1級建築(第一次)

1級建築の地盤調査・地下水・仮設工事|調査から足場まで【2026年】

1級建築の地盤調査・地下水・仮設工事|調査から足場まで【2026年】では、見えない地盤を調べ、掘削中の変化を測り、安全な作業床へつなぐ順序を解説します。

最初に押さえる結論

  • 令和8年度は、午前の選択No.21〜23で乗入れ構台・地盤調査・地下水処理、午後の必須No.48で足場が問われました。
  • 正答はNo.21=③、No.22=①、No.23=②、No.48=①です。
  • 工法名は性能順位で覚えず、地層→地下水→周辺条件→変形の許容→施工・計測の順で選びます。
  • 仮設物も構造物です。荷重、支持地盤、接合、水平安定、最大積載荷重、点検を施工計画と現物で一致させます。

土の中は、掘るまで完全には見えません。調査孔で分かった地層も「点」の情報です。施工管理者には、調査結果をそのまま信じ切るのではなく、掘削時の湧水、土質、山留め変位、周辺沈下と照合し続ける役割があります。

本記事は建設業振興基金の令和8年度問題・正答肢、国土交通省の令和7年版公共建築工事標準仕様書、現行の労働安全衛生規則を照合しました。実工事では設計図書、地盤調査報告書、仮設計画、工法仕様、行政・埋設物管理者との協議を優先してください。

更新・確認日:2026年7月31日。公式問題の文章や図を転載せず、出題条件と判断方法を要約しています。

令和8年度の出題位置を先に確認する

午前No.21〜30は10問から7問を選ぶ区分です。地盤・仮設に関係するNo.21〜23は、すべて選ぶ必要はありません。午後No.45〜50は6問すべてに答える必須区分で、No.48が足場でした。各問題は1点です。

問題 主題 正答
午前No.21 乗入れ構台
午前No.22 地盤調査・土質試験
午前No.23 地下水処理
午後No.48 移動式・棚足場

旧記事の「毎年1〜2問」「山留めと足場が特に狙われる」という予測は使いません。令和8年度に確認できた問題と、工法選定に必要な基礎を分けて学びます。

地盤調査は設計と施工の質問に答える

地盤調査の目的は、単にN値を得ることではありません。支持層はどこか、沈下はどう進むか、液状化の検討が必要か、地下水は掘削へどう影響するか、採用する基礎・山留め・排水方法が施工できるかを判断する材料を集めます。

まず既往資料、地形・地歴、周辺構造物、埋設物を調べます。その上でボーリング、原位置試験、試料採取、室内試験を組み合わせます。どれか一つを「最も優れた調査」と決めるのではなく、知りたい性質と深さに合わせます。

原位置試験と室内試験を混ぜない

調査・試験 主に確認するもの 読み方の注意
標準貫入試験 N値・試料・地層 N値だけで支持層を断定しない
スクリューウエイト貫入試験 荷重・回転による貫入抵抗 密な砂礫・固結層などは適用しにくい
一軸圧縮試験 粘性土の強度・変形 乱れの少ない試料が重要
液性・塑性限界試験 含水状態と土の分類 支持力を直接測る試験ではない
現場透水試験 透水係数 地下水処理計画へつなげる

No.22は一軸圧縮試験の対象を問う

令和8年度No.22の正答は①です。「一軸圧縮試験では粘性土の強度と剛性を求められない」という趣旨が不適当でした。一軸圧縮試験は、自立する粘性土の供試体を側圧なしで圧縮し、一軸圧縮強さや応力・ひずみ関係を確認します。

試験名だけでなく、試料が乱れていないか、排水条件や載荷条件は何か、原位置をどこまで代表するかを見ます。採取・運搬で試料が乱れれば、精密な試験機でも現地の性質を正しく表せません。

