1級建築(第一次)

1級建築 各種構造②(木造・基礎構造・地盤)【第一次検定の科目別解説】

各種構造②のポイント(30秒で押さえる)

  • 木造:在来軸組工法(柱・梁)と枠組壁工法(面で支える2×4)。CLT(直交集成板)は1級の新テーマ
  • 基礎構造:直接基礎(独立・布・べた)と杭基礎(支持杭・摩擦杭)。1級では場所打ち杭の工法比較が頻出
  • 地盤:N値で地盤の強さを判定。液状化は緩い砂質土+地下水位高+地震の3条件で発生
  • 出題頻度:毎年2〜3問。木造・基礎・地盤のいずれかが必ず出る
  • 2級との違い:CLTの追加、杭基礎の工法詳細、液状化のメカニズムが深くなる

各種構造②では、各種構造①(RC造・S造・SRC造)に続いて、木造・基礎構造・地盤を学びます。1級建築施工管理技士の第一次検定では毎年2〜3問が出題される重要分野です。

2級でも木造と基礎構造は出題されますが、1級ではCLT(直交集成板)が新たに加わり、杭基礎の施工法もより細かく問われます。この記事では、試験で問われるポイントを整理しながら、現場でのイメージもつかめるように解説します。

木造の構法

木造は大きく分けて在来軸組工法枠組壁工法(2×4工法)の2つがあります。1級ではこの2つの比較問題に加え、近年注目されているCLT(直交集成板)の出題も増えています。

在来軸組工法の特徴

在来軸組工法は、柱・梁・筋かいなどの「軸組」で建物を支える日本の伝統的な構法です。

在来軸組工法のしくみ

  • 土台・柱・梁・桁・小屋組で骨組みを構成する
  • 接合部は仕口(2つ以上の部材が交差する部分)継手(同一方向の部材を延長する部分)で組む
  • 耐力壁は筋かい(たすき掛け・片掛け)や構造用合板を張って確保する
  • 金物(ホールダウン金物・かど金物・羽子板ボルト等)で接合部を補強する
  • 間取りの自由度が高いのが最大のメリット。増改築もしやすい

枠組壁工法(2×4工法)の特徴

枠組壁工法は、規格化された枠組材(2インチ×4インチなど)と構造用合板で壁・床・屋根を「面」で構成する北米由来の構法です。

枠組壁工法のしくみ

  • 2×4材(38mm×89mm)や2×6材(38mm×140mm)を枠組みし、構造用合板を釘打ちする
  • 壁・床・屋根がダイアフラム(面材)として一体化し、荷重を面全体で受ける
  • プラットフォーム工法:1階床→1階壁→2階床→2階壁の順に組み立てる
  • 気密性・断熱性に優れる(面で囲むため隙間ができにくい)
  • 工場でパネル化すれば上棟が早い
  • 壁で荷重を受けるため、大きな開口部を設けにくいのがデメリット

在来軸組と枠組壁工法の比較

比較項目 在来軸組工法 枠組壁工法(2×4)
構造の考え方 柱・梁(軸)で支持 壁・床・屋根(面)で支持
間取りの自由度 高い 制約あり
開口部 大きく取りやすい 壁量確保のため制限あり
気密性・断熱性 やや劣る(対策必要) 優れる
耐力壁 筋かい・構造用合板 合板を張った壁そのもの
増改築 しやすい 壁を抜きにくい
施工速度 やや遅い パネル化で速い

試験で狙われるポイント

「枠組壁工法は間取りの自由度が高い」→ 不正解。枠組壁工法は壁で荷重を支えるため、壁を抜いたり大きな開口部を設けたりしにくい。間取りの自由度が高いのは在来軸組工法の特徴です。

CLT(直交集成板)— 1級の新テーマ

CLT(Cross Laminated Timber)は、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように積層接着した大判パネルです。2016年に建築基準法告示で一般的な設計法が規定され、近年の1級試験でも出題が増えています。

