2級土木(第一次)

【2級土木施工管理技士】専門土木①(鋼構造物・コンクリート構造物)をわかりやすく解説

専門土木①(鋼構造物・コンクリート構造物)の要点(30秒でわかる)

  • 選択分野:専門土木は選択問題→得意なら選ぶ、苦手なら回避可能
  • 鋼構造物:高力ボルト接合・溶接・架設工法が出題ポイント
  • コンクリート構造物:PC(プレストレスト)・RC構造の違い
  • 橋梁工事:架設工法(クレーン・トラベラー・送出し)の特徴

結論から言います。専門土木の「鋼構造物・コンクリート構造物」は、コンクリート工基礎工で学んだ知識の延長で得点できるお得な分野です。選択問題で迷ったらまずこの分野を選びましょう。

この分野の出題傾向と選択アドバイス

出題データ

  • 専門土木は全20問中6問を選択して解答(選択問題の戦略
  • 鋼構造物・コンクリート構造物からは毎年2〜3問出題
  • 溶接・高力ボルト・PC構造の3テーマが特に頻出

2級土木の第一次検定は61問中40問を選んで解答する選択制です(出題傾向と攻略法)。専門土木は20問出題されますが、そのうち6問だけ選べばOK。つまり、この分野だけで6問中2〜3問取れる可能性があるのです。

この分野を選ぶべき受験者

鋼構造物の施工

鋼構造物とは、鋼材(鉄骨)で造る構造物のこと。橋梁(鋼橋)・水門・鉄塔・タンクなどが該当します。建築では「鉄骨工事」と呼びますが、土木では橋梁(鋼橋)が出題の中心です。

溶接の種類と注意点

鋼構造物の接合方法は溶接高力ボルトの2種類。まずは溶接から見ていきましょう。

溶接方法 特徴
被覆アーク溶接 最も基本的。手動で行う。屋外作業向け
半自動溶接(CO₂溶接) 溶接ワイヤを自動送給。能率が高い
サブマージアーク溶接 フラックス(粉末)の中でアーク。工場向け。品質安定

イメージで覚えましょう。被覆アーク溶接は線香花火のように手で1本ずつ。半自動溶接はホースで水を撒くようにワイヤが自動で出てくるから効率的。サブマージアーク溶接は粉の中に「潜って(submerge)」溶接するので目に見えない → だから品質が安定するのです。

溶接の品質管理ポイント(頻出!)

  • 予熱:厚板や低温時は溶接前に母材を加熱して割れを防止。なぜ? → 急激な温度変化で鋼材が硬くなり、ひび割れ(低温割れ)を起こすため
  • 溶接欠陥:ブローホール(気泡が残る)、アンダーカット(母材が削れて溝ができる)、溶込み不良に注意
  • 検査方法:外観検査(目視)→ 超音波探傷試験(UT)→ 放射線透過試験(RT)の順で精密に

現場の話をすると、溶接欠陥が見つかるとその部分をグラインダーで削り取ってやり直しになります。大型の鋼橋では溶接箇所が何千もあるので、最初から正しい施工条件(予熱温度・電流値・溶接速度)を守ることがとにかく大事。品質管理の基本は品質管理の記事もあわせてチェックしてください。

なぜ? 溶接の予熱が安全に直結する理由

予熱を怠ると低温割れが発生し、鋼材内部に見えないひび割れが進行します。橋梁の主桁にこの割れがあると、車両荷重の繰り返しで疲労破壊に発展し、最悪の場合は橋の崩落につながります。阪神・淡路大震災では溶接部の破断が被害を拡大させた事例があり、溶接品質は構造安全の生命線なのです。

高力ボルト接合

高力ボルトは溶接と並ぶもう一つの接合方法。ボルトを強く締め付けて部材同士を摩擦力で接合します。

日常生活で例えると、本を2冊重ねて万力でギュッと挟むと、引っ張っても滑りません。これが摩擦接合の原理です。

高力ボルトの施工ポイント

  • 接合面はさびや油を除去し、すべり係数0.4以上を確保
  • 締付けはナットを回す(ボルト頭は固定)
  • 締付け完了後はマーキングで管理(ナットとボルトに線を引いて共回りがないか確認)
  • 締付け方法はトルクコントロール法ナット回転法の2種類

