1級土木(第一次)

1級土木 土工②|軟弱地盤対策・法面保護【2026年・第一次検定】

1級土木 土工②|軟弱地盤対策・法面保護【2026年・第一次検定】

最初に押さえる結論

  • 軟弱地盤対策は、工法名だけでなく「何を改善するか→どんな原理か→どの地盤に使うか→何を管理するか」の順で覚えます。
  • 圧密を早める工法、地盤を締め固める工法、固化材で強度を得る工法を混ぜないことが得点の土台です。
  • 法面(のりめん)は、表面の侵食・風化を防ぐ保護と、すべりや崩壊へ抵抗する安定を分けて判断します。
  • 「勾配がこの数値なら必ずこの工法」という一律暗記は危険です。地質、湧水、法高、周辺条件、設計図書を合わせて判断します。

令和8年度の公式問題では、No.10で軟弱地盤対策工法の原理と目的を見分ける問題が出ました。問われたのは単なる工法名ではなく、排水距離、載荷方法、締固め、固化処理の説明が正しく対応しているかです。

この記事は、2026年7月に公表された公式問題と正答肢を確認し、暗記表を「現場条件から選べる知識」に組み直したものです。公式問題の文面は転載せず、出題から読み取れる判断軸を当サイト独自の例で解説します。

更新・確認日:2026年7月28日。実際の設計・施工では、発注者の基準、設計図書、地盤調査結果、施工計画を優先してください。

令和8年度問題から分かる「問われ方」

令和8年度の1級土木・第一次検定の問題Aでは、No.6〜No.20の15問から12問を選ぶ区分に軟弱地盤対策が置かれました。選択区分であっても、土工を得点源にするなら避けて通れない基本分野です。

最新問題で確認されたのは、次の4つの見分けです。

排水して圧密を早める
粘性土地盤の間隙水が抜ける距離を短くする。
荷重を先に与える
供用前に沈下を進め、供用後の残留沈下を減らす。
砂質地盤を締め固める
振動などで密度を高め、支持力や液状化抵抗を改善する。
土と固化材を混合する
改良体をつくり、強度・変形特性や施工性を改善する。

問題の全体構成と選ぶ順序は「1級土木 第一次検定の出題構成と選択戦略」で扱います。ここでは土工の中身に集中しましょう。

軟弱地盤は「沈下・安定・側方変位・液状化」で見る

軟弱地盤という言葉だけで工法は決まりません。国土交通省の盛土等防災マニュアルも、調査で軟弱地盤と判定した後に、沈下量、沈下時間、安定性などを検討して対策を講じる考え方を示しています。

困る現象 確認すること 対策の方向
圧密沈下 沈下量・沈下時間・残留沈下 排水、載荷、置換、軽量化
すべり・支持力不足 盛土速度、せん断強さ、安定 緩速載荷、押え盛土、固化
側方変位 盛土周辺の変位、近接構造物 変位抑制、施工速度、構造対策
液状化 粒度、密度、地下水位、地震動 締固め、排水、固化など

試験で「軟弱地盤だから深層混合処理」と即断する選択肢があれば、目的と地盤条件が抜けていないかを疑います。現場では、ボーリング、標準貫入試験、サウンディング、室内土質試験などの結果を使い、対策前に課題を特定します。

軟弱地盤対策を目的と原理で比較する

考え方 代表例 覚える判断軸
除去・置換 掘削置換 軟弱層を取り除き良質材へ替える。掘削、地下水、処分も検討
圧密促進 プレロード、サンドドレーン、PVD、真空圧密 荷重を先に与える、または排水距離・圧力条件を変える
締固め SCP、バイブロフローテーション 主に緩い砂質地盤の密度を高める。振動・材料供給の役割を見る
固化 表層・深層混合処理 固化材と原位置土を混合し、改良体の強度・均一性を管理
荷重軽減 軽量盛土 地盤へ加わる荷重を減らし、沈下・安定への負担を小さくする

この分類は入口です。同じ工法でも、改良仕様、施工機械、周辺環境、改良深度、工程、経済性が変わります。試験対策では数値を単独で丸暗記せず、問題文に示された条件と結び付けてください。

最重要:プレロードとドレーンを混同しない

プレロードは「将来荷重を先に経験させる」

プレロード工法は、構造物や本設盛土の供用前に荷重を載せ、圧密沈下と地盤の強度増加を先行させる考え方です。必要に応じ、本設荷重を上回る余分な載荷を行うサーチャージを組み合わせ、所定の管理結果を確認して余分を撤去します。

