1級建築(第一次)

1級建築の建築設備|避雷・排水・防災と5設備の取り合い【2026年】

1級建築の建築設備|避雷・排水・防災と5設備の取り合い【2026年】では、令和8年度の必須3問を入口に、電気・給排水・空調・消防・昇降機を一つの建物として読み解きます。

最初に押さえる結論

  • 令和8年度は、避雷設備・排水設備・防災設備が午前の必須問題No.17〜19に並びました。正答は順に③・①・④です。
  • 設備問題は、機器名を単独で覚えるより、入口→搬送→末端→排出→非常時の連動を追うと誤文を見抜けます。
  • 電気、給排水、空調、消防、昇降機は別工事でも、躯体の開口、電源、排水、防火区画、中央監視でつながっています。
  • 数値は適用条件とセットで確認します。「どの建物でも」「高さに関係なく」のような万能表現は、まず疑ってください。

建築設備は、完成後に隠れる配管や配線が多く、後から直すほど影響範囲が広がる分野です。だから試験でも、名称の暗記だけでなく「その設備は何を守り、どの条件で成立するか」が問われます。

この記事は、建設業振興基金が公表した令和8年度の問題と正答肢、国土交通省の令和7年版公共建築工事標準仕様書(電気設備・機械設備)を照合して構成しました。実工事では設計図書、特記仕様書、所轄行政・消防・水道事業者との協議を優先してください。

更新・確認日:2026年7月31日。公式問題の文章は転載せず、出題位置と判断の根拠を要約しています。

令和8年度は設備3問が全問必須

午前No.16〜20は5問すべてに答える区分です。そのうち設備はNo.17の避雷、No.18の排水、No.19の防災でした。3問とも四肢択一で各1点です。

問題 確認する判断 正答
No.17 雷保護の配置と適用条件
No.18 排水槽・掃除口・封水・通気
No.19 消火設備の作動原理

旧記事の「毎年2〜3問」「昇降機は1級で新たに追加」のような固定化はやめます。令和8年度の設備3問は事実ですが、翌年度の問題数や主題を保証するものではありません。

五つの設備を同じ地図で読む

設備名が変わっても、確認の順序は共通です。まずエネルギーや水の入口を見ます。次に配線・配管・ダクト・ロープなどの搬送経路、照明・衛生器具・吹出口・消火栓・かごなどの末端を追います。最後に排出、監視、停電・火災・地震時の動作を確認します。

平常時
容量、圧力、温度、流量、電圧、動線
境界部
貫通、支持、防火区画、防水、騒音・振動
非常時
遮断、警報、非常電源、排煙、管制運転

例えば排水ポンプは機械設備ですが、電源は電気工事、槽は建築工事、警報は中央監視とつながります。ポンプ単体が動いても、満水警報が届かない、点検口が開かない、搬出経路がないなら設備全体は完成していません。

電気設備は「切る・変える・守る」を分ける

受変電設備では、断路器、遮断器、変圧器を名前だけで横並びにしません。断路器は点検などのため回路を電源から切り離し、遮断器は負荷電流や事故電流を開閉・遮断し、変圧器は電圧を変えます。接地は漏電や雷電流を安全側へ逃がす経路ですが、用途、電路電圧、保護装置の条件で扱いが変わります。

旧記事の「ビルは必ず6,600V受電」「A・C種は必ず10Ω、D種は必ず100Ω」といった短い暗記は、例外条件や保護装置との関係を落とします。試験では、機器の役割と適用条件を先に特定し、数値はその後で照合してください。

No.17避雷設備は「無条件」の一語を見抜く

令和8年度No.17の正答は③です。誤りの中心は、危険物を貯蔵する倉庫なら、貯蔵量や建物高さに関係なく必ず避雷設備を設ける、と無条件にした点です。適用は関係法令、危険物の種類・数量、建築物の条件を確認して判断します。

一方、雷保護は受雷部だけで終わりません。受雷部で雷を受け、引下げ導線で流し、接地極から大地へ逃がす連続した経路です。国土交通省の令和7年版仕様書はJIS Z 9290-3と関係法令への適合、異種金属接触腐食の防止、接続の確実性も求めています。