CLTのポイント

  • 構造:ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように奇数層(3層・5層・7層など)積層接着
  • 繊維を直交させる理由:木材は繊維方向に強く繊維直交方向に弱い。直交配置で両方向の強度を確保し、寸法安定性も向上
  • 用途:壁・床・屋根に使用。RC造の構造体を木造に置き換えられる
  • メリット:RC造の約1/5の軽さ → 基礎の負担軽減。工期短縮(パネルを組み立てるだけ)。カーボンニュートラル(CO₂を固定)
  • 適用規模:中高層建物にも対応可能。国内では10階建て以上の事例もある

CLTと集成材の違い

集成材はラミナを繊維方向が平行になるように積層接着したもの。柱や梁に使います。一方、CLTはラミナを繊維方向が直交するように積層接着した面材。壁や床に使います。試験では「集成材=繊維平行」「CLT=繊維直交」と整理しておきましょう。

木材の基本性質(試験頻出)

木造全般に関連して、木材そのものの性質も出題されます。

  • 繊維飽和点:含水率約30%。これ以下になると収縮が始まる(強度は増加)
  • 気乾含水率:約15%。構造用木材はこの状態が望ましい
  • 強度の順序(繊維方向):圧縮強度 > 曲げ強度 > 引張強度 > せん断強度
  • 繊維方向と直交方向:繊維方向の強度は直交方向の数倍〜数十倍
  • 含水率が低いほど強度は高くなる(繊維飽和点以下の範囲で)

基礎構造

基礎構造は、建物の荷重を地盤に伝える重要な部分です。大きく直接基礎杭基礎に分かれます。1級では杭基礎の出題が特に多く、各工法の違いを正確に理解する必要があります。

直接基礎の種類と特徴

直接基礎は、建物の荷重を基礎底面から直接地盤に伝える方式です。地盤の支持力が十分に大きい場合に採用します。

種類 特徴
独立フーチング基礎 柱1本ごとに独立した基礎を設ける。柱間隔が広い場合に有利。接地圧の計算が単純
布基礎(連続フーチング基礎) 壁下や柱下に連続して設ける帯状の基礎。木造住宅で多く採用。不同沈下を抑えやすい
べた基礎 建物全面を1枚の基礎スラブで覆う。接地面積が大きいため接地圧が小さくなる。地耐力が小さい地盤に有効。防湿効果もある
複合フーチング基礎 隣接する2本以上の柱を1つのフーチングで支える。柱間隔が狭い場合や偏心荷重への対策として使用

直接基礎の選定ポイント

直接基礎を使えるかどうかは地盤の許容支持力で決まります。建物の接地圧が地盤の許容支持力を超えてはいけません。超える場合は基礎底面積を広げる(べた基礎にする)か、杭基礎に切り替えます。

杭基礎の分類

杭基礎は、地表付近の地盤が軟弱な場合に、杭を通じて深い地盤に荷重を伝える方式です。1級では特に詳しく出題されます。

支持方式による分類

  • 支持杭:杭先端を硬い支持層(N値50以上が目安)に到達させる。先端支持力が主体。沈下量が小さい
  • 摩擦杭:支持層が非常に深い場合に採用。杭周面の摩擦力で支持する。先端は支持層に達していなくてもよい

杭の種類による分類

  • 既製杭:工場で製造した杭を現場に運んで施工する
    • PHC杭(プレストレスト高強度コンクリート杭):PC鋼材でプレストレスを導入。曲げ耐力が高い
    • SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭):鋼管の外殻にコンクリートを充填。曲げと衝撃に強い
    • 鋼管杭:鋼管のみ。大きな水平力や鉛直力に対応可能
  • 場所打ちコンクリート杭:現場で地盤を掘削し、鉄筋かごを挿入してコンクリートを打設する

既製杭の施工法

施工法 概要 特徴
打込み工法 ハンマで杭を打ち込む 支持力の確認が容易。騒音・振動が大きいため市街地では困難
プレボーリング拡大根固め工法 先行掘削→根固め液注入→杭を沈設 低騒音・低振動。セメントミルクで先端を固める。市街地向き
中掘り工法 杭の中空部にオーガを通し、掘削しながら杭を沈設 杭と掘削を同時に進められる。先端処理方法でセメントミルク噴出撹拌方式やコンクリート打設方式がある

場所打ちコンクリート杭の工法(1級頻出)

