2級土木(第一次)

【2級土木施工管理技士】専門土木④(ダム・トンネル・海岸・港湾)をわかりやすく解説

専門土木④(ダム・トンネル・海岸・港湾)の要点(30秒でわかる)

  • ダム:重力式・アーチ式・ロックフィルの特徴と使い分け
  • トンネル:NATM工法(吹付けコンクリート+ロックボルト)が主流
  • 海岸・港湾:ケーソン・消波ブロック・防波堤の構造
  • 選択判断:経験がなければ無理に選ばず他分野で40問を組み立てる

結論から言います。ダム・トンネル・海岸・港湾は範囲が広くて大変に見えますが、基本知識だけで解ける出題も多い分野です。特にNATMとダムの種類は覚えておけばほぼ確実に得点できます。

なぜこの分野を学ぶのか?

ダム・トンネル・海岸・港湾は、2級土木の専門土木20問のなかで毎年3〜5問出題される分野です。「NATMの施工手順」「ダム3種の違い」「ケーソンの据付順序」はほぼ毎回出題されるので、この3テーマを押さえるだけで安定して1〜2問を確保できます。範囲が広い分、全部覚えようとせず頻出テーマだけ狙い撃ちするのがこの分野の正しい戦い方です。

この分野の出題傾向と選択アドバイス

出題データ

  • 専門土木は全20問中6問を選択して解答(選択問題の戦略
  • ダム・トンネル・海岸・港湾から合計3〜5問出題
  • NATM・ダムの種類・ケーソンが頻出テーマ

2級土木の第一次検定は61問中40問を選ぶ選択制です(出題傾向と攻略法)。この分野は範囲が広い分、得意なテーマだけ拾い読みして1〜2問確保する使い方が効率的です。

この分野を選ぶべき受験者

  • トンネル工事やダム工事の現場経験がある人 → そのまま得点源に
  • コンクリート工を得意にしている人 → ダムのマスコンクリートは延長知識
  • 「あと1〜2問ほしい」ときの予備分野として → NATMとダムだけ覚えておく
  • 道路・舗装河川・砂防を軸にしつつ、補完として使うのがおすすめ

ダムの種類

ダムの種類 構造と適用
重力式コンクリートダム コンクリートの自重で水圧に耐える。最も一般的。広い谷に適する
アーチ式コンクリートダム アーチ構造で水圧を両岸の岩盤に伝える。狭いV字谷に適する
フィルダム 土や岩石で築造。ロックフィルダム・アースダム。基礎地盤の条件が緩やか

覚え方:重力式は「重さで踏ん張る」→ 広い場所が必要。アーチ式は「両手で壁に突っ張る」→ 狭い谷で両岸を使う。フィルダムは「土のお山」→ コンクリートが不要で経済的。

ダムコンクリートの温度対策(頻出)

重力式ダムのコンクリートはマスコンクリート(大量打設)になるため、水和熱によるひび割れ対策が重要です。コンクリート工②で学んだひび割れ対策の応用。

  • 低熱セメントの使用(水和熱を抑える)
  • リフト分割打設(薄い層に分けて打設し、熱を逃がしやすくする)
  • パイプクーリング(コンクリート内部に冷却パイプを通して冷やす)

トンネルの工法

NATM(ナトム)

New Austrian Tunnelling Methodの略。現在の山岳トンネルの標準的な工法です。地山(じやま=掘る対象の地盤)自体の強度を活かしてトンネルを支えるという考え方。

NATMの施工手順
Step 1:掘削
発破(爆薬)や機械で地山を掘る
Step 2:吹付けコンクリート
掘削面にコンクリートを吹き付けて地山を保護
Step 3:ロックボルト打設
地山にボルトを打ち込んで補強(地山をつなぎとめる)
Step 4:鋼製支保工(必要時)
地山が弱い場合はH形鋼のアーチで補強
Step 5:覆工コンクリート
最終的にコンクリートで内壁を仕上げる(二次覆工)

NATMのポイントは「地山を壊さず、地山の力を借りる」こと。吹付けコンクリートとロックボルトで地山をすばやく安定させて、地山自体がトンネルの構造体になるという発想です。

シールド工法

シールドマシンという筒状の掘進機で地中を掘り進む工法。都市部の地下鉄・下水道トンネルに多く使われます。

種類 特徴
泥水式シールド 切羽に泥水を送って地山を安定。軟弱地盤・地下水位が高い場所向け
土圧式シールド 掘削した土砂自体で切羽を安定。粘性土地盤向け

シールド工法の利点は地上への影響が少ないこと。都市部では道路や建物の下を掘るので、地表面を開削せずに施工できるのは大きなメリットです。掘った後はセグメント(コンクリートや鋼製のリング)を組み立ててトンネルの壁にします。

