1級建築(第一次)

1級建築 建築材料②(鋼材・防水材・ガラス)【第一次検定の科目別解説】

建築材料②のポイント(30秒で押さえる)

  • 鋼材:SS400(一般構造用)とSN材(建築構造用)の違い。約550℃で強度が半減する
  • 鋼材の性質:炭素量が増えると強度↑だが溶接性・靱性は低下。引張強さ400N/mm²級が標準
  • 防水材:アスファルト防水・シート防水・塗膜防水・シーリング材の使い分け
  • ガラス:フロートガラス・強化ガラス・合わせガラス・複層ガラスの特徴と用途
  • 出題頻度:毎年1〜2問。鋼材は特に頻出で、防水材・ガラスも年によって出る

建築材料②では、建築材料①(セメント・骨材・コンクリート)に続いて、鋼材・防水材・ガラスを学びます。特に鋼材は施工管理の現場で日常的に扱う材料であり、1級の試験でも頻繁に出題されます。

鋼材の種類と記号

建築工事で使う主な鋼材

JIS記号 名称 特徴・用途
SS400 一般構造用圧延鋼材 最も一般的。引張強さ400〜510N/mm²。降伏点の上限規定なし
SN400B/C 建築構造用圧延鋼材 建築専用に開発。降伏点の上限・下限が規定。溶接性・靱性に優れる。耐震性が高い
SN490B/C 建築構造用圧延鋼材(高強度) 引張強さ490〜610N/mm²。大型建物・高層建物向け
SM490 溶接構造用圧延鋼材 溶接性を重視した鋼材。橋梁・プラントにも使用
STK400 一般構造用炭素鋼鋼管 仮設足場の単管パイプ(φ48.6mm)など

SN材の記号の意味(1級で頻出)

  • S = Steel、N = New(建築構造用として新たに規格化)
  • 末尾のA/B/Cは用途による区分
    • A種:溶接を行わない部材(ボルト接合のみ)
    • B種:溶接を行う部材(シャルピー衝撃試験規定あり)
    • C種:板厚方向に大きな力を受ける部材(Z方向の絞り値規定あり)
  • SS400との最大の違い:SN材は降伏点の上限が規定されている → 設計で想定した塑性変形を確実に起こせる → 耐震設計に有利

鋼材の機械的性質

鋼材の応力-ひずみ関係(引張試験)は1級で非常に重要です。

鋼材の応力-ひずみ曲線のポイント

  1. 弾性域:荷重を除くと元に戻る。この範囲の傾きがヤング係数 E = 2.05×10⁵ N/mm²
  2. 降伏点:急に伸びが大きくなる点。構造設計の基準値(許容応力度の基準
  3. ひずみ硬化域:降伏後、再び応力が上昇する
  4. 引張強さ:最大応力度。この後、くびれが生じて破断に至る

鋼材の性質に影響する要因

条件 強度・硬さ 靱性・溶接性
炭素量が増加 上昇 低下
温度が上昇(200〜300℃) 上昇(青熱脆性) 低下
温度 約550℃ 強度が半減
温度が低下(低温) 上昇 脆性破壊しやすい
板厚が増加 降伏点が低下

炭素量と性質の関係(最重要)

鋼材の炭素量が増えると引張強さ・硬さは上昇しますが、伸び・靱性・溶接性は低下します。つまり「硬いけど粘りがなく脆い」方向に変化する。建築構造用鋼材は炭素量を0.20%以下に制限して、溶接性と靱性を確保しています。

鋼材のヤング係数と熱膨張

  • ヤング係数(弾性係数):E = 2.05×10⁵ N/mm²。鋼種が変わってもヤング係数はほぼ同じ
  • 線膨張係数:約1.2×10⁻⁵/℃。コンクリートの約1×10⁻⁵/℃とほぼ同じ(RC造が成立する根拠)
  • ポアソン比:約0.3

防水材の種類と用途

防水工法の分類

工法 材料・方法 特徴
アスファルト防水 アスファルトルーフィングを積層 最も歴史が長く信頼性が高い。屋上防水の代表。熱工法・トーチ工法・常温工法がある
改質アスファルトシート防水 改質アスファルトシートをトーチバーナで融着 施工が比較的簡単。トーチ工法が主流。1〜2層で済む
シート防水 合成高分子系シート(塩ビ・ゴム系) 軽量で施工が速い。接着工法と機械的固定工法がある。下地の影響を受けにくい
塗膜防水 ウレタン系・ゴムアスファルト系の液状材料を塗布 複雑な形状に対応しやすい。継目のない防水層(シームレス)。バルコニー・便所の防水に多用
ステンレスシート防水 薄いステンレスシートを溶接接合 耐久性が非常に高い。プール・水槽・地下外壁に使用

アスファルト防水の熱工法とトーチ工法の違い

熱工法:溶融したアスファルトでルーフィングを張り付ける。臭気と煙が発生。トーチ工法:トーチバーナの火炎でシート裏面のアスファルトを溶かして張り付ける。臭気が少なく、溶融釜が不要で省スペース。近年はトーチ工法が主流です。

シーリング材

シーリング材はサッシ周り・カーテンウォール目地・外壁パネル目地などの隙間を充填して水密性・気密性を確保する材料です。

種類 特徴 主な用途
シリコーン系 耐候性・耐熱性が最も高い。塗料の付着が悪い ガラス周り
ポリウレタン系 弾性・接着性に優れる。紫外線に弱いため塗装仕上げが必要 コンクリート目地・ALC目地
変成シリコーン系 塗料の付着が良い。バランスの取れた性能 サッシ周り・外壁目地(汎用性が高い)
ポリサルファイド系 耐油性に優れる。表面に塗装可能 金属カーテンウォール目地

