1級土木(第一次)

1級土木 土工①(土量計算・盛土の施工管理)【第一次検定の科目別解説】

土工①のポイント(30秒で押さえる)

  • 土量の変化率:L(ほぐし率)=ほぐした土量/地山土量、C(締固め率)=締固めた土量/地山土量
  • 盛土の締固め管理:締固め度90%以上が基本。品質規定方式と工法規定方式がある
  • 盛土材料の選定:粒度が良好で含水比が適切な材料を使用。高含水比粘性土は不適
  • 出題頻度:毎年2〜3問出題される最頻出分野

土量の変化率

土は掘削(ほぐし)すると体積が増え、締め固めると体積が減ります。この体積変化を数値で表したものが土量の変化率です。

変化率の定義

変化率 定義 代表的な値
L(ほぐし率) ほぐした土量 ÷ 地山土量 砂質土 1.10〜1.20
粘性土 1.20〜1.45
岩 1.30〜1.70
C(締固め率) 締固めた土量 ÷ 地山土量 砂質土 0.85〜0.95
粘性土 0.85〜0.95
岩 1.10〜1.30

計算のポイント

  • L > 1:ほぐすと体積が増える(Lは常に1より大きい)
  • C < 1(土の場合):締め固めると体積が減る
  • C > 1(岩の場合):岩を砕いて締め固めても地山より体積が大きい
  • ほぐした土量から締固め土量を求めるにはC/Lを掛ける

計算例

例題:必要な地山土量の計算

盛土量(締固め後)が5,000m³必要である。C = 0.90のとき、地山で何m³の土を掘削すればよいか。

解答

地山土量 = 締固め土量 ÷ C = 5,000 ÷ 0.90 ≒ 5,556m³

盛土の施工管理

締固めの基本

項目 管理基準
締固め度 JIS A 1210に規定する最大乾燥密度の90%以上
1層の仕上がり厚さ 30cm以下(路体は30cm、路床は20cm以下が目安)
含水比 最適含水比(Wopt)付近で施工
転圧回数 試験施工により決定(通常6〜8回程度)

品質規定方式と工法規定方式

2つの管理方式の違い

品質規定方式 締固め後の品質(乾燥密度・締固め度等)で管理する方法。現場密度試験(砂置換法・RI法等)で確認する。最も一般的。
工法規定方式 使用する機械の種類・まき出し厚さ・転圧回数など施工方法を規定して管理する方法。試験施工で最適条件を決定。岩塊を使用する場合に多い。

盛土材料の選定

  • 適した材料:粒度分布が良好な砂質土・礫質土。せん断強度が高く圧縮性が小さい
  • 不適な材料:高含水比の粘性土、有機質土、凍土、膨張性の土
  • 含水比が高い場合は曝気乾燥(天日干し)や石灰・セメントによる安定処理で改良

盛土の施工上の留意事項

試験で問われやすいポイント

  • 敷均し:ブルドーザやモーターグレーダで均一に敷き均す。1層の厚さは締固め後30cm以下
  • 転圧:タイヤローラ・振動ローラ等で所定の回数転圧する。端部は小型機械で入念に
  • 含水比の管理:最適含水比(Wopt)付近が最も効率的に締め固まる。降雨後は含水比を確認
  • 排水処理:盛土表面は常に4%程度の横断勾配をつけて雨水を速やかに排水する
  • 段切り:傾斜地盤上の盛土は、既存地盤を階段状に切り込む(段切り)を行い、すべり防止

掘削工事の管理

掘削の種類

  • 切土:自然地盤を所定の高さまで掘り下げる工事。法面の安定が重要
  • 床掘り:構造物の基礎や管渠を施工するために局所的に掘削する工事
  • 浚渫(しゅんせつ):河川や港湾の水底を掘り下げる工事

法面勾配の管理

地質 切土法面勾配 盛土法面勾配
砂質土 1:1.0〜1:1.5 1:1.5〜1:1.8
粘性土 1:0.8〜1:1.2 1:1.5〜1:1.8
岩盤(軟岩) 1:0.5〜1:1.0
岩盤(硬岩) 1:0.3〜1:0.8

