1級建築の建築材料②|鉄骨・塗膜防水・シーリング・ガラス【2026年】では、令和8年度No.28・31を軸に、材料名を「用途・下地・加工・納まり」へつなげて判断します。
先に結論
- No.28の正答は①です。厚さ16mmの鋼板を、せん断で切断するとした点が不適当です。
- No.31の正答も①です。X−1絶縁工法の通気緩衝シートに「重ね幅50mm」を一律適用しません。
- 塗膜防水の数値は、塗継ぎ100mm以上、補強布50mm以上を対象物とセットで区別します。
- シーリング材は名称だけでなく被着体と仕上げで選び、二面接着が基本でも三面接着を採れる例外があります。
- ガラスは「強さ・破片・耐貫通・断熱・防火」を別々に確認します。
旧記事にあった出題回数、工法の普及順位、接着面、鋼材性能に関する広い断定は使いません。令和8年度公式問題と国土交通省の令和7年版公共建築工事標準仕様書を同じ順序で読み直します。
令和8年度はNo.28とNo.31を材料から読む
No.28は午前No.21〜30の10問から7問を選ぶ区分、No.31はNo.31〜40の10問から8問を選ぶ区分です。いずれも四肢択一、令和8年度は各1点で、指定数を超えて解答すると減点になります。
| 問題 | 中心テーマ | 正答 |
|---|---|---|
| No.28 | 鋼板の切断・鉄骨加工 | ① |
| No.31 | 塗膜防水の工法・重ね幅 | ① |
公式問題の全文や図は転載しません。公式PDFを開き、この記事では「なぜ不適当か」「似た数値をどう分けるか」に集中します。
No.28は16mmと13mm以下を見分ける
令和8年度No.28では「厚さ16mmの鋼材をせん断で切断した」という趣旨の選択肢が不適当です。国土交通省の令和7年版標準仕様書7.3.5は、厚さ13mm以下の鋼板なら、条件付きでせん断による切断ができるとしています。16mmはこの範囲外です。
さらに、13mm以下でも、主要部材の自由端や溶接接合部にはせん断へりを使いません。単に「薄ければせん断」と覚えるのではなく、次の二段階で判定します。
- 板厚は13mm以下か。
- 主要部材の自由端または溶接接合部ではないか。
ガス切断の場合は自動ガス切断が原則で、切断面に有害な凹凸、まくれ、切欠き、スラグの付着がないことも確認します。切断方法と切断面の品質は一組です。
鋼材は記号を用途へ勝手に翻訳しない
令和7年版標準仕様書の鋼材表には、SS400などの一般構造用圧延鋼材、SM400・SM490系列の溶接構造用圧延鋼材、SN400A・B・CおよびSN490B・Cの建築構造用圧延鋼材などが並びます。
| 図書で見る項目 | 現品・証明書で照合 | 避けたい省略 |
|---|---|---|
| 規格・鋼種 | JIS番号、種類記号 | 400なら全部同じ |
| 形状・寸法 | 部材符号、断面、板厚 | 見た目だけで判定 |
| 製造情報 | 識別、ミルシート、検査 | 記号の語呂だけで承認 |
A・B・Cを「Aはボルト、Bは溶接、Cは高層用」のように一語で固定すると、設計図書が求める性能を落とします。鋼種、板厚、使用部位、接合方法を構造図・工作図・材料証明書でつなげて確認してください。
加工は材質を損なわず、溶接条件へつなぐ
同じNo.28には、加熱曲げ、ダイアフラムの空気孔、組立溶接のビード長さも並びました。令和7年版標準仕様書は、曲げ加工を鋼材の所定の機械的性質を損なわない方法で行うとし、組立溶接の最小ビード長さは、板厚と本溶接方法で分けています。
例えば、本溶接をガスシールドアーク溶接などで行う箇所では、板厚6mm以下なら30mm、6mmを超えるなら40mmが最小ビード長さです。No.28の板厚12mm・40mmという組合せはこの表と一致します。
ただし数値だけ合っても、組立溶接の位置、技能資格、清掃、予熱、溶接変形への配慮が不要になるわけではありません。材料→加工→組立→本溶接→検査の順で読みます。
防水材は「最強」ではなく納まりで選ぶ
アスファルト防水、改質アスファルトシート防水、合成高分子系ルーフィングシート防水、塗膜防水には、それぞれ異なる工法と適用部位があります。名称だけで順位を付けず、下地、露出・保護、断熱、歩行、立上り、設備基礎、改修性を確認します。
| 工法群 | 連続性の作り方 | 重点確認 |
|---|---|---|
| アスファルト系 | ルーフィング類を積層・接合 | 重ね、端部、立上り |