場所打ち杭は現場で掘削→鉄筋かご建込み→コンクリート打設の順で施工します。1級では各工法の孔壁保護方式と特徴の違いが頻出です。

工法 孔壁保護 特徴
オールケーシング工法 鋼管ケーシングを揺動・圧入 孔壁崩壊の心配が最も少ない。ケーシング引抜き時のコンクリートの共上がりに注意
アースドリル工法 安定液(ベントナイト液) 大口径の施工が可能。安定液の比重管理が重要。施工速度が速い。国内で最も多く採用
リバースサーキュレーション工法 孔内水位を地下水位より高く保つ(水頭圧) 大深度・大口径に適する。掘削土砂を泥水とともに吸い上げて排出(逆循環)

ひっかけ:安定液を使うのはどれ?

安定液(ベントナイト液)で孔壁を保護するのはアースドリル工法です。オールケーシング工法は鋼管ケーシングで保護するため安定液は原則不要。リバースサーキュレーション工法は孔内水位の水頭圧で保護します。「リバース工法は安定液で孔壁を保護する」は不正解です。

負の摩擦力(ネガティブフリクション)

1級で新たに出題されるテーマです。

負の摩擦力とは?

通常、杭周面の摩擦力は建物を支える方向(上向き)に働きます。しかし、杭の周囲の地盤が圧密沈下する場合、地盤が杭を引きずり下ろす方向(下向き)の摩擦力が発生します。これが負の摩擦力(ネガティブフリクション)です。

  • 杭の軸力が増大するため、杭の耐力や支持層の支持力を超えないか確認が必要
  • 発生しやすい条件:軟弱な粘性土層を貫通して支持層に達する杭で、周囲に盛土や地下水位低下がある場合
  • 対策:杭周面にアスファルト等の摩擦低減材を塗布する方法がある

地盤

基礎構造と密接に関連する「地盤」についても、1級では深く問われます。特にN値の意味液状化現象は頻出テーマです。

地盤の種類と性質

地盤の種類 粒径 特徴
礫質土 2mm以上 排水性が最も良い。支持力が大きい
砂質土 0.075〜2mm 排水性良好。N値と強度の相関が良い。液状化の対象
シルト 0.005〜0.075mm 砂と粘土の中間的な性質。保水性がやや高い
粘性土(粘土) 0.005mm以下 排水性が低い。圧密沈下が生じやすい。長期的な沈下に注意

N値の意味と活用

N値は標準貫入試験で測定する地盤の硬さの指標です。試験方法と判定基準を正確に覚えましょう。

標準貫入試験の手順

  1. ボーリング孔底にサンプラー(標準貫入試験用試料採取器)を設置
  2. 質量63.5kgのハンマを76cmの高さから自由落下させる
  3. サンプラーを30cm貫入させるのに要する打撃回数がN値

N値が大きいほど地盤は硬い。50回打撃しても30cm貫入しない場合はN値≥50と判定し、支持層として扱う。

N値の目安 砂質土の判定 粘性土の判定
0〜4 非常に緩い 非常に軟らかい
5〜10 緩い 軟らかい〜中位
11〜30 中位の密度 硬い
30以上 密実〜非常に密実 非常に硬い
50以上 支持層として扱える

液状化現象のメカニズムと対策

液状化現象は1級試験で非常に重要なテーマです。メカニズムから対策まで正確に理解しましょう。

液状化とは?

地震の振動によって緩い砂地盤が液体のように振る舞う現象です。地中の砂粒子が振動で詰まろうとすると、間隙の水に圧力がかかり(過剰間隙水圧)、砂粒子間の有効応力がゼロになって砂が水に浮いた状態になります。

液状化が発生する3つの条件を正確に覚えましょう。

条件1

緩い砂質土
(N値が小さい)

条件2

地下水位が高い
(飽和状態)

条件3

地震の振動
(繰返しせん断力)

さらに液状化しやすい砂の特徴も出題されます。

  • 均等係数(Uc = D₆₀/D₁₀)が小さい:粒径が揃っている砂ほど液状化しやすい。粒径がバラバラだと隙間が詰まりにくいため液状化しにくい
  • 細粒分含有率が低い:粘土分が少ない砂は粒子間の粘着力が弱く液状化しやすい
  • 相対密度が小さい(緩い):密実な砂は液状化しにくい

