2級土木(第一次)

2級土木 専門土木①|鋼材・高力ボルト・コンクリート耐久性

2級土木 専門土木①|鋼材・高力ボルト・コンクリート耐久性

最初に押さえる結論

  • 2026年度前期の専門土木はNo.17〜36の20問から6問を選び、7問以上を解答すると減点です。
  • 鋼・コンクリート構造物は2026年度前期のNo.17〜19で3問。ここだけでは必要な6問を満たせません。
  • 2026年度は「鋼材の性質」「高力ボルト」「コンクリート耐久性」、2025年度は「鋼材の用途」「架設工法」「劣化機構」が問われました。
  • 数値一つの丸暗記より、材料の性質、施工条件、劣化の原因と対策を対にして誤文を見抜きます。
  • 本番では先に6問を選ばず、20問をA・B・Cに分け、A判定からちょうど6問をマークします。

2級土木施工管理技士の専門土木①では、鋼材、高力ボルト、鋼橋の架設、コンクリート構造物の耐久性を扱います。範囲は広く見えますが、公式問題を「材料」「接合・架設」「劣化」の3層に分けると、選択肢を検証しやすくなります。

この記事は公式問題の全文転載ではなく、2026年度前期と2025年度の問題・正答肢から、解答に必要な判断規則を再構成したものです。第一次検定全体の区分は「2級土木 第一次検定の出題構成と攻略法」を先に確認してください。

問題・仕様確認日:2026年7月29日。数値・検査方法・施工条件は、試験問題と採用する基準・設計図書の文脈で確認してください。

2026年度の位置|20問から6問だけ選ぶ

2026年度前期の2級土木第一次検定は66問で構成され、指示どおり選ぶと45問を解答します。専門土木はNo.17〜36の20問から6問です。

問題番号 解答数 扱い
No.1〜5 5問すべて 必須
No.6〜16 11問から9問 選択
No.17〜36 20問から6問 専門土木
No.37〜47 11問から6問 法規等
No.48〜66 19問すべて 必須

専門土木で7問以上を解答すると減点されます。鋼・コンクリート構造物が得意でも、2026年度は3問しかないため、河川・道路・トンネル・上下水道などから予備分野が必要です。選択ルールの練習は「2級土木 選択問題で失敗しない解答戦略」で詳しく整理しています。

参照:全国建設研修センター「令和8年度2級土木 第一次検定(前期)問題」「正答肢

直近2回は3問でも論点が違う

2026年度前期と2025年度の種別「土木」では、どちらもNo.17〜19に鋼・コンクリート構造物が3問並びました。ただし、問われた知識は同じではありません。

問題 2026年度前期 2025年度
No.17 鋼材の弾性・塑性・疲労 鋼材の種類と用途
No.18 高力ボルトの締付け・検査 鋼道路橋の架設工法
No.19 コンクリートの耐久性対策 劣化機構と原因

「毎年この3語だけ」と絞るのではなく、No.17なら材料、No.18なら接合・施工、No.19なら耐久性という範囲で準備します。出題数も将来固定とは限らないため、年度ごとの公式問題で数え直してください。

参照:全国建設研修センター「令和7年度2級土木 第一次検定(土木)問題」「正答肢

4択は「主語・条件・結果」に分ける

長い選択肢を一息で読むと、知っている単語に引っ張られます。次の順に切ります。

  1. 指示語:「適当なもの」か「適当でないもの」かを囲む。
  2. 主語:鋼材、高力ボルト、回転法、凍害、中性化など対象を一つにする。
  3. 条件:弾性限度まで、締付け後、凍結融解、二酸化炭素などを抜き出す。
  4. 結果:元に戻る、永久ひずみ、腐食、膨張など因果がつながるかを見る。
  5. 反転語:前後、弾性と塑性、抑制と促進、直後と数日後の入替えを疑う。