NATMとシールド工法の使い分け(試験で問われるポイント)

比較項目 NATM シールド工法
適用場所 山岳部 都市部(地下鉄等)
地表への影響 あり(発破等) 少ない
覆工方法 吹付け+覆工コンクリート セグメント組立

海岸・港湾工事

海岸保全施設

施設名 役割
護岸・堤防 高潮や波浪から海岸を守る(河川の護岸と考え方は共通)
消波工(消波ブロック) テトラポッド等で波のエネルギーを吸収
離岸堤 海岸から離れた位置に設置。波を弱めて砂浜の侵食を防ぐ
突堤 海岸から海に向かって突き出す構造物。砂の移動(沿岸漂砂)を防ぐ

覚え方:離岸堤は「海岸から離れた」場所にある堤防。突堤は海に「突き出す」構造物。名前がそのまま機能を表しています。

港湾のケーソン

ケーソンとは鉄筋コンクリート製の大きな箱。岸壁や防波堤の本体として使います。

ケーソンの施工手順
Step 1:陸上(ドライドック)で製作
鉄筋コンクリートの箱を造る
Step 2:進水・曳航(えいこう)
水に浮かせて現場まで船で引っ張る
Step 3:沈設
所定の位置で水を入れて沈める
Step 4:中詰め
内部に砂を詰めて安定させる
Step 5:上部工
上部にコンクリートを打設して完成

コンクリートの箱が水に浮くの? → 浮きます。中が空洞だから船と同じ原理です。沈めるときに中に水を入れて沈めます。

試験対策のポイント

この分野の攻略3か条

  1. NATMの3点セットは鉄板 — 吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼製支保工。施工手順も含めて
  2. ダム3種の「谷の形状」で区別 — 広い谷=重力式、狭いV字谷=アーチ式、地盤条件が緩やか=フィルダム
  3. ケーソンの施工順序 — 製作→曳航→沈設→中詰めの流れを押さえる

この分野だけで専門土木6問を確保するのは難しいので、道路・舗装鋼構造物と組み合わせて選択するのがおすすめです(選択問題の戦略)。

安全管理の記事では、トンネル工事の安全対策(酸欠防止・落盤防止等)も扱っています。トンネル工事を選択する場合はあわせて確認しましょう。

理解度チェック

Q1. NATMの3つの支保部材は何ですか?

解答を見る

正解:吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製支保工
この3つで地山の強度を活かしながらトンネルを支えます。NATMは現在の山岳トンネルの標準工法です。

Q2. 狭いV字谷に適するダムの種類は何ですか?

解答を見る

正解:アーチ式コンクリートダム
アーチ構造で水圧を両岸の岩盤に伝えるため、狭くて岩盤が堅固なV字谷に適しています。

Q3. シールド工法で、掘削した土砂自体で切羽を安定させるのは何式ですか?

解答を見る

正解:土圧式シールド
掘削した土砂に圧力を加えて切羽を安定させます。泥水式は泥水を送って安定させる方式です。

Q4. ケーソンの施工で、陸上で製作した後の手順を順番に答えてください。

解答を見る

正解:進水・曳航 → 沈設 → 中詰め → 上部工
陸上で製作したケーソンを水に浮かせ、船で現場まで曳航し、水を入れて沈め、砂で中詰めし、上部にコンクリートを打設します。

Q5. NATMとシールド工法は、それぞれどんな場所のトンネルに使われますか?

解答を見る

正解:NATM=山岳トンネル、シールド工法=都市部のトンネル(地下鉄・下水道等)
NATMは地山の強度を活かす工法なので岩盤がしっかりした山岳部向け。シールド工法は地上を開削せずに施工できるため、建物や道路がある都市部に適しています。

まとめ

この記事のポイント

  • ダムは重力式(広い谷・自重で耐える)・アーチ式(V字谷・岩盤に伝える)・フィルダム(地盤条件緩やか・土で築造)の3種類
  • NATMは吹付けコンクリート・ロックボルト・鋼製支保工の3点セット。地山の力を借りてトンネルを支える
  • シールド工法は都市部向け。泥水式と土圧式の2種類。掘削後はセグメントで壁を構築
  • 海岸は消波ブロック・離岸堤・突堤で波と砂の移動を制御。名前がそのまま機能を示す
  • ケーソンは製作→曳航→沈設→中詰め→上部工の手順。空洞なので水に浮く

この分野は全部覚えようとせず、NATM・ダムの3種類・ケーソンの手順の3テーマを確実に押さえれば1〜2問を安定確保できます。他の専門土木分野(道路・舗装河川・砂防)と組み合わせて、得意な6問を選びましょう。

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