シーリング施工の2面接着と3面接着

ワーキングジョイント(動きのある目地)では2面接着が原則です。底面にバックアップ材を入れて3面目の接着を防ぎます。3面接着にすると目地の動きに追従できずシーリング材が切れる原因になります。「ワーキングジョイントは3面接着が良い」は不正解

建築用ガラスの種類と特徴

種類 特徴
フロートガラス(普通板ガラス) 溶融スズの上でガラスを浮かせて平板化。透明度が高い。一般窓に使用。割れると鋭い破片になる
強化ガラス フロートガラスを加熱後に急冷して表面に圧縮応力を導入。普通ガラスの3〜5倍の強度。割れると粒状の細片になり安全。切断・穴あけ加工不可
合わせガラス 2枚以上のガラスの間に中間膜(ポリビニルブチラール等)を挟んで圧着。割れても破片が飛散しない。防犯ガラス・自動車のフロントガラスに使用
複層ガラス(ペアガラス) 2枚のガラスの間に乾燥空気やアルゴンガスの中空層を設けたもの。断熱性に優れ、結露防止にも効果的
網入りガラス 金属の網が入ったガラス。火災時にガラスが脱落しにくい(飛散防止)。防火設備に使用。強度は普通ガラスと同等(強化ではない)
Low-Eガラス ガラス面に低放射率の金属膜をコーティング。複層ガラスに使用して遮熱性・断熱性をさらに高める

強化ガラスと合わせガラスの違い

どちらも「安全ガラス」ですが目的が異なります。強化ガラスは強度を高めるのが目的で、割れたときは粒状に砕ける。合わせガラスは飛散防止が目的で、割れても中間膜でつながっている。「強化ガラスは割れても破片が飛散しない」は不正解。飛散防止は合わせガラスです。

よくある間違い・ひっかけポイント

ひっかけ1: SS400とSN400の違い

「SS400とSN400は同じ性能の鋼材である」→ 不正解。SN400は建築構造用に開発され、SS400にはない降伏点の上限規定・シャルピー衝撃値の規定(B種以上)がある。耐震設計ではSN材の使用が推奨されます。

ひっかけ2: 鋼材のヤング係数

「高強度鋼はヤング係数が大きい」→ 不正解。鋼材のヤング係数は鋼種によらずほぼ一定(2.05×10⁵ N/mm²)。強度が変わっても弾性域の剛性は同じ。高強度鋼は降伏点が高いだけです。

ひっかけ3: 網入りガラスの強度

「網入りガラスは普通ガラスより強度が高い」→ 不正解。網入りガラスの強度は普通ガラスとほぼ同等か、むしろやや低い場合もあります。網の目的は火災時の脱落防止・飛散防止であり、強度向上ではありません。

理解度チェック

【問題1】建築構造用圧延鋼材(SN材)に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)SS400と同じく降伏点の上限は規定されていない
(2)B種には衝撃試験(シャルピー吸収エネルギー)の規定がある
(3)A種は溶接構造に使用する
(4)鋼種が変わるとヤング係数も変化する

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正解:(2)B種には衝撃試験(シャルピー吸収エネルギー)の規定がある
SN材のB種は溶接を行う部材に使い、シャルピー衝撃試験の規定があります。(1)SN材は降伏点の上限が規定されている(SS400との最大の違い)。(3)A種はボルト接合のみで溶接には使わない。(4)ヤング係数は鋼種によらず一定。

【問題2】シーリング材に関する記述として、誤っているものはどれですか?

(1)シリコーン系は耐候性に優れるが塗料の付着性が悪い
(2)ポリウレタン系は紫外線に弱いため塗装仕上げが必要
(3)ワーキングジョイントには3面接着が適している
(4)変成シリコーン系は塗装仕上げが可能で汎用性が高い

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正解:(3)ワーキングジョイントには3面接着が適している
ワーキングジョイント(動きのある目地)では2面接着が原則です。底面にバックアップ材を入れて3面目の接着を防ぎ、目地の動きに追従できるようにします。3面接着はノンワーキングジョイント向けです。

【問題3】建築用ガラスに関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)強化ガラスは割れても破片が飛散しない
(2)合わせガラスは加熱後に急冷して製造する
(3)網入りガラスは普通ガラスより強度が高い
(4)複層ガラスは2枚のガラスの間に中空層を設けたもので断熱性に優れる

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正解:(4)複層ガラスは2枚のガラスの間に中空層を設けたもので断熱性に優れる
複層ガラスは乾燥空気やアルゴンガスの中空層で断熱性を高めたガラスです。(1)破片が飛散しないのは合わせガラス。強化ガラスは粒状に砕けるが飛散はする。(2)加熱後急冷は強化ガラス。合わせガラスは中間膜を挟んで圧着。(3)網入りガラスの強度は普通ガラスと同等。

まとめ

この記事のポイント

  • SN材:建築構造用に開発。降伏点の上限規定あり。B種は溶接用で衝撃試験規定あり
  • 炭素量:増加→強度↑、靱性・溶接性↓。建築用は0.20%以下に制限
  • ヤング係数:鋼種によらず2.05×10⁵ N/mm²で一定。約550℃で強度半減
  • 防水工法:アスファルト防水(信頼性高)、シート防水(軽量)、塗膜防水(シームレス)
  • シーリング:ワーキングジョイントは2面接着。シリコーン系は塗料が付きにくい
  • ガラス:強化ガラスは加工不可。飛散防止は合わせガラス。網入りは防火目的

1級建築 第一次検定の科目別対策

セメント・骨材・コンクリートの知識は建築材料①で解説しています。

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