誤った選択肢は、文章全体がでたらめとは限りません。一語だけ逆、一つの条件だけ不適切という作りを想定します。

鋼材①|弾性と塑性を逆にしない

2026年度No.17は、鋼材の性質について「適当でないもの」を選ぶ問題でした。公式正答は1です。誤文では弾性と塑性の順序が逆になっています。

弾性域:荷重を除くと元へ戻る → 塑性域:荷重を除いても永久ひずみが残る

鋼材へ力を加えた初期は、応力度とひずみが対応し、力を除けば変形がほぼ戻ります。降伏後に塑性変形が進むと、力を除いても残留変形が残ります。

用語 見るもの 混同しやすい点
弾性 除荷後に変形が戻る性質 「強い」と同じ意味ではない
塑性 永久変形する性質 弾性限度の前後を逆にしない
靱性 破壊までにエネルギーを吸収する性質 硬さ・強度だけで決めない
疲労 繰返し荷重による損傷 一度の大荷重だけの話ではない

疲労では、繰返し作用と溶接継手・切欠きなどの応力集中を結び付けます。「静的な強度以下なら必ず破壊しない」とは判断できません。

鋼材②|形状と用途を結び付ける

2025年度No.17は鋼材の種類と用途の組合せでした。公式正答は2で、管材と基礎杭・支柱の組合せが適切でした。

  • 鋼管:中空断面を生かし、鋼管杭や柱状部材などに用いる。
  • 形鋼・鋼板:桁、梁、補剛材など、断面を組み合わせて構造部材をつくる。
  • 棒鋼:鉄筋やPC鋼棒など、棒状材料として用途を区別する。
  • 線材:PC鋼線・より線、ワイヤなど、細長い材料から用途を考える。

名称だけで覚えず、「断面の形」「主に受ける力」「製品例」の3点でカードを作ると、用途を入れ替えた選択肢に対応できます。

高力ボルト|締付けと検査の時間軸を見る

高力ボルト摩擦接合は、所定のボルト軸力で部材を締め付け、接合面の摩擦で力を伝えます。試験では、ボルト長、締付け、マーキング、検査を順番に並べます。

  1. 設計図書に適合するボルトセットと、締付け可能な長さを確認する。
  2. 接合面、孔のずれ、ボルト・ナット・座金の状態を確認する。
  3. 予備締め後にマーキングし、定められた方法で本締めする。
  4. 本締め後、速やかに検査し、回転法ではマーキングの回転角などを確認する。

2026年度No.18の公式正答は3です。「トルク係数値が安定する数日後に検査する」という時間のずれが誤りでした。検査を後回しにする理由へ言い換えられていないかを見ます。

数値だけを独立して暗記しない

すべり係数、締付け軸力、回転角などは、接合面の処理、ボルト形式、締付け方法、適用基準と組で確認します。旧教材の数字一つを、すべての設計・施工条件へ当てはめないでください。

鋼橋架設|現場条件から工法を消去する

2025年度No.18は、道路・鉄道を横断し、桁下空間やアンカー設備を使えない条件に合う架設工法を選ぶ問題でした。公式正答は3の手延機による送出し工法です。

工法の考え方 必要な条件 消去の視点
ベントを使う架設 桁下に仮支柱・クレーンの作業空間 桁下を使えないなら不適
送出し架設 背面側の組立・送出し設備 横断物上の作業を減らせるか
ケーブル系架設 塔・アンカー等を含む設備条件 アンカー不可なら不適

「最も一般的」という一語で工法を固定せず、桁下、交通規制、地形、組立ヤード、アンカー、吊上げ能力の順に条件を照合します。

溶接|検査方法を精密さの順位にしない

溶接は、母材・溶接材料、開先、予熱、入熱、施工姿勢、天候、検査を一連で管理します。予熱の要否や条件は、鋼種、板厚、溶接材料、温度などで変わるため「厚板なら一律○℃」とは覚えません。

外観検査、超音波探傷試験、放射線透過試験、浸透探傷試験などは、単純な「粗い→精密」の順番ではありません。表面か内部か、割れ・未溶着・空洞など何を検出するか、継手形状と仕様書が何を求めるかで選びます。