| シート系 | シート継目を接着・溶着 | 下地、継目、固定 |
| 塗膜系 | 液状材を所定量・複数工程で塗る | 膜厚、補強、可使時間 |
漏水は平場の中央だけでなく、ドレン、立上り、配管、出隅・入隅、打継ぎ、末端部で起こりやすくなります。材料の長所より先に、弱点になりやすい取合いを図面で拾います。
No.31はX−1・X−2・Y−2を分ける
令和8年度No.31は塗膜防水の不適当な施工を選ぶ問題で、正答は①です。X−1はウレタンゴム系塗膜防水の絶縁工法で、通気緩衝シートを用います。現行の公共建築標準仕様書は、接着剤以外の張付け方法を主材料製造所の仕様によるとしており、「重ね幅50mm」を一律規則にしません。
X−2は密着工法です。コンクリートの打継ぎなど防水上不具合のある下地は、協議のうえ処理し、幅100mm以上の補強布を使って補強塗りを行います。X−1で通気緩衝シートの下になる部分は製造所仕様を確認します。
Y−2はゴムアスファルト系の屋内防水です。防水材の塗継ぎと補強布の重ねは別物なので、次の数値を入れ替えないでください。
100mmと50mmは対象物で覚える
防水材の塗継ぎ:重ね幅100mm以上
補強布の重ね:重ね幅50mm以上
不具合のある打継ぎ部:幅100mm以上の補強布で補強塗り
「100か50か」だけを暗記すると、何の寸法かが消えます。問題用紙では、数値より先に「塗継ぎ」「補強布」「下地補強」へ線を引きます。No.31の②・③・④は、この区別と合います。
塗膜防水は材料使用量と工程を残す
ウレタンゴム系の塗膜は、完成後に見ただけでは各工程の使用量や下地処理を追いにくい材料です。施工前に下地の乾燥・清掃、プライマー、補強箇所、材料の可使時間、工程ごとの使用量、塗重ね可能時間、天候を確認します。
- 下地:ひび割れ、打継ぎ、勾配、含水、脆弱部を確認。
- 取合い:ドレン、配管、立上り、出隅・入隅を先行確認。
- 材料:製品名、ロット、有効期間、混合比、使用量を記録。
- 工程:プライマー、通気緩衝シートまたは補強布、防水材、仕上塗料を区分。
- 完成:膜厚だけに頼らず、使用缶数・面積・工程写真も照合。
「液状だから複雑な形に塗れる」は利点ですが、薄塗り、ピンホール、塗残し、未硬化を見逃してよい理由にはなりません。
シーリング材は被着体と仕上げで選ぶ
令和7年版標準仕様書は、特記がなければ被着体の組合せでシーリング材を選びます。例えば、金属とガラス、ガラス同士はSR−1シリコーン系、金属同士や金属と押出成形セメント板はMS−2変成シリコーン系など、組合せごとに表が分かれています。
同じALCでも、表面に仕上げがあるかで候補が変わります。したがって「シリコーン系はガラス、ポリウレタン系はコンクリート」と一対一で覚えるのではなく、被着体A×被着体B×表面仕上げ×特記で照合します。
異種シーリング材が接する、既存材へ打ち継ぐ、塗装が重なる場合は、変色、可塑剤移行、接着性も確認します。外部シーリングは施工前の接着性試験も計画に含めます。
二面接着が基本でも三面接着の例外がある
目地底にボンドブレーカーを用い、両側の二面へ接着させると、目地の動きに追従しやすくなります。目地が深い場合は、シーリング材と接着しないバックアップ材で所定深さを作ります。
ただし、令和7年版標準仕様書は、動きの小さい打継ぎ目地、ひび割れ誘発目地、建具枠回りなどでは三面接着とすることができるとしています。旧記事の「ワーキングは二面、ノンワーキングは三面」という短い語呂だけで、すべての納まりを決めないでください。
施工時は被着面の乾燥・清掃、プライマーの塗残し、製造所指定時間、充填の空洞、へら押え、養生を順に確認します。
ガラスは五つの機能を分ける
国土交通省の令和7年版標準仕様書では、フロート、網入・線入、合わせ、強化、複層、熱線反射、倍強度などを別々のJISに基づく材料として扱います。名前が似ていても、役割は同じではありません。
| 種類 | 中心機能 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 強化ガラス | 熱処理・破損時に細粒状 | 中間膜はない |
| 合わせガラス | 中間膜・飛散と貫通の抑制 | 複層の中空層とは別 |
| 複層ガラス | 中空層・断熱等の性能 | 安全ガラスとは限らない |
| 網入り板ガラス | 網を入れた別規格の材料 | 強化ガラスとは別 |
