建築設備のポイント(30秒で押さえる)
- 電気設備:受変電設備の構成、配線方式、接地工事の種類が頻出
- 給排水設備:給水方式(直結・受水槽)の比較と排水トラップの機能
- 空調設備:中央方式と個別方式の違い。ヒートポンプの原理
- 消防設備:スプリンクラー・屋内消火栓・自動火災報知設備の設置基準
- 昇降機:エレベーターの方式(ロープ式・油圧式)と法規制。1級で新たに出題
建築設備は1級建築施工管理技士の第一次検定で毎年2〜3問出題される分野です。電気・給排水・空調・消防・昇降機と範囲が広いため、各設備の基本原理と出題パターンを効率よく押さえることが重要です。
2級でも出題されますが、1級では昇降機設備が追加されるほか、各設備の選定理由や設計的な観点からの出題も増えます。
電気設備
受変電設備の構成
ビルや工場では電力会社から高圧(6,600V)で受電し、建物内で使用電圧に変圧します。
受変電の流れ
電力会社の高圧配電線(6,600V)→ 引込み → 断路器(DS) → 遮断器(VCB/CB) → 変圧器(Tr) → 低圧(100V/200V)→ 各フロアの分電盤 → コンセント・照明など
| 機器名 | 役割 |
|---|---|
| 断路器(DS) | 無負荷の回路を開閉する。点検時の安全確保用。負荷電流の遮断はできない |
| 遮断器(CB) | 負荷電流や短絡電流を遮断できる。事故時に自動で回路を切る |
| 変圧器(Tr) | 高圧から低圧に電圧を変換する。油入式・モールド式がある |
| 進相コンデンサ | 力率を改善する。電力損失の低減と電力会社への力率割引に効果 |
接地工事の種類
| 種類 | 接地抵抗 | 用途 |
|---|---|---|
| A種 | 10Ω以下 | 高圧・特別高圧の機器の外箱 |
| B種 | 計算値 | 変圧器の混触防止(高低圧混触時の低圧側保護) |
| C種 | 10Ω以下 | 300V超の低圧機器の外箱 |
| D種 | 100Ω以下 | 300V以下の低圧機器の外箱(一般的なコンセントの接地極) |
給排水設備
給水方式の比較
| 方式 | しくみ | 特徴 |
|---|---|---|
| 水道直結直圧方式 | 水道本管の圧力で直接給水 | 受水槽不要。水質汚染リスク最小。低層建物向き(3階程度まで) |
| 水道直結増圧方式 | 増圧ポンプで加圧して直接給水 | 受水槽不要。中層建物(10階程度まで)対応可能。水質が新鮮 |
| 受水槽方式(高置水槽) | 受水槽→ポンプ→高置水槽→重力で給水 | 断水時も一定量使用可能。高層建物に対応。水槽の清掃・点検が必要 |
| 受水槽方式(ポンプ直送) | 受水槽→加圧ポンプ→各階に直送 | 高置水槽が不要。屋上のスペースを有効活用。ポンプの制御で圧力を調整 |
排水トラップの機能
排水トラップとは?
排水管内に封水(水のたまり)を設けて、下水管からの臭気・害虫・ガスの逆流を防ぐ装置です。Sトラップ・Pトラップ・Uトラップ・わんトラップなどの種類があります。
- 封水深さ:50mm以上100mm以下が標準
- 二重トラップの禁止:1つの排水系統に2つ以上のトラップを直列に設けると、中間の空気が密閉されて排水が流れにくくなるため禁止
- 封水が切れる原因:自己サイフォン作用・誘導サイフォン作用・蒸発・毛管現象
通気設備
排水管内の圧力変動を緩和して封水の保護と排水の流れを円滑にする設備です。
- 伸頂通気方式:排水立て管の上部をそのまま延長して大気に開放。低層建物向き
- 各個通気方式:個々のトラップに通気管を設ける。封水保護が最も確実
- ループ通気方式:1つの排水横枝管に接続する複数のトラップをまとめて通気する
空調設備
空調方式の分類
| 分類 | 方式名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 中央方式 | 全空気方式(単一ダクト) | 空調機で調整した空気をダクトで送る。大空間に適する。ダクトスペースが大きい |
| 空気-水方式(ファンコイルユニット+ダクト) | 空気と冷温水を併用。個別制御しやすい。事務所ビルに多い | |
| 個別方式 | パッケージ型空調機 | 室外機+室内機のセット。中小規模ビルに多い |
| ビルマルチ方式 | 1台の室外機に複数の室内機を接続。個別制御が可能。中規模ビルに適する |
ヒートポンプの原理
冷媒の圧縮・膨張を利用して熱を移動させる装置です。冷房時:室内の熱を室外に汲み出す(室内機が蒸発器、室外機が凝縮器)。暖房時:室外の熱を室内に汲み上げる(室外機が蒸発器、室内機が凝縮器)。電気ヒーターよりエネルギー効率が3〜6倍高い(COP3〜6)。
換気方式
| 種類 | 給気 | 排気 | 室内の気圧 |
|---|---|---|---|
| 第1種換気 | 機械 | 機械 | 制御可能 |