N値は「大きいほど安心」で終わらせない

N値は標準貫入試験の抵抗を示す重要な指標ですが、土質、深さ、地下水、層厚、建物荷重、杭工法との組合せで読みます。大きいN値が一箇所あっても、薄い礫層の下に軟弱層があれば、建物全体の支持や沈下を説明できません。

基礎形式と地盤の基本は「1級建築の各種構造②|木造・基礎・地盤」、杭施工の管理は「1級土木の基礎工|場所打ち杭・既製杭・土留め」でも確認できます。

地下水処理は集水か水位低下かを分ける

地下水対策は、掘削面へ入った水を集水桝へ導いて排出する釜場排水と、井戸やウェルポイントで掘削前から地下水位を下げる方法に大別できます。必要揚水量、透水性、帯水層の厚さ、掘削深さ、周辺井戸、沈下リスク、放流条件で選びます。

地下水位を下げると工事はしやすくなりますが、周辺地盤の有効応力が増えて圧密沈下を起こすことがあります。排水量だけでなく、周辺地盤・建物の沈下、地下水位、山留め変位も測ります。

No.23はディープウェルの万能化が誤り

令和8年度No.23の正答は②です。ディープウェルを、透水性の低い粘性土地盤の地下水位低下に適するとした点が不適当でした。深井戸へ水を集めて揚水するには、地盤から井戸へ水が移動できる透水性が必要です。

一方、ウェルポイントは多数の小口径吸水管と真空ポンプを使い、気密保持が重要です。ただし工法名だけで適否を断定せず、土層、揚水試験、必要低下量、ポンプ停止時の復水、周辺影響を施工計画で確認します。

山留めは剛性・止水・敷地境界を同時に見る

親杭横矢板、鋼矢板、ソイルセメント柱列壁、地中連続壁は、費用や強さの単純順位では選びません。地盤、地下水、掘削深さ、近接構造物、変形許容量、騒音・振動、施工ヤード、撤去性を比較します。

国土交通省の令和7年版標準仕様書は、山留めを地盤調査報告書と現場土質から総合判断し、構造計算で耐力を確認するよう求めています。設置中は周辺地盤と山留めの状態を点検・計測し、異常時は直ちに措置・報告します。

止水性が高くても終わりではない

壁からの漏水が少なくても、底盤の盤ぶくれ、ボイリング、壁の変形、周辺地盤沈下は別に検討します。山留め壁、支保工、地下水処理、計測は一つの系です。

No.21乗入れ構台は荷重経路を読む

令和8年度No.21の正答は③です。道路から構台までの乗込みスロープを勾配1/5とした計画が不適当でした。大型車両の発進・制動、路面状態、構台への衝撃を考え、勾配は施工計画で安全に設定します。

同問の他の肢からは、構台支柱を本設の基礎・柱・梁・耐力壁と干渉させないこと、切梁支柱と兼用するなら双方の荷重に対する安全性を確認すること、水平つなぎと切梁の高さを合わせて安定させることが読み取れます。

  1. 通行車両の総重量、軸重、走行経路、離合・旋回を決める。
  2. 床版→受梁→大引→支柱→支持地盤まで荷重経路を追う。
  3. 山留め、本設躯体、揚重機、掘削機との干渉を確認する。
  4. 最大積載荷重、速度、誘導、点検方法を見える場所へ表示する。

No.48足場は面積だけで積載荷重を増やさない

午後No.48の正答は①です。作業床面積2m²の移動式足場について、最大積載荷重を400kgとした点が不適当でした。床面積が広いから、そのまま大きな荷重を載せられるわけではありません。足場の形式、部材、組立状態、製造者仕様、適用基準と表示荷重を確認します。

同問では、移動式足場に高さ90cmの中桟付き手すりと高さ10cmの幅木を設けること、枠組足場の棚足場を5層4スパン以内ごとに水平・垂直方向へ一体化すること、脚立式棚足場の板を踏桟へ固定し10〜20cm突き出すことも確認されました。

