料規格、ミルシート、配合、スランプ、空気量、強度、溶接検査を確認する。
出来形管理 部材寸法、鉄筋間隔、かぶり、基準高、通り、たわみ、据付け位置を確認する。
安全管理 架設時の転倒・落下、クレーン作業、支保工、足場、吊荷下の立入禁止を管理する。
記録管理 不可視部分の写真、検査記録、材料証明、是正履歴を残す。

公式情報とあわせて確認すること

当サイトの科目別解説は学習補助用です。試験制度、受検資格、日程、出題範囲の最終確認は、1級土木施工管理技士の試験実施機関である 一般財団法人 全国建設研修センターの1級土木施工管理技術検定ページ を確認してください。鋼構造やコンクリート構造は、実務では発注者の仕様書、標準示方書、設計図書に従って管理します。

次に復習する分野

よくある質問

Q. 鋼構造とPCはどちらを優先して覚えるべきですか?

A. どちらか一方ではなく、鋼構造は接合と防食、PCは緊張とグラウト、コンクリート構造は配筋と養生というように、管理項目を分けて最低限押さえます。

Q. 計算問題まで深く対策すべきですか?

A. 第一次検定では、構造の基本用語と施工管理上の確認項目を優先してください。苦手な計算に時間をかけすぎるより、頻出の品質・出来形・安全管理を固めるほうが安定します。

Q. 構造物分野は実務経験がなくても得点できますか?

A. 得点できます。部材名を丸暗記するより、材料、接合、打込み、養生、架設、安全管理の流れで整理すると選択肢を切りやすくなります。

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