試験では「溶接と高力ボルトの使い分け」がよく問われます。

比較項目 溶接 高力ボルト
主な場所 工場(品質安定) 現場(施工が簡単)
天候の影響 受けやすい 受けにくい
品質管理 難しい(検査必要) 比較的容易

なぜ現場では高力ボルトが主体なのか? → 現場は天候・姿勢・風の影響を受けやすく、溶接品質が安定しにくいからです。一方、工場は環境が管理されているので溶接が有利です。

架設工法(鋼橋の架け方)

工場で製作した鋼桁を現場で組み立てる作業を架設といいます。橋の大きさ・地形・交通規制の条件によって工法を選びます。

工法 特徴・使い分け
ベント工法 仮の柱(ベント)で桁を支えながら架設。最も一般的で安価。地上に作業スペースが必要
送り出し工法 片側から桁をスライドして送り出す。鉄道や道路の上で下を止められないとき
トラベラクレーン工法 桁の上にクレーンを乗せて順に張り出す。深い谷・河川上でベントが建てられないとき

覚え方のコツ:ベント工法は「下から支える」、送り出し工法は「横からスライド」、トラベラクレーン工法は「上から張り出す」。方向で覚えると忘れにくいです。

建設機械の記事で学んだクレーンの知識は、架設工法でも役立ちます。大型クレーンでの一括架設(クレーン工法)も出題されることがあります。

コンクリート構造物

鉄筋コンクリート(RC)構造

鉄筋コンクリートはコンクリートの圧縮に強い性質と、鉄筋の引張に強い性質を組み合わせた構造です。これはコンクリート工①で学んだ内容の応用です。

かぶりの重要性(頻出ポイント)

かぶりとは、鉄筋の表面からコンクリートの表面までの距離のこと。

かぶりは鉄筋にとっての「防弾チョッキ」。薄いと中の鉄筋がさびて膨張し、コンクリートがバリバリ剥がれます(鉄筋腐食による劣化)。土木構造物は屋外環境が厳しいため、建築よりも大きなかぶりを取るのが一般的です。

なぜ? かぶりが不足すると危険な理由

土木構造物は海水・凍結防止剤・酸性雨など厳しい環境に何十年もさらされます。かぶりが薄いと塩化物イオンが鉄筋に到達し、鉄筋が錆びて体積が膨張 → コンクリートが内側から破壊される「爆裂」が起こります。橋脚や擁壁でこの劣化が進むと、構造物全体の耐力が大幅に低下し、補修・建替えに莫大なコストがかかります。

コンクリート工②で学んだ養生やひび割れ対策は、RC構造物でもそのまま活きる知識です。特に打継ぎ目の処理は試験でも現場でも重要なポイントになります。

プレストレストコンクリート(PC)構造

PC構造は、コンクリートにあらかじめ圧縮力(プレストレス)を加えておく構造です。

輪ゴムをイメージしてください。ゴムを引っ張った状態でコンクリートの中に入れると、ゴムが元に戻ろうとする力でコンクリートに圧縮力がかかります。PC鋼材(PC鋼線やPC鋼棒)をコンクリートの中に通して引っ張ることで、同じ原理で圧縮力を与えます。

なぜわざわざ圧縮力をかけるのか? → コンクリートは引張に弱いのが最大の弱点。あらかじめ圧縮力をかけておけば、荷重がかかって引張力が生じても「圧縮の貯金」があるので割れにくいのです。

方式 手順・使い分け
プレテンション方式 先にPC鋼材を引っ張る → コンクリート打設 → 硬化後に鋼材を切る。工場製品向け(PCまくらぎ・PC板等)
ポストテンション方式 コンクリート打設 → 硬化した後にPC鋼材を引っ張る → グラウト注入。現場施工向け(PC橋等)

覚え方:「プレ(pre=前に)」「ポスト(post=後に)」。英語の意味そのままです。試験では「どちらが工場向きか」「グラウト注入はどちらで行うか」が問われます。

