1級土木(第一次)

1級土木 共通工学(測量・設計・機械・電気・契約)【第一次検定の科目別解説】

共通工学のポイント(30秒で押さえる)

  • 測量:水準測量(高低差)とトラバース測量(座標)の計算問題が頻出
  • 設計:鉄筋コンクリートの許容応力度設計と限界状態設計の違いを押さえる
  • 建設機械:ブルドーザ・バックホウ・クレーンの種類と選定が問われる
  • 出題頻度:4問出題で4問全問解答必須。基礎的な問題が多く得点源になる

測量

土木工事では、計画どおりの位置・高さに構造物を造るために測量が欠かせません。1級土木の試験では水準測量の計算トラバース測量の基本がよく出題されます。

水準測量(レベル測量)

水準測量は2点間の高低差を求める測量です。レベル(水準儀)と標尺(スタッフ)を使い、後視(B.S.)と前視(F.S.)の読み取り値の差から高低差を算出します。

水準測量の公式

高低差 = 後視(B.S.)− 前視(F.S.)

後視>前視 → 前方の点が高い(上り)
後視<前視 → 前方の点が低い(下り)

計算例

A点(標高10.000m)からB点の標高を求める。後視1.524m、前視0.876mのとき:

高低差 = 1.524 − 0.876 = +0.648m
B点の標高 = 10.000 + 0.648 = 10.648m

水準測量の誤差と対策

誤差の種類 原因 対策
視準軸誤差 レベルの視準軸と気泡管軸が平行でない 前視と後視の距離を等しくする(等距離法)
球差・気差 地球の曲率と大気の屈折 前視と後視の距離を等しくすれば相殺される
標尺の沈下 標尺を立てた地盤が沈下する 後→前→前→後の順で読み取る

現場では、工事の着工前にベンチマーク(水準基標)を設置し、そこを基準にして掘削深さや構造物の高さを管理します。レベルを据え付けるたびに、前視と後視の視準距離をなるべく等しくするのが精度を保つ基本中の基本です。

トラバース測量

トラバース測量は、測点を結んで多角形(トラバース)をつくり、各測点の座標を求める測量です。角度(方位角)と距離を測定し、各測点のX・Y座標を計算します。

  • 閉合トラバース:出発点に戻ってくる(閉じた多角形)。閉合差で精度を検証できる
  • 結合トラバース:既知点から別の既知点へ結ぶ。検証が容易
  • 開放トラバース:既知点から未知の方向へ伸ばす。精度の検証ができないため使用は限定的

トラバース測量の計算のポイント

  • 緯距(ΔY)= 距離 × cos θ経距(ΔX)= 距離 × sin θ(θは方位角)
  • 閉合トラバースでは緯距の合計・経距の合計がそれぞれ0になるはず。ならない分が「閉合差」
  • 閉合差が許容範囲内なら、各測線の距離に比例して配分補正(コンパス法則)する

設計の基礎

RC構造の設計法

鉄筋コンクリート(RC)構造の設計には、従来の許容応力度設計法と、近年主流になりつつある限界状態設計法があります。

項目 許容応力度設計法 限界状態設計法
考え方 部材に生じる応力度が許容応力度以下であることを確認 構造物が限界状態に至らないことを確認
安全率 材料強度を安全率で割った単一の安全率で管理 荷重と抵抗に別々の安全係数(部分安全係数)を設定
限界状態 明確に定義しない 終局限界状態(崩壊)と使用限界状態(ひび割れ・たわみ)を分けて検討
適用 従来の設計基準で広く使用 土木学会コンクリート標準示方書で採用

イメージとしては、許容応力度設計法は「この材料にはここまでの力しかかけてはいけない」と上限を決める方法。一方、限界状態設計法は「壊れる直前の状態から逆算して、十分な余裕があるか確認する」という考え方です。限界状態設計法のほうが合理的な設計ができるため、土木分野では主流になりつつあります。

コンクリート構造の基本

  • 鉄筋のかぶり:鉄筋の表面からコンクリート表面までの距離。腐食防止と付着力確保のために最小かぶりが規定されている
  • 鉄筋の継手:重ね継手(最も一般的)、ガス圧接継手(太径鉄筋)、機械式継手。重ね継手長さは鉄筋径の20〜40倍が目安
  • せん断補強筋:スターラップ(あばら筋)でせん断力に抵抗。間隔は部材有効高さの1/2以下

建設機械

建設機械の問題は「この作業にはどの機械を使うか」という選定の問題が中心です。機械の特徴を整理しておきましょう。

掘削・運搬機械

機械 特徴 主な用途
ブルドーザ 排土板で土を押して運ぶ。運搬距離60m以下が経済的 掘削・押土・整地・伐開除根
バックホウ 機体より低い位置を掘削する。最も汎用性が高い 溝掘り・法面整形・管布設
クラムシェル 貝殻状のバケットで垂直に深く掘削する 深い立坑・地下連続壁の掘削
スクレーパ 掘削・積込み・運搬・敷均しを1台で行う。運搬距離60〜1,500m 広い造成地の土工事
ダンプトラック 長距離運搬に適する。運搬距離の制約なし 土砂・砕石の運搬全般

締固め機械

機械 適した土質
ロードローラ 砂質土・礫質土(粒状路盤材の締固めに使用)
タイヤローラ 砂質土・粘性土の両方に対応。アスファルトの転圧にも使用
振動ローラ 砂質土・礫質土に最適。振動で粒子を再配列させ高い密度を得る
タンピングローラ 粘性土に最適。突起(フート)で土をこねるように締め固める
振動コンパクタ 狭い場所の締固め。管の埋め戻しなどに使用

試験で問われるのは「この土質にはどのローラが適切か」です。覚え方のコツは、砂質土は振動系(振動ローラ)粘性土はこねる系(タンピングローラ)。タイヤローラはオールラウンダーです。

電気・契約の基礎

電気設備の基礎知識

  • 仮設電力:工事現場の電力は通常、電力会社からの臨時電力供給を受ける。受電電圧は一般に6,600V(高圧)
  • アース(接地):漏電による感電を防止するため、電気機器の外箱を接地する。接地抵抗100Ω以下が基本
  • 漏電遮断器:感電防止のため、仮設配電盤には漏電遮断器(定格感度電流30mA以下)を設置
  • 照明:坑内作業では防爆構造の照明器具を使用。ガス・粉じんによる爆発を防止

契約に関する基礎知識

公共工事の入札・契約のポイント

  • 一般競争入札:広く参加者を募る方式。公共工事の原則的な入札方式
  • 指名競争入札:発注者が指名した者だけが参加。参加者の資格・能力を事前に確認できる
  • 総合評価落札方式:価格だけでなく技術提案の内容も評価して落札者を決定する方式。品質確保のため近年増加
  • 設計変更:工事中に設計図書と現場条件が異なる場合、発注者と協議して設計変更を行う。受注者は速やかに書面で通知する義務がある

まとめ

この記事のポイント

  • 水準測量:高低差 = 後視 − 前視。前視・後視の距離を等しくして誤差を消す
  • トラバース測量:緯距=距離×cosθ、経距=距離×sinθ。閉合差をコンパス法則で補正
  • RC設計:許容応力度設計法と限界状態設計法の違いを理解。限界状態設計法が土木の主流
  • 建設機械:砂質土=振動ローラ、粘性土=タンピングローラが基本セット
  • 共通工学は4問全問必須。基礎的な計算・知識問題が多く、確実に得点したい分野

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