1級建築(第一次)

1級建築 建築材料①(セメント・骨材・コンクリート)【第一次検定の科目別解説】

建築材料①のポイント(30秒で押さえる)

  • セメント:普通ポルトランドセメントが基本。早強・中庸熱・低熱などの特徴を整理
  • 骨材:細骨材(5mm以下)と粗骨材(5mm超)。アルカリシリカ反応の対策が頻出
  • コンクリート:水セメント比(W/C)が小さいほど強度↑・耐久性↑。配合設計の考え方を理解
  • 混和材料:AE剤・減水剤・フライアッシュ・高炉スラグなどの効果を整理
  • 出題頻度:毎年2〜3問。セメント・骨材・コンクリートは出ない年がない最重要テーマ

建築材料のうちセメント・骨材・コンクリートは、1級建築施工管理技士の第一次検定で毎年必ず出題される最重要テーマです。2級でも出題されますが、1級ではセメントの種類の使い分けや、混和材料の種類と効果がより細かく問われます。

鋼材・防水材・ガラスについては「建築材料②」で解説します。

セメントの種類と特徴

ポルトランドセメントの種類

ポルトランドセメントは建築工事で最も広く使われるセメントです。1級では各種類の特徴と適切な使い分けが問われます。

種類 特徴 主な用途
普通 最も一般的。標準的な強度発現速度 一般的な建築工事全般
早強 初期強度の発現が早い。3日で普通の7日強度に達する 寒中コンクリート、工期短縮、緊急工事
超早強 早強よりさらに初期強度が高い。1日で普通の3日強度に達する 緊急補修、プレキャスト製品
中庸熱 水和熱がやや低い。長期強度が高い ダム・大型基礎などマスコンクリート
低熱 水和熱が最も低い。強度発現は遅いが長期強度は高い 大規模なマスコンクリート
耐硫酸塩 硫酸塩による化学的侵食に強い 温泉地・海水・下水施設

水和熱と強度発現の関係

セメントが水と反応(水和)するときに発生する熱が水和熱です。水和熱が高い=反応が速い=初期強度が高い。逆に水和熱が低い=反応が遅い=初期強度は低いが長期強度は高くなる。「早強→普通→中庸熱→低熱」の順に水和熱が低くなると覚えましょう。

混合セメント

ポルトランドセメントに混和材を混合したセメントです。1級では種類と効果の違いを問う問題が出ます。

種類 混合する材料 特徴
高炉セメント 高炉スラグ微粉末 耐海水性・耐薬品性に優れる。水和熱が低い。アルカリシリカ反応の抑制効果あり
フライアッシュセメント フライアッシュ(石炭灰) ワーカビリティー向上。水和熱低減。長期強度増進。乾燥収縮が小さい
シリカセメント シリカ質混合材 水密性が高い。初期強度はやや低い

骨材の品質

骨材はコンクリートの体積の約70%を占める重要な材料です。品質が悪いとコンクリート全体の品質に直結します。

細骨材と粗骨材

骨材の分類

  • 細骨材:10mmふるいを全部通り、5mmふるいを質量で85%以上通る骨材(砂)
  • 粗骨材5mmふるいに質量で85%以上とどまる骨材(砂利・砕石)
  • 粗骨材の最大寸法:一般の建築工事では20mmまたは25mmが標準

骨材の品質に関する数値(試験頻出)

品質項目 細骨材 粗骨材
絶乾密度 2.5g/cm³以上 2.5g/cm³以上
吸水率 3.0%以下 3.0%以下
塩化物量(NaCl換算) 0.04%以下
有機不純物 標準色液より淡いこと

アルカリシリカ反応(ASR)

アルカリシリカ反応は1級で非常に重要なテーマです。

アルカリシリカ反応とは?

