工程管理のポイント(30秒で押さえる)
- 工程表の種類:バーチャート(横線式)は見やすい、ネットワーク工程表は作業の関連性がわかる
- クリティカルパス:工事全体の工期を決定する最長経路。この経路上の作業が遅れると工期が延びる
- フロート:各作業の余裕時間。トータルフロート=0の作業がクリティカルパス上の作業
- 出題頻度:毎年出題される最重要テーマ。ネットワーク計算は必ず得点したい
工程表の種類と特徴
工程管理とは、所定の工期内に工事を完成させるために進捗を管理することです。そのツールとなるのが工程表。種類ごとの特徴を押さえましょう。
| 工程表 | 特徴 | 欠点 |
|---|---|---|
| バーチャート(横線式) | 各作業を横棒で表示。作成が簡単で誰でも一目で理解できる | 作業間の関連性がわからない。遅延の影響範囲が不明確 |
| ネットワーク工程表 | 作業間の順序関係が明確。クリティカルパスやフロートの算出が可能 | 作成に専門知識が必要。慣れないと読みにくい |
| ガントチャート(出来高累計曲線) | 出来高の達成率を曲線で表示。工事全体の進捗度が直感的にわかる | 各作業の詳細な工程がわからない |
| グラフ式工程表(斜線式) | 道路・トンネルなど線形工事に適する。距離と時間の関係が一目瞭然 | 複雑な工事には不向き |
実際の現場では、バーチャートとネットワーク工程表を併用するのが一般的です。全体の概要はバーチャートで示し、重要工種の詳細管理にはネットワーク工程表を使います。施工計画書にはバーチャートを添付し、現場事務所ではネットワーク工程表で日々の進捗を管理する、といった使い分けです。
ネットワーク工程表の基本
用語の定義
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アクティビティ(→) | 作業を表す矢線。矢線の上に作業名、下に所要日数を記入 |
| イベント(○) | 作業の開始点・終了点を表す結合点(ノード)。番号をつける |
| ダミー(- - →) | 作業の順序関係だけを示す仮の矢線。所要日数は0日 |
| クリティカルパス | ネットワーク上の最長経路。この経路の合計日数=工事全体の工期 |
| トータルフロート(TF) | その作業が遅れても工期全体に影響しない余裕日数。TF=0ならクリティカル |
| フリーフロート(FF) | 後続作業の最早開始時刻に影響しない余裕日数。FF≦TFが常に成り立つ |
日程計算の方法
4つの時刻を計算する
| 最早開始時刻(EST) | その作業を最も早く始められる時刻。前から順に計算(フォワードパス) |
| 最早完了時刻(EFT) | EST + 所要日数 |
| 最遅完了時刻(LFT) | 工期に影響しない範囲で最も遅く完了できる時刻。後ろから逆算(バックワードパス) |
| 最遅開始時刻(LST) | LFT − 所要日数 |
フロートの計算公式
- トータルフロート(TF)= LFT − EFT = LST − EST
- フリーフロート(FF)= 後続作業のEST − 自分のEFT
- TF = 0 の作業がクリティカルパス上にある
計算例
例題:クリティカルパスを求める
以下のネットワークで、工期とクリティカルパスを求めてください。
| 作業 | 先行作業 | 所要日数 |
|---|---|---|
| A | なし | 5日 |
| B | なし | 3日 |
| C | A | 4日 |
| D | A, B | 6日 |
| E | C, D | 3日 |
解答
経路①:A→C→E = 5+4+3 = 12日
経路②:A→D→E = 5+6+3 = 14日
経路③:B→D→E = 3+6+3 = 12日
最長は経路② → クリティカルパスはA→D→E、工期は14日
工程管理の実務ポイント
進捗管理の方法
- 出来高累計曲線(Sカーブ):予定と実績の出来高をグラフ化。S字型のカーブが正常な進捗パターン
- マイルストーン管理:重要な節目(基礎完了・躯体完了・竣工検査等)の達成日を管理
- フォローアップ:計画と実績の差を分析し、遅延が生じたら対策を立てて工程表を修正する
工程の短縮方法
工程短縮の手法(試験で問われるパターン)
- クリティカルパス上の作業を短縮する(非クリティカルな作業を短縮しても工期は変わらない)
- 作業の並行化:前工程の完了を待たず、後工程を一部先行して開始(ファストトラッキング)
- 資源の追加投入:作業員・機械を増やして作業を加速(クラッシング)。ただしコスト増
- 工法変更:場所打ち杭→既製杭など、より短期間で施工できる工法への変更
- 施工の合理化:プレキャスト部材の採用、ICT施工の導入など
ここで重要なのは、クリティカルパス以外の作業をいくら急いでも工期は短縮できないということです。工程を短縮したいなら、まずクリティカルパスを特定し、そのパス上の作業に集中的にリソースを投入するのが鉄則です。ただし、クリティカルパス上の作業を短縮すると、別の経路がクリティカルパスに変わることがあるので注意が必要です。
工程管理と他の管理の関係
3つの管理のトレードオフ
- 工程を急ぐ → 品質が下がるリスク:コンクリートの養生期間を短縮すると強度不足に
- 工程を急ぐ → 安全が損なわれるリスク:無理な夜間作業や作業員の過労
- 工程を急ぐ → コスト増:残業代・追加機械の投入費
- 理想は品質・安全・工程・原価のバランス。「品質と安全は絶対に妥協しない」が大原則
まとめ
この記事のポイント
- バーチャートは見やすいが作業間の関連がわからない。ネットワーク工程表はクリティカルパスがわかる
- 日程計算:フォワードパス(前→後)でEST/EFT、バックワードパス(後→前)でLST/LFTを求める
- トータルフロート=0の作業がクリティカルパス。この経路の合計=工期
- 工程短縮はクリティカルパス上の作業が対象。非クリティカル作業の短縮は意味がない
- 工程・品質・安全・原価の4つはトレードオフ。品質と安全は絶対に妥協しない