2級建築(第一次)

【2級建築施工管理技士】施工計画の立て方をわかりやすく解説|施工計画書・届出・仮設計画

施工計画の要点(30秒でわかる要点)

  • 出題数:施工管理法から毎年10問出題の一角(2〜3問が施工計画)
  • 3大テーマ:施工計画書の作成、各種届出、仮設計画
  • 届出:建築確認申請・道路使用許可・労基署届出の提出先と期限
  • 仮設計画:指定仮設と任意仮設の違い、仮設電力の算定

この分野の出題頻度

施工計画は施工管理法10問の中で毎年2〜3問出題されます。「施工計画書に記載すべき項目」「各種届出の届出先と期限」「仮設計画の留意点」が頻出。覚える項目は多いですが、過去問のパターンが繰り返されるので、5年分解けば対応できます。

施工計画とは?

結論から言います。施工計画とは、建設工事を安全に・品質よく・工期内に・適正なコストで完成させるための「段取り」を書面にまとめたものです。建設工事は一品生産(同じ条件の工事は二つとない)だからこそ、毎回「この現場専用の段取り」を計画し、関係者全員で共有する必要があります。

たとえば、同じ10階建てのマンションを建てるにしても、敷地の広さ・周辺環境・地盤の状態・工期・予算が違えば、施工の進め方はまったく変わります。だから施工計画は建設工事の「設計図」ともいえる重要な文書なのです。

📊 出題傾向

施工計画の分野から毎年2〜3問出題されます。特に届出の時期・届出先主任技術者の配置要件は超頻出。建設業法労働安全衛生法の知識とセットで押さえると得点しやすくなります。

2級建築施工管理技士の第一次検定では、施工計画書の内容、仮設計画、各種届出が頻出テーマです。この分野は暗記だけでなく「なぜその計画が必要なのか」を理解しておくと、引っかけ問題にも対応できます。

施工計画を立てる手順

Step 1: 設計図書の確認
図面・仕様書・契約条件を読み込む
Step 2: 現場条件の調査
地盤・近隣環境・搬入ルート・法規制
Step 3: 施工計画書の作成
工程表・仮設計画・品質管理計画・安全計画など
Step 4: 各種届出・申請
建築確認申請・道路使用許可・労災届出など

施工計画書の内容

施工計画書には何を書くのか。建設業法や公共工事標準請負契約約款に基づいて、以下の項目を記載します。

📌 施工計画書の主な記載事項

  • 工事概要:工事名称・場所・構造・規模・工期
  • 施工体制:現場組織表・施工体系図・主任技術者の配置
  • 工程計画:全体工程表(バーチャート・ネットワーク工程表
  • 品質計画品質管理基準・検査方法・試験計画
  • 安全計画安全管理体制・危険予知活動・安全教育の計画
  • 仮設計画:仮囲い・足場・揚重設備・仮設電力・仮設トイレ等
  • 環境対策:騒音・振動・粉じん・排水の対策
  • 交通対策:搬入出路・交通誘導員の配置
  • 施工方法:各工事の具体的な施工方法と施工順序

なぜ施工計画書がこんなに詳しく必要なのか?それは「言った・言わない」のトラブルを防ぐためです。建設工事には発注者・設計者・元請・下請・近隣住民など多くの関係者がいます。施工計画書を作成して事前に合意を取ることで、「そんな工法で施工するとは聞いていない」というトラブルを未然に防げるのです。

総合施工計画書と工種別施工計画書

施工計画書には2つのレベルがあります。

総合施工計画書

工事全体の基本方針を示す計画書。施工体制・全体工程・仮設計画・安全衛生計画など、工事のマスタープランにあたる。工事着手前に作成し、監理者の承認を得る。

工種別施工計画書

各工種(コンクリート工事鉄筋工事防水工事など)ごとの詳細な施工手順を示す計画書。使用材料・施工手順・品質管理方法・検査方法を具体的に記載する。該当工種の着手前に作成する。

