法規①(建設業法・労働安全衛生法)の要点(30秒でわかる)
- 建設業許可:電気工事業も許可が必要。大臣/知事、特定/一般の4区分
- 技術者配置:2級電気工事施工管理技士→主任技術者。1級→監理技術者
- 安全衛生管理体制:50人以上→統括安全衛生責任者選任。電気は感電防止が重要
- 作業主任者:電気工事では足場・酸欠等で選任義務あり
- 出題傾向:技術者配置の金額基準、作業主任者の選任基準、届出期限が頻出
結論から言います。法規①で扱う建設業法と労働安全衛生法は、施工管理技士試験の中で最も安定して出題される分野です。建設業の許可・技術者の配置・請負契約のルールは建設業法で、安全管理体制・作業主任者・特別教育は労働安全衛生法で定められています。法律の条文は堅いですが、この記事では「なぜそのルールがあるのか」を軸にわかりやすく解説します。第一次検定全体の出題傾向もあわせて確認してください。
なぜ建設業法・労安法が施工管理者の必修知識なのか?
建設業法と労働安全衛生法は、電気工事を含むすべての建設工事に適用される基本法です。建設業の許可なしに500万円以上の工事はできず、主任技術者を配置しなければ現場は動かせません。2級電気工事施工管理技士の資格を取ると主任技術者になれる——つまり、今まさに受験している資格の法的根拠がここにあります。
建設業法|許可・技術者配置・下請負【頻出】
建設業法の目的
建設業法は「建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進する」ための法律です(建設業法第1条)。
噛み砕くと、「手抜き工事を防ぎ、お客さん(発注者)が損しないようにする。そして建設業界全体が健全に発展するようにする」ということです。
建設業の許可
建設工事を請け負うには、原則として建設業の許可が必要です。ただし、軽微な工事は許可なしでも請け負えます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 一般建設業 | 下請に出す金額が4,500万円未満(建築一式は7,000万円未満)の場合 |
| 特定建設業 | 下請に出す金額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の元請 |
| 軽微な工事 | 請負金額500万円未満(建築一式は1,500万円未満)。許可不要 |
許可の区分 — もう一つの分類
建設業の許可は、営業所の場所によって大臣許可と知事許可に分かれます。2つ以上の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣の許可、1つの都道府県内だけなら都道府県知事の許可です。許可の有効期間は5年で、更新が必要です。
技術者の配置
建設業法では、建設工事の適正な施工を確保するために技術者の配置を義務付けています。
| 技術者 | 配置条件と役割 |
|---|---|
| 主任技術者 | 全ての工事に配置が必要。施工の技術上の管理を行う。2級施工管理技士で配置可能 |
| 監理技術者 | 特定建設業者が元請として下請総額4,500万円以上の工事を施工する場合。1級施工管理技士で配置可能 |
主任技術者と監理技術者の違い — 超頻出!
主任技術者は全ての工事に必要。監理技術者は大規模な元請工事だけに必要。大規模工事は下請が何社も入って複雑になるので、全体を技術的に統括できる上位の資格者が必要——というのが監理技術者を置く理由です。なお、2級電気工事施工管理技士に合格すると主任技術者になれます。資格の詳細は2級電気工事施工管理技士とは?を参照してください。
専任と兼任
請負金額が4,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)の公共性のある工事では、主任技術者・監理技術者は専任でなければなりません。つまり、その工事だけに専念する必要があり、他の現場と掛け持ちできません。
請負契約
建設業法では、請負契約の適正化のためにいくつかの重要なルールを定めています。
- 書面による契約 — 建設工事の請負契約は書面で締結しなければならない
- 一括下請の禁止 — 請け負った工事を丸投げ(一括下請)してはならない。公共工事は全面禁止
- 不当に低い請負代金の禁止 — 自己の取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない金額で契約してはならない
現場でのリアルな話
一括下請の禁止は、実務では非常に重要なルールです。元請が工事を丸ごと下請に流して何もしない——これでは元請の存在意義がありません。元請は施工管理の責任を持ち、実質的に関与しなければなりません。公共工事では特に厳しくチェックされ、違反すると営業停止処分の対象になります。施工体制台帳や施工体系図は施工計画の記事で詳しく解説しています。
労働安全衛生法|管理体制・作業主任者・届出【頻出】
労働安全衛生法の目的
労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進する」ための法律です(安衛法第1条)。
安全衛生管理体制
事業の規模に応じて、以下の管理者を選任する必要があります。実務的な安全管理の内容は安全管理(感電防止・活線作業)で詳しく解説しています。
| 管理者 | 選任条件と役割 |
|---|---|
| 総括安全衛生管理者 | 常時100人以上の事業場。安全管理者・衛生管理者を指揮する |
| 安全管理者 | 常時50人以上の事業場。安全に関する技術的事項を管理 |
| 衛生管理者 | 常時50人以上の事業場。衛生に関する技術的事項を管理 |
| 安全衛生推進者 | 常時10人〜49人の事業場。安全衛生の実務を担当 |
| 産業医 | 常時50人以上の事業場。労働者の健康管理を行う医師 |
作業主任者
