2級電気工事(第一次)

工程管理(バーチャート・ネットワーク工程表)をわかりやすく解説【2級電気工事施工管理】

工程管理(バーチャート・ネットワーク工程表)の要点(30秒でわかる)

  • バーチャート:簡単・見やすいが作業の前後関係が不明→小規模工事向き
  • ネットワーク工程表:順序関係が明確、クリティカルパスで重要作業を特定→大規模向き
  • クリティカルパス:最長ルート=最短工期。フロート=0→遅延は即工期延長
  • 工期短縮:CP上の作業を短縮する(人員増・工法変更等)
  • 出題傾向:CP計算がほぼ毎回出題→解法パターンを覚えれば確実に得点

結論から言います。工程管理は「工事を予定通りに終わらせるための管理」です。バーチャート工程表で全体のスケジュールを把握し、ネットワーク工程表でクリティカルパスを見つけて遅延リスクを管理する——この2つの工程表を使いこなすのが施工管理の基本スキルです。

試験では毎回出題される超頻出分野で、特にネットワーク工程表のクリティカルパスやフロートの計算は確実に得点したい問題です。第一次検定全体の出題傾向選択問題の戦略もあわせて確認してください。

なぜ工程管理が施工管理の核心スキルなのか?

工程管理は「決められた工期内に工事を完了させる」ための技術です。電気工事は建築工事の後半に集中するため、前工程(躯体・内装)が遅れるとしわ寄せを受けやすい。ネットワーク工程表でクリティカルパスを把握し、「どの作業が遅れると全体に影響するか」を判断できることが施工管理者の腕の見せどころです。

工程管理の基本|工期遵守とコスト最適化の両立

工程管理の目的

工程管理の目的は、工事を契約工期内に完成させることです。ただし、単に間に合えばいいわけではありません。品質を確保しながら、安全に、そしてコストを抑えて工期を守る——このバランスが大切です。

工程管理の基本的な流れはPDCAサイクルです。

工程管理のPDCAサイクル
Plan(計画)
工程表を作成する
各作業の所要日数を決める
Do(実施)
計画に基づいて施工
作業指示・資材手配
Check(検討)
実績と計画を比較
進捗の遅れを確認
Action(改善)
遅れの対策を実施
工程表を見直す

バーチャート工程表の特徴と使い方

バーチャート工程表とは

バーチャート工程表(ガントチャートとも呼ばれます)は、縦軸に作業名、横軸に日数(カレンダー)を取り、各作業の開始日と終了日を横棒(バー)で表す工程表です。

最も広く使われている工程表で、作成が簡単全体のスケジュールが一目でわかるのが特徴です。

バーチャートとネットワーク工程表の比較

2つの工程表を比較
バーチャート工程表
作成が簡単
スケジュールが一目瞭然
進捗管理がしやすい
作業間の関連が見えない
クリティカルパス不明
ネットワーク工程表
作業間の関連が明確
クリティカルパスがわかる
工程短縮の検討に最適
作成に手間がかかる
日程の読み取りが難しい

電気工事のバーチャート工程表の例

電気工事の工程は、建築工事の進捗に合わせて組むのが基本です。たとえば「躯体工事と同時に電線管の埋設」→「内装下地の段階でケーブル敷設」→「仕上げ前に器具取付」→「竣工前に試験調整」という流れになります。建築工程が遅れると電気工事も連動して遅れるので、常に建築の進捗を確認するのが大切です。施工計画の段階でこの連動を見込んでおきましょう。

ネットワーク工程表|クリティカルパス計算【最頻出】

ネットワーク工程表とは

ネットワーク工程表は、作業の順序関係(前後関係)と所要日数を矢印と丸(○)で表す工程表です。バーチャート工程表では見えなかった作業間の依存関係クリティカルパスが明確になります。

基本的な用語

用語 意味
アクティビティ(作業) 矢印(→)で表す。矢印の上に作業名、下に所要日数を書く
イベント(結合点) 丸(○)で表す。作業の開始点・終了点。番号を振る
ダミー 点線の矢印(--->)で表す。作業の前後関係だけを示し、所要日数は0
クリティカルパス 最長の経路。この経路上の作業が遅れると全体の工期が延びる
フロート(余裕日数) クリティカルパス以外の作業が持つ余裕時間。フロート0=クリティカルパス上の作業