セメント中のアルカリ成分と骨材中の反応性シリカ鉱物が反応して、アルカリシリカゲルが生成。このゲルが水分を吸収して膨張し、コンクリートにひび割れを生じさせる現象です。

アルカリシリカ反応の対策(3つの方法)

  • 対策1:「無害」と判定された骨材を使用する
  • 対策2:コンクリートのアルカリ総量を3.0kg/m³以下に抑える
  • 対策3高炉セメントB種フライアッシュセメントB種など、抑制効果のある混合セメントを使用する

コンクリートの性質と配合

フレッシュコンクリートの性質

まだ固まっていないコンクリート(フレッシュコンクリート)の品質を表す用語を整理します。

用語 意味
ワーカビリティー 打込み・締固めなどの作業のしやすさの総合的な評価
コンシステンシー 水量の多少による軟らかさの程度。スランプで数値化する
材料分離 骨材とモルタルが分離する現象。スランプが大きすぎると発生しやすい
ブリーディング 打設後に練混ぜ水がコンクリート表面に浮き上がる現象。上面に脆弱層(レイタンス)が形成される

スランプとスランプフロー

スランプはスランプコーンを引き上げた後の下がり量(cm)で測定します。値が大きいほど軟らかい。一般的な建築工事では18cm程度。スランプフローは高流動コンクリートに使用し、広がりの直径(cm)で測定します。

水セメント比(W/C)と強度の関係

コンクリートの品質を決める最も重要な要素が水セメント比(W/C)です。

水セメント比の基本原則

  • W/Cが小さいほど(水が少ないほど)→ 強度が高い・耐久性が高い・水密性が高い
  • W/Cが大きいほど(水が多いほど)→ 強度が低い・耐久性が低い・ひび割れしやすい
  • ただし、W/Cを小さくしすぎるとワーカビリティーが悪化する
  • そのため減水剤やAE減水剤で水を減らしつつワーカビリティーを確保する

建築基準法施行令では、構造体コンクリートの水セメント比の最大値は65%と定められています(軽量コンクリートは60%)。

コンクリートの耐久性を低下させる要因

  • 中性化:空気中のCO₂がコンクリート内部に浸透し、pHが低下して鉄筋が錆びやすくなる。W/Cが大きいほど中性化が速い
  • 塩害:塩化物イオンが鉄筋位置まで浸透し、不動態被膜を破壊して錆びを発生。コンクリート中の塩化物量は0.30kg/m³以下
  • 凍害:コンクリート中の水分が凍結・融解を繰り返して劣化。AE剤でエントレインドエアを連行して対策
  • アルカリシリカ反応:前述のとおり

混和材料

混和材料はコンクリートの性質を改善するために添加する材料です。混和剤(少量で効果)混和材(大量に使用)に分かれます。

混和剤(化学混和剤)

種類 効果
AE剤 微細なエントレインドエア(独立した気泡)を連行。ワーカビリティー向上・凍結融解抵抗性向上。ただし強度はやや低下
減水剤 セメント粒子を分散させて流動性を向上。同じスランプでW/Cを小さくできる=強度向上
AE減水剤 AE剤と減水剤の両方の効果。最も広く使用される混和剤
高性能AE減水剤 AE減水剤より減水効果が大きい。高強度コンクリートや高流動コンクリートに使用
促進剤 初期の強度発現を促進。寒中コンクリートに使用。塩化物を含むものは鉄筋コンクリートに使用不可
遅延剤 凝結を遅らせる。暑中コンクリートのコールドジョイント防止に使用

混和材

種類 効果
フライアッシュ 石炭灰の微粉末。ワーカビリティー向上・水和熱低減・長期強度増進。ポゾラン反応で緻密化
高炉スラグ微粉末 製鉄の副産物。耐海水性・耐薬品性向上。水和熱低減。アルカリシリカ反応の抑制
シリカフューム 超微粒子のシリカ。超高強度コンクリートに使用。充填効果で組織を緻密化
膨張材 コンクリートに膨張性を付与。乾燥収縮によるひび割れを低減

