1級建築(第一次)

1級建築 防水工事・シーリング工事【第一次検定の科目別解説】

防水工事・シーリング工事のポイント(30秒で押さえる)

  • アスファルト防水:熱工法(溶融アスファルト)とトーチ工法(バーナー融着)。最も実績が長い
  • シート防水:合成高分子系シート。接着工法と機械的固定工法(下地の影響を受けにくい)
  • 塗膜防水:ウレタン系が主流。シームレス(継目なし)で複雑な形状に対応
  • シーリング:ワーキングジョイントは2面接着。プライマー塗布→充填→ヘラ仕上げ
  • 出題頻度:毎年1〜2問。防水工法の比較とシーリング施工の基本が頻出

防水工事は建物の雨漏りを防ぐ最重要工事の一つです。1級建築施工管理技士の第一次検定では、各防水工法の施工手順と使い分けシーリング材の施工管理が出題されます。材料としての特徴は「建築材料②」で解説しましたが、ここでは施工の観点から整理します。

アスファルト防水

熱工法(従来工法)

熱工法の施工手順

  1. 下地処理:コンクリート面の乾燥確認、突起・不陸の補修
  2. プライマー塗布:下地とアスファルトの接着性を高める
  3. 溶融アスファルトを溶融釜で220〜270℃に加熱して溶融
  4. ルーフィングの張付け:溶融アスファルトを流しながらルーフィングを張り重ねる(2〜4層)
  5. 保護層の施工:コンクリート押え・砂利敷き・断熱材など

トーチ工法

改質アスファルトシートの裏面をトーチバーナーの火炎で溶融させて張り付ける工法です。溶融釜が不要で省スペース・臭気が少ないのが特徴。近年主流になっています。

常温工法(冷工法)

常温で液状のアスファルト(改質アスファルト系接着剤)を使って張り付ける工法。火気を使用しないため、改修工事や屋内防水に適しています。

防水層の構成と施工上の注意

項目 基準・注意点
下地の乾燥 コンクリートの含水率が8%以下であることを確認してから施工
立上り高さ 防水層の立上りは250mm以上(仕上げ面から)
ルーフィングの重ね幅 長手方向・幅方向ともに100mm以上
入隅・出隅の処理 入隅部は増張り(補強のためストレッチルーフィングを追加)。出隅部は三角面取りまたは丸面取り
排水勾配 屋上の排水勾配は1/100〜1/50程度。水たまりは防水層の劣化原因

シート防水(合成高分子系シート防水)

工法 特徴
接着工法 接着剤でシートを下地に全面接着。密着性が高い。下地の動き(ひび割れ等)の影響を受けやすい
機械的固定工法 ディスク状の固定金具で部分的に固定し、シートは下地に接着しない。下地の状態に左右されにくい。改修工事に最適

機械的固定工法のメリット

改修工事では既存の防水層を撤去せずにその上から施工できるため、工期短縮・コスト低減・廃棄物削減が可能です。下地のひび割れや含水の影響も受けにくい。1級では「改修工事に適した防水工法」として出題されます。

塗膜防水

塗膜防水の特徴

  • 主材料:ウレタンゴム系が最も多い。ゴムアスファルト系もある
  • 最大のメリットシームレス(継目なし)の防水層が形成できる
  • 複雑な形状に対応しやすい(配管貫通部・屋上パラペットの出入隅など)
  • 施工:プライマー→主材(複数回塗布)→トップコート(紫外線保護)
  • 適用場所:バルコニー・屋上(小面積)・便所の床・浴室周りなど
  • 注意点:膜厚管理が重要。塗りムラがあると薄い部分から劣化する

