1級建築(第一次)

1級建築の建築材料①|コンクリート調合・セメント・骨材【2026年】

1級建築の建築材料①|コンクリート調合・セメント・骨材【2026年】では、令和8年度の公式No.52を入口に、数値を丸暗記せず「なぜその条件が必要か」までつなげます。

先に結論

  • 令和8年度No.52の正答は①です。偏平な粗骨材より、球形に近い粗骨材のほうが一般にワーカビリティーを得やすいためです。
  • 普通コンクリートでは、材料→調合→荷卸し時の品質→打込み→強度確認の順で読みます。
  • 公式問題で並んだ185kg/m³、0.30kg/m³、品質基準強度+構造体強度補正値、再生骨材Hで60%は、単位と適用対象をセットで覚えます。
  • 現場で軟らかくしたいからと水を足すのは不可です。水セメント比と単位水量を変え、強度・耐久性・材料分離に影響します。

旧記事にあった「毎年必ず出る」「水セメント比は一律65%」などの断定は使いません。令和8年度の出題位置と国土交通省の令和7年版標準仕様書を照合し、どの種類のコンクリートに対する数値かを明記します。

令和8年度No.52は必須の応用能力問題

午後No.51〜60は、10問すべてに解答する施工管理法の応用能力問題です。各問は五肢択一で、令和8年度の配点は各1点。No.52では普通コンクリートの調合について、不適当な記述を一つ選びます。

判断軸 公式問題の要点 判定
粗骨材 偏平な形のほうが扱いやすい 不適当
単位水量 185kg/m³以下で小さく 適当
塩化物 Cl−量0.30kg/m³以下 適当
強度・再生骨材 補正値を加える・Hは60% 適当

表は選択肢の全文転載ではなく、判断に必要な論点を要約したものです。正答は①です。残り四つも「普通コンクリート」「問題が前提にした仕様」の中で読まなければ、別種のコンクリートの数値と混ざります。

材料から強度確認までを一本の流れにする

コンクリートは、セメント、水、細骨材、粗骨材、必要な混和材料を練り混ぜた複合材料です。材料が適合していても、調合、運搬、打込み、締固め、養生のどこかが崩れると、狙った品質になりません。

読む順序

材料の種類と品質 → 計画調合 → 配合計画書 → 荷卸し時の受入れ → 運搬・打込み・締固め → 養生 → 圧縮強度の判定

試験で「単位水量」だけを問われても、この流れへ戻します。水を増やせば打ち込みやすく見えますが、W/Cが変わり、硬化後の組織や耐久性まで影響するからです。

セメントは名称より「いつ・何を抑えるか」

普通ポルトランドセメントは一般的な基準点です。早強は早い材齢で強度を必要とするとき、中庸熱・低熱は水和熱による温度上昇を抑えたい部材、高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種は適用箇所と要求性能を確認して選びます。

着眼点 確認すること 避けたい判断
初期強度 脱型・工程・養生温度 早いほど常に優秀
水和熱 部材寸法・温度ひび割れ マスコンも普通で固定
耐久性 環境・特記・混和材量 名称だけで用途を決定

セメントの長所には条件があります。例えば、水和熱を抑えやすい種類でも、必要強度が得られる時期や養生を無視してよいわけではありません。「性能の順位」ではなく、要求と施工条件の組合せで判断します。

2026年3月のセメントJIS改正も区別する

JIS R 5210などは2026年3月23日に改正され、セメントの少量混合成分の上限が5%から10%へ引き上げられました。国土交通省は、大臣認定コンクリートについて、認定書別添のセメント密度・強熱減量の基準値を読み替える取扱いも示しています。

これは最新規格を確認するための更新情報であり、No.52の正答理由そのものではありません。試験対策では、古い数値を無条件に残さず、問題年度、適用JIS、仕様書の版を確認する姿勢が大切です。

粗骨材は球形に近いほど動きやすい

偏平・細長な粗骨材は、粒同士が引っ掛かりやすく、同じ流動性を得るために多くのペーストを必要としやすい形です。球形に近く、粒度が適切な骨材は、粒同士の摩擦と空隙を抑えやすいため、一般にワーカビリティーを得やすくなります。

