鉄筋工事のポイント(30秒で押さえる)
- 加工:鉄筋の切断・曲げ加工。折曲げ内法直径はコンクリートのひび割れ防止に重要
- かぶり厚さ:鉄筋表面からコンクリート表面までの距離。耐久性と耐火性を左右する
- 継手:重ね継手・ガス圧接継手・機械式継手。1級ではガス圧接の施工条件と検査が頻出
- 定着:鉄筋の端部をコンクリートに埋め込んで引き抜けないようにする。定着長さの確保が重要
- 出題頻度:毎年1〜2問。2級より継手・定着の数値が細かく問われる
鉄筋工事はRC造建物の品質を左右する重要な工程です。1級建築施工管理技士の第一次検定では、2級よりもさらに踏み込んだ内容が出題されます。特にガス圧接の施工条件と検査方法、機械式継手は1級で詳しく問われるテーマです。
鉄筋の加工
鉄筋の種類とJIS記号
| 記号 | 名称 | 降伏点 | 用途 |
|---|---|---|---|
| SD295A/B | 異形棒鋼 | 295N/mm²以上 | 小規模建物・スラブ・壁 |
| SD345 | 異形棒鋼 | 345N/mm²以上 | 最も多く使用。梁・柱・基礎の主筋 |
| SD390 | 異形棒鋼 | 390N/mm²以上 | 高強度が必要な部位。1級で出題増加 |
| SD490 | 異形棒鋼 | 490N/mm²以上 | 超高層建物の柱主筋 |
SD記号の読み方
SDはSteel Deformed bar(異形棒鋼)の略。数字は降伏点の下限値(N/mm²)を表します。SD345なら「降伏点が345N/mm²以上の異形棒鋼」。数字が大きいほど強い鋼材です。
鉄筋の折曲げ加工
鉄筋を折り曲げる際は、コンクリートのひび割れ防止のため折曲げ内法直径の最小値が規定されています。
| 鉄筋の種類 | 折曲げ内法直径 |
|---|---|
| SD295A/B(D16以下) | 3d以上(dは鉄筋径) |
| SD295A/B(D19以上)、SD345 | 4d以上 |
| SD390 | 5d以上 |
鉄筋の加工は原則として常温で行います。加熱して曲げると鉄筋の材質が変化するおそれがあるため、熱間加工は行いません。また、一度折り曲げた鉄筋を曲げ戻すことは原則禁止です(材料が劣化するため)。
かぶり厚さ
かぶり厚さは鉄筋の表面からコンクリートの表面までの最短距離です。RC造の耐久性と耐火性を確保するために非常に重要な寸法です。
かぶり厚さが重要な理由
- 耐久性:コンクリートの中性化が鉄筋位置まで達すると鉄筋が錆びる。かぶりが厚いほど中性化の到達に時間がかかる
- 耐火性:火災時の熱が鉄筋に伝わるのを遅らせる。かぶりが厚いほど耐火時間が長い
- 付着力:鉄筋とコンクリートの付着力を確保するためにも適切なかぶりが必要
| 部位 | 最小かぶり厚さの目安 |
|---|---|
| 土に接しない屋内(スラブ・壁) | 20mm(仕上げあり)/ 30mm(仕上げなし) |
| 土に接しない屋外 | 30mm(仕上げあり)/ 40mm(仕上げなし) |
| 土に接する部分 | 40mm |
| 基礎 | 60mm(捨てコンクリートの上は除く) |
かぶり厚さの確保方法
スペーサーを使って鉄筋と型枠の間に適切な間隔を保ちます。スペーサーの材質はコンクリート製・鋼製・プラスチック製など。型枠に接する面のスペーサーはコンクリート製または鋼製が望ましい(プラスチック製は仕上げ面に影響する場合がある)。
鉄筋の継手
鉄筋の長さには限りがあるため、途中で継ぎ足す必要があります。継手の種類と施工条件は1級で最も出題されるテーマの一つです。
重ね継手
重ね継手の基本ルール
- 2本の鉄筋を所定の長さだけ重ね合わせて配筋する
- 重ね継手の長さ:鉄筋径の40d以上(コンクリート強度や鉄筋の種類で異なる)
- 継手位置は応力の小さい部分に設ける(梁の中央付近や柱のスパン中央部)
- 同一断面に継手を集中させない(継手のずらし)。ずらし距離は重ね長さの0.5倍以上、または25d以上
- D35を超える太径鉄筋には原則として重ね継手を使用しない
ガス圧接継手(1級重要テーマ)
ガス圧接は、鉄筋の端面を突き合わせて酸素-アセチレン炎で加熱しながら圧力をかけて接合する工法です。D16以上の鉄筋に使用します。
ガス圧接の施工条件
- 鉄筋の端面を平滑に仕上げる(圧接器で締め付ける前にグラインダーで加工)
- 端面は直角に切断する
- 鉄筋径の差が7mm以内の異径鉄筋の圧接は可能(それ以上の差は不可)
- 圧接部のふくらみの直径は鉄筋径の1.4倍以上
