2級建築(第一次)

【2級建築施工管理技士】鉄骨工事を徹底解説|高力ボルト・溶接・建方

鉄骨工事の要点(30秒でわかる要点)

  • 3大テーマ:高力ボルト接合・溶接・建方(たてかた)
  • 高力ボルト:トルシア形・JIS形の締付け順序と確認方法が頻出
  • 溶接:溶接欠陥(ブローホール・アンダーカット等)の種類と原因
  • 建方:建入れ直し、仮ボルトの本数基準が出題される

結論から言います。鉄骨工事は、S造やSRC造の建物を組み立てる工事です。第一次検定では毎年2問程度出題され、特に高力ボルト接合・溶接・建方が頻出テーマです。

この分野の出題頻度

鉄骨工事は躯体工事の中で毎年2問程度出題されます。「高力ボルトの締付け順序・マーキング」「溶接の種類と欠陥」「建方の安全管理」の3テーマが繰り返し出題されています。特に高力ボルトの締付けルールは必出と言ってよいレベルです。

高力ボルト接合

高力ボルトとは?

高力ボルト(こうりょくボルト)とは、非常に強い力で締め付けるボルトです。普通のボルトとは異なり、鉄骨同士を摩擦力で接合する摩擦接合に使います。

イメージとしては、2枚の板をボルトで強く挟み込むと、板同士がズレにくくなりますよね。この「ズレにくさ」=摩擦力で力を伝えるのが高力ボルト接合です。

高力ボルトの種類と締付け方法

  • トルシア形高力ボルト:ピンテール(先端の突起)が破断するまで締め付ける。締付け完了の確認が容易
  • JIS形高力ボルト:トルクレンチで規定トルクまで締め付ける
  • 締付けはボルト群の中央から外側へ向かって行う
  • 一次締め → マーキング → 本締めの順序

高力ボルトの締付け手順

締付けの手順は必ず以下の順序で行います。試験ではこの順序を入れ替えた選択肢がよく出ます。

Step 1: 仮ボルト締め
部材を仮に固定する(ボルト群の1/3以上かつ2本以上)
Step 2: 一次締め
中央から外側へ向かって締める
Step 3: マーキング
ボルト・ナット・座金に一直線の印をつける → 本締め後の回転量を確認
Step 4: 本締め
規定トルクまたはピンテール破断で締付け完了

摩擦面の処理

摩擦接合の性能は接合面の摩擦係数に左右されます。接合面に塗料や油が付いていると摩擦力が落ちるため、接合面はブラスト処理(錆を飛ばす)して素地を露出させるか、赤錆状態にしておきます。

注意!

  • 摩擦面には塗装をしてはいけない(摩擦力が低下する)
  • ただし、ボルト頭部やナットの周辺以外の部分は塗装OK

なぜ溶接欠陥が重大問題なのか

溶接部は鉄骨の接合で最も力がかかる箇所です。溶接欠陥(ブローホール・スラグ巻込み・融合不良・割れなど)があると、地震時に溶接部から破断する危険があります。1995年の阪神・淡路大震災では、溶接不良が原因で鉄骨造の建物が倒壊する事例が多数報告されました。試験では「溶接欠陥の種類と原因」が繰り返し出題されます。

溶接

溶接の種類

種類 特徴
完全溶込み溶接 母材を完全に溶かして一体化。最も信頼性が高い。柱と梁の仕口に使用
隅肉溶接(すみにくようせつ) 部材の隅に三角形の断面で溶接。施工が容易。ブラケットの取付けなど

溶接の欠陥

主な溶接欠陥(試験頻出)

  • ブローホール:溶接金属中のガスの気泡。内部欠陥
  • アンダーカット:溶接ビード沿いに母材が溶けすぎて溝ができる
  • 溶込み不良:母材が十分に溶けず一体化していない
  • 割れ:最も重大な欠陥。低温割れ・高温割れがある

溶接部の検査には超音波探傷試験(UT)が使われます。超音波を溶接部に当てて、内部の欠陥を検出する非破壊検査です。完全溶込み溶接では必ず実施します。

溶接時の注意事項

  • 予熱:厚い鋼材や低温時は、溶接前に母材を予熱して割れを防止
  • エンドタブ:溶接の始端・終端に取り付ける補助板。溶接欠陥が生じやすい端部を本体から外す
  • 溶接順序:収縮による変形を最小限にするため、対称に溶接する

建方(たてかた)

建方とは?