したがって「偏平な粗骨材のほうが球形に近いものよりワーカビリティーがよい」というNo.52の趣旨は逆です。ただし、骨材は形だけで選びません。粒度、最大寸法、密度、吸水率、アルカリシリカ反応性、塩分などを規格・特記と照合します。

骨材の表面水は実際の水量を変える

骨材、とくに砂の含水状態を無視すると、計量した水が同じでも実際の単位水量がずれます。表面乾燥飽水状態より外側に付いた水は練混ぜ水へ加わるため、その分を計量水から差し引く補正が必要です。

例:砂から10kg/m³の表面水が入る見込みなら、計量水をその分だけ調整する。

表面水を見落とす → 実際の水が増える → W/C、スランプ、材料分離、強度へ連鎖する。

現場では自己判断の暗算で変更せず、骨材の含水率管理と工場の配合補正を確認します。材料の状態を、調合計画書と納入書へつなげて読むことが施工管理です。

W/Cと単位水量は同じ意味ではない

水セメント比は、水の質量Wをセメントの質量Cで割った比率です。単位水量は、コンクリート1m³に含まれる水の質量です。

二つを分けて覚える

水セメント比 W/C(%)=水の質量÷セメントの質量×100

単位水量(kg/m³)=コンクリート1m³当たりの水

W/Cを小さくすれば一般に組織は緻密になりやすい一方、小さければ無条件に施工しやすいわけではありません。必要なワーカビリティーを満たす調合とし、AE減水剤や高性能AE減水剤も所定のスランプ・空気量が得られるように使います。

185kg/m³は普通コンクリートの文脈で読む

国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」の6.3.2では、普通・軽量コンクリートを扱う章の調合条件として、単位水量の最大値を185kg/m³とし、品質が得られる範囲内で可能な限り小さくするとしています。No.52の判断もこの文脈です。

ただし「すべてのコンクリートが185」と覚えてはいけません。同じ仕様書でも場所打ちコンクリート杭の該当工法は200kg/m³、高流動、無筋、PCカーテンウォールなどはそれぞれの節を確認します。数値問題では、最初にコンクリートの種類と適用節を囲みます。

0.30kg/m³は塩化物イオン量

普通コンクリートに含まれる塩化物量は、塩化物イオン(Cl−)量で0.30kg/m³以下とするのがNo.52と令和7年版標準仕様書の条件です。単位は%ではなく、コンクリート1m³当たりのkgです。

塩化物イオンは鉄筋の不動態被膜を損ない、腐食の原因になります。受入試験で0.30kg/m³を超えたときは、そのまま「次から気を付ける」で使用せず、仕様書に定める連続試験と適合確認へ進みます。数値の暗記を、鉄筋腐食と受入判断へつなげてください。

調合管理強度は補正値を加えて考える

令和8年度No.52では、調合管理強度を「品質基準強度+構造体強度補正値」とする記述が適当です。記号で整理すれば、Fm=Fq+Sです。Fqは品質基準強度、Sは打込みから所定材齢までの温度条件やセメント種類などを踏まえる構造体強度補正値です。

一方、国土交通省の令和7年版公共建築標準仕様書は、その仕様書の適用範囲で「調合管理強度=設計基準強度Fc+S」と規定しています。用語の組立ては採用する基準で確認し、試験問題では問題文の基準、実務では設計図書・特記仕様書を優先します。

「設計で必要な強度と同じ値を工場へ頼めば終わり」ではありません。部材にできた構造体コンクリートが必要強度を満たすよう、製造時の目標、温度補正、ばらつき、試験方法まで含めて計画します。

再生骨材HのW/C最大値は60%

再生骨材Hは、解体コンクリートなどから回収し、高度な処理を経て品質を整えた再生骨材です。令和7年版標準仕様書6.3.2では、再生骨材Hを使用する場合の水セメント比の最大値を60%としています。No.52の選択肢も適当です。

