地盤調査・仮設工事のポイント(30秒で押さえる)
- 地盤調査:ボーリング調査(標準貫入試験でN値測定)が基本。各サウンディングの特徴を整理
- 山留め工法:親杭横矢板・鋼矢板(シートパイル)・地中連続壁の使い分けが頻出
- 山留め支保工:切梁方式・アースアンカー方式・逆打ち工法の違い
- 足場:枠組足場・単管足場・くさび緊結式足場の種類と安全基準
- 出題頻度:毎年1〜2問。山留め工法と足場の安全基準が特に狙われる
地盤調査と仮設工事は、建築工事の最初に行う準備段階の工事です。1級建築施工管理技士の第一次検定では、山留め工法の選定と足場の安全管理が特に重要。監理技術者として適切な工法選定と安全確保の判断ができるかが問われます。
地盤調査
ボーリング調査
ボーリング調査は地盤調査の基本です。地中にボーリング孔を掘り、土質の観察・試料採取・原位置試験を行います。
ボーリング調査でわかること
- 土質柱状図:地層の構成・層厚・土質の種類がわかる
- N値:標準貫入試験で地盤の硬さを数値化(各種構造②で詳しく解説)
- 地下水位:孔内水位の測定で把握
- 土質試料の採取:室内試験(一軸圧縮・三軸圧縮・圧密試験等)に使用
各種サウンディング試験
| 試験名 | 方法 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 標準貫入試験 | 63.5kgのハンマを76cmから落下、30cm貫入の打撃回数がN値 | 最も広く使われる。砂質土の判定に特に有効。ボーリング孔内で実施 |
| スウェーデン式サウンディング試験 | 荷重とロッドの回転で貫入抵抗を測定 | 小規模建物(住宅等)の調査に適する。簡便で安価。深さ10m程度まで |
| オランダ式二重管コーン貫入試験 | 先端コーンを静的に貫入させて貫入抵抗を連続測定 | 軟弱地盤の調査に適する。連続的なデータが得られる |
| ベーン試験 | 十字形の羽根(ベーン)を地中で回転させ、せん断抵抗を測定 | 軟弱な粘性土のせん断強さの測定に適する。原位置で直接測定できる |
| 平板載荷試験 | 地盤面に載荷板を置いて荷重を加え、沈下量を測定 | 直接基礎の地盤の支持力を確認。影響範囲は載荷板径の1.5〜2倍程度(浅い範囲のみ) |
平板載荷試験の限界
平板載荷試験の結果は載荷板の直径の1.5〜2倍程度の深さの地盤しか評価できません。実際の基礎は載荷板よりはるかに大きいため、深い地盤の影響は把握できない。杭基礎の設計には使えないので注意です。
山留め工法
山留めは、根切り(掘削)工事の際に周囲の地盤が崩れないようにする仮設構造物です。1級では各工法の特徴と使い分けが頻出テーマです。
山留め壁の種類
| 工法 | 構造 | 特徴 |
|---|---|---|
| 親杭横矢板工法 | H形鋼の親杭を一定間隔で打ち込み、掘削に合わせて横矢板を入れる | コストが低い。止水性がないため地下水位が高い場所には不向き。比較的浅い根切りに使用 |
| 鋼矢板(シートパイル)工法 | U形やZ形の鋼矢板を連続して打ち込む | 止水性がある。地下水位が高い場合に有効。ただし剛性は地中連続壁より低い |
| 地中連続壁(SMW工法等) | セメント系材料で地中に壁を築造 | 止水性・剛性ともに高い。大深度掘削や周辺地盤への影響を抑えたい場合に使用。コストは高い |
| RC地中連続壁 | 鉄筋コンクリートの連続壁を地中に構築 | 最も剛性・止水性が高い。本設の地下外壁として利用できる。最もコストが高い |
工法選定の考え方
- 地下水位が低い+浅い根切り → 親杭横矢板工法(コスト優先)
- 地下水位が高い+中程度の根切り → 鋼矢板工法(止水性重視)
- 大深度+周辺環境への配慮 → 地中連続壁(止水性+剛性)
- 地下外壁として利用したい → RC地中連続壁(本設兼用)
山留め支保工の方式
| 方式 | しくみ | 特徴 |
|---|---|---|
| 切梁方式 | 山留め壁間に水平の切梁を架けて土圧に抵抗 | 最も一般的。掘削空間に切梁が入るため作業性がやや悪い |
| アースアンカー方式 | 山留め壁の背面地盤にアンカーを打ち込んで固定 | 掘削空間に支保工が不要で作業性が良い。ただし隣地の地中にアンカーを施工するため隣地の承諾が必要 |
| 逆打ち工法 | 地上階と地下階を同時に施工。本設の床スラブを切梁代わりに使う | 工期短縮に有効。大規模・大深度の地下工事に使用。高度な施工管理が必要 |
山留めの計測管理