国土交通省の土木工事共通仕様書は、鋼橋の段階確認や現場継手工などを定めています。実務では発注者の最新版と設計図書を優先します。参照:関東地方整備局「土木工事共通仕様書

コンクリート耐久性|原因と対策を対にする

2026年度No.19は耐久性対策、2025年度No.19は劣化機構と原因の組合せでした。劣化名だけでなく、原因、現象、対策を一列で覚えます。

劣化 原因・現象 判断する対策
凍害 内部水分の凍結融解による損傷 AE剤等による適切な空気量、配合・排水・養生
中性化 二酸化炭素等でアルカリ性が低下 鉄筋腐食とのつながり、かぶり・緻密性
塩害 塩化物イオンが鉄筋腐食を促す 塩分浸透、かぶり、ひび割れを確認
ASR 反応性骨材・アルカリ・水分で膨張 アルカリ総量、混合セメント、安全な骨材
化学的侵食 酸・硫酸塩等との反応で劣化 温泉・下水道など作用環境を確認
疲労 繰返し荷重で損傷が進む 荷重回数・応力範囲・ひび割れを見る

2025年度では「化学的侵食―二酸化炭素」の組合せが不適切でした。二酸化炭素は中性化へ結び付けます。2026年度では「通常の早強ポルトランドセメントを使う」をASR対策とした記述が不適切でした。

ASRの3対策をセットで覚える

国土交通省資料が示す代表的なASR抑制対策は次の3つです。

  1. コンクリート中のアルカリ総量を抑制する。
  2. ASR抑制効果のある混合セメント等を使用する。
  3. 試験で安全と認められる骨材を使用する。

問題文に「早強」「高強度」「空気量」のような別テーマの用語が置かれても、上の3経路へつながるかを確認します。参照:国土交通省中国地方整備局「監督職員のためのチェックポイント

RCとPCは役割・導入時期で区別する

RCは、圧縮に強いコンクリートと引張を負担する鉄筋を組み合わせます。PCは、PC鋼材であらかじめ圧縮力を導入し、使用時の引張応力度やひび割れを制御する構造です。PCをRCの単純な「上位版」とは考えません。

方式 緊張する時期 力の伝達
プレテンション コンクリート打込み前にPC鋼材を緊張 硬化後に緊張力を解放し、付着で導入
ポストテンション コンクリート硬化後にPC鋼材を緊張 定着具を介して導入

ポストテンションでは、シース内へグラウトする付着方式のほか、構造・システムにより扱いが異なります。「ポストテンションなら必ず同じ施工手順」と広げず、問題の条件を読みます。

かぶりは劣化環境と結び付ける

かぶりは、鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離です。鉄筋を腐食因子や火熱から保護し、付着を確保する役割があります。

「土木は建築より必ず大きい」のような分野横断の決めつけは避け、構造物の種類、部位、環境作用、設計基準、施工誤差を確認します。塩害なら塩化物イオン、中性化なら二酸化炭素とpH低下、ひび割れなら侵入経路というように、かぶりだけでなく劣化経路全体を見ます。

コンクリートの材料・打込みは「2級土木 コンクリート工①」、養生・ひび割れ・品質管理は「2級土木 コンクリート工②」で復習できます。

過去問ノートは正解番号ではなく誤りの型を書く

年度、問題番号、正解番号だけでは、選択肢の順番が変わると使えません。1問を次の6欄で記録します。

記録例 次回の使い方
指示 適当でないもの 反転ミスを防ぐ
論点 弾性と塑性 同類問題を束ねる
誤り語 弾性限度まで塑性 入替え語を特定
正しい規則 除荷後に戻るのが弾性 一文で再現
根拠 公式問題・仕様書のURLと頁 改訂時に戻る
確信度 A・B・C 本番の6問選択に使う