労働安全衛生規則の一般的な作業床・墜落防止条件と、令和8年度問題の移動式・棚足場の条件は分けて整理します。作業前は脚輪ブレーキ、アウトリガー、床材、手すり、昇降設備、周囲の開口、積載物を現物で点検してください。

掘削前の確認は図面より現地を先に歩く

根切り前に、敷地境界、道路幅、架空線、既存建物、井戸、埋設管、雨水の流入経路を歩いて確認します。国土交通省の標準仕様書も、埋設が予想される給排水管、ガス管、ケーブルなどを調査し、根切り底の土質・深さを検査する流れを示しています。

試掘と管理者立会いが必要な位置を決め、調査結果を掘削・山留め・揚重・搬出入計画へ戻します。「図面にないからない」ではなく、「存在をどう確認したか」を記録します。

現場例:駅前地下2階工事の管理線

駅前の地下2階工事を想像してください。敷地境界のすぐ外に古い建物があり、道路下には上下水道・ガス・通信があります。調査孔では砂層と粘性土層が交互に現れ、地下水位も高い条件です。

この現場では、地盤調査から山留め工法を選ぶだけでは足りません。試掘で埋設物を確定し、地下水位低下による近隣沈下を予測し、山留め壁・切梁・構台を一体で計画します。施工中は傾斜、沈下、壁変位、切梁軸力、地下水位、揚水量を管理値と照合します。変化の傾向を早期に捉えることが、事故を止める実務です。

よくある誤りを一行で直す

  • N値が高い=必ず支持層:土質、層厚、連続性、荷重、沈下まで確認します。
  • ディープウェル=どの地盤にも有効:透水性と井戸への集水性を確認します。
  • 剛性の高い山留め=周辺沈下なし:地下水位低下と施工時変形を別に監視します。
  • 仮設=完成後に残らないから簡略化:使用中の荷重と変化に耐える構造・点検が必要です。
  • 作業床が広い=積載荷重を増やせる:表示荷重と足場全体系の条件を守ります。

オリジナル確認問題4問

以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。

問題1:粘性土の乱れの少ない試料から、強度と応力・ひずみ関係を調べる試験はどれですか。

①一軸圧縮試験 ②液性限界試験だけ ③写真撮影だけ ④透水試験だけ

問題2:地下水位低下工法を計画するとき、揚水量と同時に監視すべきものはどれですか。

①周辺沈下・地下水位・山留め変位 ②ポンプの色だけ ③現場事務所の人数だけ ④完成後の内装色

問題3:乗入れ構台の計画で最初に追うべきものはどれですか。

①車両荷重から支柱・支持地盤までの荷重経路 ②塗装色 ③完成建物の家具 ④作業員の通勤時間

問題4:移動式足場の積載判断として適切なのはどれですか。

①床面積だけで自由に増やす ②表示荷重・製造者仕様・組立状態・適用基準を確認する ③資材を載せてから考える ④脚輪を固定せず使う

公式資料と更新方針

本記事は2026年7月31日時点の公表資料に基づきます。令和9年度問題、労働安全衛生規則、公共建築工事標準仕様書の改定時に、工法・数値・点検条件を再確認します。

まとめ

  • 令和8年度の正答はNo.21=③、No.22=①、No.23=②、No.48=①です。
  • 地盤調査はN値だけでなく、強度、変形、透水、地下水、試料の乱れを目的別に調べます。
  • 地下水処理は透水性と周辺沈下を同時に見ます。
  • 山留めは工法名ではなく、地盤・地下水・変形・敷地境界・施工・計測で選びます。
  • 乗入れ構台と足場は、荷重経路、水平安定、積載表示、使用前点検まで確認します。

次は、掘削後に組む「1級建築の鉄筋工事」、コンクリートを受ける「1級建築の型枠工事」、全体の安全管理は「1級建築の品質管理・安全管理」へ進んでください。

最後の自己点検

「調査結果→地下水処理→山留め→構台・足場→計測」の各段階で、何を確認し、異常時にどこへ戻るか説明できれば完成です。

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