山留めの計測管理項目
- 山留め壁の変位(傾斜計):壁が内側にどれだけ変形しているか
- 切梁の軸力(ひずみ計):切梁に作用する圧縮力
- 地盤沈下(レベル測量):周辺地盤が沈下していないか
- 地下水位(水位計):掘削による地下水位の変動
- 周辺建物の変位:近隣建物に傾斜や沈下が生じていないか
これらの計測値が管理基準値を超えた場合は直ちに対策を講じます。特に切梁の軸力増大は崩壊事故につながるため、常時監視が必要です。
仮設工事(足場)
足場の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 枠組足場 | 工場製作の建枠・交さ筋かい・布板で組み立て。組立て・解体が速い。中高層建物の外壁工事に最も多く使用 |
| 単管足場 | 鋼管(φ48.6mm)をクランプで接合して組み立て。自由な形状に対応できる。狭い場所・複雑な形状に向く |
| くさび緊結式足場 | 支柱のポケットに横材のくさびを打ち込んで接合。ハンマー1本で組立て可能。低層〜中層住宅に多く使用 |
| 吊り足場 | 上部構造から吊り下げる足場。橋梁やプラントの高所作業に使用。地上から足場を組めない場合に採用 |
足場の安全基準(労働安全衛生規則)
足場の安全基準(試験頻出の数値)
- 作業床の幅:40cm以上
- 床材間の隙間:3cm以下
- 建地間隔(桁行方向):枠組足場は1.85m以下
- 手すりの高さ:85cm以上(中さん・幅木も設置)
- 墜落防止措置:高さ2m以上の作業場所には手すり等を設置
- 足場の点検:その日の作業開始前に点検。悪天候後にも点検
- 壁つなぎの間隔:垂直方向5m以下、水平方向5.5m以下
仮設計画のポイント
- 仮囲いの高さ:地盤面から1.8m以上(都市部では3m以上の場合もある)
- 乗入れ構台:重機やトラックの通行に使用。設計荷重は車両の総重量を考慮
- 仮設電力:工事用の電力引込みと分電盤の配置。漏電遮断器の設置は必須
- 揚重機(タワークレーン等):設置計画は揚重物の重量・作業半径・建物形状から決定
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: 親杭横矢板と止水性
「親杭横矢板工法は止水性に優れる」→ 不正解。親杭横矢板は親杭間に横矢板を挿入するだけなので止水性はありません。地下水位が高い場所では鋼矢板や地中連続壁を使います。
ひっかけ2: アースアンカーと隣地
アースアンカー方式は掘削空間が広く使えますが、隣地の地中にアンカーを施工するため、隣地所有者の承諾が必要です。「アースアンカーは隣地の影響を受けない」は不正解。
ひっかけ3: 平板載荷試験の適用範囲
平板載荷試験で評価できるのは載荷板の1.5〜2倍程度の深さの地盤のみ。実際の建物の基礎底面は載荷板よりはるかに大きいので、深い地盤の性状は把握できません。「平板載荷試験で深い地盤の支持力を確認した」は不正解です。
理解度チェック
【問題1】地盤調査に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)ベーン試験は砂質土のせん断強さの測定に適する
(2)スウェーデン式サウンディング試験は大規模建物の調査に適する
(3)平板載荷試験は地盤の深層部まで評価できる
(4)標準貫入試験で得られるN値は地盤の硬さを表す指標である
【問題2】山留め工法に関する記述として、誤っているものはどれですか?
(1)親杭横矢板工法は止水性がない
(2)鋼矢板工法は地下水位が高い場合に有効である
(3)アースアンカー方式は隣地の承諾なしに施工できる
(4)逆打ち工法は本設の床スラブを切梁代わりに利用する
【問題3】足場の安全基準に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)作業床の幅は30cm以上とする
(2)手すりの高さは75cm以上とする
(3)高さ2m以上の作業場所には墜落防止措置を講じる
(4)足場の点検は週に1回行えばよい
まとめ
この記事のポイント
- 標準貫入試験:N値は地盤の硬さの指標。ベーン試験は軟弱粘性土のせん断強さ用
- 平板載荷試験:浅い範囲のみ評価可能。深層の評価には不適
- 親杭横矢板:コスト低いが止水性なし。鋼矢板は止水性あり
- 地中連続壁:止水性・剛性ともに高い。RC壁なら本設に利用可能
- アースアンカー:作業性良好だが隣地の承諾が必要
- 足場:作業床幅40cm以上、手すり85cm以上、高さ2m以上で墜落防止措置