  1. 保護する範囲と保護レベルを確認する。
  2. 受雷部から接地極まで、途中で切れない電流経路を追う。
  3. 構造体を利用する場合は、鉄骨・鉄筋の接続と導通を施工途中で確認する。
  4. 屋上防水の貫通、設備機器との離隔、等電位ボンディングも確認する。

給水は建物の階数だけで方式を決めない

直結直圧、直結増圧、受水槽+ポンプ直送、受水槽+高置水槽には、それぞれ長所があります。ただし「3階まで」「10階まで」のような全国一律の階数で決めるものではありません。水道事業者の供給条件、配水管圧力、必要水量、災害時の貯留、衛生管理、停電対策、建物用途を合わせて選びます。

現場で見る順序は、水道引込み→メーター→逆流防止→受水槽または増圧装置→立て管→末端器具です。水質だけを優先して受水槽をなくしても、必要圧力と水量を確保できなければ成立しません。

No.18排水設備は流れと空気をセットで考える

令和8年度No.18の正答は①です。排水槽底を吸込みピットへ向けて1/100以上1/50以下とした記述が誤りでした。排水槽は固形物や汚泥が底に残りにくいよう、吸込みピットへ明確な勾配を付けます。数値を覚えるときは、横走り排水管の勾配と排水槽底の勾配を混ぜないことが重要です。

同問では、管径100mmの排水横管の掃除口間隔15m以内、阻集器を兼ねないトラップの封水深50〜100mm、開口部付近の通気管末端を開口部上端より600mm以上立ち上げる条件も確認されました。

封水と通気は一組

トラップの水だけで臭気を止めても、排水時の負圧や正圧で封水が破られれば機能しません。通気管は管内圧力を整え、封水を守り、排水を流れやすくします。

空調は方式名より負荷・搬送・制御を見る

全空気、ファンコイルユニット、パッケージ、ビル用マルチなどは、建物規模だけで優劣を決めません。室ごとの使用時間、外気負荷、温湿度条件、個別制御、熱源・室外機置場、ダクト・配管スペース、更新性を比較します。

ヒートポンプは冷媒を圧縮・凝縮・膨張・蒸発させて熱を移します。ただしCOPを一律の固定値にせず、定格条件、部分負荷、外気温、霜取り、補機電力まで条件を見ます。施工管理では、風量・水量調整、フィルター、ドレン勾配、結露防止、騒音・振動、制御設定を試運転でつなげます。

No.19防災設備は作動のきっかけを区別する

令和8年度No.19の正答は④です。閉鎖型ヘッドを用いる湿式スプリンクラーは、ヘッド周囲が所定温度に達して感熱部が作動し、開いたヘッドから散水します。「煙を感知したヘッドが開く」という説明は、自動火災報知設備の煙感知器と混同しています。

屋内消火栓は人がノズルを操作して放水し、連結散水設備は消防隊が送水口から送った水を地下階などの散水ヘッドへ届けます。名前の近さではなく、誰が・何を検知し・どこから水または消火剤を送り・どこで放出するかを追ってください。

消防設備は単体試験から総合連動へ進む

火災時は、感知器、受信機、非常放送、防火戸・防火ダンパー、排煙、空調停止、エレベーター管制、非常電源が連動します。国土交通省の機械設備仕様書も、空調、消火、昇降機などを関連機器と連動させ、設計図書が意図した機能を満たすか総合試運転で確認する考え方を示しています。

試験対策でも「スプリンクラーヘッドの名称」を覚えて終わらず、火災信号が入った後に何が止まり、何が動き、どこへ表示されるかを矢印で書くと理解が残ります。

昇降機は構造・電気・防災との境界を見る

令和7年版の公共建築工事標準仕様書は、ロープ式エレベーターを機械室あり・なしに分け、地震時管制、火災時管制、停電時救出、ピット冠水時などの機能を扱っています。旧記事の「油圧式は5〜6階まで」「ロープ式は高さ制限なし」といった一律比較は、個別製品・計画条件を無視するため使いません。

