基礎工(直接基礎・杭基礎・土留め)の要点(30秒でわかる)
- 直接基礎:フーチング基礎・べた基礎の使い分け
- 杭基礎:既製杭(打込み・埋込み)と場所打ち杭の工法
- 土留め:親杭横矢板・鋼矢板・連続地中壁の使い分けが頻出
- 締切り:水中作業時の二重締切り・仮締切りの工法
結論から言います。基礎工は構造物を支える「足元」を造る工事です。基礎が弱ければどんな立派な構造物も倒壊します。2級土木では直接基礎と杭基礎の使い分け、土留め壁の種類が頻出テーマです。
基礎の種類選定フロー
どの基礎を選ぶかは地盤条件で決まります。以下のフロー図で判断の流れをつかみましょう。
試験では「支持層の深さ」で基礎の種類が変わることが問われます。この判断フローを頭に入れておきましょう。「施工計画」の記事でも、地盤条件に応じた工法選定の考え方を解説しています。
直接基礎と杭基礎の使い分け
基礎は大きく直接基礎と杭基礎に分かれます。「第一次検定の攻略法」でも触れていますが、この2つの区別は基礎工の最重要ポイントです。
| 項目 | 直接基礎 | 杭基礎 |
|---|---|---|
| 支持の仕組み | 浅い地盤で直接支える | 杭で深い支持層まで届ける |
| 適する地盤 | 浅い位置に良い地盤がある | 表層が軟弱で深くに良い地盤 |
| コスト | 比較的安い | 高い(杭打ち作業が必要) |
マンションで例えると、1〜2階建ての軽い建物なら直接基礎でOK。タワーマンションのように重い建物は杭基礎で深い支持層まで届けます。土木構造物も同じ考え方です。地盤調査の方法は「土工①」で解説していますので、あわせて確認しておきましょう。
なぜ杭で深い地盤まで届ける必要があるのか?
軟弱な表層地盤に直接構造物を載せると、荷重に耐えきれず地盤が沈下し、構造物が傾いたり沈んだりします。杭基礎は硬い支持層まで荷重を伝えることで、構造物を安定させます。東京の湾岸エリアのように埋立地で地盤が弱い場所では、ほぼすべての大型構造物が杭基礎です。現場でも「ボーリング調査→支持層の深さ確認→杭の長さ決定」という流れで設計するのが基本です。
杭基礎の種類
既製杭
工場で作った杭を現場で地盤に打ち込む方式です。「建設機械」の記事で解説しているクレーンやバイブロハンマーを使って施工します。
| 工法 | 特徴 |
|---|---|
| 打込み杭工法 | ハンマーで打ち込む。騒音・振動が大きい |
| 中掘り杭工法 | 杭の中を掘りながら沈設。低騒音 |
| プレボーリング杭工法 | 先に穴を掘ってから杭を挿入。低振動 |
💡 覚え方のコツ ― 既製杭3工法の区別
「打(う)・中(なか)・プレ」で覚えましょう。
- 打込み = そのまま打つ(ハンマーで上から叩く)
- 中掘り = 杭の中を掘る(内部を掘りながら沈める)
- プレボーリング = プレ(事前)に穴を掘る(先に穴→後から杭を挿入)
試験では「中掘り」と「プレボーリング」を混同させる問題が出ます。「杭の中を掘る」か「先に穴を掘る」かの違いを押さえましょう。
場所打ち杭
現場で穴を掘り、鉄筋かごを入れてコンクリートを流し込んで杭を作る方式です。コンクリートの品質管理は「コンクリート工①」「コンクリート工②」で学んだ知識が活きます。
| 工法 | 特徴 |
|---|---|
| オールケーシング工法 | ケーシング(鋼管)で孔壁を保護しながら掘削 |
| リバースサーキュレーション工法 | 泥水を循環させて孔壁を保護。大口径に対応 |
| アースドリル工法 | 安定液(ベントナイト)で孔壁を保護。最も一般的 |
⚠️ ひっかけポイント
試験では「アースドリル工法は泥水を循環させて孔壁を保護する」という誤りの選択肢が出ます。泥水循環はリバースサーキュレーション工法です。アースドリルは安定液(ベントナイト)を使います。
孔壁保護の方法で区別 ― ケーシング(鋼管)/泥水循環/安定液の3パターンです。
土留め壁の種類
土留め(どどめ)とは、掘削した地盤の側面が崩壊しないように支える仮設構造物です。「安全管理」の記事で解説している土止め支保工の知識とも深く関連します。
| 工法 | 特徴 |
|---|---|
| 鋼矢板(シートパイル) | 最も一般的。止水性が高い。比較的浅い掘削向け |
| 親杭横矢板工法 | H形鋼の間に横板を入れる。止水性なし。地下水位以上の掘削向け |
| 連続地中壁(地下連続壁) | RC壁を地中に構築。大深度・高止水性。コスト高 |
💡 覚え方のコツ ― 土留め壁の止水性
「鋼矢板=板で塞ぐ=止水○」「親杭横矢板=隙間だらけ=止水×」と覚えましょう。
- 鋼矢板:継手がかみ合って「壁」になる → 止水性あり
- 親杭横矢板:H形鋼と横板の間に隙間 → 止水性なし
- 連続地中壁:RC壁そのもの → 止水性最高(ただし高コスト)
試験では「親杭横矢板工法は止水性が高い」といった誤りの選択肢が定番です。土工②(法面保護)とあわせて押さえましょう。
土留め工法の選び方フロー
試験では「この条件でどの土留め工法を使うか」が問われます。判断の流れを整理しましょう。
止水性は不要・コスト低い
一般的な深さ
止水性○ コスト中
大深度・大規模
止水性◎ コスト高
なぜ土留め壁の「止水性」が重要なのか?
