型枠工事のポイント(30秒で押さえる)
- 型枠の役割:コンクリートを所定の形状に成形する仮設構造物
- 側圧:コンクリート打設時に型枠に作用する水平方向の圧力。打込み速さ・温度で変化
- 支保工:型枠を支える構造。パイプサポート・枠組サポートなどの種類
- 存置期間:せき板と支柱の取外し時期。コンクリート強度で判定。最も出題される数値
- 出題頻度:毎年1〜2問。存置期間の強度基準は暗記必須
型枠工事はRC造建物のコンクリートを所定の形に成形するための工事です。1級建築施工管理技士の第一次検定では、側圧の考え方と存置期間(いつ型枠を外してよいか)が頻出テーマです。
型枠の構成と材料
型枠の構成部材
型枠の基本構成
- せき板:コンクリートに直接接する板。合板(コンクリート型枠用合板)が最も一般的
- 桟木(端太):せき板を裏側から支える角材。縦端太と横端太がある
- セパレーター:向かい合う型枠の間隔を一定に保つ金物。コンクリート内に残る
- フォームタイ:セパレーターと端太を固定する金物。コンクリート打設時の側圧に抵抗
- 支保工(支柱):スラブや梁の型枠を支える。パイプサポートが一般的
型枠材料の特徴
| 材料 | 特徴 |
|---|---|
| 合板型枠 | 最も広く使用。加工が容易。コスト低い。転用回数は3〜5回程度 |
| 鋼製型枠 | 精度が高い。転用回数が多い(数十回)。重いが仕上がりが綺麗 |
| 樹脂型枠 | 軽量で転用回数が多い。特殊な形状にも対応 |
型枠に作用する荷重(側圧)
側圧の基本
コンクリートを型枠に打ち込むと、まだ固まっていないフレッシュコンクリートが液体のように型枠を押す力が生じます。これが側圧(コンクリートの側圧)です。
側圧に影響する要因
| 要因 | 側圧への影響 |
|---|---|
| 打込み速さが速い | 側圧が大きくなる(凝結前にコンクリートが溜まるため) |
| コンクリート温度が低い | 側圧が大きくなる(凝結が遅れるため液圧が長く作用する) |
| スランプが大きい | 側圧が大きくなる(流動性が高く液圧に近くなるため) |
| 打込み高さが高い | 側圧が大きくなる(液圧はヘッド高さに比例するため) |
側圧の覚え方
側圧が大きくなる条件は「コンクリートが固まりにくい条件」と覚えましょう。打込みが速い・温度が低い・スランプが大きい → コンクリートが液体の状態で溜まりやすい → 側圧が大きい。逆に凝結が進めば液圧は減少します。
型枠に作用するその他の荷重
- 鉛直荷重:コンクリートの自重+鉄筋の重量+作業荷重(作業員・機材の重量)
- 水平荷重:風荷重・地震荷重(仮設構造物にも考慮が必要)
- コンクリート打設時の衝撃荷重:バイブレーター使用時の振動荷重を含む
支保工
支保工の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| パイプサポート | 最も一般的。伸縮自在で高さ調整可能。スラブの支保工に使用。高さは3.5m以下が標準 |
| 枠組サポート(システムサポート) | 枠組足場と同様の構造。階高が高い場合に使用。パイプサポートより高い支保工が可能 |
| 鋼管枠 | 大スパンの梁・高い天井の支保工に使用。荷重が大きい場合に適する |
支保工の施工上の注意
- パイプサポートの継ぎ足し:3本以上の継ぎ足しは禁止。継ぎ足す場合はボルトまたはピンで固定
- 水平つなぎ:パイプサポートの高さが3.5mを超える場合は高さ2m以内ごとに水平つなぎを2方向に設ける
- 支保工の沈下防止:敷板・敷角を使って支保工の脚部が沈下しないようにする
せき板・支柱の存置期間(最重要テーマ)
コンクリートが十分な強度に達するまで型枠を取り外してはいけません。いつ外してよいかの基準が「存置期間」です。試験では最も問われるテーマの一つです。
せき板の取外し
せき板の取外し強度基準
| 部位 | 圧縮強度の基準 |
|---|---|
| 基礎・梁の側面・柱・壁 | 5N/mm²以上 |
| スラブ・梁の底面 | 設計基準強度の50%以上、かつ12N/mm²以上 |
なぜ部位によって基準が違うのか?