ここでの「H」を落とさないことが重要です。再生骨材には品質区分があり、Hの条件を再生骨材全般へ広げてはいけません。また、使用可否、適用部位、アルカリシリカ反応抑制対策、試し練りの要否も一緒に確認します。

荷卸し時は納入書から順に確認する

調合計画が正しくても、現場で別のコンクリートを受け入れれば意味がありません。受入れでは、先に納入書で発注条件との一致を確認し、その後に外観、スランプまたはスランプフロー、空気量、コンクリート温度、塩化物量などを施工計画書と仕様書に沿って確認します。

  1. 納入書:呼び強度、スランプ、粗骨材最大寸法、セメント種類など。
  2. 荷の状態:材料分離、異常な硬さ・軟らかさ、運搬時間。
  3. フレッシュ試験:試験頻度、採取位置、許容差、記録。
  4. 供試体:採取、識別、養生、圧縮強度の判定。

水を加えてスランプを戻す方法は認められません。令和7年版標準仕様書は、工場からの運搬時にも、現場内の運搬・圧送時にも水を加えないと明記しています。

暑い日のポンプ打設で判断をつなぐ

夏の午後、ポンプ圧送するコンクリートが硬く見えた場面を考えます。ここで「少し水を足せば通る」と判断すると、計画した単位水量とW/Cが変わります。正しい順序は、納入書と運搬時間を確認し、試験値、コンクリート温度、外観を記録し、異常なら受入れ・使用の可否を所定の責任者へ確認することです。

さらに、輸送管の径・距離・高さ、直射日光への対策、先送りモルタル、打込み速度、締固め人員も点検します。材料問題の知識は、単に「水を減らす」ためではなく、品質を変えずに施工できる計画へ使います。

オリジナル確認問題4問

以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。

問題1:同じ材料条件で、偏平な粗骨材と球形に近い粗骨材を比べた説明として適切なのはどれですか。

①偏平なほど必ず流動性が高い ②球形に近いほど一般に粒同士が動きやすい ③形はワーカビリティーと無関係 ④偏平なら単位水量を確認しなくてよい

問題2:水170kg、セメント340kgの調合の水セメント比はどれですか。

①20% ②50% ③170% ④510%

問題3:公共建築の普通コンクリートを受け入れる際、塩化物量の単位として正しいものはどれですか。

①kg/m³ ②cm ③N/mm² ④分

問題4:ポンプ圧送中にコンクリートが硬く見えたとき、最初に採るべき行動はどれですか。

①現場で水を加える ②無記録で廃棄する ③納入・試験・施工条件を確認し所定の手順で判断する ④強度試験を省略する

公式資料と更新方針

本記事は2026年7月31日時点の公式問題と資料に基づきます。令和9年度問題、JIS、公共建築工事標準仕様書、採用する設計図書が改定されたときに数値と用語を再確認します。

まとめ

  • 令和8年度No.52は必須の応用能力問題で、正答は①です。
  • 球形に近い粗骨材は、偏平な粗骨材より一般にワーカビリティーを得やすい形です。
  • 単位水量185kg/m³以下、塩化物イオン量0.30kg/m³以下は、普通コンクリートの適用文脈と単位を合わせます。
  • 試験上の調合管理強度はFq+S。実務では採用基準・設計図書の用語を確認します。
  • 再生骨材Hを使用する場合のW/C最大値は60%です。
  • 受入れは納入書、外観、フレッシュ試験、供試体の順で追い、運搬・圧送中に水を加えません。

コンクリートが荷重を受ける部材になる流れは「1級建築の各種構造①」、地盤・基礎との接続は「1級建築の各種構造②」、鋼材・防水・ガラスは「1級建築の建築材料②」、全体の問題選択は「1級建築 第一次検定の攻略法」へ進んでください。

最後の自己点検

白紙に「骨材形状 → 単位水量 → W/C → 塩化物 → Fm → 受入れ」と書き、No.52の五つの判断を置いてください。数値に単位と適用対象まで付けられれば完成です。

-1級建築(第一次)