1級建築の型枠工事|側圧・支保工・取外し強度【2026年】では、令和8年度No.26を入口に、計画、組立、打込み中の監視、存置期間までを一つの荷重管理として整理します。
最初に押さえる結論
- 令和8年度は午前の選択No.26に型枠が出題され、正答は④でした。
- 型枠はせき板と支保工から構成し、コンクリート自重・側圧だけでなく、作業荷重、振動・衝撃、水平荷重まで受けます。
- 基礎・梁側・柱・壁のせき板は、強度で判断する場合5N/mm²以上が現行仕様の基準です。
- スラブ下の支柱は、85%Fc以上または12N/mm²以上に加え、施工中荷重と外力に対する構造安全の確認が必要です。梁下はFc以上と同じ安全確認が必要です。
- 「材齢○日」だけで外さず、部位、セメント、平均気温、現場養生供試体の強度、施工荷重を一組で判断します。
型枠はコンクリートが固まるまで形をつくり、支える仮設構造物です。組立時に水平でも、打込み速度、偏った投入、振動機、作業員や資材の荷重で変形することがあります。取外しを急げば、たわみ、ひび割れ、欠け、仕上り不良を招きます。
本記事は建設業振興基金の令和8年度問題・正答肢、国土交通省の令和7年版公共建築工事標準仕様書(建築工事編)、現行の労働安全衛生規則を照合しました。実工事では設計図書、型枠施工計画、構造計算書、製造者の仕様、監督職員の承諾を優先してください。
更新・確認日:2026年7月31日。公式問題の文章は転載せず、問われた判断軸を要約しています。
令和8年度No.26は選択区分の1問
午前No.21〜30は10問から7問を選ぶ区分で、No.26は型枠工事の四肢択一、各1点でした。令和8年度No.26の正答は④です。床型枠用の軽量型支保梁について、所定の使い方ではなく中間を支柱で補う扱いが不適当とされました。
軽量型支保梁は、施工計画と製造者が定める支持間隔、掛かり代、許容荷重で使います。「たわみが気になるから中央へ1本足す」という場当たり的な補強は、計画した荷重経路ではありません。必要な場合は、部材の選定と支保工計画そのものを再検討します。
型枠はせき板と支保工で荷重を流す
せき板は、壁・柱・梁・床のコンクリートへ直接触れて形をつくります。根太、大引、端太材、支柱、締付け金物などの支保工は、その荷重を下階や地盤へ伝えます。どれか一部だけ強くしても、接合部や支持点が弱ければ全体は安全になりません。
国土交通省仕様書6.8.1は、作業荷重、コンクリートの自重と側圧、打込み時の振動・衝撃、水平荷重などに耐え、所定の仕上りを得られること、有害な水漏れがなく取外し時にコンクリートを傷めないことを求めています。
荷重は打込み前と打込み中で変わる
| 荷重・作用 | 現場で起きること | 確認点 |
|---|---|---|
| 鉛直荷重 | 生コンクリート、鉄筋、人、機材が載る | 根太・大引・支柱・下階までの荷重経路 |
| 側圧 | 柱・壁のせき板を外へ押す | 締付け材、端太材、打込み速度 |
| 動的・水平作用 | 投入、振動、配管移動、偏りが生じる | 水平つなぎ、変位防止、打込み順序 |
施工荷重を「コンクリートの重さ」だけにすると、資材の仮置きやポンプ配管の反力を見落とします。どこへ、いつ、どれだけ載るかを工程表と平面図に重ねます。
側圧は高さだけで決めない
フレッシュコンクリートの側圧は、打込み高さだけでは決まりません。打込み速度、コンクリートの温度・単位容積質量・流動性、凝結の進み、振動方法などが関係します。一般に、速く連続して打ち込む、温度が低く凝結が遅い、流動性が高いといった条件では、液体に近い状態が長く続くため注意が必要です。
ポンプ車の能力が高くても、型枠計画の打込み速度を超えてよいわけではありません。打込み計画には区画、順序、一層の高さ、締固め、打重ね、監視担当、異常時の中止判断を記します。
たわみ2mmはNo.26の条件と結び付ける
No.26では、鉛直・水平荷重に対する型枠構成材の許容たわみを2mm以下とする扱いが適当な肢でした。ただし、あらゆる部材・仕上げへ無条件に使う万能値として覚えるのではなく、試験で提示された条件として整理します。
実務の許容値は、コンクリートの仕上り区分、部材、設計図書、施工計画、材料仕様で照合します。たわみの計算値だけでなく、目違い、水漏れ、締付け部の変形、打込み後の通りも確認します。