7日で直近2回を仕上げる

  1. 1日目:2026年度No.17〜19を時間を測って解き、誤り語を一つずつ特定する。
  2. 2日目:弾性・塑性・靱性・疲労を、自分の言葉で1行ずつ説明する。
  3. 3日目:高力ボルトの確認から検査までを時系列に並べる。
  4. 4日目:凍害、中性化、塩害、ASR、化学的侵食を原因と対策で対応させる。
  5. 5日目:2025年度No.17〜19を解き、2026年度と論点差を表にする。
  6. 6日目:間違えた選択肢だけを、主語・条件・結果に分解して解き直す。
  7. 7日目:No.17〜36を通し、A・B・Cを付けてAからちょうど6問選ぶ。

合否基準の確認では、2026年度前期は45問を解答し27問以上正解が基準、合格率は47.8%でした。この記事の3問だけに時間を使い過ぎず、必須問題を含む45問全体で練習してください。

参照:全国建設研修センター「令和8年度2級土木 第一次検定(前期)の合格者発表

本番はA・B・Cでちょうど6問を選ぶ

  • A:根拠を説明でき、誤り語を一つに絞れる。
  • B:2択までは絞れるが、数値・条件に不安がある。
  • C:用語または工法が未習で、消去根拠がない。

No.17〜36を一巡してから、Aを優先して6問にします。Aが5問ならBから最も根拠のある1問を足します。構造物分野の3問すべてがAなら使い、1問がCなら無理に3問そろえません。

予備分野は「専門土木② 河川・砂防」「専門土木③ 道路・舗装」「専門土木④ ダム・トンネル・海岸・港湾」「専門土木⑤ 上下水道・鉄道・地下構造物」から、直近問題の正答率で選びます。

よくある失敗

  • この分野を必ず選ぶ:年度や自分の正答根拠を見ずに固定しない。
  • 3問だけで専門土木を終える:必要なのは20問中6問。予備分野が必要です。
  • 「適当でない」を見落とす:正しい知識があっても逆を選びます。
  • 弾性と塑性の順を逆にする:除荷後に戻るか、永久ひずみが残るかで判定する。
  • 高力ボルトを数値一つで覚える:締付け方法・検査・適用基準の条件を外さない。
  • 非破壊検査を精密さ順に並べる:検出対象と仕様に応じて使い分ける。
  • ASR対策へ別のコンクリート用語を当てる:アルカリ総量、混合セメント、安全な骨材へ戻る。
  • 正解番号だけ保存する:誤り語と正しい規則を記録する。

理解度チェック

Q1. 鋼材が弾性域にあるとき、荷重を除くとどうなりますか。

変形は元へ戻ります。塑性域まで進むと、除荷後も永久ひずみが残ります。

Q2. 高力ボルトの回転法による締付け検査では、何を確認しますか。

マーキングの回転角などが規定範囲にあるかを確認します。本締め後の検査を数日待つ、という2026年度の選択肢は不適切でした。

Q3. ASR抑制対策の代表的な3経路は何ですか。

アルカリ総量の抑制、抑制効果のある混合セメント等、安全と認められる骨材です。試験では原因と対策を対応させます。

公式資料と次に読む記事

まとめ|3問を取る知識と6問を選ぶ戦略を分ける

  • 2026年度前期はNo.17〜19の3問で、鋼材、高力ボルト、耐久性が出題された。
  • 弾性・塑性、締付け・検査、劣化原因・対策を対にして誤文を見抜く。
  • 2025年度の用途・架設・劣化機構まで解き、論点の変化に備える。
  • 構造物分野だけでは6問に届かないため、専門土木の予備分野を持つ。
  • 本番は20問をA・B・Cに分け、Aからちょうど6問を解答する。

最初の一歩は、2026年度No.17〜19を解き、各選択肢の誤り語を一つずつ書くことです。3問すべてを根拠付きでA判定にできたら、No.20以降へ進み、6問を安全に選べる予備分野を作ってください。

-2級土木(第一次)