液状化の対策工法

対策の方向性 工法 原理
密度を増す サンドコンパクションパイル工法 砂杭を圧入して地盤を締め固める
排水を促す グラベルドレーン工法 砕石柱で過剰間隙水圧を速やかに消散させる
固結する 深層混合処理工法 セメント系固化材を混合して地盤を固化
地下水位を下げる ディープウェル工法 揚水して地下水位を下げ飽和状態を解消

よくある間違い・ひっかけポイント

ひっかけ1: 木造の強度の順序

木材の繊維方向の強度は「圧縮 > 曲げ > 引張 > せん断」です。「引張が最も強い」は不正解。鉄筋は引張に強いですが、木材は圧縮に最も強いので混同しないようにしましょう。

ひっかけ2: 液状化と粘性土

液状化が発生するのは砂質土です。「粘性土で液状化が発生する」は不正解。粘性土は粒子間の粘着力が大きいため、振動を受けても粒子構造が崩れにくく、液状化しません。

ひっかけ3: 場所打ち杭と安定液

安定液(ベントナイト液)を使うのはアースドリル工法。オールケーシング工法はケーシング(鋼管)で孔壁を保護し、リバースサーキュレーション工法は水頭圧で保護します。3工法の孔壁保護方法は確実に区別しましょう。

理解度チェック

【問題1】枠組壁工法(2×4工法)の特徴として、誤っているものはどれですか?

(1)壁・床・屋根を面材で構成し、荷重を面全体で受ける
(2)在来軸組工法に比べて間取りの自由度が高い
(3)気密性・断熱性に優れる
(4)パネル化すれば施工速度を上げられる

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正解:(2)在来軸組工法に比べて間取りの自由度が高い
枠組壁工法は壁で荷重を受けるため、壁を抜いたり大きな開口部を設けたりしにくく、間取りの自由度は在来軸組工法より低い。(1)面材で荷重を受けること、(3)気密性・断熱性に優れること、(4)パネル化で施工速度を上げられることは正しい特徴です。

【問題2】場所打ちコンクリート杭のうち、安定液(ベントナイト液)で孔壁を保護する工法はどれですか?

(1)オールケーシング工法
(2)アースドリル工法
(3)リバースサーキュレーション工法
(4)中掘り工法

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正解:(2)アースドリル工法
アースドリル工法は安定液(ベントナイト液)で孔壁を保護します。オールケーシング工法は鋼管ケーシング、リバースサーキュレーション工法は孔内水位の水頭圧で孔壁を保護します。中掘り工法は既製杭の施工法で場所打ち杭ではありません。

【問題3】液状化現象に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)粘性土地盤で発生しやすい
(2)均等係数が大きい砂ほど液状化しやすい
(3)地下水位が高い緩い砂質地盤で地震時に発生する
(4)密実な砂地盤ほど液状化しやすい

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正解:(3)地下水位が高い緩い砂質地盤で地震時に発生する
液状化は「緩い砂質土」「高い地下水位」「地震動」の3条件で発生します。(1)粘性土では発生しません。(2)均等係数が小さい(粒径が揃っている)砂ほど液状化しやすい。(4)密実な砂は液状化しにくい

まとめ

この記事のポイント

  • 在来軸組工法:柱・梁で支持。間取りの自由度が高い。増改築しやすい
  • 枠組壁工法:面で支持。気密・断熱に優れるが大開口が取りにくい
  • CLT:ラミナを繊維直交で積層。1級の新テーマ。RC造代替の面材
  • 直接基礎:地盤に直接荷重を伝える。べた基礎は接地圧を小さくできる
  • 杭基礎:軟弱地盤に対応。場所打ち杭は3工法の孔壁保護方式の違いを整理
  • N値:63.5kgを76cmから落下、30cm貫入の打撃回数。50以上で支持層
  • 液状化:緩い砂質土+地下水位高+地震。均等係数が小さい砂ほど危険

1級建築 第一次検定の科目別対策

構造力学の解法や建築材料の特性も合わせて学習しましょう。

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