プレロードと緩速載荷は別の考え方

プレロードは供用前に載荷して圧密を進める対策です。緩速載荷は盛土を段階的・ゆっくり施工し、圧密による強度増加を待ちながら安定を確保する施工方法です。「ゆっくり盛ること=プレロード」と覚えると誤答につながります。

ドレーンは「水の逃げ道をつくる」

サンドドレーンやプラスチックボードドレーン(PVD)は、粘性土地盤内に鉛直の排水材を設けます。水平方向の短い経路で排水材へ水を集め、圧密に要する時間を短縮します。圧密沈下量そのものを魔法のようにゼロにする工法ではありません。

  • 施工前:地層構成、圧密特性、排水条件、周辺構造物を確認する。
  • 施工中:打設位置・間隔・深度、排水層との接続、鉛直性などを管理する。
  • 載荷中:沈下、間隙水圧、側方変位を観測し、載荷速度や次工程を判断する。
  • 完了判定:時間だけで決めず、設計で定めた沈下・圧密・安定の管理基準と実測値で確認する。

締固め工法と固化工法の見分け方

SCP・バイブロは密度を上げる視点

サンドコンパクションパイル(SCP)は、地盤中に締め固めた砂杭を造成する工法です。砂質地盤では密度増加や液状化対策、粘性土地盤では砂杭への置換や排水など、地盤と設計目的によって効果の捉え方が変わります。

バイブロフローテーションは、振動機と水などを使って主に緩い砂質地盤を締め固め、形成された空隙へ砂や礫を補給します。「粘性土を排水して圧密させる工法」と説明されていたら原理が違います。

混合処理は改良体の品質を見る

表層混合処理は浅い範囲の土と固化材を混合し、トラフィカビリティー(建設機械が走行・作業できる能力)や支持力などを改善します。深層混合処理は、深い地盤まで攪拌翼などで固化材と原位置土を混合して改良体をつくります。

管理は「一軸圧縮強さだけ」と決めつけません。配合、固化材量、攪拌・施工深度、改良体の配置、連続性、品質確認方法など、設計図書と施工計画で求められた項目を確認します。

3つの現場条件で工法選定を練習する

ケース1:厚い粘性土上に道路盛土

課題が長期沈下なら、圧密促進やプレロードが候補になります。ただし盛土の急速施工ですべりが懸念されるなら、安定照査、緩速載荷、計測施工も必要です。「沈下だけ」見て終わらせないのがポイントです。

ケース2:地下水位が高い緩い砂質地盤

液状化が課題なら、締固め、排水、固化などが候補です。周辺への振動、既設構造物、施工空間、改良後の確認方法まで含めて比べます。粘性土向けの圧密促進を反射的に選ばないようにします。

ケース3:浅い軟弱層で施工機械が走れない

浅い層の置換や表層混合処理が候補になります。ただし、表面だけ改善しても深部の支持力・沈下問題が残る場合があります。「走れるようになった」と「構造物を安全に支持できる」は同じではありません。

法面保護工と法面安定工を分ける

法面分野で最初に分けたいのは、表面を守る対策と、斜面全体の不安定化へ抵抗する対策です。国土交通省関係資料でも、一般的なのり面保護工は安定した法面を前提に、雨水侵食や風化を防ぐという考え方が示されています。

目的 代表的な工種 判断の手掛かり
表面侵食・風化を防ぐ 植生工、モルタル・コンクリート吹付、張工 土質・岩質、侵食、凍上、植生条件、景観
表層崩落を抑える 法枠工、鉄筋挿入工など 崩落規模、表層厚、地質、湧水
すべりへ抵抗する 切土、押え盛土、杭、アンカー、擁壁など すべり面、土塊、地下水、保全対象
水の影響を減らす 法肩・小段排水、縦排水、地下水排除 集水地形、湧水、流末、洗掘

植生工と構造物工の二択だけでは不十分です。亀裂、はらみ、湧水、落石、崩壊履歴がある場合は、表面被覆の前に斜面全体の安定と排水を検討します。砂防・地すべり対策との違いは「1級土木の砂防・地すべり対策」も参照してください。

