1級土木(第一次)

1級土木 砂防(砂防えん堤・地すべり対策)【第一次検定の科目別解説】

砂防のポイント(30秒で押さえる)

  • 砂防えん堤:土石流の捕捉・流速低下が目的。本えん堤+副えん堤で構成
  • 地すべり対策:抑制工(排水工等)と抑止工(杭工・アンカー工等)に分類
  • 急傾斜地崩壊対策:法面保護工・擁壁工・落石防護工
  • 出題頻度:専門土木から2〜3問。河川とセットで学習すると効率的

砂防えん堤

砂防えん堤は、渓流に設置して土石流の捕捉・流速の低減・河床の安定化を図る構造物です。土砂災害防止の要となる施設です。

砂防えん堤の構成

構成要素 機能
本えん堤 土石流の捕捉。堤体上部に水通し(越流部)を設けて洪水を安全に流下させる
副えん堤 本えん堤の下流に設置。越流水による洗掘防止と水叩き機能
水叩き 本えん堤と副えん堤の間の区間。越流水のエネルギーを減勢する
側壁(袖) 越流水が堤体の両端を迂回するのを防止

砂防えん堤の設計・施工のポイント(頻出)

  • 水通しの位置は渓流の中央とし、両側にはを設ける
  • 堤体の上流面の勾配は直立〜1:0.2、下流面の勾配は1:0.2程度
  • 基礎は岩盤に根入れするのが原則。岩盤がない場合は置換コンクリートで基礎を造成
  • 副えん堤の高さは一般に本えん堤の高さの1/3〜1/2程度
  • 施工は非出水期に行い、仮排水路で渓流水を迂回させて施工する

砂防えん堤の種類

  • 重力式コンクリートえん堤:最も一般的。自重で水圧・土圧に抵抗
  • 透過型えん堤(スリットダム):鋼製の柱状構造で通常時は流水を通過させ、土石流時に土砂を捕捉
  • 鋼製えん堤:鋼管を使用した格子状のえん堤。軽量で施工性が良い

地すべり対策

地すべりは、斜面の地盤がすべり面に沿って緩やかに移動する現象です。対策工法は抑制工抑止工に大別されます。

抑制工と抑止工の分類

分類 原理 工法例
抑制工 地すべりの原因を除去・低減して活動を抑制する 地表水排除工:水路で地表水を速やかに排水
地下水排除工:横ボーリング・集水井で地下水を排水
排土工:すべり面上部の土砂を除去して駆動力を低減
押え盛土工:すべり面下部に盛土して抵抗力を増加
抑止工 構造物で地すべりの移動を直接阻止する 杭工:鋼管杭やコンクリート杭をすべり面を貫いて設置
アンカー工:グラウンドアンカーで斜面を安定した地盤に固定
擁壁工:コンクリート擁壁で斜面の移動を阻止

抑制工と抑止工の使い分け(試験頻出)

  • 原則として抑制工を優先する。地すべりの原因(地下水等)を除去する方が根本的な対策となる
  • 抑制工だけでは安全率が不足する場合に抑止工を併用する
  • 地下水排除工の中でも横ボーリング工(水平ボーリングで地下水を排出)が最も多用される
  • 集水井工は深い位置の地下水を排除する場合に有効。径3.5m程度の井戸を掘り、横ボーリングと組み合わせて集排水する

急傾斜地崩壊対策

  • 法面保護工:モルタル吹付・法枠工・植生工で法面の風化・侵食を防止
  • 擁壁工:重力式擁壁・もたれ式擁壁で崩壊土砂を受け止める
  • 落石防護工:落石防護柵・落石防護網・ロックシェッドで落石から道路等を保護
  • 排水工:法面の地表水排除と地下水排除

まとめ

この記事のポイント

  • 砂防えん堤:本えん堤+副えん堤で構成。水通し・水叩きの機能を理解する
  • 地すべり対策:抑制工(原因除去)を優先し、不足する場合に抑止工(直接阻止)を併用
  • 地下水排除:横ボーリング工が最も多用される工法
  • 急傾斜地:法面保護・擁壁・落石防護の3つの対策を覚える

砂防分野で問われやすい判断軸

砂防は、河川工事やダム工事と似た言葉が出ますが、目的は土砂災害の防止です。第一次検定では、砂防えん堤、床固工、護岸工、山腹工、地すべり対策、急傾斜地対策を、どの災害に対する工法かで整理できるかが問われます。

工種・対策 試験で見るポイント
砂防えん堤 土石流や流出土砂を捕捉・調節し、下流への被害を抑える目的を押さえる。
床固工 河床低下や縦侵食を防ぎ、渓流の勾配を安定させる役割を確認する。
山腹工 崩壊斜面の拡大を防ぎ、植生や排水で斜面を安定させる。
地すべり対策 地下水排除、抑止杭、アンカー、排土・押え盛土など、原因に合わせた対策を選ぶ。

砂防えん堤と地すべり対策の違い

災害の種類で切り分ける

  • 砂防えん堤は、渓流を流下する土砂や土石流への対策として、土砂の捕捉・調節を目的に設置されます。
  • 床固工は、河床の洗掘や縦侵食を抑え、渓流の勾配を安定させる工種です。
  • 山腹工は、崩壊斜面の表面侵食や拡大崩壊を抑え、緑化・排水・土留めを組み合わせます。
  • 地すべり対策は、地下水や滑り面に着目し、抑制工と抑止工を組み合わせて斜面を安定させます。

施工管理で見られる確認項目

砂防工事は、急峻な地形、出水、落石、土石流、狭い作業ヤードを前提に施工管理を考えます。試験では工法名だけでなく、施工時の安全管理、出来形、材料、排水処理を組み合わせて判断します。

  • 砂防えん堤では、基礎地盤、袖部の取り付け、堤体材料、打継ぎ、湛水・排水への配慮を確認する。
  • 床固工や護岸工では、根入れ、洗掘防止、天端高、上下流の取り付けを確認する。
  • 地すべり対策では、地下水排除工の集水・排水機能、抑止杭やアンカーの配置、施工順序を確認する。
  • 安全管理では、降雨時の退避基準、土石流センサー、上流監視、落石防護、重機作業半径の立入禁止を決める。

公式情報とあわせて確認すること

当サイトの科目別解説は学習補助用です。試験制度、受検資格、日程、出題範囲の最終確認は、1級土木施工管理技士の試験実施機関である 一般財団法人 全国建設研修センターの1級土木施工管理技術検定ページ を確認してください。砂防・地すべり対策の一般情報は、国土交通省の砂防情報 も参考になります。

次に復習する分野

  • 河川で、護岸・水制工・河川構造令との違いを確認する。
  • ダムで、水を貯める施設と土砂災害対策施設の目的を切り分ける。
  • 土工①土工②で、盛土・切土・法面保護を復習する。
  • 選択問題の攻略戦略で、専門土木の選択分野を決める。

よくある質問

Q. 砂防えん堤は普通のダムと同じですか?

A. 目的が違います。砂防えん堤は主に土石流や流出土砂を捕捉・調節して下流被害を抑える施設で、利水や治水のために貯水するダムとは分けて覚えます。

Q. 地すべり対策は何から覚えればよいですか?

A. 地下水を減らして滑動力を下げる抑制工と、杭・アンカーなどで動きを止める抑止工を分けて覚えると整理しやすいです。

Q. 砂防分野は選択問題で優先すべきですか?

A. 河川・土工・法面保護と関連づけて理解できる人は得点源にしやすい分野です。用語が混同しやすい場合は、目的別に表で整理してから演習しましょう。

-1級土木(第一次)