施工計画書の体系
総合施工計画書
工事全体の基本方針(着工前に作成)
各工種の着手前に作成
躯体工事
鉄筋・型枠・コンクリート
仕上げ工事
防水・左官・塗装・建具
設備工事
電気・給排水・空調

実際の現場では、まず総合施工計画書で工事全体の枠組みを決め、各工種の着手前に工種別施工計画書で詳細を詰めていく流れです。たとえばコンクリート工事が始まる前に「コンクリート工事施工計画書」を作成し、使用するコンクリートの種類・打設方法・養生方法・品質管理基準を明確にします。詳しくは「コンクリート工事の完全ガイド」で解説しています。

仮設計画

仮設とは、工事のために一時的に設けるもので、工事が終わったら撤去します。足場・仮囲い・仮設電力・仮設トイレなどが代表例です。仮設は「仮の設備」ですが、労働災害の多くは仮設工事に関連して発生するため、きちんとした計画が欠かせません。仮設工事の基礎知識は「地盤調査・仮設工事・土工事|躯体工事①」でも解説しています。

仮囲い

仮囲いは、工事現場の周囲を囲う塀のことです。工事現場に部外者が入るのを防ぎ、粉じんや騒音の拡散を軽減する役割があります。

📌 仮囲いの規定

  • 建築基準法施行令第136条の2の20:木造の建築物で高さが13m以上、またはRC造等で高さが13m以上の工事を行う場合、工事期間中は工事現場の周囲に仮囲いを設けなければならない
  • 仮囲いの高さは地盤面から1.8m以上
  • ただし、周囲の状況により危害防止上支障がない場合は省略できる

街中を歩いていると、建設現場の周りに白い鉄板の壁が立っていますよね。あれが仮囲いです。最近の現場では、仮囲いに工事の完成予想図や工事スケジュールを掲示して、近隣住民への情報提供を兼ねていることも多いです。

足場

足場は、高所で作業するための仮設構造物です。足場の安全性は労働者の命に直結するため、労働安全衛生法で詳細な規定があります。足場の詳細は「安全管理」で詳しく解説しますが、施工計画の段階で押さえるべきポイントは以下です。

  • 足場の種類の選定:枠組足場・単管足場・くさび緊結式足場など、建物の形状や高さに合った種類を選ぶ
  • 足場計画図の作成:足場の配置・高さ・壁つなぎの位置を図面化する
  • 仮設通路・昇降設備:作業員が安全に昇降できるよう、階段やはしごの配置を計画する

揚重計画

揚重(ようじゅう)とは、建設資材や機械を高い場所に持ち上げること。主にクレーンを使います。「鉄骨工事」でも鉄骨の建方にクレーンが登場しますが、施工計画の段階でクレーンの機種と配置を決めておく必要があります。

📌 揚重計画で決めること

  • クレーンの種類・能力:タワークレーン(定置式)かラフテレーンクレーン(移動式)か。吊り上げ荷重と作業半径の確認
  • クレーンの配置位置:建物のどこに設置するか。敷地の広さと搬入動線を考慮
  • 荷揚げの順序:鉄骨→コンクリート資材→仕上げ材の順に合理的な搬入計画を立てる
  • 近隣への配慮:クレーンのブーム(腕)が隣地の上空を通過する場合は事前に承諾を得る

RC造マンションの現場では、タワークレーンを建物の中心付近に設置して、コンクリートのバケットや鉄筋を吊り上げます。工事が進んで建物が高くなるにつれて、クレーン自体も高くしていく「マストクライミング」が行われます。最後にクレーン自体を解体するときは、別のクレーン(移動式)で吊り下ろすのが一般的です。