クリティカルパスの求め方

クリティカルパスは全体の工期を決める最長経路です。求め方を手順で説明します。

手順1:各イベントの最早開始時刻(ES)を求める

スタートから順に、各結合点に到達する最も早い時刻を計算します。複数の経路が合流する場合は大きい方を採用します。

手順2:各イベントの最遅完了時刻(LF)を求める

ゴールから逆向きに、工期を守るために許される最も遅い時刻を計算します。複数の経路が分岐する場合は小さい方を採用します。

手順3:フロートを計算する

トータルフロート = 最遅完了時刻 − 最早開始時刻 − 所要日数

フロートが0の作業をつなげた経路がクリティカルパスです。

覚え方のコツ

最早開始時刻の計算(前向き計算)は合流で「大きい方」、最遅完了時刻の計算(後ろ向き計算)は分岐で「小さい方」。これを逆に覚えてしまう受験生が非常に多いので注意!前に進むときは「大きい」、後ろに戻るときは「小さい」と覚えましょう。

フロートの種類

トータルフロート:その作業が遅れても全体の工期に影響しない余裕時間。
フリーフロート:その作業が遅れても次の作業に影響しない余裕時間。フリーフロート ≦ トータルフロートの関係が成り立ちます。

ネットワーク工程表の計算例

【練習】以下のネットワーク工程表でクリティカルパスと全体の所要日数を求めなさい。

作業A(3日):①→② / 作業B(5日):①→③ / 作業C(4日):②→④ / 作業D(2日):③→④ / 作業E(6日):④→⑤

解答を見る

経路1:①→②→④→⑤ = A(3) + C(4) + E(6) = 13日
経路2:①→③→④→⑤ = B(5) + D(2) + E(6) = 13日

どちらも13日で同じなので、両方ともクリティカルパスです。全体の所要日数は13日。この場合、どの作業にも余裕がないため、すべての作業の遅延が全体の工期に直結します。

電気工事の工程管理

電気工事の工程は一般的に以下の流れで進みます。

電気工事の標準的な工程フロー

① 電線管埋設・ボックス取付(躯体工事と同時進行)

② ケーブルラック・幹線ケーブル敷設(躯体完了後)

受変電設備の搬入・据付(建方完了後)

照明器具・コンセント等の取付(内装工事と並行)

⑤ 結線・配線接続

⑥ 試験調整・竣工検査(絶縁抵抗・接地抵抗・動作確認)

工程遅延の原因で多いもの

電気工事で工程が遅れる原因のトップは「建築工事の遅延」です。電気工事は建築の進捗に依存するため、躯体工事が遅れると電線管の埋設も遅れます。2番目に多いのは「設計変更」。施主の要望でコンセントの位置が変わったり、照明のタイプが変更になったりすると、手戻りが発生します。他業種との取り合いをうまく調整する力も大切です。

工期短縮の方法|CP上の作業を短縮する

工期に遅れが生じた場合、以下の方法で工程を短縮します。

  • 突貫工事(クラッシング) — 作業員を増員して、作業日数を短縮する。コストが増加する
  • 並行作業(ファストトラッキング) — 本来は順番に行う作業を同時に進める。リスクが増加する
  • 作業方法の変更 — より効率的な工法や機器に切り替える。例:手配線→プレハブ配線
  • 残業・休日出勤 — 最もシンプルだが、安全管理上のリスクが高まる

工程短縮の鉄則

工程を短縮するときは、クリティカルパス上の作業を短縮しなければ意味がありません。クリティカルパス以外の作業をいくら早くしても、全体の工期は変わらないからです。これは試験でも頻出のポイントです。

