1級建築(第一次)

1級建築の鉄筋工事|かぶり・継手・ガス圧接の検査【2026年】

1級建築の鉄筋工事|かぶり・継手・ガス圧接の検査【2026年】では、令和8年度No.25を軸に、加工からコンクリート打込み前検査までを一本につなげます。

最初に押さえる結論

  • 令和8年度は午前の選択No.25にガス圧接継手が出題され、正答はでした。
  • 圧接面のずれはd/4以下、鉄筋中心軸の偏心量はd/5以下です。似た数値を対象物とセットで分けます。
  • 鉄筋工事は、材料→加工→組立→継手・定着→かぶり・あき→検査→打込み時の保持、の順で管理します。
  • 図面どおりの径・本数だけで合格にせず、力が伝わること、コンクリートが充填できること、鉄筋が腐食・火熱から守られることを確認します。

鉄筋は、コンクリートを打ち込むと見えなくなります。配筋検査を終えた後に設備スリーブを動かしたり、作業員が鉄筋の上を歩いたりすれば、かぶりや位置は変わります。だから鉄筋工事は、一度の検査ではなく「打込み直前まで所定位置を保つ工程」として考えます。

本記事は建設業振興基金の令和8年度問題・正答肢と、国土交通省の令和7年版公共建築工事標準仕様書(建築工事編)を照合しました。実工事では構造図、構造特記仕様書、配筋標準図、認定工法の仕様を優先してください。

更新・確認日:2026年7月31日。公式問題の文章は転載せず、数値と判断の違いを要約しています。

令和8年度No.25は選択区分の1問

午前No.21〜30は10問から7問を選ぶ区分で、No.25がSD345・同径鉄筋のガス圧接継手でした。四肢択一で各1点です。選択肢には、ふくらみの長さ・直径、折れ曲がり、中心軸の偏心量が並びました。

正答は④です。鉄筋中心軸の偏心量をd/4以下とした点が不適当で、現行仕様はd/5以下です。残り3肢の1.1d以上、1.4d以上、2°以下は現行基準と一致します。

鉄筋が受け持つ力を先に思い出す

コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引張を補います。しかし「鉄筋が入っていれば強い」わけではありません。鉄筋の位置、定着、継手、コンクリートとの付着がそろって初めて、設計した荷重経路が働きます。

梁なら上端筋と下端筋の役割は曲げモーメントの向きで変わり、柱・梁端部は地震時の変形も受けます。現場で継手位置を「いつも梁中央」と決めるのではなく、構造図と特記で確認します。

受入れから配筋検査までの品質連鎖

  1. 受入れ:鋼種、径、数量、製造者、ミルシート、識別を確認する。
  2. 加工:加工図、寸法、折曲げ、フック、切断、損傷の有無を確認する。
  3. 組立:本数、間隔、位置、結束、スペーサー、開口補強を確認する。
  4. 継手・定着:種類、位置、長さ、施工者、施工記録、試験を確認する。
  5. 打込み前:かぶり、あき、清掃、スリーブ、鉄筋の乱れを最終確認する。

国土交通省の仕様書は、主要な配筋について、コンクリート打込み前に種類、径、数量、かぶり厚さ、間隔、相互のあき、位置などを検査する流れを示しています。

加工は常温・所定形状・損傷なしが基本

鉄筋は設計図書の寸法・形状に合わせ、常温で正しく加工します。有害な曲がりや損傷のある鉄筋は使わず、コイル状鉄筋は傷を付けず直線状態にします。鉄筋への点付け溶接やアークストライクも行いません。

折曲げ内法直径は、鋼種、径、折曲げ角度で変わります。「90°なら常に同じ○d」と一つの数値へ縮めず、現行仕様の表と加工図を照合します。現場で無断の曲げ戻しをすれば、鉄筋へ損傷を与えるおそれがあります。