各種届出・申請

建設工事を始める前には、法令に基づいてさまざまな届出・申請が必要です。届出先と届出時期を正確に覚えておく必要があります。

届出・申請 届出先 届出時期
建築確認申請 建築主事 or 指定確認検査機関 工事着手前
建築工事届 都道府県知事 工事着手前
建設工事計画届(足場等) 労働基準監督署長 工事開始の30日前
クレーン設置届 労働基準監督署長 工事開始の30日前
道路使用許可 所轄警察署長 道路使用前
特定建設作業届 市町村長 作業開始の7日前
届出タイムライン ― いつ・どこに届け出る?
30日前 建設工事計画届(高さ31m以上の足場・型枠支保工)
届出先:労働基準監督署長
14日前 建設工事計画届(31m未満の足場・その他仮設物)
届出先:労働基準監督署長
7日前 特定建設作業届(くい打ち・ブレーカー等)
届出先:市町村長(騒音・振動規制法)
着手前 建築確認申請(建築主事)/建築工事届(都道府県知事)
+ 道路使用許可(警察署長)

⚠️ 試験で必ず覚える!届出時期の違い

  • 30日前:建設工事計画届(高さ31m以上の足場・型枠支保工など)、クレーン設置届 → 届出先は労働基準監督署長
  • 14日前:建設工事計画届(上記以外の仮設物)→ 届出先は労働基準監督署長
  • 7日前:特定建設作業届(くい打ち・ブレーカー等の騒音・振動作業)→ 届出先は市町村長
  • 届出先を間違えると失点!「労基署」か「市町村長」か「警察」かを正確に

なぜ届出の時期が違うのでしょうか?30日前の届出が求められるのは、労基署が計画を審査して安全上の問題がないか確認する時間が必要だからです。一方、7日前の特定建設作業届は、市町村が近隣住民に事前周知するための時間です。目的が違うから時期も届出先も違うのです。

施工体制と主任技術者

施工体制とは、その工事を「誰がどう管理するか」の組織体制です。建設業法で、一定の工事には主任技術者の配置が義務付けられています。

主任技術者

建設業法第26条で配置が義務付けられている技術者。すべての建設工事で配置が必要。2級施工管理技士の資格で就くことができる。工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理を行う。

監理技術者

特定建設業者が元請として下請総額4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事を行う場合に配置が必要。1級施工管理技士の資格で就くことができる。

つまり、2級建築施工管理技士の資格を取得すると主任技術者になれます。主任技術者は現場の技術的な責任者で、施工計画の作成から品質・安全の管理まで幅広い業務を担当します。これがこの資格を取る最大のメリットです。主任技術者と監理技術者の違いについては「2級と1級の違い」でも詳しく解説しています。

環境対策・近隣対策

施工計画では、環境対策(騒音・振動・粉じん・排水)と近隣対策も重要な項目です。

📌 主な環境対策

  • 騒音対策:低騒音型建設機械の使用、防音パネルの設置、作業時間の制限(特定建設作業は原則7〜19時)
  • 振動対策:低振動工法の採用(たとえば杭打ちでは打撃工法→埋込み工法に変更)
  • 粉じん対策:散水、防じんシートの設置、車両のタイヤ洗浄
  • 排水対策:濁水処理施設の設置、pH調整(コンクリート洗い水はアルカリ性のため中和が必要)
  • 建設副産物:建設リサイクル法に基づく分別解体・再資源化。コンクリート・木材・アスファルトは再資源化が義務

現場でよく問題になるのがコンクリートミキサー車の洗い水です。コンクリートの洗い水はpH12前後の強アルカリ性で、そのまま排水すると水質汚染になります。現場に沈殿槽を設けて中和処理してから排水するのがルールです。コンクリートの性質については「コンクリート工事の完全ガイド」も参考にしてください。

覚え方のコツ・頻出ひっかけパターン

💡 届出の覚え方

  • 「サンマの市場」で覚える30日前=労基署(サンマ)、7日前=町村長(市場
  • 「労基署は安全担当」:足場・クレーンなど安全に関わる届出は全部労基署。騒音・振動など環境に関わる届出は市町村長
  • 「警察は道路担当」:道路に関わること(使用・占用)は警察署長