- 圧接部のふくらみの長さは鉄筋径の1.1倍以上
- 圧接面のずれは鉄筋径の1/4以下
- 圧接部に明らかなへこみ・焼き割れ・垂れ下がりがあってはならない
ガス圧接の検査方法
- 外観検査:全数(100%)について実施。ふくらみの直径・長さ・ずれ・外観を確認
- 超音波探傷検査:内部欠陥の有無を確認。1検査ロットにつき30か所以上を抽出して実施
- 引張試験:抜取りで実施。圧接部で破断せず、母材の引張強さ以上であることを確認
- 不合格の圧接部は切り取って再圧接する
機械式継手
機械式継手は、カプラー(接合金物)を使って鉄筋を接合する工法です。太径鉄筋や現場の施工条件が厳しい場合に使用されます。
- ねじ節鉄筋継手:鉄筋の表面にねじ状の節がついており、カプラーにねじ込んで接合。グラウト(無収縮モルタル)を充填するタイプもある
- モルタル充填継手:スリーブ(鋼管)に鉄筋を挿入し、高強度モルタルを充填して固定
- メリット:天候に左右されにくい。技能者の熟練度に左右されにくい。太径鉄筋にも対応
- デメリット:カプラーのコストが高い。鉄筋のかぶりがカプラー分だけ必要
鉄筋の組立て
配筋の基本ルール
- 鉄筋相互のあき:粗骨材の最大寸法の1.25倍以上、かつ25mm以上、かつ鉄筋の直径以上
- 結束線(番線):鉄筋の交差部を0.85mm径の焼なまし鉄線で結束。コンクリート側に結束線の端が飛び出さないよう内側に折り曲げる
- 配筋検査:コンクリート打設前に、配筋が設計図書どおりかを確認。かぶり厚さ・鉄筋径・本数・間隔・継手位置を検査
定着
鉄筋の端部をコンクリートに十分に埋め込んで、引き抜けないようにするのが定着です。
定着のポイント
- 定着長さ:鉄筋径の40d以上が目安(コンクリート強度・かぶり厚さにより異なる)
- フック付き定着:端部を折り曲げて定着力を高める。フックの折曲げ角度は90°・135°・180°
- 梁主筋の柱への定着:柱芯を超えて柱の反対面近くまで伸ばすのが原則
- 定着長さが足りないと、地震時に鉄筋が抜けて構造体の崩壊につながる
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: ガス圧接のふくらみ
「ガス圧接部のふくらみの直径は鉄筋径の1.2倍以上」→ 不正解。ふくらみの直径は鉄筋径の1.4倍以上が正しい。ふくらみの長さは1.1倍以上。この数値は試験で非常によく問われます。
ひっかけ2: 曲げ戻し
「配筋後に間違いに気づいたので曲げ戻して修正した」→ 原則不可。一度折り曲げた鉄筋を曲げ戻すと、曲げ部分に加工硬化やひび割れが生じるおそれがあり、材質が変化します。曲げ戻しは原則として行いません。
ひっかけ3: 継手の位置
継手は応力の小さい部分に設けるのが原則。「梁の端部(柱との接合部)に重ね継手を設けた」は不適切。梁の端部は曲げモーメントが最大になるため、継手は梁の中央付近に設けます。
理解度チェック
【問題1】鉄筋のガス圧接に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)圧接部のふくらみの直径は鉄筋径の1.2倍以上とする
(2)異径鉄筋の圧接は鉄筋径の差に関係なく可能である
(3)外観検査は抽出検査で行う
(4)圧接部のふくらみの長さは鉄筋径の1.1倍以上とする
【問題2】鉄筋の継手に関する記述として、誤っているものはどれですか?
(1)重ね継手は応力の小さい部分に設ける
(2)D35を超える太径鉄筋には重ね継手を使用できる
(3)機械式継手はカプラーを使って鉄筋を接合する
(4)同一断面に継手を集中させないようにする
【問題3】かぶり厚さに関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)かぶり厚さは鉄筋の中心からコンクリート表面までの距離である
(2)土に接する部分のかぶり厚さは屋内と同じでよい
(3)かぶり厚さが不足すると鉄筋が錆びやすくなる
(4)かぶり厚さは耐火性には影響しない
まとめ
この記事のポイント
- SD345が最も多く使用される鉄筋。SD記号の数字は降伏点の下限値
- 折曲げ:常温で加工。曲げ戻しは原則禁止。内法直径の最小値を遵守
- かぶり厚さ:鉄筋表面〜コンクリート表面。耐久性と耐火性の両方に影響
- ガス圧接:ふくらみ直径1.4d以上、長さ1.1d以上。外観検査は全数、超音波は抽出
- 継手位置:応力の小さい部分に設ける。同一断面への集中を避ける
- 機械式継手:太径鉄筋に対応。天候・技能者に左右されにくい