組立はコンクリートが入る空間まで確認する

鉄筋は継手部と交差部の要所を結束し、スペーサーや吊金物で所定位置へ保持します。国土交通省の仕様書では、結束線は径0.8mm以上、鋼製スペーサーが型枠へ接する部分には防錆処理を行う扱いです。

鉄筋相互のあきは、粗骨材最大寸法の1.25倍、25mm、隣り合う鉄筋径の平均の1.5倍のうち最大値以上を基準にします。ただし機械式・溶接継手には別条件があります。あき不足は、コンクリートや粗骨材の通り道を塞ぎ、充填不良へつながります。

かぶり厚さは鉄筋表面から測る

かぶり厚さは、鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離です。鉄筋中心からの距離ではありません。耐久性、耐火性、付着、ひび割れの抑制に関わります。

最小値は部位、屋内外、仕上げ、土との接触、コンクリート種類、塩害などで変わります。令和7年版仕様書では、柱・梁等の加工に用いるかぶり厚さを最小かぶり厚さ+10mmとするのが標準で、組立後は最小かぶり厚さ以上を確保します。「すべて40mm」のような一律暗記は使えません。

現場での測り方

型枠面から、最外側の帯筋・あばら筋などの表面までを確認します。主筋までの距離だけを見て、外側のせん断補強筋を忘れないでください。

継手は4種類を適用条件で選ぶ

継手 力を伝える仕組み 施工時の中心確認
重ね継手 付着を介して伝達 長さ・位置・あき
ガス圧接 加熱・加圧で端面を接合 端面・火炎・外観・探傷
機械式継手 カップラー等で伝達 認定条件・挿入・締付け・充填
溶接継手 溶接金属を介して伝達 資格・開先・溶接条件・検査

令和7年版仕様書は、原則としてD35以上の異形鉄筋に重ね継手を用いないとしています。旧記事の「D35を超える」とは境界が違います。継手の種類と位置は特記を優先し、同じ種類でも認定工法の条件を確認します。

ガス圧接は端面の準備で品質が決まる

ガス圧接は酸素・アセチレン炎で端面を加熱し、軸方向へ加圧して接合します。圧接前に、端面と周囲の錆、油脂、塗料、セメントペーストを除き、端面を直角・平滑にします。処理は原則として作業当日に行います。

突合せ時に隙間、偏心、曲がりがないことを確認し、端面が密着するまで還元炎、その後は適切な圧力を加えながら中性炎で加熱します。雨、雪、強風時は原則作業せず、風除けや覆いを設けた場合に施工できます。

No.25はd/4とd/5を対象物で分ける

令和8年度No.25の正答は④です。次の表は、国土交通省の令和7年版仕様書5.4.4を、何を測るかで整理したものです。dは鉄筋径で、異径の場合は細い方を基準にします。

測定対象 基準 見分け方
ふくらみの直径 1.4d以上 横幅
ふくらみの長さ 1.1d以上 軸方向の長さ
圧接面のずれ d/4以下 ふくらみ内の接合面
中心軸の偏心量 d/5以下 2本の鉄筋軸
折れ曲がり 2°以下 接合後の直線性
片ふくらみ d/5以下 片側への偏り

「1/4と1/5のどちらか」を丸暗記するのではなく、圧接面のずれ=1/4、軸の偏心と片ふくらみ=1/5、と部位を口に出します。

異径・異鋼種の圧接は二条件で確認する

令和7年版仕様書では、鉄筋種類が異なる場合、または径差が7mmを超える場合は圧接しません。ただし異鋼種ではSD345とSD390を圧接できる例外があります。

旧記事の「径差7mm以内なら圧接可能」だけでは、鋼種条件が抜けます。まず鋼種、次に径差、最後に工事の特記・資格範囲を照合します。令和8年度No.25は同径・SD345という条件なので、異径・異鋼種の判断を混ぜる必要はありません。

外観は全数、内部はロットで確認する

圧接完了後の外観試験は、すべての圧接部が対象です。ふくらみ、ずれ、偏心、折れ曲がり、片ふくらみ、焼割れ、へこみ、垂下がりなどを目視し、必要に応じてノギスやスケールを使います。