合板は方向と厚さを分けて確認する
合板は繊維方向を直交させた単板の積層材で、長手方向と短手方向の曲げヤング係数は同じとは限りません。No.26でも、方向によって異なる扱いが適当な肢でした。支点間に対してどちら向きに張るかは、構造計算と割付図で決めます。
令和7年版仕様書では、せき板に合板を用いる場合、厚さは特記によります。特記がなければ12mmです。また、型枠は支障のない限り再使用できます。「必ず3〜5回」のような回数基準ではなく、反り、剝がれ、角欠け、吸水、水漏れ、仕上りへの影響を確認します。
支柱は鉛直・上下同位置・沈下防止
支柱は鉛直に立て、上下階では可能な限り平面上の同じ位置にそろえます。ずれると、上階の荷重がスラブの想定外の位置へ伝わります。支柱脚部を地盤へ置く場合は、地盤を十分に締め固め、剛性のある板を敷くなど沈下防止を行います。
型枠を足場や遣方へ連結してはいけません。人の昇降・作業のための足場と、コンクリートを支える型枠では役割と荷重が違います。一方の変形や振動を他方へ伝えないよう、系統を分けます。
高さ3.5m超の鋼管支柱は水平つなぎ
労働安全衛生規則は、鋼管枠以外の鋼管を型枠支保工の支柱に用い、高さが3.5mを超えるとき、高さ2m以内ごとに水平つなぎを二方向へ設け、その変位を防止することを求めています。No.26でもこの条件に沿う肢が適当でした。
数字だけでなく対象をセットにします。「3.5m超」は支柱の高さ、「2m以内ごと」は水平つなぎの高さ方向の間隔、「二方向」は平面上の拘束です。つなぎを置いても、端部固定が弱く変位すれば目的を果たしません。
組立完了時は打込み可能な状態かを見る
- 形状:通り、レベル、寸法、起り、むくり、開口を施工図と照合する。
- 支持:根太・大引・支柱・水平つなぎ・締付け材の位置と固定を確認する。
- 取合い:鉄筋、かぶり、スリーブ、ボックス、埋込み金物を確認する。
- 打込み準備:清掃、水漏れ、はく離剤、作業床、配管動線、監視箇所を確認する。
配管、ボックス、埋込み金物は、構造耐力と耐久性に支障のない位置へ配置し、打込み中に動かないよう堅固に取り付けます。組立状態はコンクリート打込み前に確認し、監督職員へ報告します。
打込み中は変形の兆候で止める
監視担当は、型枠のはらみ、支柱の沈下・傾き、締付け部の緩み、異常音、目地からの著しい漏れ、作業床の偏荷重を見ます。異常を見つけたら、コンクリートを入れ続けながら直すのではなく、打込みを止め、影響範囲を退避させ、責任者の判断で復旧します。
特に柱脚、壁下端、開口周辺、段差、打増し、型枠の切替部は力や漏れが集中しやすい箇所です。巡回順路を先に決め、連絡方法とポンプ停止の合図を作業員全員で共有します。
せき板は5N/mm²または材齢表で判断する
基礎、梁側、柱、壁のせき板の最小存置期間は、セメント種類・存置期間中の平均気温に応じた材齢表、またはコンクリート圧縮強度で判断します。強度による場合は5N/mm²以上です。
この値は側面のせき板を外す判断であり、スラブ下や梁下の支柱を外す基準ではありません。寒冷で強度発現が遅れるおそれがある場合は、日数表ではなく圧縮強度で存置期間を決めます。
スラブ下支柱は強度と構造安全の両方
圧縮強度で判断する場合、スラブ下支柱はFcの85%以上または12N/mm²以上であり、かつ、施工中の荷重と外力に対して構造計算で安全と確認されるまで存置します。「85%または12」の強度条件だけで完了ではありません。
上階の型枠、鉄筋、資材、作業員、打込み予定のコンクリートが下階スラブへ載ります。工程を早めて上階作業が重なるほど、施工時荷重を実際の手順に合わせて確認する必要があります。
梁下支柱はFc以上と構造安全を確認する
梁下支柱を強度で判断する場合は、圧縮強度がFc以上であり、かつ施工中荷重と外力に対する構造安全が確認されるまで存置します。スラブ下の85%Fcまたは12N/mm²と混同しないでください。
片持梁、ひさし、長大スパン梁、大型スラブ、施工荷重が大きく支障のおそれがある箇所では、必要に応じて存置期間を延ばします。一般部で外せる日でも、特殊部を同じ日に一律解体するとは限りません。
取外し順序と盛替えを混同しない
令和7年版仕様書では、スラブ下・梁下のせき板は、支柱を取り外した後に外します。難しい場合は監督職員と協議し、支柱の盛替えは行いません。旧来の「支柱を残したまませんき板だけ先に外し、あとで立て直す」という一律手順へ置き換えないことが重要です。