| 第2種換気 | 機械 | 自然 | 正圧(外部の汚染空気が入りにくい)→ クリーンルーム・手術室 |
| 第3種換気 | 自然 | 機械 | 負圧(臭気が外に漏れにくい)→ 厨房・トイレ・浴室 |
消防設備
消火設備の種類
| 設備 | 特徴 |
|---|---|
| 屋内消火栓設備 | 1号消火栓(2人操作、放水量130L/min以上)と2号消火栓(1人操作、60L/min以上)。在館者が初期消火に使用 |
| スプリンクラー設備 | 天井のヘッドが熱で作動し自動的に散水する。閉鎖型(湿式・乾式)と開放型がある。11階以上の階に設置義務 |
| 連結送水管 | 消防隊が消防ポンプ車から送水するための配管。7階以上または地階3階以上に設置義務 |
| 不活性ガス消火設備 | CO₂やハロゲン化物で窒息消火。電気室・サーバールーム・美術館(水損を避けたい場所)に使用 |
自動火災報知設備
感知器の種類
- 差動式スポット型:急激な温度上昇を感知。一般居室に多い
- 定温式スポット型:一定温度以上で作動。厨房など高温になる場所に使用
- 煙感知器(光電式):煙を感知。階段・廊下・寝室などに設置。最も早く感知できる
- 炎感知器:炎の赤外線・紫外線を感知。天井が高い空間(アトリウム・体育館)に適する
昇降機設備(1級の追加範囲)
1級では昇降機(エレベーター・エスカレーター)に関する出題が加わります。
エレベーターの方式
| 方式 | しくみ | 特徴 |
|---|---|---|
| ロープ式(トラクション式) | ロープで釣合おもりとかごを吊り、巻上機で駆動 | 高層建物に適する。速度・昇降高さに制限なし。最も一般的 |
| 油圧式 | 油圧ジャッキで直接かごを押し上げる | 低層建物向き(5〜6階程度まで)。機械室を最上階に設ける必要がない。速度が遅い |
| 機械室なしエレベーター | 巻上機を昇降路内に設置 | 屋上に機械室が不要。中低層建物で増加。ロープ式の一種 |
エレベーターの法的な要件
- 建築基準法:高さ31mを超える建築物には非常用エレベーターの設置が義務
- 非常用エレベーターは消防隊の消火活動に使用。かごの積載荷重は1,150kg以上
- エスカレーター:勾配は30度以下(踏み段の幅1.1m以下なら35度以下)
- 定期検査・報告が義務(建築基準法第12条)
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: 断路器と遮断器
「断路器は負荷電流を遮断できる」→ 不正解。断路器は無負荷の回路を開閉する装置であり、負荷電流の遮断はできません。負荷電流や短絡電流を遮断できるのは遮断器(CB)です。
ひっかけ2: 二重トラップ
「排水の臭気防止のためトラップを2つ直列に設けた」→ 不正解。二重トラップは中間の空気が密閉され排水が円滑に流れなくなるため禁止されています。トラップは1つの排水系統に1つが原則です。
ひっかけ3: 第2種換気と第3種換気の室圧
第2種換気は正圧(クリーンルーム向き)、第3種換気は負圧(厨房・トイレ向き)です。「トイレには第2種換気が適する」は不正解。臭気を外に漏らさないためには負圧にする第3種換気が適しています。
理解度チェック
【問題1】電気設備に関する記述として、誤っているものはどれですか?
(1)断路器は無負荷の回路を開閉する装置である
(2)進相コンデンサは力率を改善するために設置する
(3)D種接地工事の接地抵抗は10Ω以下である
(4)変圧器は電圧を変換する装置である
【問題2】換気設備に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)第2種換気は室内が負圧になる
(2)第3種換気は手術室に適している
(3)第1種換気は給気・排気ともに機械で行う
(4)厨房には第2種換気が適している
【問題3】エレベーターに関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)油圧式は高層建物に最も適している
(2)非常用エレベーターは高さ31mを超える建物に設置義務がある
(3)エスカレーターの勾配は45度以下と規定されている
(4)ロープ式エレベーターは5階建て以下に限定される
まとめ
この記事のポイント
- 電気設備:断路器は無負荷用、遮断器は負荷電流も遮断可。接地はA種10Ω・D種100Ω
- 給水:直結直圧(低層)→直結増圧(中層)→受水槽方式(高層)と使い分ける
- 排水:トラップは二重禁止。封水深は50〜100mm
- 空調:第2種換気=正圧(クリーンルーム)、第3種換気=負圧(厨房・トイレ)
- 消防:スプリンクラーは11階以上、連結送水管は7階以上。非常用EVは高さ31m超
- 昇降機:ロープ式が最も一般的。エスカレーターの勾配は30度以下