⚠️ 頻出ひっかけパターン

  • ❌「特定建設作業届の届出先は労働基準監督署長」→ 正しくは市町村長
  • ❌「建設工事計画届は14日前に届け出ればよい」→ 高さ31m以上の足場等は30日前
  • ❌「主任技術者は一定金額以上の工事にのみ配置する」→ すべての工事に配置必須
  • ❌「施工計画書は工事完了後にまとめて提出する」→ 工事着手前に作成
  • ❌「総合施工計画書に基づいて直接施工する」→ 各工種の着手前に工種別施工計画書を作成する

試験で狙われるポイント

🎯 第一次検定の頻出テーマ

  • 施工計画書は工事着手前に作成。総合施工計画書と工種別施工計画書がある
  • 仮囲いの高さは1.8m以上
  • 建設工事計画届は労基署長に30日前(高さ31m以上の足場等)or 14日前
  • 特定建設作業届は市町村長に7日前
  • 道路使用許可は所轄警察署長に申請
  • 主任技術者はすべての工事に配置必須。2級施工管理技士で就任可能
  • 監理技術者は特定建設業の元請で下請総額4,500万円以上の工事に配置
  • 特定建設作業の作業時間は原則7時〜19時
  • 建設リサイクル法の対象:コンクリート・木材・アスファルト

理解度チェック

ここまでの内容を確認してみましょう。

Q1. 高さ31m以上の足場を設置する場合、建設工事計画届の届出先と届出時期の組合せとして正しいものはどれか。

(1)労働基準監督署長に工事開始の14日前
(2)労働基準監督署長に工事開始の30日前
(3)市町村長に工事開始の30日前
(4)都道府県知事に工事開始の7日前

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正解:(2)労働基準監督署長に工事開始の30日前
高さ31m以上の足場や型枠支保工など大規模な仮設物の建設工事計画届は、労働基準監督署長に30日前までに届け出る必要があります。14日前は31m未満の場合の期限です。

Q2. 施工計画書に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

(1)総合施工計画書は工事着手前に作成する
(2)工種別施工計画書は該当工種の着手前に作成する
(3)施工計画書には品質計画・安全計画を含める
(4)施工計画書は工事完了後に作成して提出する

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正解:(4)施工計画書は工事完了後に作成して提出する
施工計画書は工事の「事前計画」ですから、工事着手前に作成するのが基本です。完了後に作成するのでは計画の意味がありません。(1)(2)(3)はすべて正しい記述です。

Q3. 建設業法に基づく主任技術者に関する記述として、最も適当なものはどれか。

(1)主任技術者は一定金額以上の工事にのみ配置する
(2)主任技術者には1級施工管理技士の資格が必要である
(3)主任技術者はすべての建設工事に配置しなければならない
(4)主任技術者は元請のみに配置が義務付けられている

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正解:(3)主任技術者はすべての建設工事に配置しなければならない
建設業法第26条により、建設業者はすべての建設工事に主任技術者を配置する義務があります。(1)金額要件はありません。(2)2級でも可能です。(4)元請・下請を問わず配置が必要です。

Q4. 特定建設作業の届出先として正しいものはどれか。

(1)都道府県知事
(2)労働基準監督署長
(3)市町村長
(4)所轄警察署長

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正解:(3)市町村長
騒音規制法・振動規制法に基づく特定建設作業の届出先は市町村長です。作業開始の7日前までに届け出ます。労基署長は建設工事計画届の届出先、警察署長は道路使用許可の申請先です。

まとめ

施工計画のポイントを整理します。

  • 施工計画書は工事着手前に作成。「総合」と「工種別」の2つのレベルがある
  • 仮設計画では仮囲い(高さ1.8m以上)・足場・揚重設備を計画する
  • 届出の時期と届出先を正確に覚える(30日前/14日前/7日前、労基署/市町村長/警察)
  • 主任技術者はすべての工事に配置必須。2級施工管理技士で就任可能
  • 環境対策は騒音・振動・粉じん・排水・建設副産物の5つを押さえる

施工計画は施工管理の土台です。次は「工程管理」「品質管理」「安全管理」の各論に進んでいきましょう。法規分野は「建設業法」「建築基準法・労安法」で解説しています。

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施工管理法の知識をミニテストで確認しましょう。1回5問・3分で解けます。

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