1級建築(第一次)

1級建築のコンクリート工事|運搬・打込み・養生・温度管理【2026年】

1級建築のコンクリート工事|運搬・打込み・養生・温度管理【2026年】では、令和8年度No.27を入口に、生コンクリートの受入れから打込み後の養生までを一つの品質管理として整理します。

最初に押さえる結論

  • 令和8年度は午前の選択No.27に普通コンクリートの運搬・打込みが出題され、正答はでした。
  • 練混ぜから打込み終了までは、外気温25℃以下で120分以内、25℃超で90分以内が現行仕様の原則です。
  • マスコンクリートの荷卸し時温度は35℃以下です。「40℃以下」ではありません。
  • 打込みは、清掃→区画・順序→目的位置の近くへ投入→締固め→上面仕上げ→養生→脱型後確認の流れで管理します。
  • 数値は対象と条件を組にします。普通・暑中・寒中・マスコンクリートを同じ温度条件で扱わないことが重要です。

コンクリート工事の失敗は、打込み当日の一作業だけでは起きません。工場選定、配車、受入れ、圧送、打重ね、締固め、養生のどこかが途切れると、材料分離、豆板、コールドジョイント、ひび割れなどにつながります。

本記事は、建設業振興基金の令和8年度問題・正答肢と、国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」を照合しています。実工事では、設計図書、施工計画書、レディーミクストコンクリートの配合計画、監督職員の承諾を優先してください。

更新・確認日:2026年7月31日。公式問題の文章は転載せず、問われた判断軸を要約しています。

令和8年度No.27は選択区分の1問

午前No.21〜30は10問から7問を選ぶ区分で、No.27は普通コンクリートの運搬・打込みを扱う四肢択一、各1点でした。令和8年度No.27の正答は②です。

不適当とされたのは、マスコンクリートの荷卸し時温度の上限を40℃とする判断でした。令和7年版仕様書6.13.3は35℃以下としています。温度が高いほど凝結と水和反応が速まり、施工性の低下や温度ひび割れのリスク管理が難しくなるためです。

まず普通・暑中・寒中・マスを分類する

区分 適用を判断する条件 管理の中心
普通 特別な節を適用しない一般部 時間、分離、充填、養生
暑中 日平均気温の日別平滑値が25℃超 荷卸し温度、乾燥、凝結
寒中 養生中に凍結のおそれがある期間 初期凍害、保温、強度
マス 断面が大きく水和熱で有害なひび割れのおそれ 内部・表面温度差、放熱

「冬だから寒中」「基礎だからマス」と名称だけで決めません。予想気温、断面、セメント、水和熱、施工条件、特記を確認して、適用する節と管理計画を決めます。

練混ぜから打込み終了までの時計を止めない

普通コンクリートは、練混ぜから打込み終了までを、外気温25℃以下なら120分以内、25℃を超えるなら90分以内とします。暑中コンクリートも90分以内です。単なる現場到着時刻ではなく、打込み終了までである点に注意してください。

コンクリート温度を下げる、凝結を遅らせるなどの措置を講じる場合は、監督職員の承諾を受けて時間を変更できます。渋滞したから現場判断で延ばす、余ったコンクリートを別区画へ回す、といった扱いではありません。

工場選定と配車は打込み計画から逆算する

  1. 区画と数量:柱・壁・梁・スラブの打込み順、1時間当たりの必要量を決める。
  2. 運搬条件:工場から現場までの所要時間、混雑、待機場所、受入れ能力を確認する。
  3. 圧送条件:配管径、水平・鉛直距離、ベント、打込み位置、ポンプ能力を確認する。
  4. 停止条件:降雨、低温、閉塞、品質変化、型枠異常時の連絡と判断者を決める。

ポンプ能力だけを大きくしても、受入れ試験、締固め、型枠監視が追い付きません。打込み速度は、ワーカビリティーと施工条件に応じ、良好な締固めができる範囲で設定します。

受入れは納入書・外観・試験を一組で見る

荷卸し地点では、納入書で配合、積込時刻、数量を確認し、コンクリートの状態を目視します。試料は原則として工事現場の荷卸し地点で採取し、スランプ、空気量、温度、塩化物量、必要な単位容積質量などを仕様に沿って試験します。

規格値だけでなく、前車との差、材料分離、異常な粘性、運搬時間も見ます。現場で水を加えて施工性を戻す行為は行いません。品質が変化したコンクリートを「よく振動すれば入る」と考えると、強度・耐久性・仕上りを同時に損ないます。

圧送は配管径と品質変化で考える

令和7年版仕様書の表6.6.1では、粗骨材最大寸法20mmに対して輸送管100A以上、25mm・40mmに対して125A以上としています。No.27でも、輸送管の呼び寸法を粗骨材最大寸法の4倍以上とする判断は適当な肢でした。