よくある間違い

  • プレテンションとポストテンションの手順を逆に覚えてしまう → 「プレ=先」で確実に区別
  • グラウト注入はポストテンション方式のみ。プレテンション方式では不要
  • PC構造とRC構造の混同 → PC構造はRC構造にプレストレスを「追加した」上位互換と考える

【図解】ポストテンション方式の施工フロー

ポストテンション方式の手順
Step 1:シース管を配置
PC鋼材を通すための管(シース)を型枠内に設置
Step 2:コンクリート打設・養生
シース管を埋め込んだ状態でコンクリートを打設
Step 3:PC鋼材を挿入・緊張
硬化後にシース内にPC鋼材を通し、ジャッキで引っ張る
Step 4:定着・グラウト注入
鋼材を定着具で固定し、シース内にセメントミルクを充填して防錆

試験では「グラウト注入の目的」がよく問われます。答えはPC鋼材の防錆と、コンクリートとの一体化。グラウトが不十分だと鋼材が錆びてプレストレスが失われ、構造物の強度が低下します。

【図解】鋼橋ができるまでの施工フロー

鋼橋の施工手順
Step 1:工場製作
鋼材の切断・溶接・塗装を工場で実施
Step 2:仮組立
工場で精度を確認してから解体・輸送
Step 3:現場架設
ベント工法・送り出し工法・クレーン工法など
Step 4:現場接合
高力ボルトで部材同士を接合(現場では溶接より主流)
Step 5:検査・塗装
超音波探傷試験(UT)等で品質確認 → 現場塗装で防食

このフローの中で、試験に出やすいのはStep 1の溶接Step 3の架設工法Step 4の高力ボルトです。全体の流れを頭に入れておくと、個々の知識がつながります。

試験対策のポイント

この分野の攻略3か条

  1. 溶接は「予熱」と「欠陥の種類」を押さえる — 予熱の目的(低温割れ防止)、3大欠陥(ブローホール・アンダーカット・溶込み不良)は必須
  2. 高力ボルトは「すべり係数0.4以上」を即答できるように — 摩擦接合の原理とセットで覚える
  3. PC構造は「プレ=先、ポスト=後」だけで解ける問題が多い — 工場/現場の使い分けも頻出

土工基礎工で安定して得点できる人は、この分野を加えることで専門土木6問を楽に確保できます。逆に苦手な人は、道路・舗装上下水道など他の分野と比較して、得意な方を選びましょう(選択問題の戦略)。

理解度チェック

Q1. 高力ボルト接合で、接合面に求められるすべり係数はいくつ以上ですか?

解答を見る

正解:0.4以上
摩擦接合なので、接合面のさびや油を除去して十分なすべり係数を確保することが重要です。

Q2. プレストレストコンクリートで「先に鋼材を引っ張ってからコンクリートを打設する」方式は何ですか?

解答を見る

正解:プレテンション方式
「プレ(前に)テンション(引っ張る)」で覚えましょう。工場製品(PCまくらぎ等)に使われます。現場施工ではポストテンション方式が一般的です。

Q3. 溶接前に母材を加熱する「予熱」の主な目的は何ですか?

解答を見る

正解:低温割れの防止
厚板や低温環境では、溶接による急激な温度変化で鋼材が硬化し、ひび割れ(低温割れ)が発生します。予熱で温度差を小さくして防ぎます。

Q4. 鋼橋の架設で、仮の柱を地上に建てて桁を支える最も一般的な工法は?

解答を見る

正解:ベント工法
ベント(仮設支柱)を地上に建てて桁を支える最も一般的な工法です。地上に作業スペースが確保できる場合に採用します。鉄道や道路上で地上作業ができない場合は送り出し工法やトラベラクレーン工法を選びます。

まとめ

この記事のポイント

  • 鋼構造物の接合は溶接高力ボルトの2種類 → 工場は溶接、現場は高力ボルトが主体
  • 溶接は予熱(低温割れ防止)と欠陥の種類を押さえる
  • 高力ボルトはすべり係数0.4以上を確保
  • 架設工法はベント(下から支える)・送り出し(横からスライド)・トラベラクレーン(上から張り出す)
  • PC構造はプレテンション(先に引張=工場)とポストテンション(後から引張=現場)

次のステップとして、専門土木の他の分野も学んでおくと選択の幅が広がります。

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