4資格共通!工程管理の頻出知識

工程管理は全ての施工管理技士の試験で出題される重要テーマです。他資格の工程管理記事と比較して理解を深めましょう。

第二次検定ではネットワーク工程表の記述問題が出題されます。電気工事のネットワーク工程表 記述計算問題対策で記述式の解き方も確認しておきましょう。

よくある質問と試験のひっかけポイント

Q. 電気工事のCP(クリティカルパス)で注意すべきことは?

A. 電気工事は建築工事の進捗に大きく左右されるため、建築側の遅れがCPに影響することが多いです。特に受変電設備の搬入→据付→受電は工事全体のCPになりやすく、搬入経路の確保と建築工程との調整が重要です。

Q. フロートがある作業を優先的に短縮すべき?

A. いいえ。フロートがある作業を短縮しても工期は変わりません。工期を短縮するにはCP上の作業(フロート=0の作業)を短縮する必要があります。これは試験の定番ひっかけです。

Q. バーチャートとネットワーク、試験ではどちらが重要?

A. ネットワーク工程表の方が出題頻度が高いです。CP計算は「全ルートを書き出す→日数合計→最長がCP」の手順で確実に解けます。

試験でこう出る!出題パターン

  • パターン1:ネットワーク図からCPと工期を求める計算問題
  • パターン2:バーチャートとネットワークの特徴比較
  • パターン3:特定の作業のフロート計算
  • パターン4:工期短縮の方法(CP上の作業を短縮)

暗記のコツ

項目 ポイント
CP 最長ルート=最短工期、フロート=0
フロート CP以外のルートの余裕日数。TF≧FF
工期短縮 CP上の作業のみ短縮可能
バーチャート 簡単・見やすい→前後関係不明

この分野の知識をミニテストで確認

解説記事の内容がそのまま出題されるので復習に最適です。

攻略法・ミニテスト一覧を見る →

理解度チェック

学んだ内容を確認しましょう。4択から正解を選んでください。

【問1】バーチャート工程表の特徴として、正しいものはどれか。

(1)作業間の前後関係を明確に表現できる
(2)クリティカルパスを容易に把握できる
(3)各作業の開始日と終了日が一目でわかる
(4)工程短縮の検討に最も適している

解答を見る

正解:(3)各作業の開始日と終了日が一目でわかる
バーチャート工程表は横棒で作業期間を表すため、開始日と終了日が視覚的にわかりやすいのが最大の特徴です。作業間の関連やクリティカルパスの把握はネットワーク工程表の方が得意です。

【問2】ネットワーク工程表に関する記述として、正しいものはどれか。

(1)ダミーは所要日数1日の作業を表す
(2)クリティカルパスは最短経路のことである
(3)フロートが0の作業はクリティカルパス上にある
(4)フリーフロートはトータルフロートより大きい

解答を見る

正解:(3)フロートが0の作業はクリティカルパス上にある
ダミーの所要日数は0日。クリティカルパスは最長経路。フリーフロート ≦ トータルフロートです。

【問3】工程を短縮する場合の方法として、最も効果的なものはどれか。

(1)フロートが最大の作業を短縮する
(2)クリティカルパス上の作業を短縮する
(3)コストが最も安い作業を短縮する
(4)作業員が最も多い作業を短縮する

解答を見る

正解:(2)クリティカルパス上の作業を短縮する
クリティカルパスが全体の工期を決めているので、この経路上の作業を短縮しなければ全体の工期は短くなりません。フロートがある作業を短縮しても、余裕が増えるだけです。

【問4】ネットワーク工程表の最早開始時刻(ES)を求める際、複数の経路が合流する場合の処理として、正しいものはどれか。

(1)合流する各経路の値を足し合わせる
(2)合流する各経路の値の平均をとる
(3)合流する各経路のうち大きい方の値を採用する
(4)合流する各経路のうち小さい方の値を採用する

解答を見る

正解:(3)合流する各経路のうち大きい方の値を採用する
最早開始時刻は「全ての先行作業が終わった最も早い時刻」なので、合流点では大きい方を採用します。逆に、最遅完了時刻の分岐点では小さい方を採用します。

まとめ|CP計算を得点源にする

この記事のポイント

  • バーチャート工程表:作成が簡単で全体スケジュールが一目でわかる。ただし作業の前後関係は見えにくい
  • ネットワーク工程表:作業間の関連とクリティカルパスが明確。計算問題として出題される
  • クリティカルパス=最長経路。この経路上の作業が遅れると工期が延びる
  • フロート=余裕日数。フロート0の作業がクリティカルパスを構成する
  • 工程短縮はクリティカルパス上の作業を対象にしなければ効果がない

次は品質管理(品質特性・QC7つ道具・検査試験)に進みましょう。独学の勉強法・学習スケジュールで全体の学習計画も確認できます。

ミニテストで知識を確認しよう

工程管理・品質管理の知識をミニテストで確認しましょう。

本番形式で力試しするなら模擬試験もどうぞ。

関連記事

-2級電気工事(第一次)