コンクリート工事のポイント(30秒で押さえる)
- 運搬:練混ぜから打込み完了まで原則90分以内(25℃以下)/60分以内(25℃超)
- 打設:1回の打込み高さは1層40〜50cm以下。コールドジョイント防止が重要
- 締固め:棒形振動機(バイブレーター)を鉛直に挿入。下層に10cm程度貫入
- 養生:湿潤養生期間はセメント種類と気温で決まる。普通セメント・15℃以上で5日以上
- 特殊コンクリート:寒中・暑中・マスコンの施工条件が1級では非常に重要
コンクリート工事は1級建築施工管理技士の第一次検定で毎年2〜3問出題される最重要テーマです。建築材料①ではコンクリートの材料面を学びましたが、ここでは施工管理の観点から、運搬・打設・養生・特殊コンクリートの要点を整理します。
コンクリートの運搬
運搬時間の制限(暗記必須)
- 練混ぜ開始から打込み完了まで:外気温25℃以下 → 120分以内
- 練混ぜ開始から打込み完了まで:外気温25℃超 → 90分以内
- これはJASS 5の規定。現場までの距離・渋滞を考慮した工場選定が必要
- トラックアジテータ(生コン車)で運搬。ドラムを回転させて材料分離を防ぐ
- 現場内ではコンクリートポンプ車(圧送)が主流。筒先(ホースの先端)を打込み位置に近づける
- 圧送前に先送りモルタルを送って配管内を潤滑にする。先送りモルタルは型枠内に打ち込まない
コンクリートの打設
打設の基本ルール
打設時の注意事項
- 1層の打込み高さ:40〜50cm以下。厚く打つと締固め不足やジャンカ(豆板)の原因
- 自由落下高さ:1.5m以下が望ましい。高すぎると材料分離を起こす
- 打重ね時間間隔:先に打ち込んだコンクリートが凝結する前に次の層を打つ。外気温25℃以下で150分以内、25℃超で120分以内
- コールドジョイント:打重ね時間を超えると、先行のコンクリートと一体化しない「冷たい継目」が発生。構造上の弱点になる
- 打込みは連続して行うのが原則。やむを得ず中断する場合は打継ぎ部として処理
打継ぎの処理
打継ぎ部の処理手順
- 先打ちコンクリートの表面のレイタンス(脆弱層)を除去する
- 表面を十分に湿潤にする(乾燥していると付着が悪い)
- 必要に応じて打継ぎ面にモルタルを敷く
- 新しいコンクリートを打ち込み、十分に締め固める
打継ぎの位置:せん断力の小さい位置に設ける。梁・スラブの打継ぎはスパンの中央付近が原則。柱・壁の打継ぎはスラブ・梁の上端または下端。
コンクリートの締固め
| 項目 | 基準・注意点 |
|---|---|
| 使用器具 | 棒形振動機(内部振動機・バイブレーター)が主。薄い壁・スラブには型枠振動機も使用 |
| 挿入方法 | 鉛直に挿入する。斜めに挿すと締固めが不均一になる |
| 挿入間隔 | 60cm以下の間隔で均等に挿入 |
| 下層への貫入 | 下層のコンクリートに10cm程度貫入させて上下層を一体化する |
| 加振時間 | 1か所あたり5〜15秒程度。表面にセメントペーストが浮き上がるのが完了の目安 |
| 引抜き | ゆっくり引き抜く。急に引き抜くと穴が残る |
締固め不足で起こる不具合
ジャンカ(豆板):骨材が露出する空隙。コールドジョイント:層間の一体化不良。空洞:型枠の隅にコンクリートが行き渡らない。いずれも構造強度と耐久性を大きく損なうため、施工管理者は締固めの状況を常に確認する必要があります。
コンクリートの養生
湿潤養生
コンクリートは水和反応で強度を発現するため、打設後に適切な温度と湿度を保つ(養生する)ことが極めて重要です。
湿潤養生期間(暗記必須)
| セメントの種類 | 15℃以上 | 10℃以上 | 5℃以上 |
|---|---|---|---|
| 早強ポルトランドセメント | 3日 | 4日 | 5日 |
| 普通ポルトランドセメント | 5日 | 7日 | 9日 |
| 混合セメントB種 | 7日 | 9日 | 12日 |
※ JASS 5の規定。気温が低いほど・反応が遅いセメントほど長い養生が必要。
養生方法
- 散水養生:コンクリート面に散水して湿潤に保つ。最も基本的な方法
- シート養生:ビニールシートで覆って水分の蒸発を防ぐ
- 膜養生(被膜養生):養生剤を塗布して水分蒸発を防ぐ。散水が困難な場所に使用
- 給熱養生:寒中コンクリートで使用。練炭・ジェットヒーター等でコンクリート温度を保つ