国土交通省の安全設計指針は、人体衝突に対する安全ガラスとして合わせガラスと強化ガラスを示し、合わせは破片保持と耐貫通、強化は細粒状の破片という違いを説明しています。「割れにくい」と「割れた後に貫通しにくい」は別の性能です。
ガラスは端部・水抜き・支持まで確認する
ガラスの性能が正しくても、溝寸法、掛り代、セッティングブロック、ガスケット・シーリング、排水が不適切なら長く機能しません。令和7年版標準仕様書では、外部に面する網入り・線入り、合わせ、複層ガラスを受ける下端ガラス溝に、径6mm以上の水抜き孔を2か所以上設ける条件があります。
網入り・線入り板ガラスは、外部に面する下辺小口などへ防錆処置も行います。ガラスの種類を当てた後、端部と枠の納まりまで確認するのが施工管理の読み方です。
現場例:屋上とエントランスを同じ順で見る
屋上改修では、既存下地の水分、ひび割れ、ドレン高さ、設備架台、立上り、歩行範囲を調べてから工法を選びます。X−1を採るなら、通気緩衝シート、脱気装置、立上りのX−2、材料使用量、工程記録を施工要領書へ落とします。
エントランスの大きなガラスでは、風圧だけでなく人体衝突、破損後の飛散・貫通、支持方法、周囲のシーリングを確認します。合わせか強化かは名称の人気で決めず、設計が求める安全性能と納まりで選びます。
どちらも共通するのは、材料カタログだけで完結せず、設計図書→適用規格→施工要領→現品→完成記録の順に照合することです。
オリジナル確認問題4問
以下は公式問題を転載せず、本記事用に作成したオリジナル問題です。
問題1:公共建築の鉄骨加工で、厚さ16mmの鋼板の切断を「せん断でよい」と一律判断できない主な理由はどれですか。
①せん断切断を認める厚さ13mm以下の範囲外 ②鋼板はすべて木材用工具で切る ③板厚は切断と無関係 ④16mmは13mmより薄い
問題2:塗膜防水で「防水材の塗継ぎ」と「補強布の重ね」の組合せとして正しいものはどれですか。
①50mm以上・100mm以上 ②100mm以上・50mm以上 ③両方10mm ④重ねは不要
問題3:シーリングの接着面に関する説明として適切なのはどれですか。
①すべて三面接着 ②すべて二面接着 ③二面接着を基本とし、動きの小さい目地などは三面接着も可能 ④接着面は確認しない
問題4:破損時の破片保持と耐貫通を中心に選ぶガラスはどれですか。
①合わせガラス ②複層ガラスならすべて同じ ③網入り板ガラスなら必ず強化 ④フロート板ガラスだけ
公式資料と更新方針
- 建設業振興基金「令和8年度 1級建築 第一次検定問題(午前)」:No.28・31と選択区分を確認
- 令和8年度 第一次検定正答肢・配点:No.28・31の正答①と全問1点を確認
- 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」:鉄骨、防水、シーリング、ガラスの現行条件を確認
- 国土交通省「官庁営繕の技術基準」:現行版の入口
- 国土交通省「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」:合わせ・強化ガラスの安全機能を確認
- AGC「建築ガラス」:現行製品における合わせ・複層・強化の機能区分を確認
本記事は2026年7月31日時点の公式問題と資料に基づきます。令和9年度問題、JIS、公共建築工事標準仕様書、製品仕様が更新されたときに、数値・材料記号・工法を再確認します。
まとめ
- 令和8年度No.28・31の正答はともに①です。
- 厚さ16mmの鋼板は、13mm以下に認められるせん断切断の範囲外です。
- 塗膜防水はX−1・X−2・Y−2を分け、塗継ぎ100mm以上、補強布50mm以上を対象物ごと覚えます。
- シーリングは被着体と仕上げで選び、二面接着と三面接着の適用を納まりで確認します。
- 強化、合わせ、複層、網入りは、強さ・破片・耐貫通・断熱・防火の役割を混ぜません。
- 材料証明、下地、取合い、工程、完成記録まで追うと、暗記が施工管理の判断になります。
コンクリート調合は「1級建築の建築材料①」、鋼材が部材・接合になる流れは「1級建築の各種構造①」、力の流れは「1級建築の構造力学」、全体の問題選択は「1級建築 第一次検定の攻略法」へ進んでください。
最後の自己点検
「16mmと13mm以下」「塗継ぎ100と補強布50」「二面接着と例外」「合わせと強化」を、理由付きで1分以内に説明してください。数値と対象を結べれば完成です。