実際の管径は、骨材だけでなく圧送距離、高さ、曲がり、気温、必要圧送量、品質への影響を考えて決めます。圧送前の富調合モルタルは配管内を潤すために用いますが、原則として型枠内へ打ち込みません。閉塞や目視できる品質変化が生じた部分は廃棄します。

打込み前は清掃・湿潤・取合いを確認する

打込み場所の雑物を取り除き、せき板と打継ぎ面を湿潤にします。ただし、水がたまった状態にすることではありません。鉄筋、型枠、スペーサー、スリーブ、埋込み金物が所定位置で保持されているかも確認します。

型枠内の木片、結束線、氷雪、たまり水は、打込み後には除去できません。清掃口、照明、作業床、ポンプ配管、振動機、予備機、連絡方法までを打込み前検査に含めます。

打込みは目的位置の近くへ入れる

コンクリートは目的位置に可能な限り近づけて打ち込み、横流しで移動させません。自由落下高さと水平流動距離も、材料分離しない範囲で計画します。旧記事にあった「自由落下は一律1.5m以下」という単独暗記では、コンクリートの流動性、配筋、筒先位置を判断できません。

柱で区切られた壁では、柱を通過させるような横流しを避けます。柱・壁の沈みが落ち着いた後に梁、梁の沈みが落ち着いた後にスラブを打つ順序も、沈みひび割れや充填不足を防ぐ判断です。

打重ねは固定時間より再振動可能時間を見る

同一区画を継続して打ち込むとき、打重ね時間間隔の限度は、先に打ち込んだコンクリートの再振動可能時間以内です。温度だけで150分・120分と一律に決める旧説明は削除しました。

配車遅延やポンプ停止が起きたら、経過時間、コンクリートの状態、打継ぎ位置、再開方法を確認します。計画した限度を超えるおそれがある場合は、無理に重ねず、監督職員と協議して適切な打継ぎとして処理します。

締固めは間隔だけでなく充填状態を見る

棒形振動機は各層ごとに用い、先端が下層へ入るようほぼ垂直に挿入します。挿入間隔は打込み高さと速度に応じて60cm以下とし、コンクリート上面にペーストが浮くまで加振します。引抜きは穴を残さないよう、加振しながら徐々に行います。

現行仕様は加振を一律「5〜15秒」としていません。短すぎれば豆板や空洞、過度なら材料分離を招きます。梁柱接合部、開口下、鉄筋密集部、埋込み物周辺、型枠隅角は、筒先と振動機が届くかを施工図段階で確認します。

打継ぎは位置・面・水を管理する

打継ぎ位置は特記によります。特記がなければ、梁・スラブはスパン中央または端から1/4付近、柱・壁はスラブ、壁梁または基礎の上端です。単に「せん断力の小さい中央」と覚えると、端から1/4付近や鉛直部材を落とします。

打継ぎ面は、レイタンスと脆弱なコンクリートを除去して健全部を露出させ、水がたまらないようにします。位置が正しくても、表面処理が不十分なら新旧コンクリートは一体になりません。

湿潤養生はセメント種類で3・5・7日

期間 主なセメント 覚え方
3日以上 早強ポルトランド 強度発現が早い
5日以上 普通、高炉A、フライアッシュAなど 一般部の中心
7日以上 中庸熱、低熱、高炉B、フライアッシュB 反応が比較的緩やか

透水性の小さいせき板、養生マット、水密シート、散水・噴霧、膜養生剤などで湿潤状態を保ちます。期間中に一度散水しただけではありません。少なくとも打込み後1日間は、原則としてコンクリート上を歩行・作業しません。

暑中は35℃・90分・急乾燥防止

暑中コンクリートの荷卸し時温度は35℃以下、練混ぜから打込み終了までは90分以内です。輸送管を直射日光にさらさず、ぬれたシートで覆うなど温度上昇を抑えます。打込み前には、せき板、打継ぎ面、熱せられた地業などへ十分散水します。

運搬時間が長い場合は、必要に応じてAE減水剤遅延形または高性能AE減水剤遅延形を使います。ただし「夏は必ず遅延剤」ではありません。配合、運搬時間、製造者資料、施工計画で選びます。上面の湿潤養生はブリーディング水が消失した時点から始めます。

寒中は温度記録と5N/mm²までの初期養生

寒中コンクリートは、荷卸し時温度が10℃以上20℃未満となるよう練上り温度を決めます。材料を加熱してもセメントは加熱せず、骨材を直接火で加熱しません。セメント投入前の骨材と水は40℃以下です。