植生工・吹付工・法枠工の施工管理

植生工は「生育する条件」まで確認する

  • 法面の土質、硬さ、勾配、侵食状況、気候、日照、周辺植生を確認する。
  • 種子散布、客土吹付、植生基材吹付、マットなどから、必要な生育基盤と施工条件に合う工法を選ぶ。
  • 施工面の浮石・ごみ、ラスやネット、吹付厚、アンカーピン、継ぎ目などを施工計画に沿って確認する。
  • 発芽だけで完了とせず、被覆状況、侵食、枯損、排水機能を点検する。

吹付工は「水を閉じ込めない」

モルタル・コンクリート吹付は、風化や侵食を抑える被覆です。施工面の清掃、浮石除去、金網、吹付厚、付着、打継ぎなどを管理します。背面に湧水があるのに排水を考えず被覆すると、水圧や凍結などで変状を招くおそれがあります。

法枠工は中詰めと排水もセット

法枠は格子状の枠だけ見て終わりではありません。枠の配置・寸法・鉄筋や吹付品質に加え、中詰めが植生か吹付か、必要な排水が確保されているかを確認します。アンカーや鉄筋挿入工を併用する場合は、それぞれの定着・引張確認などが別に必要です。

試験で失点しやすい5つの混同

  1. サンドドレーン=締固め:中心目的は粘性土地盤の排水距離短縮と圧密促進です。
  2. プレロード=ゆっくり盛る:供用前の載荷と、安定のための緩速載荷を分けます。
  3. 表層混合=深い改良:名称どおり表層を対象とし、深部課題が残らないか確認します。
  4. 植生すれば斜面が安定:植生は主に表面保護です。深いすべりへの抵抗工ではありません。
  5. 吹付で湧水も解決:被覆と排水は別機能です。地下水・表面水の処理を先に考えます。

独自3問で判断軸を確認する

次の問題は公式過去問の転載ではなく、この記事の理解確認用に当サイトが作成したものです。

問題1:圧密対策

厚い粘性土地盤で、供用後の残留沈下を減らしながら工期を短縮したい。判断として最も適切なものはどれですか。

  1. 振動ローラだけで深部まで締め固める
  2. 鉛直排水材と事前載荷を検討し、沈下・間隙水圧・側方変位を計測する
  3. 法面へ植生マットを張り、地盤の圧密を止める
  4. 地盤調査を省略し、改良深度を一律に決める
解答と理由を見る

正解:2
粘性土の圧密促進では排水距離と載荷を検討し、安定を損なわないよう計測で施工を管理します。

問題2:法面対策

切土法面に湧水と連続した亀裂が見つかったとき、最初の判断として適切なものはどれですか。

  1. 景観が良い植生工を直ちに施工する
  2. コンクリート吹付だけで水の影響を完全に遮断する
  3. 地質・亀裂・湧水・想定すべりを調査し、安定と排水を検討する
  4. 勾配だけで工法を一意に決める
解答と理由を見る

正解:3
変状と水がある斜面は、表面保護の前に崩壊機構と安定性を調べ、排水を含む対策を決めます。

問題3:工法の原理

緩い砂質地盤の密度を高め、液状化抵抗の改善を狙う説明として最も近いものはどれですか。

  1. バイブロフローテーションで振動を与え、空隙へ材料を補給する
  2. サンドドレーンで粘土の水平排水距離を長くする
  3. 植生基材吹付で地盤深部を固化する
  4. プレロードを撤去せず永久構造物として使う
解答と理由を見る

正解:1
振動による締固めの原理と砂質地盤という適用条件が対応しています。

公式資料と次に読む記事

年度によって出題内容と選択区分は変わります。学習の最後は必ず一次資料へ戻ってください。

土量変化率、盛土材料、締固め管理を復習するなら「1級土木 土工①|土量計算・盛土の施工管理」へ進んでください。第二次検定で地盤改良や施工留意事項を文章化する準備は「1級土木 第二次検定の攻略法」で整理しています。

まとめ:工法名ではなく因果関係で選ぶ

  • 軟弱地盤は、沈下・安定・側方変位・液状化のどれが課題かを先に決める。
  • ドレーンは排水距離、プレロードは事前載荷、緩速載荷は施工速度の管理と整理する。
  • 締固めと固化を分け、適用地盤と施工後の確認方法まで覚える。
  • 法面は、表面保護・斜面安定・排水の3機能を混ぜない。
  • 本番では「目的→原理→適用条件→管理項目」が一貫した肢を選ぶ。

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