※法面勾配は高さや地質条件により異なります。上表は一般的な目安です。

まとめ

この記事のポイント

  • 土量の変化率:L(ほぐし率)C(締固め率)の定義と計算方法
  • 盛土の締固め度は90%以上、1層の仕上がり厚さは30cm以下
  • 品質規定方式(密度で管理)と工法規定方式(施工方法で管理)の違い
  • 含水比は最適含水比(Wopt)付近で施工するのが最も効率的
  • 盛土表面は4%程度の横断勾配で排水処理

土工①で問われる判断軸

土工①では、土量計算と盛土施工管理を別々に覚えるのではなく、「掘削した土が、運搬・締固め後にどれだけの体積になるか」「盛土として使える土か」「締固め後に品質をどう確認するか」を一つの流れで整理します。第一次検定では、土量変化率、切土・盛土のバランス、含水比、締固め、盛土材料の適否が問われやすいです。

テーマ 試験で見るポイント
土量変化率 地山、ほぐし、締固め後の体積を混同しない。運搬土量と盛土出来形の違いを見る。
切土・盛土 土の流用、残土、購入土、運搬距離を考え、施工計画と数量管理を結びつける。
盛土材料 粒度、含水比、有機物、軟弱土、凍結土など、使用に注意が必要な土を確認する。
締固め管理 まき出し厚さ、転圧機械、転圧回数、締固め度、最適含水比をセットで見る。

土量計算の見方

体積の状態を先に決める

  • 地山土量は、掘削する前の自然状態の体積です。設計数量や切土量の基準になりやすいです。
  • ほぐし土量は、掘削後に空隙が増えて体積が大きくなった状態です。運搬台数や仮置き容量の検討で使います。
  • 締固め土量は、盛土として敷均し・転圧した後の体積です。完成出来形や不足土量の判断で使います。
  • 問題文に「運搬する土量」「盛土に必要な土量」「地山換算」といった表現があれば、どの状態の体積を求めるのか先に線引きします。

盛土施工管理で見られる確認項目

盛土は、材料を入れて転圧すれば終わりではありません。支持力、沈下、すべり、雨水浸透、施工後の変形を防ぐため、材料、含水比、まき出し、転圧、排水を分けて管理します。

  • 盛土材料は、粒度、有機物、含水状態、最大粒径、凍結・泥濘化の有無を確認する。
  • 含水比が高すぎる場合は乾燥・改良、低すぎる場合は散水などを検討し、最適含水比に近づける。
  • まき出し厚さを厚くしすぎると下層まで転圧効果が届きにくくなるため、層ごとに締固める。
  • 締固め管理では、現場密度試験、砂置換法、RI計器、転圧回数管理など、現場条件に合う方法を選ぶ。
  • 降雨時は施工面の排水、表面の乱れ、含水比の変化を確認し、施工再開前に状態を点検する。

公式情報とあわせて確認すること

当サイトの科目別解説は学習補助用です。試験制度、受検資格、日程、出題範囲の最終確認は、1級土木施工管理技士の試験実施機関である 一般財団法人 全国建設研修センターの1級土木施工管理技術検定ページ を確認してください。土工の施工管理は、発注者の共通仕様書、土木工事施工管理基準、現場の施工計画書もあわせて確認します。

次に復習する分野

  • 土工②で、軟弱地盤対策と法面保護を続けて確認する。
  • 河川で、堤防盛土や護岸工事とのつながりを押さえる。
  • 道路で、路床・路盤・排水施設と土工の関係を確認する。
  • 選択問題の攻略戦略で、土工を得点源にするか判断する。

よくある質問

Q. 土量計算で一番間違えやすい点はどこですか?

A. 地山土量、ほぐし土量、締固め土量の混同です。問題文が「運搬量」を聞いているのか、「完成盛土量」を聞いているのかを先に判断してください。

Q. 盛土施工で最優先に覚える管理項目は何ですか?

A. 含水比、まき出し厚さ、締固め度、転圧回数です。特に含水比が最適範囲から外れると、締固めても所定の品質を確保しにくくなります。

Q. 土工は専門土木で優先すべき分野ですか?

A. 優先度は高いです。道路、河川、造成、砂防など多くの分野とつながるため、土量計算と締固め管理を押さえると他分野の理解にも効きます。

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