特殊コンクリート(1級の重要テーマ)
寒中コンクリート
寒中コンクリートの定義と対策
- 定義:日平均気温が4℃以下になることが予想される期間に施工するコンクリート
- 問題点:コンクリートが凍結すると水和反応が停止し、強度が発現しない。初期凍害が発生
- 対策:
- 練上がり温度を10〜20℃に保つ(水や骨材を加熱する。セメントは直接加熱しない)
- 打込み温度は5〜20℃の範囲
- 初期養生中はコンクリート温度を5℃以上に保つ(給熱養生・保温シート)
- AE剤・AE減水剤を使用して耐凍害性を確保
- 早強セメントの使用で初期強度を早める
暑中コンクリート
暑中コンクリートの定義と対策
- 定義:日平均気温が25℃を超えることが予想される期間に施工するコンクリート
- 問題点:水分の急激な蒸発による乾燥収縮ひび割れ。コールドジョイント発生リスク増大。スランプの低下(水分蒸発で硬くなる)
- 対策:
- 打込み温度を35℃以下に抑える
- 遅延剤を使用して凝結を遅らせ、コールドジョイントを防止
- 打込み後は直射日光・風を避けて速やかに湿潤養生を開始
- 練混ぜ水を冷やす、骨材に散水して温度を下げる
- 運搬時間を短くする(工場から現場の距離を短くする)
マスコンクリート
マスコンクリートの対策
- 定義:部材断面が大きく、セメントの水和熱による温度上昇が問題になるコンクリート(基礎スラブなど)
- 問題点:内部と表面の温度差で温度ひび割れが発生する
- 対策:
- 中庸熱・低熱セメントを使用して水和熱を低減
- 高炉セメントB種を使用(水和熱が低い)
- 単位セメント量を少なくする(フライアッシュの使用で代替)
- パイプクーリング:コンクリート内にパイプを通して冷却水を循環
- 打込み温度を低く抑える
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: 寒中コンクリートでセメントを加熱
「セメントを直接加熱して練上がり温度を上げる」→ 不正解。セメントを直接加熱すると瞬結(急速な凝結)を起こすおそれがあります。加熱するのは水と骨材です。
ひっかけ2: 暑中と寒中の混和剤
暑中コンクリートには遅延剤(凝結を遅らせてコールドジョイント防止)、寒中コンクリートには促進剤(初期強度を早める)。逆にする選択肢が頻出。「暑中コンクリートに促進剤を使う」は不正解です。
ひっかけ3: バイブレーターの挿入角度
棒形振動機は鉛直に挿入するのが原則。「振動機を斜め45度に挿入して締固めた」は不適切。斜めに挿すと締固めが不均一になり、周囲に空隙が生じるおそれがあります。
理解度チェック
【問題1】コンクリートの打設に関する記述として、誤っているものはどれですか?
(1)1層の打込み高さは40〜50cm以下とする
(2)棒形振動機は60cm以下の間隔で挿入する
(3)棒形振動機は斜めに挿入して広範囲を締め固める
(4)打重ね時間間隔は外気温25℃以下で150分以内とする
【問題2】寒中コンクリートに関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)セメントを直接加熱して練上がり温度を上げる
(2)打込み温度は5〜20℃の範囲とする
(3)遅延剤を使用して凝結時間を延ばす
(4)初期養生中のコンクリート温度は0℃以上であればよい
【問題3】湿潤養生に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)普通ポルトランドセメントで気温15℃以上の場合、湿潤養生期間は3日以上
(2)早強セメントは普通セメントより養生期間が長い
(3)混合セメントB種は普通セメントより養生期間が長い
(4)気温が高いほど養生期間は長くなる
まとめ
この記事のポイント
- 運搬時間:25℃以下=120分、25℃超=90分
- 打設:1層40〜50cm、自由落下1.5m以下。コールドジョイント防止が最重要
- バイブレーター:鉛直に挿入、60cm間隔、下層に10cm貫入、ゆっくり引抜き
- 湿潤養生:普通セメント15℃以上=5日。早強=3日。混合B種=7日
- 寒中:日平均4℃以下。水と骨材を加熱(セメントは加熱不可)。促進剤を使用
- 暑中:日平均25℃超。打込み温度35℃以下。遅延剤を使用
- マスコン:温度ひび割れ対策。低熱系セメント使用。パイプクーリング