掘削した穴に地下水が流れ込むと、地盤が緩んで側面が崩壊する危険があります。さらに周辺の地盤沈下を引き起こし、近くの建物や道路に被害が及ぶことも。地下水位以下の掘削では止水性のある工法(鋼矢板・連続地中壁)が必須です。逆に地下水位より上だけの掘削なら、親杭横矢板工法でもコストを抑えられます。試験では止水性の有無 × 地下水位の位置の組み合わせで正誤を判定する力が求められます。
締切り工法
締切りとは、水中や河川内で工事をするために水を遮断する仮設構造物です。橋の橋脚を川の中に造るときなどに使います。「共通工学」で学ぶ測量技術や「工程管理」の知識と組み合わせて出題されることもあります。
📜 主な締切り工法
- 鋼矢板締切り:鋼矢板を打って水を止める。最も一般的
- 二重締切り:鋼矢板を二重に打ち、中に土砂を入れる。深い水深向け
- 土のう締切り:小規模・浅い水深向け。仮設のため撤去が容易
理解度チェック
Q1. 表層が軟弱で深い位置に支持層がある場合、直接基礎と杭基礎のどちらを使いますか?
Q2. 親杭横矢板工法の弱点は何ですか?
Q3. 場所打ち杭で最も一般的な工法は何ですか?
関連する記事をセットで学ぼう
基礎工は土工・コンクリート工と密接に関連します。以下の記事もあわせて読むと理解が深まります。
- 「土工①(土質試験・土量変化率・盛土)」― 地盤の性質を理解する基礎知識
- 「土工②(切土・軟弱地盤対策・法面保護)」― 軟弱地盤の対処法
- 「コンクリート工①(材料・配合設計・打設)」― 場所打ち杭のコンクリート品質
- 「コンクリート工②(養生・品質管理・ひび割れ対策)」― コンクリートの養生と管理
- 「建設機械(ブルドーザー・バックホウ・クレーン)」― 杭打ちに使う機械
- 「施工計画(施工計画書・環境対策)」― 基礎工を含む施工計画の立て方
- 「工程管理(バーチャート・ネットワーク工程表)」― 基礎工事の工程管理
- 「品質管理(品質特性・ヒストグラム・管理図)」― 品質管理の基本
- 「安全管理(土止め・型枠・クレーン・酸欠防止)」― 土留め支保工の安全管理
- 「法規①(建設業法・労働安全衛生法)」― 基礎工に関わる法規
- 「法規②(道路法・河川法・騒音振動規制法)」― 杭打ちの騒音・振動規制
2級土木の全体像を把握したい方は「2級土木施工管理技士とは?」から始めて、「選択問題の戦略」で効率的な学習計画を立てましょう。
まとめ ― 基礎工の要点整理
基礎工は構造物の安全を支える最重要テーマです。試験では基礎の種類選定、杭工法の区別、土留め壁の止水性が繰り返し出題されます。
この記事のポイント
- 直接基礎は浅い良好地盤、杭基礎は深い支持層がある場合に使う
- 既製杭は打込み・中掘り・プレボーリングの3工法を区別する
- 場所打ち杭はアースドリル工法が最も一般的
- 土留め壁は鋼矢板(止水性あり)と親杭横矢板(止水性なし)の違いが頻出
- 締切り工法は水中工事のための仮設構造物。鋼矢板締切りが最も一般的
基礎工を学んだら、次は「建設機械」の記事に進みましょう。杭打ちに使うクレーンやバイブロハンマーの知識は、基礎工の理解をさらに深めてくれます。