労働安全衛生法では、危険または有害な作業で作業主任者を選任することを義務付けています。作業主任者は技能講習を修了した者から選任します。
電気工事に関連する作業主任者を覚えましょう。
- 足場の組立て等作業主任者 — 高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更の作業
- 型枠支保工の組立て等作業主任者 — 型枠支保工の組立て・解体の作業
- 酸素欠乏危険作業主任者 — マンホール・ピットなど酸素欠乏危険場所での作業
- 地山の掘削作業主任者 — 高さ2m以上の地山の掘削作業
作業主任者と作業指揮者の違い
作業主任者は技能講習修了者から選任。法定の危険有害作業に配置義務がある。一方、作業指揮者は法定の資格要件がなく、事業者が適任者を指名する。たとえばクレーン作業の玉掛け作業を行う場合は作業指揮者が必要ですが、資格要件は法令では定められていません。
特別教育
危険又は有害な業務に労働者を就かせるときは、事業者が特別教育を実施しなければなりません。電気工事で必要な特別教育は以下の通りです。
- 低圧の充電電路の修理等の業務(低圧電気取扱い特別教育)
- 高圧・特別高圧の充電電路等の操作の業務
- フルハーネス型墜落制止用器具を用いた作業
- アーク溶接の業務
- 酸素欠乏危険場所での作業(第2種は硫化水素も含む)
特別教育と技能講習の違い
特別教育:事業者が自社で実施可能。比較的危険度の低い業務。
技能講習:都道府県労働局長の登録を受けた機関で実施。より危険度の高い業務。作業主任者はこちら。
試験では「この業務は特別教育?技能講習?」という形で出題されるので、区別しておきましょう。
建設現場の安全衛生管理体制
建設現場では元請と下請が混在して作業するため、通常の事業場とは異なる特別な管理体制が必要です。
よくある質問と試験のひっかけポイント
Q. 電気工事業の許可と電気工事士免状の違いは?
A. 建設業許可(電気工事業)は会社(事業者)に対する許可。電気工事士免状は個人(作業者)に対する資格。電気工事を行う会社は建設業許可が必要で、実際に作業する人は電気工事士の免状が必要です。
Q. 2級電気工事施工管理技士で何ができる?
A. 主任技術者として配置でき、一般建設業の専任技術者にもなれます。監理技術者には1級が必要。電気工事業の許可を受けた会社で、主任技術者として工事の技術上の管理を行えます。
Q. 電気工事で届出が必要なケースは?
A. 主なものは①労安法の計画届(足場・仮設電気設備→14日前に労基署長)、②特定建設作業(騒音・振動→7日前に市町村長)、③電力会社への受電申請。届出先と期限のセットで暗記しましょう。
試験でこう出る!出題パターン
- パターン1:建設業許可の区分と電気工事業の位置づけ
- パターン2:主任技術者と監理技術者の配置基準
- パターン3:安全衛生管理体制の人数基準
- パターン4:届出先と届出期限の組み合わせ
暗記のコツ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 2級電気施管 | 主任技術者OK、監理技術者は✕→1級必要 |
| 特定建設業 | 下請4,500万円以上→監理技術者配置 |
| 統括選任 | 常時50人以上(ずい道等は30人) |
| 計画届 | 14日前→労基署長 |
理解度チェック
学んだ内容を確認しましょう。4択から正解を選んでください。
【問1】建設業の許可に関する記述として、建設業法上、正しいものはどれか。
(1)請負金額にかかわらず全ての工事で許可が必要
(2)許可の有効期間は3年である
(3)2つ以上の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣の許可
(4)特定建設業は下請専門の許可区分である
【問2】主任技術者と監理技術者に関する記述として、正しいものはどれか。
(1)主任技術者は特定建設業の元請工事のみ配置が必要
(2)2級施工管理技士は監理技術者になれる
(3)主任技術者は全ての建設工事に配置が必要
(4)監理技術者は下請工事に配置する
【問3】労働安全衛生法上、高さ5m以上の足場の組立て等の作業において選任が必要な者はどれか。
(1)安全管理者
(2)作業指揮者
(3)足場の組立て等作業主任者
(4)統括安全衛生責任者
【問4】建設工事の請負契約に関する建設業法上の記述として、正しいものはどれか。
(1)請負契約は口頭でも有効である
(2)一括下請は発注者の書面承諾があれば全ての工事で可能
(3)建設工事の請負契約は書面で締結しなければならない
(4)元請は下請に工事を丸投げしても施工管理の責任を負わない
4資格共通!法規の頻出知識
建設業法と労働安全衛生法は全ての施工管理技士試験で出題されます。他資格の法規記事も参考にしましょう。
電気工事特有の法律は法規②(電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法)で解説しています。品質管理や工程管理の知識もあわせて学習しましょう。
まとめ|建設業法と労安法の数値基準を正確に暗記
この記事のポイント
- 建設業の許可:一般建設業と特定建設業。大臣許可と知事許可。有効期間は5年
- 技術者の配置:主任技術者は全工事に必要、監理技術者は大規模元請工事に必要
- 請負契約:書面契約の義務、一括下請の禁止
- 安全管理体制:50人以上で安全管理者・衛生管理者・産業医が必要
- 作業主任者は技能講習修了者から選任。特別教育は事業者が実施
- 建設現場は統括安全衛生責任者(元請)と安全衛生責任者(下請)の体制
次は法規②(電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法)に進みましょう。独学の勉強法で学習計画も確認できます。
ミニテストで知識を確認しよう
法規の知識をミニテストで確認しましょう。
本番形式で力試しするなら模擬試験もどうぞ。