建方とは、工場で加工された鉄骨部材をクレーンで吊り上げて所定の位置に組み立てる作業です。

建方の手順

  1. アンカーボルトの据付(基礎コンクリートに埋め込み)
  2. 柱の建て込み → ワイヤーロープで仮固定
  3. 梁の取付け → 高力ボルトで仮締め
  4. 建入れ直し(柱の垂直精度を調整)
  5. 本締め・溶接で本固定

建入れ直し

柱が真っ直ぐ立っていない(傾いている)と、建物全体が歪んでしまいます。建入れ直しは、柱の垂直精度をトランシット(測量機器)で確認し、ワイヤーやジャッキで調整する作業です。

建入れの精度は柱1本につき高さの1/1000以下(例:高さ10mの柱なら10mm以下の傾き)が基準です。

試験ではこう出る!ひっかけパターン5選

鉄骨工事は手順の入れ替え・用語の取り違えが定番のひっかけです。

ひっかけパターンと正解

① 「高力ボルトはボルト群の外側から中央に向かって締め付ける」→ ✕

逆。中央から外側へ締め付ける。外側から締めると中央が浮き上がり密着不良になる。

② 「トルシア形高力ボルトの締付け完了はトルクレンチで確認する」→ ✕

トルシア形はピンテール(先端突起)の破断で締付け完了を確認。トルクレンチを使うのはJIS形。

③ 「高力ボルトの摩擦面は錆びないように塗装する」→ ✕

摩擦面は塗装禁止。塗装すると摩擦力が低下する。赤錆状態かブラスト処理にする。

④ 「隅肉溶接は完全溶込み溶接より信頼性が高い」→ ✕

信頼性が高いのは完全溶込み溶接。母材を完全に溶かして一体化するため。柱と梁の仕口など重要な箇所に使う。

⑤ 「ブローホールは溶接表面にできる溝状の欠陥」→ ✕

表面の溝はアンダーカット。ブローホールは溶接金属内部のガス気泡(内部欠陥)。

覚え方のコツ

締付け手順は「仮→一次→マーキング→本」。「カリイチマホン(仮一マ本)」と語呂で覚えましょう。

溶接欠陥は「ブロー=blow=吹く→気泡」「アンダーカット=under+cut=下を切る→溝」。英語の意味そのままで覚えられます。

理解度チェック

Q1. 高力ボルトの締付け順序は?

解答を見る

正解:ボルト群の中央から外側へ
中央から締めることで、接合面が均等に密着します。外側から締めると中央が浮き上がる可能性があります。

Q2. 完全溶込み溶接の検査に使われる非破壊試験は?

解答を見る

正解:超音波探傷試験(UT)
溶接部に超音波を当てて内部の欠陥(ブローホール・割れなど)を検出します。

Q3. 高力ボルトの摩擦面に塗装をしてもよいか?

解答を見る

正解:してはいけない
塗装すると摩擦係数が低下し、摩擦接合の性能が落ちます。摩擦面はブラスト処理か赤錆状態にします。

まとめ

この記事のポイント

  • 高力ボルト:摩擦接合。中央→外側の順に締付け。摩擦面は塗装禁止
  • トルシア形:ピンテール破断で締付け完了を確認
  • 溶接:完全溶込みと隅肉の2種類。ブローホール・アンダーカット等の欠陥に注意
  • 溶接部の検査は超音波探傷試験(UT)
  • 建方:アンカーボルト → 柱建込み → 梁取付 → 建入れ直し → 本固定

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