専門土木②(河川・砂防)の要点(30秒でわかる)
- 河川:堤防の構造(表法・裏法・天端)、護岸工の種類
- 砂防:砂防ダム・床固め工・流路工の目的と構造
- 頻出:堤防の施工手順、護岸ブロックの種類が繰り返し出題
- 選択判断:河川・水道系の実務経験があれば選択推奨
結論から言います。河川・砂防は出題パターンが安定しており、得点しやすい分野です。専門土木の選択問題でおすすめの分野の一つ。堤防・護岸の基本と砂防ダムの役割を理解すれば確実に得点できます。
この分野の出題傾向と選択アドバイス
出題データ
- 専門土木は全20問中6問を選択して解答(選択問題の戦略)
- 河川・砂防からは毎年2〜3問出題される安定分野
- 堤防の構造・護岸工・砂防ダム・地すべり対策が頻出テーマ
2級土木の第一次検定は61問中40問を選ぶ選択制です(出題傾向と攻略法)。河川・砂防は暗記が中心で計算問題が少ないのが特徴。理系が苦手な人にも取り組みやすい分野です。
この分野を選ぶべき受験者
- 河川工事・護岸工事の現場経験がある人 → そのまま得点源に
- 暗記が得意で計算が苦手な人 → 数値計算がほぼない
- 土工②(法面保護・軟弱地盤対策)を学んだ人 → 砂防・地すべりの知識が重なる
- 法規②で河川法を学ぶ人 → セットで理解が深まる
河川工事の基礎知識
堤防の構造
堤防は川の水があふれないように築く土で造った構造物です。大雨のニュースで映る川沿いの土手がまさに堤防です。
堤防の各部名称(必須暗記)
- 天端(てんば):堤防の頂上部分。車が通れる幅を確保することもある
- 表法面(おもてのりめん):川に面した側の斜面。水の力を直接受ける
- 裏法面(うらのりめん):住宅地側の斜面。浸透水に注意が必要
- 法尻(のりじり):法面の一番下の部分
- 高水敷(たかみずじき):堤防と低水路の間の平らな部分。普段は公園やグラウンドに利用
なぜ堤防は「土」で造るの?
コンクリートと違い、土は水が多少しみ込んでも粘り強く持ちこたえる性質があります。また、堤防は数km〜数十kmと長大な距離を築造するので、現地の土を使えるコスト面の利点も大きいのです。
堤防の盛土は土工①で学んだ締固めの知識がそのまま活きます。30cm以下の層に分けてしっかり締め固めるのが基本です。
護岸工
護岸とは、川の流れによる浸食から堤防や河岸を守る構造物です。堤防が「土手」なら、護岸は「土手を守る鎧(よろい)」です。
| 護岸の種類 | 特徴 |
|---|---|
| コンクリートブロック張り | 最も一般的。ブロックを法面に敷き並べる |
| 石張り・石積み | 自然石を使用。景観に配慮した河川向け |
| かごマット・ふとんかご | 金網のかごに石を詰めたもの。柔軟性があり、地盤沈下にも追従 |
護岸の構成は上から法覆工(のりおおいこう)→ 基礎工 → 根固め工の3層構造。試験では「根固め工の役割は何か?」がよく問われます。答えは「洗掘(せんくつ)を防止して護岸の基礎を守る」です。
【図解】護岸の3層構造
法面を覆って浸食から守る
法覆工を支える土台
洗掘を防止して護岸全体を安定させる
水制工
水制工(すいせいこう)とは、川の流れの方向や速さを制御する構造物です。川の中に突き出した構造物で、流れを中央に集めたり、河岸の浸食を防いだりします。
イメージとしては、プールで横に手を出して水の流れを変えるのと同じです。水制工は川の流れを中央に誘導して河岸を守る役割を果たします。
砂防工事の基礎知識
砂防ダム(砂防堰堤)
砂防ダムは土石流を受け止めるためのダムです。一般のダム(水を貯める)とは目的がまったく違います。飲料水や発電用のダムとは別物だと覚えてください。
砂防ダムの2つの効果(頻出!)
- 貯砂効果:土石流の土砂を堰堤の上流側に貯めて下流への流出を防ぐ
- 勾配緩和効果:渓流の勾配を緩やかにして流速を下げ、浸食を防ぐ
なぜ砂防ダムが必要なの?