混和「剤」と混和「材」の違い

混和剤はセメント質量の1%未満の少量で効果を発揮する薬品(AE剤・減水剤など)。混和材はセメント質量の5%以上を使用する粉末状の材料(フライアッシュ・高炉スラグなど)。試験では両者を混同させる選択肢が出るので注意。

よくある間違い・ひっかけポイント

ひっかけ1: AE剤と強度

「AE剤を使用するとコンクリートの強度が向上する」→ 不正解。AE剤は微細な気泡を連行するため、ワーカビリティーと耐凍害性は向上しますが、空気量が増えるため圧縮強度はやや低下します。空気量1%増加で強度は約4〜6%低下。

ひっかけ2: W/Cとワーカビリティー

「水セメント比を小さくすれば全ての性能が向上する」→ 不正解。W/Cを小さくすると強度・耐久性は向上しますが、ワーカビリティーは悪化します。だからこそ減水剤で水を減らしつつ流動性を確保するのです。

ひっかけ3: 早強セメントと水和熱

早強セメントは初期強度が高い=水和反応が速い=水和熱が高い。マスコンクリートに早強セメントを使うと温度ひび割れのリスクが高まります。マスコンクリートには中庸熱・低熱セメントを使うのが正解。

理解度チェック

【問題1】アルカリシリカ反応の抑制対策として、誤っているものはどれですか?

(1)「無害」と判定された骨材を使用する
(2)コンクリートのアルカリ総量を3.0kg/m³以下にする
(3)早強ポルトランドセメントを使用する
(4)高炉セメントB種を使用する

解答を見る

正解:(3)早強ポルトランドセメントを使用する
早強ポルトランドセメントにはアルカリシリカ反応の抑制効果はありません。抑制効果があるのは高炉セメントB種やフライアッシュセメントB種です。(1)無害骨材の使用、(2)アルカリ総量の制限、(4)高炉セメントB種の使用は全て有効な対策です。

【問題2】コンクリートの水セメント比(W/C)に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)W/Cが大きいほど圧縮強度が高くなる
(2)W/Cが小さいほど中性化の速度が速くなる
(3)W/Cが小さいほど耐久性が高くなる
(4)構造体コンクリートのW/Cの最大値は75%である

解答を見る

正解:(3)W/Cが小さいほど耐久性が高くなる
W/Cが小さい=水が少ない=コンクリート組織が緻密 → 強度・耐久性・水密性が向上。(1)強度はW/Cが小さいほど高い。(2)中性化はW/Cが大きいほど速い。(4)最大値は65%(軽量コンクリートは60%)。

【問題3】混和剤に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)AE剤は圧縮強度を向上させる効果がある
(2)減水剤は同じスランプで水セメント比を小さくできる
(3)促進剤は暑中コンクリートに使用する
(4)遅延剤は寒中コンクリートに使用する

解答を見る

正解:(2)減水剤は同じスランプで水セメント比を小さくできる
減水剤はセメント粒子を分散させて流動性を上げるため、水を減らしてもワーカビリティーを維持できます。(1)AE剤は気泡を連行するため強度はやや低下。(3)促進剤は寒中コンクリート用。(4)遅延剤は暑中コンクリート用。促進剤と遅延剤の季節を逆にするひっかけは頻出です。

まとめ

この記事のポイント

  • セメント:早強→普通→中庸熱→低熱の順に水和熱が低い。マスコンには低熱系を使用
  • 骨材:細骨材は5mm以下、粗骨材は5mm超。ASR対策はアルカリ総量3.0kg/m³以下
  • W/C:小さいほど強度↑・耐久性↑。ただしワーカビリティーは悪化する
  • AE剤:凍結融解抵抗性を向上するが強度はやや低下
  • 減水剤:W/Cを下げつつワーカビリティーを確保。最も広く使われる混和剤
  • 促進剤は寒中、遅延剤は暑中コンクリートに使う — 逆にしないこと

1級建築 第一次検定の科目別対策

鋼材・防水材・ガラスについては建築材料②で解説しています。

-1級建築(第一次)