施工中は昇降路寸法、ピット、頂部、レール支持、乗場開口、電源、接地、監視、耐震固定を確認します。建築側が開口を数十mm誤るだけでも、扉やレール、仕上げの調整へ連鎖します。

現場例:テナントビルの天井内を重ねて見る

オフィス階の天井伏図には、照明、感知器、スプリンクラーヘッド、空調吹出口、排煙口、点検口が集まります。各担当が自分の機器だけを最短で配置すると、ヘッドと照明が干渉し、ダクトで感知器が隠れ、点検口から弁へ手が届かないことがあります。

施工管理者は、意匠天井割り、設備総合図、梁・スラブ開口、吊り材、点検動線を同じ座標で確認します。天井を閉じる前に、隠蔽検査、写真、系統表示、耐火処理、試験記録を残します。これが「設備を取り合いで見る」という意味です。

間違えやすい五つの短絡

  • 高い建物=必ず同じ設備:用途、面積、階、収容人員、地域条件など適用要件を確認します。
  • 煙=スプリンクラー作動:煙感知器と閉鎖型ヘッドの感熱部を分けます。
  • トラップだけで封水を守れる:通気、蒸発、サイホン、毛管現象まで見ます。
  • 機器が動けば完成:警報、インターロック、非常電源、中央監視を含む総合試験が必要です。
  • 設備は設備業者だけの仕事:開口、防火区画、防水、構造支持、仕上げ、搬出入経路は建築工事と接続します。

過去問は「主語・条件・動作」の3列で直す

誤答ノートは長い解説を書かず、主語、条件、正しい動作の3点を1行にします。例えば「湿式スプリンクラー/閉鎖型ヘッド/熱で開放」の形です。数値問題は単位だけでなく、排水横管、排水槽底、通気管末端のように対象物まで書きます。

令和8年度の3問を直した後は「1級建築 第一次検定の攻略法」で選択区分全体へ戻り、建築側の基礎・地盤は「1級建築の各種構造②」へつなげてください。

オリジナル確認問題4問

以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。

問題1:閉鎖型ヘッドを用いる湿式スプリンクラーの説明として適切なのはどれですか。

①煙をヘッドが検知して必ず全館一斉放水 ②所定温度で感熱部が作動し開いたヘッドから散水 ③人がノズルを持って放水 ④消防車だけが水源

問題2:排水トラップと通気の関係として適切なのはどれですか。

①通気は封水保護と無関係 ②封水は臭気等を遮断し、通気は管内圧力変動を抑えて封水を守る ③二重トラップにすれば必ず流れがよい ④通気末端は室内へ開放する

問題3:避雷設備を確認する順序として最も適切なのはどれですか。

①受雷部だけ見る ②接地極だけ見る ③適用条件を確認し、受雷部から引下げ導線・接地極まで連続性を追う ④建物高さに関係なく全倉庫を同じ仕様にする

問題4:天井内の設備調整で、施工管理者が最初に重ねて確認すべき組合せはどれですか。

①各機器のカタログだけ ②意匠天井割り・設備総合図・構造開口・点検動線 ③空調図だけ ④完成写真だけ

公式資料と更新方針

本記事は2026年7月31日時点の公表資料に基づきます。令和9年度問題、関係法令、JIS、公共建築工事標準仕様書の更新時に、適用条件と数値を再確認します。

まとめ

  • 令和8年度の設備は必須No.17〜19で、正答は③・①・④です。
  • 避雷は適用条件と、受雷部から接地極までの連続した経路を見ます。
  • 排水は槽底、横管、掃除口、封水、通気を同じ数値として覚えません。
  • 湿式スプリンクラーの閉鎖型ヘッドは熱で作動し、煙感知器とは役割が異なります。
  • 空調・昇降機を含む設備は、開口、防火、防水、電源、監視、試運転で建築工事と接続します。

次は、設備を通す前の地盤・仮設を「1級建築の地盤調査・地下水・仮設工事」、躯体内の配筋を「1級建築の鉄筋工事」、コンクリート材料を「1級建築の建築材料①」でつなげてください。

最後の自己点検

避雷・排水・防災の各設備を「適用条件→経路→作動→他設備との連動」の順に、図を見ず説明できれば完成です。

-1級建築(第一次)