初期養生は圧縮強度が5N/mm²以上になるまで行い、全ての部分が2℃以下にならないよう保温します。最も温度が低くなる部位のコンクリート温度と、保温空間の温度を記録します。日平均4℃という旧来の単独定義より、「養生中に凍結のおそれがあるか」を現行仕様で判断します。

マスコンクリートは内部と表面を一緒に冷ます

マスコンクリートは、断面が大きく、水和熱による温度上昇で有害なひび割れのおそれがある部分に適用します。荷卸し時温度は35℃以下。品質を確保できる範囲で低温の材料を使い、単位セメント量が可能な限り少なくなるよう試し練りで調合を決めます。

内部温度が上昇中は表面温度を急低下させず、最高温度後も内部・表面の温度差と表面の温度降下速度が大きくならないよう保温します。低熱系セメントや混和材は選択肢ですが、すべてのマスコンクリートでパイプクーリングを行うわけではありません。

脱型後の不具合は原因まで記録する

せき板取外し後は豆板、空洞、コールドジョイントなどを、支保工取外し後は有害なひび割れとたわみを確認します。不具合を見つけたら、見た目だけ埋めず、位置、範囲、深さ、鉄筋露出、原因、構造・耐久性への影響を記録して処置を決めます。

同じ位置で繰り返す豆板は、振動機の技量だけでなく、配筋、スリーブ、筒先位置、型枠形状、粗骨材寸法、打込み順序の組合せに原因があるかもしれません。次回区画へ施工条件を戻して是正します。

現場例:夏の基礎打設を逆算する

大きな基礎を夏に打つときは、暑中とマスコンクリートの両方の視点が必要です。施工管理者は、気温予測、荷卸し温度、1台ごとの到着間隔、ポンプ能力、打込み区画、再振動可能時間、内部温度計画、養生方法を一枚の打込み計画へまとめます。

「35℃以下だから合格」で終わりません。受入れ時点で上限に近ければ、圧送中の温度上昇や凝結の進行を考えます。一方、表面だけ急冷すると内部との温度差が広がります。受入れ、打込み、養生を分断しないことが温度ひび割れ防止の核心です。

旧記事の万能数値を現行仕様へ直す

  • マスコンクリートは40℃以下:現行仕様は荷卸し時35℃以下です。
  • 自由落下は必ず1.5m以下:材料分離しない範囲を施工条件から定めます。
  • 一層は必ず40〜50cm:打込み・締固め計画と部材条件で決めます。
  • 加振は必ず5〜15秒:ペーストの浮上と充填状態を見て行い、過不足を避けます。
  • 打重ねは気温別の固定時間:先行層の再振動可能時間以内で管理します。
  • マスコンは必ずパイプクーリング:温度解析・施工条件に応じて対策を選びます。

オリジナル確認問題4問

以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。

問題1:外気温28℃で、特別な時間変更の承諾がない普通コンクリートについて、練混ぜから打込み終了までの上限はどれですか。

①60分 ②90分 ③120分 ④150分

問題2:マスコンクリートの荷卸し時温度の上限として、令和7年版仕様書に合うものはどれですか。

①20℃以下 ②25℃以下 ③35℃以下 ④40℃以下

問題3:棒形振動機の扱いとして適切なものはどれですか。

①鉄筋を押して移動させる ②ほぼ垂直に挿入し下層へ先端を入れる ③横流しに使う ④表面が乾くまで加振する

問題4:寒中コンクリートの初期養生を終了する強度条件はどれですか。

①2N/mm²以上 ②5N/mm²以上 ③12N/mm²以上 ④必ずFc以上

公式資料と更新方針

本記事は2026年7月31日時点の公表資料に基づきます。令和9年度問題、JIS、公共建築工事標準仕様書の改定時に再確認します。

まとめ

  • 令和8年度No.27の正答は②。マスコンクリートの荷卸し時温度は35℃以下です。
  • 練混ぜから打込み終了までは、外気温25℃以下120分、25℃超90分が原則です。
  • 打込みは目的位置の近くへ行い、打重ねは再振動可能時間以内、締固めは充填状態で判断します。
  • 湿潤養生はセメント種類により3日・5日・7日以上です。
  • 暑中は35℃・90分・急乾燥防止、寒中は温度記録と5N/mm²、マスは内部・表面温度差を管理します。

材料と配合は「1級建築の建築材料①」、打込みを支える型枠は「1級建築の型枠工事」、配筋・継手は「1級建築の鉄筋工事」で復習できます。全体の選択順は「1級建築 第一次検定の出題構成と攻略法」を参照してください。

最後の自己点検

「120・90」「35」「60」「3・5・7」「寒中5N/mm²」を、時間・荷卸し温度・振動機間隔・湿潤養生・初期養生へ正しく割り当てられれば、主要数値を条件付きで整理できています。

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