シーリング工事の施工管理

シーリング施工の手順

施工手順

  1. 目地の清掃:ゴミ・油分・水分を除去
  2. バックアップ材の挿入:目地の底面に挿入して3面接着を防止(ワーキングジョイントの場合)
  3. マスキングテープ貼り:目地の両側にテープを貼って仕上がりラインを確保
  4. プライマー塗布:接着面にプライマーを塗って接着力を確保。塗布後の指定オープンタイムを守る
  5. シーリング材の充填:ガンで目地の片側から充填し、空気を巻き込まないように押し込む
  6. ヘラ仕上げ:ヘラで押さえて密着させ、表面を整える
  7. マスキングテープ除去:シーリング材が硬化する前にテープを剥がす

2面接着と3面接着

2面接着(ワーキングジョイント)

  • 動きのある目地(外壁パネル目地、サッシ周りなど)
  • 底面にバックアップ材を入れて両側面のみ接着
  • 目地の動きにシーリング材が追従できる

3面接着(ノンワーキングジョイント)

  • 動きのない目地(打継ぎ目地など)
  • 底面も含めて3面を接着
  • ワーキングジョイントに3面接着するとシーリング材が切れる

よくある間違い・ひっかけポイント

ひっかけ1: マスキングテープの除去タイミング

「シーリング材が完全に硬化してからマスキングテープを除去する」→ 不正解。硬化後に剥がすとシーリング材も一緒に引っ張られて剥がれます。テープは硬化する前に除去するのが正解です。

ひっかけ2: 機械的固定工法の接着

「機械的固定工法はシートを下地に全面接着する」→ 不正解。機械的固定工法はディスク金具で部分固定し、シートは下地に接着しません。全面接着するのは接着工法です。

ひっかけ3: 防水層の立上り高さ

防水層の立上りは仕上げ面から250mm以上。「立上り高さは100mmでよい」は不正解。立上りが不足すると、雨水が防水層の上端を越えて浸入する原因になります。

理解度チェック

【問題1】アスファルト防水の施工に関する記述として、誤っているものはどれですか?

(1)下地コンクリートは十分に乾燥させてから施工する
(2)ルーフィングの重ね幅は100mm以上とする
(3)入隅部にはストレッチルーフィングの増張りを行う
(4)防水層の立上りは仕上げ面から100mm以上とする

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正解:(4)防水層の立上りは仕上げ面から100mm以上とする
防水層の立上りは250mm以上が正しい。100mmでは不足です。(1)下地の乾燥確認、(2)重ね幅100mm以上、(3)入隅の増張りはいずれも正しい。

【問題2】シーリング工事に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)ワーキングジョイントには3面接着が適している
(2)マスキングテープはシーリング材が硬化してから除去する
(3)プライマー塗布後は指定のオープンタイムを守って充填する
(4)バックアップ材はノンワーキングジョイントに使用する

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正解:(3)プライマー塗布後は指定のオープンタイムを守って充填する
プライマーには乾燥に必要なオープンタイムがあり、これを守らないと接着不良になります。(1)ワーキングは2面接着。(2)テープは硬化前に除去。(4)バックアップ材はワーキングジョイントに使用。

【問題3】シート防水に関する記述として、正しいものはどれですか?

(1)機械的固定工法はシートを下地に全面接着する
(2)接着工法は下地の状態に影響されにくい
(3)機械的固定工法は既存防水層の上から施工できる
(4)塗膜防水は継目のある防水層を形成する

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正解:(3)機械的固定工法は既存防水層の上から施工できる
機械的固定工法は下地に接着しないため、既存防水層を撤去せずにかぶせ施工が可能です。(1)全面接着は接着工法。(2)下地に影響されにくいのは機械的固定工法。(4)塗膜防水はシームレス(継目なし)。

まとめ

この記事のポイント

  • アスファルト防水:熱工法(溶融釜)、トーチ工法(バーナー)、常温工法(火気不使用)
  • シート防水:接着工法(全面接着)と機械的固定工法(部分固定・改修向き)
  • 塗膜防水:ウレタン系。シームレスで複雑形状に対応。膜厚管理が重要
  • 立上り:仕上げ面から250mm以上。ルーフィングの重ね幅100mm以上
  • シーリング:ワーキングジョイント=2面接着。テープは硬化前に除去

1級建築 第一次検定の科目別対策

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