基礎・柱・壁の側面は自重による荷重がせき板にかからないため、比較的早く外せます(5N/mm²)。一方、スラブや梁の底面はコンクリートの自重を直接支えているため、十分な強度が出るまで外せません(50%以上かつ12N/mm²以上)。
支柱(支保工)の取外し
支柱の取外し強度基準
| 部位 | 圧縮強度の基準 |
|---|---|
| スラブ(スパン4m未満) | 設計基準強度の50%以上、かつ12N/mm²以上 |
| スラブ(スパン4m以上8m未満)・梁(スパン8m未満) | 設計基準強度の85%以上 |
| 梁(スパン8m以上) | 設計基準強度の100% |
存置期間の暗記ポイント
- せき板(側面):5N/mm²以上 → 比較的すぐに外せる
- せき板(底面):50%以上かつ12N/mm²以上 → 自重を支えるまで待つ
- 支柱:スパンが大きいほど厳しい → 50%→85%→100%とスパンに応じて上昇
- 圧縮強度は構造体コンクリート強度で判定(供試体の強度ではない場合がある)
よくある間違い・ひっかけポイント
ひっかけ1: 側圧とコンクリート温度
「コンクリート温度が高いほど側圧が大きくなる」→ 不正解。温度が高いとコンクリートの凝結が速くなるため、液圧として作用する時間が短くなり側圧は小さくなります。温度が低いほど側圧は大きい。
ひっかけ2: 柱の側面と梁の底面の取外し強度
柱の側面のせき板は5N/mm²以上で外せますが、梁の底面のせき板は設計基準強度の50%以上かつ12N/mm²以上。この2つを混同する出題が非常に多い。「梁の底面のせき板は5N/mm²以上で外せる」は不正解です。
ひっかけ3: パイプサポートの継ぎ足し
「パイプサポートを4本継ぎ足して使用した」→ 不正解。パイプサポートの継ぎ足しは3本以上は禁止(2本までが限度)。継ぎ足す場合はボルトまたはピンで確実に固定します。
理解度チェック
【問題1】コンクリートの側圧に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)コンクリート温度が高いほど側圧は大きくなる
(2)打込み速さが速いほど側圧は大きくなる
(3)スランプが小さいほど側圧は大きくなる
(4)打込み高さは側圧に影響しない
【問題2】型枠の存置期間に関する記述として、正しいものはどれですか?
(1)柱の側面のせき板は圧縮強度10N/mm²以上で取り外せる
(2)梁の底面のせき板は圧縮強度5N/mm²以上で取り外せる
(3)スラブ下の支柱はスパンに関係なく設計基準強度の50%以上で取り外せる
(4)梁の底面のせき板は設計基準強度の50%以上かつ12N/mm²以上で取り外せる
【問題3】支保工に関する記述として、誤っているものはどれですか?
(1)パイプサポートの高さが3.5mを超える場合は水平つなぎを設ける
(2)パイプサポートは4本まで継ぎ足して使用できる
(3)支保工の脚部には沈下防止のため敷板を使用する
(4)スパン8m以上の梁の支柱は設計基準強度の100%で取り外す
まとめ
この記事のポイント
- 側圧:打込み速さが速い・温度が低い・スランプが大きい → 側圧が大きくなる
- せき板(側面)の取外し:5N/mm²以上
- せき板(底面)の取外し:設計基準強度の50%以上かつ12N/mm²以上
- 支柱の取外し:スパンに応じて50%→85%→100%と厳しくなる
- パイプサポート:継ぎ足しは2本まで。3.5m超は水平つなぎ必要
- 型枠の合板は転用3〜5回。鋼製型枠は転用回数が多い