山間部の渓流は勾配が急で、大雨のときに土砂が一気に流れ下りる土石流が発生します。砂防ダムはその土砂を受け止める「防波堤」の役割。日本では毎年のように土石流災害が発生しており、砂防工事は人命を守る最前線です。
地すべり対策
地すべりとは、斜面の地盤がゆっくりと滑り動く現象です。地下水が原因になることが多く、対策工法は大きく2つに分かれます。
| 対策の種類 | 工法例 |
|---|---|
| 抑制工(原因を除去) | 地下水排除工、排土工、押え盛土工 |
| 抑止工(力で止める) | 杭工、アンカー工、擁壁工 |
超頻出! 抑制工 vs 抑止工の覚え方
「抑制」は原因を「制する」=原因(水・荷重)を取り除く。「抑止」は力で「止める」=杭やアンカーでガッチリ固定。
迷ったら → 地下水排除工=水を抜く=原因除去=抑制工。これだけ覚えれば残りは自動的にわかります。
なお、土工②(法面保護・軟弱地盤対策)で学んだ法面保護工や軟弱地盤対策も、地すべり対策と考え方が共通しています。あわせて復習すると理解が深まります。
急傾斜地対策
急傾斜地(がけ)の崩壊対策も砂防分野の出題範囲です。傾斜度30度以上、高さ5m以上の斜面が対象になります。
| 工法 | 特徴 |
|---|---|
| のり枠工 | コンクリートの格子枠で法面を抑える。中に植生も可能 |
| 擁壁工 | コンクリート壁でがけ崩れを受け止める。重力式・もたれ式等 |
| 落石防止柵・落石防護網 | 道路沿いのがけに設置。落石から通行者を守る |
【図解】地すべり対策の分類
この分類は土工②(法面保護・軟弱地盤対策)の知識と重なる部分が多いです。排土工と押え盛土工は真逆の発想(頭を軽くする vs お尻を重くする)なので、セットで覚えましょう。
【図解】河川・砂防の学習フロー
堤防の各部名称を暗記(天端・表法面・裏法面)
護岸の3層構造(法覆工→基礎工→根固め工)を理解
砂防ダムの2つの効果(貯砂・勾配緩和)を覚える
抑制工 vs 抑止工の分類を区別できるようにする
理解度チェックで確認 → 過去問演習へ
試験対策のポイント
この分野の攻略3か条
- 堤防の各部名称は漢字の読みとセットで覚える — 天端(てんば)・表法面・裏法面の位置関係が問われる
- 砂防ダムの「2つの効果」は即答できるように — 貯砂効果と勾配緩和効果。ダムの目的とセットで
- 抑制工と抑止工は代表的な工法名で区別 — 地下水排除工=抑制工、杭工=抑止工が鉄板
この分野は専門土木①と組み合わせて選択する受験生が多いです。どちらも計算問題が少なく、暗記中心で得点できるからです。さらに選択の幅を広げたい人は専門土木③(道路・舗装)も検討してみてください。
安全管理の記事では、河川工事での安全対策(増水時の退避計画等)も扱っています。実務と試験の両方で重要な知識です。
理解度チェック
Q1. 砂防ダムの2つの主な効果は何ですか?
Q2. 地すべり対策で「地下水排除工」は抑制工と抑止工のどちらに分類されますか?
Q3. 護岸の構成で、河床の洗掘を防止して護岸の基礎を守る工法は何ですか?
Q4. 地すべり対策で「斜面の頭部の土を取り除いて荷重を軽くする」工法は何ですか?
Q5. 堤防で川に面した側の斜面を何と呼びますか?
まとめ
この記事のポイント
- 堤防は天端・表法面・裏法面・法尻の名称と読み方を覚える
- 護岸は法覆工→基礎工→根固め工の3層構造。根固め工=洗掘防止
- 砂防ダムは貯砂効果と勾配緩和効果の2つが頻出
- 地すべり対策は抑制工(原因除去)と抑止工(力で止める)に分類
- 急傾斜地対策はのり枠工・擁壁工・落石防止柵が代表的
河川・砂防は暗記中心で計算問題がほとんどないため、専門土木の選択分野として非常に取り組みやすい分野です。堤防の名称、護岸の3層構造、砂防ダムの2つの効果、抑制工と抑止工の違い ― この4つのテーマをしっかり押さえれば、本番で確実に得点できます。
次のステップとして、同じく暗記で得点しやすい専門土木①(鋼構造物・コンクリート構造物)や専門土木③(道路・舗装)と組み合わせて、選択問題の得点源を固めていきましょう。
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- 土工②(法面保護・軟弱地盤対策) → 地すべり対策と共通
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- 安全管理 → 河川工事での安全対策
- 法規② → 河川工事に必要な法律知識