取外しは、コンクリートの角や表面を傷めず、上からの落下物を生じさせない区画・順序で行います。取り外した材料をスラブへ集中仮置きすると、新たな施工荷重になるため、搬出計画まで含めます。
現場例:上階打設前に下階支保工を確認する
下階スラブの強度が進み、見た目に硬化していても、その上で次階の型枠を組み、鉄筋を置き、コンクリートを打てば大きな施工荷重がかかります。施工管理者は「下階が何日目か」だけでなく、強度試験結果、支柱配置、上下階の位置、資材置場、次回打設量を確認します。
支柱を外せる強度と、上階施工時に下階が安全であることは、関連しますが同じ確認ではありません。工程会議では、型枠解体日だけでなく、次工程の荷重がいつ載るかまで時系列に置きます。
よくある誤りを現行仕様へ直す
- 型枠はコンクリート自重だけを見る:作業荷重、側圧、振動・衝撃、水平荷重も含めます。
- 合板は必ず3〜5回転用:固定回数ではなく、支障の有無と仕上りへの影響を確認します。
- 側面を外せる強度なら支柱も外せる:5N/mm²は基礎・梁側・柱・壁のせき板の条件です。
- スラブは85%Fcだけでよい:12N/mm²との選択条件に加え、施工中の構造安全確認が必要です。
- 支柱はあとで足せばよい:支持条件を含めた施工計画と構造計算に基づいて組みます。
オリジナル確認問題4問
以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。
問題1:基礎・梁側・柱・壁のせき板を圧縮強度で判断する場合の基準はどれですか。
①2N/mm²以上 ②5N/mm²以上 ③12N/mm²以上 ④必ずFc以上
問題2:スラブ下支柱を強度で判断するとき、強度条件と併せて必要なのはどれですか。
①外気温だけ ②転用回数だけ ③施工中荷重・外力に対する構造安全確認 ④作業員の経験年数だけ
問題3:高さ4mの鋼管支柱について適切な措置はどれですか。
①水平つなぎは不要 ②高さ2m以内ごとに二方向の水平つなぎを設け変位を防ぐ ③足場へ連結する ④地盤へ直接置く
問題4:型枠組立後の打込み前確認として不十分なのはどれですか。
①通り・レベルを確認 ②支柱と締付けを確認 ③スリーブの固定を確認 ④完成寸法だけ見て荷重経路は確認しない
公式資料と更新方針
- 建設業振興基金「令和8年度 1級建築 第一次検定問題(午前)」:選択No.26の条件と選択肢を確認
- 令和8年度 第一次検定正答肢・配点:No.26の正答④と各1点を確認
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」:6章8節の材料、組立、存置期間、取外しを確認
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」:現行版と修正情報の入口
- 国土交通省「官庁営繕の技術基準」:公共建築工事標準仕様書の更新状況を確認
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」:型枠支保工の支柱・水平つなぎの現行条文を確認
本記事は2026年7月31日時点の公表資料に基づきます。令和9年度問題、関係法令、公共建築工事標準仕様書の改定時に再確認します。
まとめ
- 令和8年度No.26の正答は④で、軽量型支保梁は所定の支持条件で使います。
- 型枠は、せき板から支保工、下階・地盤までの荷重経路で管理します。
- 側面せき板は5N/mm²、スラブ下支柱は85%Fc以上または12N/mm²以上+構造安全、梁下支柱はFc以上+構造安全です。
- 高さ3.5m超の鋼管支柱は、高さ2m以内ごとに二方向の水平つなぎと変位防止が必要です。
- 取外しは材齢だけで決めず、部位・強度・施工荷重・特殊部を照合します。
配筋との取合いは「1級建築の鉄筋工事」、コンクリートの受入れは「1級建築の建築材料①」、地盤上の仮設は「1級建築の地盤調査・地下水・仮設工事」で復習できます。全体の選択順は「1級建築 第一次検定の出題構成と攻略法」を参照してください。
最後の自己点検
「5」「85%Fcまたは12」「Fc」を、側面せき板・スラブ下支柱・梁下支柱へ正しく割り当て、各支柱に構造安全確認が必要と説明できれば、存置期間の核心は整理できています。