超音波探傷または引張試験の適用は特記によります。特記がなければ超音波探傷とし、1ロットは1組の作業班が1日に行った圧接箇所、試験数は1ロット30か所を無作為抽出します。不合格ロットは原因を調べ、残りすべてを超音波探傷し、再発防止を定めてから再開します。

現場例:梁柱接合部で詰まりを防ぐ

柱と梁が交わる場所には、柱主筋、帯筋、梁主筋、あばら筋、定着、継手、設備開口補強が集中します。加工帳どおりでも、鉄筋相互のあきが不足すれば、コンクリートや振動機が入りません。

施工管理者は二次元の配筋図だけでなく、交差部を断面で描き、継手の外径、定着端部、かぶり、粗骨材の通り、振動機の挿入経路を確認します。配筋完了後に問題を見つけるのではなく、加工・先組み前に納まりを解くのが良い管理です。

打込み直前は「位置を保てるか」を見る

配筋検査後は、設備スリーブと埋込み金物、型枠締付け、足場板、打設配管の動線を確認します。直接鉄筋上を歩かせず、歩み板を置き、打込み時にスペーサーやサポートを動かさないようにします。

検査写真には全景だけでなく、径・間隔・定着・継手・かぶりを判別できる標尺や位置情報を残します。コンクリート打込み後に追えない項目ほど、事前記録の価値が高くなります。

よくある誤りを修正する

  • 継手は梁中央なら安全:部材・荷重で応力状態が違うため、構造図と特記で確認します。
  • D35は重ね継手可能:現行仕様では原則D35以上に重ね継手を用いません。
  • 偏心量はd/4:d/4は圧接面のずれ、中心軸の偏心量はd/5です。
  • 外観は抜取り:ガス圧接部の外観試験は全数です。
  • 検査合格後は動かない:人、スリーブ、配管、打込みで乱れるため、直前確認が必要です。

オリジナル確認問題4問

以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。

問題1:ガス圧接部の鉄筋中心軸の偏心量の基準はどれですか。

①d/2以下 ②d/4以下 ③d/5以下 ④制限なし

問題2:鉄筋相互のあきを決めるときに照合する組合せはどれですか。

①粗骨材最大寸法・25mm・鉄筋径 ②鉄筋の色だけ ③建物の階数だけ ④作業員数だけ

問題3:ガス圧接の外観試験の対象として適切なのはどれですか。

①最初の1か所だけ ②全ての圧接部 ③不具合を申告した箇所だけ ④完成後に見える箇所だけ

問題4:打込み前の確認として不十分なのはどれですか。

①径・本数だけ確認して終了 ②かぶりとあきも確認 ③継手・定着とスリーブを確認 ④歩み板と打設動線を確認

公式資料と更新方針

本記事は2026年7月31日時点の公表資料に基づきます。令和9年度問題、JIS、継手告示、公共建築工事標準仕様書の改定時に再確認します。

まとめ

  • 令和8年度No.25の正答は④で、中心軸偏心はd/5以下です。
  • ふくらみ直径1.4d、長さ1.1d、圧接面ずれd/4、折れ2°、軸偏心・片ふくらみd/5を対象ごと分けます。
  • 重ね継手、ガス圧接、機械式、溶接は、構造図・特記・認定条件で選びます。
  • ガス圧接の外観試験は全数、特記がなければ超音波探傷は1ロット30か所です。
  • 配筋検査後も、かぶり・あき・位置を打込み直前まで保持します。

コンクリートを受ける型枠は「1級建築の型枠工事」、材料と受入れは「1級建築の建築材料①」、構造上の役割は「1級建築の各種構造①」へつなげてください。科目全体の選択順は「1級建築 第一次検定の出題構成と攻略法」で整理できます。

最後の自己点検

「圧接面のずれ」と「中心軸の偏心」を図に描き、それぞれd/4とd/5を指せれば、No.25の核心は整理できています。

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